幽霊の3分の2
『幽霊の2/3』ヘレン・マクロイ(創元推理文庫)

出版社社長の邸宅で開かれたパーティーで、人気作家エイモス・コットルが、余興のゲーム”幽霊の2/3”の最中に毒物を飲んで絶命してしまう。招待客の一人、精神科医のベイジル・ウィリング博士が、関係者から事情を聞いてまわると、次々に意外な事実が明らかになる。作家を取りまく錯綜した人間関係にひそむ謎と、毒殺事件の真相は?名のみ語り継がれてきた傑作が新訳で登場。(本書あらすじより)

正直なところ、読み終わって微妙な心地です。もっと傑作的なものを期待していたのですが……。

決して悪い作品じゃないんですよ。全編ノンストップで読める魅力的な謎、なんだってこんなに怪しい人だらけなんだといいたくなる登場人物たち……まさに黄金期のミステリを彷彿とさせる物語です。ウィリング博士が何となく芝居がかっており、真相をみんなの前で言うのが好き(なような気がする)なのも黄金期っぽいというか。彼はやたらと人前で推理を語りたがります……会ったばかりの美容師とか(笑)

事件そのものよりも、物語設定上重要な部分に大きな謎が仕掛けられています。残念なことに、後半にあるウィリング博士の指摘する11のポイントを読んでそれには気付いてしまったため大きな驚きはなかったんですが、それでもやはり見事な設定だとは思います。犯行方法も一応謎なんですが、そのあたりはウィリング博士がいつの間にか解決しています(笑)

90パーセントまでの話の進め方はいいと思うんです。飽きさせない捜査の順番はよく出来ているんじゃないでしょうか。が、最後の解決編にだけ納得がいかないんですよね。
まず?第二の殺人は必要か?むしろ、解決場面でいた方が面白い気も。殺したなら殺したで、きちんと事件として扱ってあげて欲しいです。死んだと聞いた時のみんなの反応の薄いこと(涙)
?犯人がペラペラと自白する点。動機だけで犯人と決め付けていますが、別に犯行に関しては誰が犯人でもおかしくないと思います。決定的な証拠が決定的に不足しています。
?何だってエイモスが殺されなきゃいかんのか。そもそも、違う人を殺すべきだと思うんですよ。なんか、犯人が損をしたがってるとしか思えません。
?解決編が駆け足すぎ。あのタイミングで(しかもあの場所で)みんなにバラす必要はないと思います。魅力的な事件ですから、それなりの結末は持ってきてほしいです。

…とまあいろいろ文句を言ってすみません。最後以外はすごくいいと思うんですけどねぇ。最後が台なしです。ついでに、タイトルがなぁという感じ。どっちかというと「3/4」の方がしっくりきませんか?でなきゃ「3/3」とか。

あ、あと、解説をなんとかして欲しいんですが……。ゲームが実在したかくらいは書いてほしいです。マクロイの説明を全部他のマクロイ作品の解説にまかせてしまうってのは……。ついでに言うと、「~です、ます」体と「~た」体を混用するのは、日本語としていかがなもんかと。

書 名:幽霊の2/3
著 者:ヘレン・マクロイ(1956)
出版社:東京創元社
    創元推理文庫 Mマ-12-3
出発年:2009.8.28 初版

評価★★★☆☆
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