門番の飼猫
『門番の飼猫』E・S・ガードナー(ハヤカワ・ミステリ文庫)

百万長者の主人が死んで一番困った立場になったのは、忠節な老門番アシュトンだった。相続人に、飼猫を殺さないと解雇すると言われて、猫好きの老人はぺリイ・メイスンに泣きついてきた。だが、その門番がある夜、邸の一室で惨殺死体となって発見されるとは! しかも、死体には飼猫の足跡がくっきりとついていた……莫大な遺産をめぐって一匹のペルシャ猫が重要な役割を演じる怪事件の顛末は? ガードナーの代表的傑作。(本書あらすじより)

創元版もありますが、こちらは早川版です。
さて、読めば読むほどめっちゃ面白いことに気付かされるガードナーです。フランク・グルーバーもそうですが、昔の通俗ミステリ作家ってレベル高過ぎじゃないですかね……あらゆる娯楽要素を取り入れつつきっちり謎解きまで仕上げてくる感じ。今回も非常に複雑なプロットで、ガードナーのサービス精神がうかがえます。

門番の飼猫をめぐるしがない事件に、弁護士は庶民を助けるものだと強気なペリイ・メイスン。ところが百万長者の遺産をめぐる騒動に巻き込まれ、事件はやがて殺人事件へと発展します。

何といっても真相が、いやそこに至るまでのプロットがとにかく複雑です。レックス・スタウトとかクレイグ・ライスとか、アメリカ戦前勢のプロットの凝りようはどうなってるんでしょう……。単なる飼猫をめぐる問題が、猫を飼う管理人の秘密、管理人を雇っていた百万長者の秘密、その子供3人が隠していた秘密、と次々に連鎖していって、めまぐるしく事件の様相が変わります。
この猫の足跡がカギになって(表紙はそういうことなのか)、殺人事件ではある男が容疑者とされてしまいます。ちょっとした不可能状況のようなものですが、この処理はちょっと残念……と思っていたら、最後にとんでもない真相が叩き出されます。エグい。エグいから伏線とか十分じゃなくても許す。この叩き出し方がまた法廷ミステリとしても最高にカッコイイのです。
クイーンとかヴァン・ダインも、真相は複雑ですけど、事件をめぐる様相は基本的に単線的じゃないですか。やっぱりフェアプレイに撤するとある程度単純になるのかな。

というわけで、ガードナーもっと読まないと、と思わされた一冊でした。A・A・フェア名義の『屠所の羊』がやばいということも聞いているので、今度はそっちにしようかな。

原 題:The Case of the Caretaker's Cat(1935)
書 名:門番の飼猫
著 者:E・S・ガードナー Erle Stanley Gardner
訳 者:田中西二郎
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ文庫 3-7
出版年:1977.01.31 1刷
     1986.09.30 3刷

評価★★★★☆
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://yossiworld.blog72.fc2.com/tb.php/1242-0004ff19