死のようにロマンティック
『死のようにロマンティック』サイモン・ブレット(ハヤカワ・ミステリ)

学校からの帰り道、ポールはナイフを買った。憎しみに燃え、何かせずにはおれなかった。その憎悪の矛先は、バーナード・ホプキンズに向けられていた。せっかくマデレーン先生に思いを打ち明ける絶好の機会だったのに、バーナードが教室に入ってきて邪魔をした。おまけに、二人はこっそりデートの約束までしていた。このままでは済まさない。マデレーンとの恋を成就するためなら何でもやってやる……!
語学学校の教師マデレーン・セヴァンが37歳まで結婚しなかったのは、いつか理想の男性が現われ、本当の恋ができる日を夢見ていたからだった。スミレ色の瞳、純金のような髪─37歳にはとても見えない彼女の言い寄ってきた男たちも少なくない。けれども今まで守り通してきた処女はめったなことで捨てるつもりはなかった。
そのマデレーンの前に有力候補が現われた。新任教師ホプキンズだ。渋い中年で教養もある。結婚はしていたが妻は病の床だという。二人の間は急速に接近した。だがマデレーンの個人教授を受けオックスフォードを目指している18歳のポールが、二人の背後から焼けつくような視線を投げつけていることには気づきさえしなかった!
危険をはらんだ三角関係は思いがけない結末へと……。
絶妙の語り口と鮮やかなエンディング─実力派サイモン・ブレットがプロの妙技を見せつける異色サスペンス。(本書あらすじより)

相変わらずポケミスのあらすじは長い。初サイモン・ブレットです。
さて、サイモン・ブレットはシリーズ物をたくさん書いて、それが訳されているわけですけど、一番有名な作品がおそらくこのノンシリーズの『死のようにロマンティック』。なぜなのかなぁと思っていたのですが、なるほど、読んだら分かりました、そういうことですか……。
ある一点のせいでおそらく名高い作品です(その理由を知らずに読めたので良かった)。確かに驚きましたが、その見せ方があまりにびっくりさせようというものではないのがもったいなかったです。またそれ以外の部分も正直読もうと薦めたくなるほどでもないというか……ちょっと微妙かなぁ。

誰かが殺されるという思わせぶりなプロローグのあとに、自己中心的に恋とセックスについてばかり考える気持ち悪い登場人物たちが大量に登場します(気持ち悪い童貞(18歳)と気持ち悪い処女(18歳)と寝とりマンチャラ男(18歳)と鼻持ちならない独りよがり処女(アラフォー)とミスター主婦キラー(アラフォー)しか出てこなくて、比較的不快、10代からアラフォーまでほぼ童貞と処女)。彼らの妬みと不倫が募りまくったあげく、冒頭の殺人に収束するストーリー&エピローグ、という構成。ってこれあれですね、非常にフランス・ミステリっぽいです。
被害者が誰か?で読ませる話かと言えばそうでもないし、ほのめかしが強すぎるせいでとある人物の意外な正体についてもたぶん今では驚きが弱いし。全体的にくどめでアクの強い恋愛サスペンス調にはまるかどうかが大きそうです。最初は面白いんですが、動きがなくてただドロドロするだけの中盤ややきつかったな……。

ある人物の正体に関連して作者が仕掛けたトリックがかなり上手いので、そこは大いに評価したいです。問題は作者が、こう、その開示をもっと上手くやってくれればいいのにっていう。あとこのエピローグのおざなり感が個人的にはマイナスポイント。そんなすっきり行くわけないでしょうが。

というわけで、うーんあんまりはまれなかったかなぁ。一部の界隈で話題になるのは分かりますが、全体としてあまり好きではないです。

原 題: Dead Romantic(1985)
書 名:死のようにロマンティック
著 者:サイモン・ブレット Simon Brett
訳 者:嵯峨静江
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ 1464
出版年:1986.02.15 1刷

評価★★★☆☆
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