メグレと運河の殺人
『メグレと運河の殺人』ジョルジュ・シムノン(河出書房新社メグレ警視シリーズ)

マルヌ川とソーヌ川を結ぶ運河にそった村でディジーは興奮にわき返っていた。第十四水門付近の馬小屋で婦人の他殺死体が発見されたのだ。死因は絞殺。身許は意外に簡単に割れ、ちょうど水門に到着したヨット《サザン・クロス号》の船主ランプソンの数日前から行方不明になっていた夫人メアリーと判明した。死後経過時間から推して、メアリーは失踪直後に殺されたわけではなく、二、三日生存していた。だが、失踪の原因も殺人の動機もまったく不明で、事件は五里霧中。つづいて第二の殺人。《サザン・クロス号》の乗員ウィリーの死体が運河から引きあげられた……。(本書あらすじより)

メグレ警視シリーズの長編第4作。なんだかんだ着々とメグレ警視をシリーズ順に読み進めているの、我ながら偉いと思います。いやね、月に1冊くらいで読んでいくのがちょうどいいんですよこれ。地味だけどどれもそこそこ面白いし。だからちゃんとシリーズ順で読めるように誰か『死んだギャレ氏』と『オランダの犯罪』をください……いやまじで。
さて、今作は運河が舞台となります。昔は小説を読んでいて曳舟道というのがさっぱり分からなかったんですが、いまなら馬や牛や人が船を引っ張っていたと分かります。この頃はもう蒸気船もありますね。
しかし運河で事件が発生するのに、登場する主要な船は2隻だけという、実に地味な展開。今回は人情面も少なく、むしろ感動どころというか何というかが、ちょっとずれているせいで、ややだらけ気味。捜査小説としても特に見どころがありません。ところが登場人物が妙に印象的で、読後の印象はそう悪くありませんでした。でもまぁ凡作、という位置づけなのでしょう。

あらすじは書いてある通りなので省略。
この小説の功労者は間違いなく被害者の旦那である船主ランプソンでしょう。英国紳士である彼はステレオタイプ的な英国紳士っぽい孤高っぷりを終始示し続けます。それが彼の怪しさを示しもし、話の骨格にもなり、さらにラストの凛とした空気すら演出してしまうというんだからすごい。
捜査面では大したことないのですが、メグレが運河沿いにひたすら自転車をこぎまくり容疑者の尋問を繰り返すなど、活動的なのがちょっと珍しいかも。途中で第二の殺人こそ起きますが、物語が大きく動くのは犯人が明らかになった終盤だけ。序盤中盤でもっと登場人物を描けていれば、出来はぐっと良くなったかもしれません。

というわけであんまり書くこともないのでこのへんでやめますが、まぁ悪くはない、という感じかなー。

原 題:Le charretier de «La Providence»(1930)
書 名:メグレと運河の殺人
著 者:ジョルジュ・シムノン Georges Simenon
訳 者:田中梓
出版社:河出書房新社
     メグレ警視シリーズ 45
出版年:1979.12.15 初版

評価★★★☆☆
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://yossiworld.blog72.fc2.com/tb.php/1198-2beaa289