影のドミノ・ゲーム
『影のドミノ・ゲーム』パコ・イグナシオ・タイボ二世(創元推理文庫)

軍楽隊の演奏が山場にさしかかったとき、ふいにトロンボーン吹きの軍曹が射殺された。数日後、今度は同姓の大佐が墜死を遂げる。曰くありげなこの事件に挑むのは四人。新聞記者、詩人、弁護士、中国人――いずれ劣らぬ個性派が、ドミノの卓を囲みながら謎の核心に迫っていく。革命の記憶さめやらぬ1922年のメキシコシティを舞台に男たちの闘いと友情を活写するユニークな冒険譚。(本書あらすじより)

ここ一週間一冊も本を読んでいません。どうも読書スランプっぽいのです。困っちゃうな。
さて、ほとんど話題に出ることのないメキシコミステリです。なんとネット上に書影が全然出て来ないレベル(仕方ないので自分で撮りました)。他にポケミスから『三つの迷宮』なんかが出てますね、この作家。あとチェ・ゲバラ伝とか。
しかしこれ、どこかで評判を聞いて買ったんですが、大当たりでしたよ、マジで。個人的には傑作、というか超好み。1920年代のきな臭いメキシコを舞台に、4人の男たちがとある犯罪に巻き込まれ、辛口ユーモアを叩きながら対決していくのが超かっこいいのです。仏ミスっぽい雰囲気ですが、あんまり見たことないタイプの作品。おすすめ。読みましょう。

毎週ドミノをするために集まる新聞記者と弁護士と詩人と中国人労働者(いずれも妙に戦闘力が高い)。それぞれ偶然出くわした殺人・事故・事件に実はつながりがあったことが判明し、それとともに彼らは謎の大佐から命を狙われるようになるが……というお話。メキシコ革命後の1920年代を舞台にしています。

最初は職業ばらばらのドミノ仲間4人組を中心としたユーモアっぽいフワフワした変人小説です。そして複数の事件が同時並行するモジュラー的な面白さが追加されて(短めの章に区切られまくっているのもそれ。320ページなのに57章もあります)、最終的には政府や軍隊を相手に主人公たち4人組が戦うノワールみたいな話になっちゃうのです。なにこれすごい。
ジャンルに分類しがたいような独特の雰囲気と内容が、オフビートな展開に乗せて進行するのですね。結構血なまぐさいことも起きるのに語り口はユーモラス。でもドタバタ小説のようでは決してないというのが面白いです。これがどんどん癖になってやめられません。最後はカウボーイかのごとく敵をぶったおしに行くんだからなー、かっこいい。

いや、ほんとはまってしまいました。弁護士と新聞記者と詩人と中国系のキャラクターもそれぞれ妙に立っていて、時たま回想される2ページくらいの過去章がちょっと湿っぽくてまたいいのですよ(全員敗残者としてのちょっとした過去があるっぽいのですが、ほのめかす程度で終わらせてくれるのです)。最終的に彼らは権力とどう戦うのか。結末は何だかすごくらしい終わり方でもあります。
というわけで超おすすめ。あんまりこういうタイプのミステリを読んだ記憶はないんですが、似たような作品があればぜひ教えてください。すごく好きです。『三つの迷宮』も絶対読まなきゃいけませんね、これは。

書 名:影のドミノ・ゲーム(1986)
著 者:パコ・イグナシオ・タイボ二世
訳 者:田中一江
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 Mタ-2-1
出版年:1995.01.27 初版

評価★★★★★
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