おれに恋した女スパイ
『おれに恋した女スパイ』ロス・H・スペンサー(ハヤカワ・ミステリ文庫)

おれはチャンス・パーデュー、私立探偵――だったが、一作目の事件のなりゆきから、おれはベッツィと酒場の主人におさまることになった。とはいっても、世間はやはり、おれの探偵としての腕前を捨てちゃおかない。現れたグローガンなる野郎は、情報局の職員で、依頼内容は、西側諸国の命運を担うさる王女の行方を探してくれ、というものだった。愛国心に燃えるおれに、どんぴしゃりの依頼だ。指示どおり、おれはホテルで色気のありあまった女スパイと接触することになるのだが、それからあとは……話題のナンセンス・ハードボイルド第二弾!(本書あらすじより)

安定のチャンス・パーデューシリーズ。開いた瞬間、一行ごとに段落を変えるスカスカページが懐かしいです。一作目はザ・ハードボイルド探偵のパロディという感じのドジ探偵物でしたが、今作はスパイ物のパロディ要素が強いようです。チャンスは浮気以外何にもやってないな……。

西側諸国にとって重要なある王女を発見するよう頼まれたチャンス(現在私立探偵をやめてバーテンをやりながらコールガールと同棲中)は、再び私立探偵としてマヌケなスパイと優秀な女スパイと共にホテルに張り込むことに。チャンスは女スパイと一日中セックスするが……というお話。なんのこっちゃ。

予想に反して、チャンスがスパイとして活躍する話ではありません(というか何にもしてません)。ただ、超バカで不運なスパイとか、かっこいい女スパイとかも出て来るので、スパイパロディ的なところはありますね。それから竹下洋五とかいう日本の元軍人が出て来るのですが、うーんこいつも何だったんだ。
主人公サイドがひたすら笑えた一作目と比べていくぶん大人しく、ドタバタ捕り物として終わるのかなーと思いきや、ラストにとんでもないどんでん返しが待ち受けています。ななな、なんですかこれは、作者すごい。これはもしかしてすごいスパイ小説なのかもしれない……違うな。

とまぁ、そんな感じなんですけど、とりあえず読むなら一作目から読むことをおすすめします。毎章の頭に出て来るアンダーウッドじいさんの警句(でもこの人はただの酒場の常連の飲んだくれ)も相変わらずのきれっきれ。取り立ててすごいとか言うようなシリーズではないんですが、この予定調和感をのんびり楽しみながら5作目まで読んでいきたいです。

書 名:おれに恋した女スパイ(1979)
著 者:ロス・H・スペンサー
訳 者:田中融二
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ文庫 88-2
出版年:1983.08.31 1刷

評価★★★☆☆
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