深夜プラス1
『深夜プラス1』ギャビン・ライアル(ハヤカワ・ミステリ文庫)

ルイス・ケインの引き受けた仕事は、男をひとり車でリヒテンシュタインへ送り届けること、タイムリミットは深夜プラス1。だが、フランス警察が男を追っているし、男の敵は名うてのガンマンを差し向けてきた! 執拗な攻撃をかいくぐり、ケインの車は闇の中を疾駆する! 英国推理作家協会賞受賞の名作冒険小説。(本書あらすじより)

冒険小説の名作として今でも有名な作品です。2012年版の『東西ミステリーベスト100』では25位、1985年版ではなんと6位ですよ。という世評の高さは理解しているのですが、んんんんんんなんでしょう、この微妙さは。なんか感想書くのが難しくてここまで引っ張ってしまいましたが、いい加減ブログを更新しないといけないので頑張っています。
ロードムービーというかロードバトル調のストーリー自体とどんでん返しは、比較的ありきたりとは言え悪くはないんだけど、実は話のメインは(読むと分かるけど)そこではないのです。その点の、こう描き切れなさに、もやっとするのです。
いやなんでしょう、描き切れていないわけでもないんですよ、なんだ、結局かっこよさというか、主人公の”カントン”という戦時中活躍した自分に戦後も生きようとする生き様に惚れなきゃダメなのかしらん。

話の内容は、主人公の英国人ルイス・ケイン(戦時中のコードネーム・カントン)と米国人ガンマンが、ある男を、フランスからリヒテンシュタインまで無事に運ぶ、というもの。ケインの一人称で語られていきます。Amazonにある説明によると、「命の危機にさらされても自分の生き方を曲げない男たちの姿を、全編にわたり主人公の一人称で描写したハードボイルドな冒険小説である。 酒に弱く、それでいて女性の優しさを引き出さずにいられないガンマン、ハーヴェイ・ロヴェルは『ハヤカワミステリ』の〈冒険小説人気キャラクター〉部門で1位を獲得した」とありますが、いやもうまさにこの通りだと思います。そうなんですよ、主人公より、その相棒であるガンマン、ハーヴェイの方がはるかに印象に残るんですよ。

様々な妨害にあいながらゴール地点を目指す、というだけの話で評価することは難しいと思います。それだったら、もっとアクション要素が強いものがありますし(最近だと『暗殺者グレイマン』とか?)。ですから見るべきは、その戦いの中で描かれるハードボイルドっぷりなのでしょう。
それは分かるのですが……ここまで世評が高くなったことが謎です。自分、プロ対プロの話が大好きなので、ハーヴェイとカントンはその点すごくいいキャラだとは思います。ただハーヴェイは魅力的ですが単体で引っ張れるほどでもないし、カントンに関してはラストの壮絶なオチを読みながら、もっと楽に生きればいいのに……って思いました(でもあれは巡り巡ってハッピーエンドになりそう)。

決してつまらなくはないし、読ませる小説ではあると思います。それは確か。「めっちゃ世評高いのに読んでみたらまぁまぁくらいでその落差により何とも言えない感じになった」作品リストに加えたいです。ところであらすじにある「タイムリミットは深夜プラス1」ってどういう意味なんだろう……一夜ってこと?
ちなみに超個人的なことですが、この本は、先日閉店してしまった地元の名書店・友朋堂書店で、閉店間際に購入したものです。悲しい……。

原 題:Midnight Plus One(1965)
書 名:深夜プラス1
著 者:ギャビン・ライアル Gavin Lyall
訳 者:菊池光
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ文庫 18-1
出版年:1976.04.30 1刷
     2013.08.25 43刷

評価★★★☆☆
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