2016年上半期に観た映画の感想、続きです。


日の名残り
『日の名残り』ジェームズ・アイヴォリー監督(2016年5月2日)
カズオ・イシグロのベストセラー小説を『最終目的地』のジェームズ・アイヴォリー監督が映画化した文芸ドラマ。自らの職務に忠実なイギリス人の老執事と女中頭の心の交流を綴る。主演はアンソニー・ホプキンス。

基本的に原作に忠実です。ただ、小説の方がはるかに好きなのは、スティーブンスの一人称こそがこの作品そのものの良さだからでしょう。また映画のスティーブンスは小説よりも分かりやすく、というか感情がもう少しあらわになっています。最後の鳩の描写も悪くないと思いますが、原作のラストの方がはるかに良いと思います。
評価★★★☆☆


シーラ号の謎
『シーラ号の謎』ハーバート・ロス監督(2016年5月15日)
妻をひき逃げされた映画プロデューサーは犯人探しをするために妻と親しかった6人を呼び寄せ一艘の船で出港する……。

ミステリ映画としてよく名前が上がる作品ですが、確かにこれは名作でしょう。すごい。
てっきり『そして誰もいなくなった』タイプのミステリなのかと思ってたら、純然たる犯人当てでした。プロットがめちゃ複雑な上に、伏線がこれまためちゃしこまれているので、相当頭使いながら観なきゃいけません。とにかくすみからすみまで非常によく出来ていて、謎の明かし方や手がかりの提示の仕方まで絶妙。冒頭のアレとか超好きなんですけど。
評価★★★★☆


ワールズ・エンド
『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』エドガー・ライト監督(2016年5月21日)
エドガー・ライト監督によるSFアクションコメディ。“ひと晩に5人で12軒のハシゴ酒”をするべく郊外の街に戻って来たアラフォー男たち。だが、街の人々は何者かに操られており……。

もうめちゃくちゃだなって思いました。以上です。
いやねー、『ショーン・オブ・ザ・デッド』はゾンビコメディでやや苦手、『ホット・ファズ』はポリスムービーコメディといいつつかなり面白い傑作ミステリ映画というのが自分の中での評価なんですが、これはその中間くらいかな。メイキングで言われていた今回の敵・ネットワークはゾンビ+近隣監視同盟、ってのがすごく分かりやすいです。
で、この3作の中では、圧倒的に話の筋がないんです。中盤もめちゃくちゃ。終わりもめちゃくちゃ。だから正直、もう少ししっかりした話にまず仕上げて欲しかった、と思わなくもありません。
評価★★★★☆


十戒
『十戒』セシル・B・デミル監督(2016年5月25日)
ハリウッド創世期から70本以上のスペクタクル映 画を次々と製作・監督してきたデミル監督が、生涯の情熱を傾けた映画史上最大のスペクタクル巨編。題材を聖書に求め、前半は知られざるモーゼの出生から成 長を描き、後半は特撮を駆使して忠実に預言者モーゼの波乱万丈を描く。特に紅海が真っ二つに割れるシーンは映画史上空前の迫力である。

仕事で必要だったので観ましたが、これなんと230分もあるんですよ。3時間50分ですよ。しかも1956年の映画の3時間50分ですから、かったるいことこの上ないんですよ。こちとらそんなにヒマじゃないんですよ。
というわけで2倍速、途中からは3倍速で観ましたが、おかげで逆にテンポよく観られてある程度は面白かったです。やっぱり金のかけ方が違うので豪華ですしね。特撮と言うかなんというか、海が割れたり神が語りかけてきたりなどのシーンのチープさもご愛敬ということで。
評価★★★☆☆


ムーンライズ・キングダム
『ムーンライズ・キングダム』ウェス・アンダーソン監督(2016年5月26日)
『ダージリン急行』のウェス・アンダーソン監督による異色コメディ。60年代のとある島を舞台に、ボーイスカウトに所属する少年と同い年の少女の逃避行と、彼らを追う大人たちの姿を描く。ブルース・ウィリス、ビル・マーレイら豪華スターが共演。

