ウェイワード
『ウェイワード―背反者たち―』ブレイク・クラウチ(ハヤカワ文庫NV)

山間にたたずむ小さな町、ウェイワード・パインズ。絵に描いたように美しいこの町には、ある秘密が……。そんな町で初めての殺人事件が起こる。全裸で打ち捨てられていた女性の死体には、血が一滴もない上に、ひどい拷問を受けた形跡があった。保安官イーサンが捜査を始めると、そこには被害者の意外な正体と、偽りの町に潜む闇が浮かびあがるのだった。M・ナイト・シャマラン監督ドラマ化! 衝撃作『パインズ』続篇。(本書あらすじより)

さあ出ちゃいましたよ、シリーズ2作目が。もともと『パインズ』単発だったのに、人気が出て(ドラマ化もしてで)3部作になっちゃったのでした。あひゃあ。ちなみに3作目(タイトルが危ないのでここでは伏せます)が今週にはもう出ます。はやっ。
というわけで、ここから先は『パインズ』を読んだ人だけ読んでね! ちなみに『パインズ』はもうジャンルぐちゃぐちゃのやばい感じの作品で気軽におすすめ出来ないB級アメリカドラマ感のあるNV文庫(意味深)だよ!

さて、『ウェイワード』です。前作の世界観をさらに広げた上で、今度は「監視社会における殺人事件」を取り上げるその発想に脱帽。思ったよりプロットも練られていて、前作ほどの破壊力・導入の魅力はないのですが、それでも結構面白かったです。くそ……こんなくだんない話ごときに……。

作者は最初から3部作にするつもりはなかったそうで、前作で全て完結していたところを、さらにあちこち掘り下げつつ新たな要素を自然に挿入していくことで3部作としての奥行きを作り出しています。全部後付けっぽいんだけど、その練られっぷりがはっきり言って上手いので、なかなかうまくやったじゃねぇかと感心。
ウェイワード・パインズという町の秘密を掘り下げただけでなく、その成立過程、住民の秘密など、人間関係を複雑にしたドラマを作り出しているのです。殺人事件を発端として活用しながらパインズの限界とその先を描こうとしています。

前作からわずか2週間後というタイミングも良いですね。主人公のイーサンがまだ適応しきれていないあたりが。町の秘密を暴いたイーサンが主人公だからこそ展開しうる殺人事件の捜査と町の顛末。とはいえ全部3作目にぶん投げやがったので、そこらへんモヤっとな上になんだこのラストはうぉい。
ちゃぶ台返しくらいのどんでん返し(全く意外ではない)も仕掛けつつ、”衝撃のラスト”(かっこ笑いつき)なので、結局次作が気になってしまいます。いやもうイーサンはバカかと。3作目は阿鼻叫喚じゃないですか、最初から。ただやっぱり『パインズ』のジェットコースターと比べると、こっちはじっくり監視社会ミステリなので、そこらへん落差はあります。あくまで前作を好きな人だけにおすすめです。

というわけでいよいよ『ラスト・タウン』で完結するわけですが……ぶっちゃけいかにもありそうな海外ドラマ以上のものではない説があるので、クラウチさんにはぜひとも頑張っていただきたいなと思うわけです。

書 名:ウェイワード―背反者たち―(2013)
著 者:ブレイク・クラウチ
訳 者:東野さやか
出版社:早川書房
     ハヤカワ文庫NV 1334
出版年:2015.03.15 1刷

評価★★★★☆
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