閉ざされた庭で
『閉ざされた庭で』エリザベス・デイリー(論創海外ミステリ)

アポロ像の庭飾りや太陽神信仰など、いかにも怪しげな雰囲気の中、バラ園で殺人が起こった。しかも名探偵ガーメッジの目の前で! そこには大いなる遺産をめぐる争いが……。長編本格ミステリ。(本書あらすじより)

アマチュア探偵ガーメッジ(ガーマジ)を主役にしたシリーズを書いたアメリカ人作家エリザベス・デイリー(デイリイ)のシリーズ第9長編。過去何作か翻訳はありますが、全く読んだことがありません。『二巻の殺人』とか古書ものっぽくて面白そうですよね、買えないけど。
ただ、結構期待していた割にはかなり残念。クラシック本格ミステリの中では良質な部類だとは思いますが、話に起伏はないしキャラ立ちも弱いし事件も地味で、後半の第二の事件が起きてもあまりに動きがありません。何より、トリックが悪くないのに謎解きが全体的に気に入らないし。という感じで、なぜか不満要素が多かったのです。うーん、褒めてる人多いんだけど。

探偵という名の知識ひけらかしオタクであるガーメッジが隣家の親族の集まりに出席。庭に出ている時に、ガーメッジの目の前で女主人が射殺されてしまいます。ガーメッジは警察と協力しながら事件発生時の容疑者の居場所や動機を探りながら事件を調べますが、やがて第二の殺人事件が発生し……。

ガーメッジのキャラクター(うんちくや知識を語りたがるタイプ)がほんとうに彩り程度なのがやや安易。また尋問シーンではいつ誰が庭のどこにいたかをやたらと確認するのですが、地図もないし庭の構造もよく分からないのでかなり読んでいてつらいです(しかも要するにアリバイがないことさえ分かればあんまり謎解きには関係ないというのも)。
第二の事件が起きるとさすがに動きが増えますが、これも単発的で、第一の事件との絡みが少し弱いです。謎を解く鍵にはなるんですが、もう少し使いようがあったんじゃないかと。
わらわらと容疑者も出て来ますが、それぞれ目立っているとも言い難く、もちっと描き込みがあってもいいんじゃないでしょうか。さすがに退屈ですよ、これでは。

トリックはオーソドックスながらよく出来てはいて、事件を起こすに値する良いものだと思います。ただこれを見抜くある重要な点にガーメッジが推理シーンまで全く触れないのがきつい。触れると犯人まで一気に分かっちゃうので、黙ってるのは仕方ないんだけど、でもフェアプレイや伏線を期待する読者的には不満でしょう。また推理シーンの場面は結構凝っているのに、その推理がかなり残念なので色々ともやっと感があります。あと警察はもっと頑張ろう、絶対解決出来たぞ頑張れば。

というわけで、あんまり好みではなかったかなー。他のも機会があれば……くらいの感じです。

書 名:閉ざされた庭で(1945)
著 者:エリザベス・デイリー
訳 者:安達眞弓
出版社:論創社
     論創海外ミステリ 134
出版年:2014.11.30 初版

評価★★☆☆☆
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