ダイナマイト円舞曲
『ダイマナイト円舞曲』小泉喜美子(カッパ・ノベルス)

風光明眉な地中海の小国、ロンバルド公国に次々起こる王妃の謎の死――。パリ留学時代の親友・クレマンティーヌ王妃の招きで訪れた花嫁修業落第生の“わたし”は到着早々、王宮内の電話の混線から、不可解な暗号を聴く。城内に渦まく陰謀を察知した王妃とわたしの身に危機が迫る。華麗な宮廷を舞台に展開する夢と冒険のファンタスティック・ミステリー。(本書あらすじより)

今月の月イチ国内ミステリです。新本格を読むのはもうやめたのです。
小国を舞台に張り巡らされた陰謀を平凡な日本人女性の目線を通して描いた作品。内容はシリアスなのに全体的にとぼけてユーモラスでオシャレな雰囲気があり、浮世離れした舞台とあいまってファンタジックですらあります。これでいてどんでん返しがあるんだからたまりませんねぇ。

平凡な割にやたらと打たれ強い「わたし」がまず面白おかしくて、いちいち庶民的なことを気にしたり真っ当な意見を空気読まずにさしはさんだり拉致られたのにお腹すいたとか言ったりとペースを乱しているところがあって、これがなかなかクセになります。この子もそうとう変人よね。周りが輪をかけて変人なだけで。
事件は、なぜか代々病弱になる王妃たち、突然死ぬ誰かさん、誰が革命をもくろむリーダーなのか、誰が見方で誰が敵なのか、という感じで、小ネタから大ネタまでとにかく盛りだくさん。短めの長編なのに終盤の謎解き&アクションラッシュはすごいです。病弱ネタとかは予想できましたが、陰謀・革命の大ネタに関しては(いやそんなのわかんねぇよとは思うけど)非常に壮大な感じがしてそれこそファンタジックで楽しいです。それにしてもこういう結末を何のためらいもなく前向きに書ける時代があったんだな……。クリスティーの冒険スパイっぽいかもしれません。『茶色の服の男』とか『秘密機関』みたいな。

というわけで初小泉喜美子でしたが、大いに楽しめました。絶版でやや高騰気味ですが、もったいないですねー。
ちなみに来月の月イチ国内ミステリは、警察小説・冒険小説のあの女性作家です。お楽しみに。

書 名:ダイナマイト円舞曲(1973)
著 者:小泉喜美子
出版社:光文社
     光文社ノベルス N-243
出版年:1973.12.10 初版
     1976.08.30 6版

評価★★★★☆
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://yossiworld.blog72.fc2.com/tb.php/1101-970eaba6