ブロントメク!
『ブロントメク!』マイクル・コニイ(サンリオSF文庫)

惑星アルカディアをまわる6つの月が52年に一度そろって空にかかるとき、高潮にのって何兆というプランクトンの群れが海面にかたつむりの足跡のように帯状に輝いた。このマインドと呼ばれるプランクトンと巨頭鯨は奇妙な共生関係にあった。マインドは密集することによって人間のテレパシー能力を増幅させるリレー効果をもっていた。人々は催眠術にかかったように次々と海に入り、やがて黒いひれの群れと一つになって血の海に呑みこまれていく。子供を守ってくれるお返しにマインドは餌を提供するのだ。こうして過去2年のうちに全人口の30%は他の惑星に移住し、経済は崩壊に瀕していた。そんなとき銀河系をまたにかける巨大企業へザリントン機関が経済復興の援助を申し出てきた。アルカディアの議会はそれを受けた。やがて移民として無定形生物と巨大なトラック、ブロントメクの群れが送りこまれてきた…・・・英国SF作家協会賞に輝くコニイの本邦初紹介長篇。(本書あらすじより)

なにひとつ内容を伝えていないことで有名なサンリオSF文庫のあらすじの中でも特に内容を伝えていないと言われる『ブロントメク!』のあらすじでした。読む必要ないです。
コニイ読むのは2冊目。『ハローサマー、グッドバイ』は名作ですよ、マジで。この『ブロントメク!』、もう1年半くらい前から復刊の話が出ていて、訳者さんが手を入れたものがすでに準備されているらしいんですけど、河出さんまだ出せないんですか。
文明批判っぽい側面がやや強くて、海沿いの町で惑星の命運をかけて争いが起きる、みたいな話ではあるんだけど、そんなたいそうなもんというよりゴダゴダゆるゆるな内紛をやっているだけで、面白いことは面白いんだけど、あまりのめり込んだ感じはなかったかなぁ。コニイは雰囲気ですね。

惑星に大企業が進出してくる、というのが基本ストーリーかと思います。主人公はぐちぐち文句言いながら中立の立場を崩さないで船作るだけというあんまり勢いのない、悪く言えば自分のない流されやすい人。当然美女が出て来ていちゃいちゃが始まります。ボーイミーツガール。ボーイじゃないけど。ガールでもないし。
ヘザリントン機関というその大企業が敵役ではあるんですが、一概に悪いとも言えないという微妙な状況があります。つまるところこの貧しい星はどうしようもない、というのが底にあるので、大企業の支配下にでも入らないとやっていけないんです。読んでいてどうにももどかしいというか、諦めに満ちた空気が漂っているのです。だから機関にも抵抗側にも感情移入しがたいのですよね、それだけ上手く描けているということなんですが。

そんな中で、ひたすら皮肉に、冷笑的に本質を突く医師ストレングのキャラクターは本当にいいですねぇ。みなが聞きたくない事実を指摘するという性格のせいで嫌われ者なのですが、彼のような人物が疎まれてしまう、というのがそもそもみなが事実から目を背けていることを示すわけで。彼は宣伝のため惑星一周航海をすることになるのですが、これもなかなか波乱万丈で楽しいです。

大ネタについては最初っから予想してしまったので驚きはありませんでしたが、あれを明かすシーンの映像的な衝撃感はすごくいいと思います。だからここは好きなんですが……ただ問題はその後かなぁ。主人公がある行動をとるんだけど、ちょっとこれは許しがたいです、個人的に。まぁでも、例の映像的な部分と合わせて考えるとすごい皮肉なわけで、これもコニイの掌の上でなのかと思うと……むむむ。
というわけで、面白くは読めましたが、ちょっと長くてだれたということもあり、やや微妙な部類に入ってしまいました。うーん、SFは難しいぜ……。

書 名:ブロントメク!(1976)
著 者:マイクル・コニイ
出版社:サンリオ
     サンリオSF文庫 45-A
出版年:1980.08.05 初版


評価★★★☆☆
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