懐かしい殺人
『懐かしい殺人』ロバート・L・フィッシュ(ハヤカワ・ミステリ文庫)

英国ミステリ界作家クラブの創立者である三人の老作家の経済状態は、まさに逼迫していた。原稿の依頼もなく、ただ世に容れられぬ不遇を嘆くだけ……そこで協議の結果考え出されたのが殺人請負業《殺人同盟》の結成だった。彼らの本領である伝統的な殺しのテクニックを駆使し、商売はそれこそ順風満帆だった。しかし、遂に彼らは失敗を犯してしまった! 困り果てた老紳士たちは、英国法曹界きっての弁護士パーシヴァル卿に相談を持ちかけたのだが……。多才な著者が、その名人芸を遺憾なく発揮した、ウィットとユーモアに溢れる傑作。(本書あらすじより)

フィッシュ、これまでシュロック・ホームズシリーズや密輸人ケックシリーズを読んできましたが、今回読んだ〈殺人同盟〉シリーズが一番おすすめしやすいと思います。もー超面白かったです。ミステリ好きが読めば間違いなく最初から最後まで笑えるでしょう。
老ミステリ作家3人衆が〈殺人同盟〉を結成する、という導入部分が既にめちゃ楽しい上に、法廷ミステリとしても満足の出来栄えで、オチまでしっかりしていて実に気持ちがいいです。シュロック・ホームズ読んでみたけどなんか英語のダジャレとかわけわかんないし……なんて方、そんなものいいからこっちを読むのです。

英国ミステリ作家クラブを立ち上げた老ミステリ作家3人は、いまやすっかり時代遅れで、何年も作品を発表していない。しかし彼らが求めるのは奇抜ではない伝統的なミステリなのだ。でもお金は欲しい。そこで彼らは〈殺人同盟〉を結成し、依頼に基づき自ら考えたトリックで完全殺人を成し遂げることで、荒稼ぎを目指すのだが……。

という発端からしてもう楽しいじゃないですか。英国ミステリ作家クラブとかいう危険なネーミングとか、黄金時代を支えたであろう老いぼれミステリ作家とか誰を想定しているのやら。そして主として金のために彼らはどかどか人を殺していくわけですよ、かなりのハイペースで。ざっくり言うと10人くらい。良心の呵責もなく。
そのうちとある問題が発生したせいで、彼らは英国一の敏腕弁護士パーシヴァル卿(このシリーズの第4のレギュラーキャラクター)に依頼し、苦境から脱しようとするのですが……。ここらへんの皮肉でブラックな展開はバークリーっぽいかもしれません。ギリギリな状態から見事逆転させる法廷劇がかなりしっかりしていて、見応え十分、素晴らしい。

最後はまさかの大団円で、いや実に良く出来ていたなぁと感心してしまいました(コン・ゲーム的な話も、フィッシュは上手いですよね)。適度なユーモアと、ミステリ通にはたまらないであろう展開、殺る気満々のジジイ達のキャラクター、とどれを取っても楽しい一作。これはぜひおすすめです。

原 題:The Murder League(1968)
書 名:懐かしい殺人
著 者:ロバート・L・フィッシュ Robert L. Fish
訳 者:菊池光
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ文庫 42-2
出版年:1977.10.15 1刷
     1981.09.15 2刷

評価★★★★★
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