アルカトラズ幻想
『アルカトラズ幻想』島田荘司(文藝春秋)

一九三九年十一月二日、ワシントンDCの森で、娼婦の死体が発見された。被害者は木の枝に吊るされ、女性器の周辺をえぐられたため、股間から内臓が垂れ下がっていた。時をおかず第二の事件も発生。凄惨な猟奇殺人に世間も騒然となる中、意外な男が逮捕され、サンフランシスコ沖に浮かぶ孤島の刑務所、アルカトラズに収監される。やがて心ならずも脱獄した男は、奇妙な地下世界に迷い込む――。(本書あらすじより)

恒例の月イチ国内ミステリ。ついに初しまそー……ってなんでいきなりこれからなんだ……い、いや、これならきっと面白いよってすすめられたんですけどね。もっと普通のを読みたかったぞ、俺は。ちなみに文庫版上下も出ています。
あらすじの前半にある通り、最初は切り裂きジャックみたいな話なのです。死体損壊のホワイダニット、広域連続殺人的な面白さ、を期待するじゃないですか、まずは。それでいいんですけどね。
するといったん、「重力論文」なる、要するに恐竜についての論文が超長々と挿入されます。普通の論文程度の長さです。い、いやまぁ、これも結構面白いんですけど、切り裂きジャックはどうしたのさ、って思うじゃないですかやっぱり。長いし。関係なさそうだし。
するといきなり犯人が捕まってしまいます。まだ半分です。しかも真犯人です。そんな馬鹿な。
続いて犯人はアルカトラズ刑務所に収監されます。そうか、タイトルにもある通り、これはアルカトラズの話だったのか、と読者は思うことでしょう。ショーシャンクの空的なアレなのかと。なんか監獄に入ってから地球空洞説の話ばっかりしてるけど、まさかね、まさかこれ関係しないよね、と。

はい、あとは読んでのお楽しみ、ということなんですが、うーん、まぁ、後半はいかにも島田荘司流21世紀本格、って感じでしたね。個人的にはあんまり感心しないタイプの真相です。
そもそも、メインストーリーのちらかっぷりがどうしても気になります。一章ごとに大きくジャンルを変えていこうというスタンスはよく分かるんですが、あんまり成功していないように思います。連載向きなのかなぁ。一つ一つがもっと中身が濃ければ、こういうやり方はもっと上手くいくんじゃないかと思いますが、どうもそれぞれが薄いというか表面的なので、なんとなく物足りなくなってしまうんです。

というわけで感想はここまで。やっぱ『占星術』とか『斜め屋敷』とか読むんだった……。

書 名:アルカトラズ幻想(2012)
著 者:島田荘司
出版社:文藝春秋
出版年:2012.09.25 1刷

評価★★★☆☆
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