キャンティとコカコーラ
『キャンティとコカコーラ』シャルル・エクスブラヤ(ミステリ・ボックス)

「すべての犯罪の動機は愛である。」 これがヴェローナ警察警部ロメオ・タルキーニの持論である。家族を愛し、正義と名誉を重んじるが、想像力が過剰な男ロメオ。そんなロメオが、心配のあまり愛娘ジュリエッタの嫁ぎ先に出かけたからさあ大変。ボストンの上流社会で起こった殺人事件に首をつっこんだロメオの活躍とともにアメリカ文化をアイロニカルに描くユーモア・ミステリ。(本書あらすじより)

ヴェローナの警部ロメオ・タルキニーニのシリーズ第3作。第1作で結婚した娘を訪ねてボストンのWASP社会へ訪れます。あっさり読めてしまうドタバタユーモアミステリですが、ロメオの“イタリア人らしい”魅力が次々とアメリカ人を落としていく様が実に痛快でハートフルでした。

ロメオ警部はいちいち大げさ想像力過多で、決め台詞は「すべての犯罪の動機は愛である」(これをマジで何回も言う)。アメリカのコカコーラを嫌い、プロテスタント的な高尚さも嫌い、何でもはっきりと口に出して批判するので、当然ボストン上流社会で波乱が巻き起こります。おまけにヴェローナのよさをアメリカで連呼するので、一見自分の文化を押しつけるいやな人っぽいのです。
ところが実は、ロメオ警部はストレートに気持ちを表現するだけのすげぇいい人なので読んでいてイヤミが全くありません。お酒なんて飲んだことのなかったお堅いプロテスタントおばちゃんが、キャンティにどまはりするのとか楽しすぎます。

そうこうする内に殺人事件が勃発し、無実の罪で逮捕された友人を救うべくタルキニーニ警部は暴走します。型破りな捜査と「愛」を叫びまくる奇人っぷりにアメリカ警察は冷たい目を向けます(というかドン引く)が、その過程で警部の人柄がアメリカ社会で爆発するのが読んでいて超楽しいのです。

まぁお決まりの大団円だし、真相もまぁこんなもんでしょって感じですが、ロメオ・タルキニーニの楽しさとなぜか漂うかっこよさが巻き起こす騒動がハートフルすぎて読み終わってほっこりします。いいねぇ、好きだよこういうの。なんだか見ていて羨ましくなってしまうし。
エクスブライヤ(教養文庫のみエクスブラヤ)は何といっても傑作『死体をどうぞ』をまず読むべきですが、こういうこじんまりとしたユーモアミステリもいいなぁと思います。

原 題:Chianti et Coca-Cola(1966)
書 名:キャンティとコカコーラ
著 者:シャルル・エクスブラヤ Charles Exbrayat
訳 者:藤田真利子
出版社:社会思想社
     現代教養文庫 ミステリ・ボックス 3042
出版年:1994.05.30 初版

評価★★★★☆
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