弁護士の血
『弁護士の血』スティーヴ・キャヴァナー(ハヤカワ・ミステリ文庫)

二十四時間裁判に関わり、自らの魂をすり減らし、家庭をかえりみることができない――ニューヨークの弁護士エディー・フリンは、酒に溺れて妻から見放され、いま町をさまよい歩いていた。そんな時、ロシアン・マフィアが彼を脅迫する。要求をのまなければおまえの娘を殺害する。十歳の愛娘が拉致され、いま命の危険にさらされている。マフィアのボスは、自分に不利な証言者を殺害しろという難題を突きつけてくるが……。(本書あらすじより)

いやはや、最近のハヤカワ・ミステリ文庫は本当に面白くなりました。翻訳ミステリー大賞シンジケートの書評七福神で霜月蒼さんが褒めていたので読んでみたのですが、「エンタメ」としての面白さをこれでもかと詰め込みまくった、今年の「そりゃあお前面白いに決まっとろーが」大賞です。法廷シーンとアクションシーンの配合のバランス、長さ、キャラクターなど、どこを取っても申し分ない最強の娯楽作品。いいねぇ。

ロシアン・マフィアに娘を誘拐された元詐欺師の弁護士フリンが、マフィアのボスの弁護および重要証人の暗殺をするよう脅される。極限の状態の中で持てる限りの能力とツテを用いて弁護をしながら娘を守ろうとするフリンだが、どうも事件には裏があるようで、単なる暗殺ではおさまらなくなってきてしまうのだが……。

主人公がいきなり拉致されてすぐに法廷に放り出されるくらいですから、当然メインは法廷シーンです。ノー準備で突然法廷に立たされた主人公が、テクニックを駆使して証人を次々と撃破する怒涛の法廷バトルが非常に痛快。ぶっちゃけ展開が都合よすぎ、検事が設定は強いのに弱すぎでサクサク勝っちゃうので、単純にここだけ見たらぬるい作品に見えちゃうでしょうね。
ただ、主人公は娘の命を守るために死に物狂いで策を練り出し続けるので、これだけ都合よくてもあまり気になりません。法廷シーンの合間合間にある探偵パートで、詐欺師時代のツテを用いたマフィアの情報集めや、娘を奪回しようとする銃撃戦など派手なシーンがわんさかあるので、むしろこれくらいのちゃっちゃかしたテンポで良いのかもしれません。

そして最後には陰謀の全貌が明らかになるどんでん返しに加えて、むちゃくちゃなアクションシーンまでぶっこまれます。とにかく盛りだくさんな上にどの要素も水準以上の面白さなので、はっきり言ってかなり楽しく読めました。主人公の能力や友人がチートすぎ……そりゃそうですけど、そうじゃなきゃこんなに面白くなりませんよね、だからいいんです。

というわけで、帯に「ダイ・ハード+ジョン・グリシャム」という宣伝文句が躍っている(らしい)のが誇張じゃないという、良娯楽作品でした。中途半端なNV文庫なんかより好きって人もいるんじゃないでしょうか。おすすめです。

書 名:弁護士の血(2015)
著 者:スティーヴ・キャヴァナー
訳 者:横山啓明
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ文庫 421-1
出版年:2015.07.25 1刷

評価★★★★☆
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