我が偏愛映画ベスト10には入るであろう『グランド・ブダペスト・ホテル』のウェス・アンダーソン監督による作品。観始めた瞬間から、このつくり物・まがい物感のある窮屈でおもちゃ箱みたいなセットに早速やられます。くぅぅ好きだ。観終わって最高に幸せになります。好きな人は絶対に好き。おとぎ話めいた世界での駆け落ち逃避行がたまらなく良いのです。ウェス・アンダーソンの凝り性っぷりが、子どもをメインに置いたことでいい方向に出たような気がします。
ただ、この監督の作品はおそらく全てそうだと思うのですが、観ていて観客もがんじがらめになるような不自由さがあるのも事実。合わない人には一切合わないと思います。そういう意味では、『グランド・ブダペスト・ホテル』はかなりキャッチ―だったんだなぁと(だからみんな見よう)。
評価★★★★★


ファイト・クラブ(映画)
『ファイト・クラブ』デイビッド・フィンチャー監督(2016年6月5日)
不眠症に悩む若きエリートのジャック。彼の空虚な生活は、謎の男タイラーと出会ってから一変する。自宅が火事になり、焼け出されたジャックはタイラーの家へ居候することに。「お互いに殴り合う」というファイトにはまっていく二人のもとに、ファイト目当ての男たちが集いあうようになる。そして秘密組織“ファイト・クラブ"がつくられた!

ミステリ映画としても名高い作品。ぐぁぁそう来たか、とまず唸ります。映像トリック的にはかなりせこい(というかアンフェア)んだけど、それでも全てが明らかになるシーンの衝撃がとてつもないのです。エドワード・ノートンは何であんなに目の感じだけで雰囲気をがらっと変えられるの? 天才なの?(そうです) ちょいちょいCGっぽいところとか、非現実的(完全に現代社会のはずなんだけど何となくSF世界か世紀末感がある)なところとかも好き。
ノートンといえば『真実の行方』もミステリ映画としては有名で、こちらの方が驚きは強かったのですが、映画全体の凄味は『ファイト・クラブ』の方が上でしょう。今度はノートン映画で『幻影師アイゼンハイム』でも観ようかなぁ。絶対面白いでしょ。
評価★★★★☆


ホット・ファズ
『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』(2016年6月12日)
『ショーン・オブ・ザ・デッド』のエドガー・ライト監督、サイモン・ペッグ主演のアクションコメディ。左遷されたエリート警官とお人好しの若手警官が残虐事件に立ち向かう。

『ワールズ・エンド』のついでに再聴。
このブログを読んでいる人で、まだ『ホット・ファズ』を観ていない人がいますか? いますね? はいすぐに観ましょう。マイベストミステリ映画トップ5には入るド傑作です。四の五の言わずに観るんだ。そして笑って、うわぁ英国人って変にグロいの好きだねぇと若干引いて、真相にのけぞって、ラスト30分の銃撃戦に大笑いするんだ。
カメラワークとかセリフ回しとかも本当に完璧。なんでこんなにスタイリッシュに面白く撮れるんだろう。すごい。
評価★★★★★


ズートピア
『ズートピア』リッチ・ムーア監督、バイロン・ハワード監督(2016年6月16日)
動物たちの“楽園”を舞台にした感動アドベンチャーアニメ。“楽園”ズートピアで、ウサギとして初の警察官になったジュディが、与えられた48時間で行方不明事件の捜査に挑む。

今年のディズニー映画。あんまり評判いいので観に行きましたが、正直かなりなめてましたよ。はいはいディズニーね、ちょっとミステリしてるからってみんな騒いでるんでしょ。
と思ったらマジで超面白かったのでほんとごめんなさいって感じですはい。ディズニーすげぇぇぇぇぇぇぇ!!!!
本格ミステリではなく、警察小説、バディもの、としての面白さです。新人女刑事(ウサギ)と詐欺師(キツネ)が街に隠された秘密を暴くのです。俺、こういう登場人物を端役にいたるまで丁寧に使いまわしていくタイプの話が超好きなんだよ……プロットいい……。
もう公開は終わってしまいましたが、いやーディズニー馬鹿にしてちゃダメですね。これは素直にオススメ。
評価★★★★☆
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