ジャック・リッチーのびっくりパレード
『ジャック・リッチーのびっくりパレード』ジャック・リッチー(ハヤカワ・ミステリ)

男がバーで「マクジョージ」と叫び客を撃つ。が、撃たれたのはマクジョージではない? これは単なる間違いか。ターンバックル刑事が迷推理を展開!(「容疑者が多すぎる」)。強盗3人が家に押し入ってきた。カード遊びに興じる犯罪者に私が仕掛けたのは……(「ようこそ我が家へ」)。男は自らを異星人と主張し、殺人光線がもう地球に届くという。が、話は予想外の話“フララリーオードル”へと広がり……(「殺人光線だぞ」)。100%予想不可能なほどの“びっくり”が保証付。日本初訳25篇を集めたオリジナル短篇集。(本書あらすじより)

ジャック・リッチーの短編集を読むの、これで5冊目になるんですね……はやいもんだ。
小鷹信光さん編集によるジャック・リッチー短編集第2弾です。亡くなってしまったので、これが実質最後ということになります。小鷹さんとリッチーの関わりについては、ミステリマガジン2013年9月号を参照してください。
で、2年前に出た前短編集『ジャック・リッチーのあの手この手』は、そりゃあ面白かったですけど、でもやっぱり出がらし感がぬぐえなかったのです。もう4冊も短編集が出ているのにこれ以上いい作品残ってないっつーの、という。というわけであんまり期待していなかったのですが、意外や意外、前短編集よりもクオリティが安定しており、ショートショート的な幅広い作風を楽しめる好編が多かったのでした。リッチーの導入としてこれはちょうど良いかも。

収録短編は以下の通りです。

Part Ⅰ 1950年代
「恋の季節」(松下祥子訳)
「パパにまかせろ」(高橋知子訳)
「村の独身献身隊」(小鷹信光訳)
「ようこそ我が家へ」(松下祥子訳)
「夜の庭仕事」(松下祥子訳)

Part Ⅱ 1960年代
「正当防衛」(松下祥子訳)
「無罪放免」(高橋知子訳)
「おいしいカネにお別れを」(松下祥子訳)
「戦場のピアニスト」(高橋知子訳)
「地球壊滅押しボタン」(松下祥子訳)
「殺人光線だぞ」(松下祥子訳)

Part Ⅲ 1970年代
「保安官は昼寝どき」(高橋知子訳)
「独房天国」(高橋知子訳)
「地球からの殺人者」(松下祥子訳)
「四人で一つ」(松下祥子訳)
「お母さんには内緒」(高橋知子訳)
「容疑者が多すぎる」(高橋知子訳)
「指の訓練」(高橋知子訳)
「名画明暗」(松下祥子訳)
「帰ってきたブリジット」(高橋知子訳)
「夜の監視」(高橋知子訳)

Part Ⅳ 1980年代
「見た目に騙されるな」(高橋知子訳)
「最後の旅」(松下祥子訳)
「リヒテンシュタインのゴルフ神童」(小鷹信光訳)
「洞窟のインディアン」(松下祥子訳)

年代ごとに区切られており、各章最初で小鷹さんがその年代のリッチーの活動についてまとめています。「恋の季節」はデビュー作、「リヒテンシュタインのゴルフ神童」は遺作。発表年がついていないのがやや残念。
この流れを見る限りでは、デビュー当時はミステリばかりではなく、次第にミステリっぽい作品が増え、後半になるほどシリアスなもの、SFなど作風に幅が広がっていく、という感じでしょうか。やはりリッチーならではの軽みが楽しめる1950年代、1960年代が個人的には良かったです。ベストは「村の独身献身隊」「殺人光線だぞ」「独房天国」「地球からの殺人者」あたりで。

ところで、ジャック・リッチーって、旦那が奥さんを殺害し庭に死体を埋めたと疑われる、っていうパターンがめちゃ多いですよね……毎回ちゃんと違う展開なのがこれまた偉いんですが。

というわけで、初リッチーには『クライム・マシン』か『ジャック・リッチーのびっくりパレード』なのかなぁと。ミステリ多めが良いなら前者、いろいろ読みたいなら後者、がおすすめです。

原 題:Jack Ritchie's Wonderland part2(2016)
書 名:ジャック・リッチーのびっくりパレード
著 者:ジャック・リッチー Jack Ritchie
編訳者:小鷹信光
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ 1903
出版年:2016.01.15 1刷

評価★★★★☆
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://yossiworld.blog72.fc2.com/tb.php/1212-6748e868