チャーリー・モルデカイ1 英国紳士の名画大作戦
『チャーリー・モルデカイ1 英国紳士の名画大作戦』キリル・ボンフィリオリ(角川文庫)

マドリードで盗まれたゴヤの名画。イギリスで捜査を担当する臨時主任警視のマートランドは、学友の画商チャーリー・モルデカイを訪ね手がかりを得る。ナショナル・ギャラリー、ターナー作品の裏に隠された一枚の写真。石油王クランプフのビンテージ・カーを、外交封印のもとにアメリカに運ぶ仕事を引き受けたモルデカイだが、マートランドに弱みを握られ汚れ仕事を押しつけられ――。(本書あらすじより)

キリル・ボンフィリオリと言えば、かつてサンリオSF文庫から出た怪作ミステリ『深き森は悪魔のにおい』(表紙のお尻が有名)の作者として知られている人物。なんとこのたび、このチャーリー・モルデカイシリーズがジョニー・デップ主演により映画化したせいで、角川文庫からシリーズ全4作が一気に翻訳されました。すごいぞ角川。偉いぞ角川。しかも安い。
このチャーリー・モルデカイを主人公としたシリーズは、没後出版されたとかを含めて全部で4作あるのですが、シリーズの内容時系列順でいうと1→3→2→4、になるのです。今回角川からは時系列順で出ているので、『チャーリー・モルデカイ2』が、発表順でいうと3作目、ということになります。

というわけで色々と期待して読んでみると……単に変とか悪趣味とかいうのでもなく、冒険小説やノワールというのでもなく、荒唐無稽な展開をただただむちゃくちゃにつなげ狂気じみた終わらせ方をした何か、ってな感じでした。なんじゃこりゃ。

うさんくさい画商モルデカイが盗まれたゴヤの絵を巡るドタバタに巻き込まれる、という展開は確かにあらすじその通りなんだけど、躊躇なく拷問シーンは出るわ目の前で人が頭を吹っ飛ばされるわセックス狂いの女が誘惑するわ主人公がどかどか人を殺すわでもうやばい。むちゃくちゃです。
こうしたあれこれがすごいドタバタと話をつなげながらブラックユーモア満載で展開されます。モルデカイの一人称はとにかく軽薄でユーモラス、とくれば楽しいはずで、実際確かに楽しいことは楽しいんですけど、だんだんと食傷気味になってきちゃって、中盤あたりは地味にしんどかったです。なんか進まなくて。読みやすいのに。
そして終盤、追われたモルデカイがもう明らかにこれ発狂してんじゃねという感じで壮絶。ノワールじゃないですか、ある意味。とんでもないところで話は終わっちゃうのですが、発表順でいけば次は3作目に当たるはずなので、たぶんちゃんと書いていないんですよ、この結末。うーん英国人頭おかしいな。

決してぶん投げたくなるようなつまらなさではないんですが、この何とも言えない読後感、ヘンなものを読まされてしまったなという感じがいまいち気持ちよくないので、えーと、とりあえず次はさっさとお尻を読みたい気はします。でもやっぱり時系列順には読んだ方がいいらしいですね……う、うーん。

書 名:チャーリー・モルデカイ1 英国紳士の名画大作戦(1972)
著 者:キリル・ボンフィリオリ
訳 者:三角和代
出版社:角川書店
     角川文庫 ホ-18-1
出版年:2014.12.25 初版

評価★★★☆☆
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