李歐
『李歐』髙村薫(講談社文庫)

惚れたって言えよ――。美貌の殺し屋は言った。その名は李欧。平凡なアルバイト学生だった吉田一彰は、その日、運命に出会った。ともに二十二歳。しかし、二人が見た大陸の夢は遠く厳しく、十五年の月日が二つの魂をひきさいた。『わが手に拳銃を』を下敷にしてあらたに書き下ろす美しく壮大な青春の物語。(本書あらすじより)

無事スペインから帰ってこられました。気が向いたらレポート的なものでも書きます(書かないかも)。まぁあれですね、ご飯がおいしい国はいいですよね……。

というわけで、月イチ国内ミステリです。1月(1月なんだよこれを読んだのはもう)は髙村薫……なぜだ、誰のチョイスなんだ。
なんですかこのゲイゲイしい……というかゲイだらけのギャング抗争小説(みたいなやつ)は。分厚いけど文章が上手いので一気に読めます……のようで、結構話が間延びしている感はあります(特に前半)。後半かなり話が壮大になってからようやくそこそこ乗れたかな、というくらい。

主人公・吉田一彰は何事にも無関心・無感動な平凡な大学生……のようで無感動に人を殴ったりヤクや殺人に巻き込まれに行ったりするから怖いです、全然平凡じゃないです。こいつと李歐というイケメン殺し屋が出会い、日本・中国大陸の裏社会が大きく揺れ動くことに。15年の歳月を大河小説のようにゆっくりと描いた作品です。

一彰君、いろいろな世界に巻き込まれていくんだけど、抵抗はしないし世渡り上手いのかどうかよく分からないしけど幼いころに育った町工場にはちょっとだけ執着したりと、本当にとらえどころがないキャラクターなのです。感情移入しやすいかと言われると微妙。
一方もう一人の主人公(のようで実はあんまり出て来ない)李歐は、次第に大物として君臨するようになる……らしいんですけど、とにかく存在感はあるのに具体的なところがほとんど書かれないのです。だいたいと李歐と一彰は妙に惹かれあってはいるけどほとんど会ってないよねこれ。これはこれで描き込みが物足りません。
ただ、そもそも全体の調子がファンタジックというか、リアルさが全くなく、こちらの感情移入とかすこぶるどうでもいい気もします。シンジケートに命を狙われようが淡々と生き続ける一彰と李歐の得体の知れなさで話がほとんど終わっちゃうので。面白いんだけど緩急に欠けるかなという印象。

それでもラストシーンまでたどり着くと、この壮大な物語に何となく感動してしまうのです。何となくだけど。入れ込みはしなかったけど、なんか力の入った作品を読んだなぁという感じでした。ストーリーでもっと殴ってくれればいいと思います、自分の好み的に、はい。
というわけで感想終わり。次回の月イチ国内ミステリは佐々木丸美ですよー。

書 名:李歐(1992『わが手に拳銃を』改題だが話が大幅に異なる)
著 者:髙村薫
出版社:講談社
     講談社文庫 た-66-1
出版年:1999.02.15 1刷

評価★★★☆☆
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