死角に消えた殺人者
『死角に消えた殺人者』天藤真(創元推理文庫)

帰らない母を案じて眠れぬ一夜を明かした塩月令子は、後ろ髪引かれる思いで出社し針谷警部から凶報を受ける。駆けつけた千葉県銚子の霊安室で令子を待っていたのは、変わり果てた姿で横たわる母と耳を掩いたくなるような事実だった。その朝、屏風浦で数十メートルの断崖から海に落ちた車が見つかり、同乗四名の遺体が収容された。その一人が外ならぬ母であり、現場の状況から単なる事故ではなく謀殺に違いないというのである。懸命の捜査にも拘らず被害者間の交友関係は確認できず、容疑者はおろか動機すら判然としない。いったい誰が、何のために? 令子は自力で真相を追うが……。(本書あらすじより)

月一国内ミステリです。今回は何年も前に傑作『大誘拐』を読んだっきりの天藤真。とあるサイトで『死角に消えた殺人者』を非常におすすめされたので、4年前に高松の紀伊国屋で購入したのでした。
と、かなり期待して読み始めたのですが、うーんなんでしょう、すごく微妙でした。真相が結局たまたまで色々処理されているのも気になるし、作者の狙い通りとは言え主人公の語りがややウザすぎだし、あとロマンス的に分かっちゃうのももったいないし。そもそも読んでいてあんまり面白くなかったのです。

事件は発端は4人の無関係な人たちの死体が銚子の崖から落ちた車の中で見つかる、という、めちゃくちゃ謎に満ちた魅力的なものです。被害者がなぜ銚子に集まっていたのかといった謎など調べていくうちにある程度落ち着きはしますが、それでも事件の全貌がまるで分からないという点でホワイダニット的にかなり読者をひきつける作品だと思います。実際、動機やミッシングリンクを探る部分はかなり面白かったと言えます。
問題は結局、この最後の真相が全く納得できないものだった、ということなんですよね。いやマジでそういう理由でこんなことしちゃったのかと。ミッシングリンクとかで読者を引っ張っておいてこれはないだろうと。まぁ自分があんまりホワイダニットに魅力を感じないというのもあるとは思いますが、それでもさぁ……。また物語の構成的に、前半・中盤と、それ以降のパートにあまりつながりがないのもやや気になるところではあります。こんなに長くする必要はなかったんじゃないかなと。

さらに一番の難点ですが、話や文章自体は読みやすいのに、主人公の女の子がウザくてなかなか読み進められないというのもあります。単純に古い価値観だからとかじゃなく(それもあるでしょうけど)、こう、あまりにバカっぽいし、流されまくってるし。このことが読者へのだましにもなっているので一概に文句は言えませんが、でもこれのせいで自分読み終わるのに一週間もかかりましたからね。だってしんどくないですか。

というわけで、うーんやっぱりだめだ、あんまり合わなかったのかなぁ。天藤真、他にいくらでも代表作があることですし、もうちょっと読みたいなとはずっと思っているのですが。

書 名:死角に消えた殺人者(1976)
著 者:天藤真
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 Mて-1-8
出版年:2000.05.19 初版

評価★★☆☆☆
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