カールの降誕祭
『カールの降誕祭』フェルディナント・フォン・シーラッハ(東京創元社)

本屋大賞翻訳小説部門第1位『犯罪』のシーラッハによる珠玉の3編と、気鋭の版画家タダジュンによる謎めいたイラスト。ふたりの天才が贈るブラックなクリスマス・プレゼント。(本書あらすじより)

もうすぐ第3長編『テロ』が日本でも出版されるシーラッハですが、ここで去年の11月にさりげなく出ていた短編集を読んでみました。第3短編集、ではなく、クリスマス向けの小品集、という扱いのようです。そしていつの間にか自分は気付けばシーラッハを4作品、というかこれを合わせると5作品読んじゃっていたらしいです。マジか俺。
シーラッハは長編も悪くはないのですが、個人的には簡潔な文体と、距離を持った人物描写、そして短くてえげつないストーリーがキレッキレの短編の方が好きなのです。今回久々にシーラッハ短編を読んでびりっと来ましたよ。そうだそうだ、シーラッハってこういうのだったよと。読み終わって微妙な気分になる長編とは違うんだったよと。

本国版がどうなっているのか知らないのですが、この日本版は短編3つ、および、『犯罪』『罪悪』の表紙を描いたタダジュンさんによる挿絵がふんだんに用いられた、どちらかといえば絵本やアートブックに近いものとなっています。東京創元社の単行本なのに(?)装丁が、こう、かっこいいんだぜ。薄いからこそいい。
収録作は以下の通り。

Der Bäcker「パン屋の主人」(2011)
Seybold「ザイボルト」(第2短編集『罪悪』に収録される予定だった、本短編集初収録作)
Carl Tohrbergs Weihnachten「カールの降誕祭」(2011)

3作品しかないのでベストを決めにくいのですが、この中だと「カールの降誕祭」はかなり長編のシーラッハっぽい作品です。逆に短編のシーラッハっぽいのが「パン屋の主人」「ザイボルト」でしょうか(「パン屋の主人」のオチのブラックさを考えると、「ザイボルト」の方が典型シーラッハ?)。一番印象に残ったのは「ザイボルト」かなぁ。
あまりあらすじを説明してもシーラッハは興ざめなので、感想もこれくらいにします。『犯罪』『罪悪』のいずれかが好きという方はぜひ読んでみるとよいです。

原 題:Carl Tohrbergs Weihnachten(2012)
書 名:カールの降誕祭
著 者:フェルディナント・フォン・シーラッハ Ferdinand von Schirach
訳 者:酒寄進一
出版社:東京創元社
出版年:2015.11.13 初版

評価★★★★☆
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