乾杯、女探偵!
『乾杯、女探偵!』カーター・ブラウン(ハヤカワ・ミステリ文庫)

ハリウッドの女探偵メイヴィスをメキシコで危地から救ってくれたのはメキシコ秘密警察のベガだった。そのベガが今度は逆に彼女に助けを求めてきた。車のトランクに詰めてきた男の死体を始末してくれというのだ。余りにも唐突だし、おふざけも度がすぎる! しかし、いざ死体を目の前にするとメイヴィスは引込みがつかなくなってしまった。二人は奇想天外な知恵を捻出し、死体の処理に奔走するのだが……。 突如とびこんできた名も知らぬ男の死体に翻弄される、超グラマーな女探偵メイヴィスの活躍を軽快な筆致で描く痛快作。(本書あらすじより)

カーター・ブラウンの創造した探偵のうち、グラマラスかつ頭はカラッポ、特技のカラテは空回り、という女探偵メイヴィス・セドリッツ物の代表作。メイヴィス物は以前アル・ウィーラー警部と共演の『とんでもない恋人』だけ読んだことがあります。
外国の友人ラファエルからうっかり殺した死体の処分を依頼されたメイヴィス・セドリッツが駆け回るうちに色々な策謀・思惑が明らかになっていく、というお話。メイヴィスがバカ過ぎで何にもやってないし、お色気としても物足りなくて、全体的に微妙でした。なんかメイヴィス・セドリッツは合わない気がするんだよなぁ。

話の肝はスラップスティック的な面白さ、ハードボイルドのパロディ、というところにあるのだと思います。死体をあっちこっちに動かし、あっちこっちから死体が出て来る、という喜劇的な要素は確かに面白いです(エクスブライヤ『死体をどうぞ』のもっとバカっぽい感じ)。面白いんですが、行きあったりばったりがすぎて、あまりにまとまりがないように感じました。死体を持っていく先々で敵というか色々な事実が明らかになってはいくんですが、敵もこちらもちゃんと行動しているわけではなくご都合主義的なところが鼻につきます。もう少し何か欲しいかなー。
なんやかんやあって偶然に助けられつつ事件は解決。それはいいんです、ドーヴァー警部だって似たようなものだし。それはいいんだけど、もうちょっとメイヴィスに活躍してほしくないですか。メイヴィスは振り回され……というか振り回す役割のみで、実質的な謎解き・解決・決着は彼女の相棒と友人ラファエルに任されてしまうのではちょっと。結局訳者の稲葉さんが褒めるハードボイルドのパロディ、ファルスとしての楽しみ方しかないのかなぁ。それだけではちょっと自分には物足りないです。

ところで思ったのが、カーター・ブラウンは非情さを描かせるとかなり読ませますね、やっぱり。『死体置場は花ざかり』のラストとかかっこいいじゃないですか。というわけで、次に読むカーター・ブラウンは非情なハードボイルド探偵とウワサのダニー・ボイド物にしようかと思います。
さらに関係ないことですけど、この本の最終ページに「1978年3月22日 古本屋にて」という書き込みを発見。どうやらこの書いた人は、発売3ヶ月後に、定価280円のこの本を200円で購入した模様です。定価280円か……昔は本が安かったんだなぁ……。
乾杯書き込み


書 名:乾杯、女探偵!(1959)
著 者:カーター・ブラウン
訳 者:稲葉明雄
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ文庫 43-2
出版年:1977.12.15 1刷

評価★★★☆☆
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