ガットショット・ストレート
『ガットショット・ストレート』ルー・バーニー(イースト・プレス)

刑期を終え出所したばかりの運び屋“シェイク”がコケティッシュな嘘つき女“ジーナ”を救ったばかりに大金と聖遺物をめぐる奔走劇にまきこまれる。追って追われて、最後に笑うのは誰なのか? 愛すべき悪人たちの騙し合い……精緻な伏線で構成された超弩級エンターテイメント小説。(本書あらすじより)

軽口をたたき合いながら、拳銃を撃ちながら、頭をたたき合いながら(暴力的な意味)、悪党どもが互いを騙しあうだけ。ぶっちゃけ単行本で出すほどの話じゃないよなぁとは思いつつも、こういう軽いクライムノベルはやっぱり楽しいので、どういう形であれ毎年読みたいなと思わせるタイプの作品です。ウェストレイクとかが書いてそうな。んーーーいいぞ。

頭は切れるんだけど全体的に冴えない悪党感にじみ出る中年のおっさん運び屋が、めちゃ頭の切れる峰不二子みたいな美女と、時に協力し時に騙し合いながら、犯罪組織の大ボスを相手取り立ち振る舞います。
このメイン2人の超信頼できる安定の優秀さとかっこよさですよ。お互いを信用してはいないけど信頼していて、互いの力を認め合い、何か惹かれるものを感じつつ、わちゃわちゃと危険に突っ込んでいく2人がたまらなくかっこええのです。軽快な口調で語られるストリーの展開自体は安定してるのに、何でこう面白いんでしょう。

と、そういう点が見どころなので、これといった凝ったところはないんですが、なんかこう、この作者うまいんですよね(とこの間読書会で話が出ました)。短い章ごとに目まぐるしく三人称視点の主役が変わっていくんですが、一回きりの端役にいたるまで視点側に入っていくのです。財布をすられた男とか、通りがかりのボーイとかまでちょこちょこと。このみんながどこかおかしくって、自分の不幸に酔いしれている感じがいいです。独特のテンポ感もこのおかげでしょうか。

まぁぶっちゃけそんな大した話ではないんですが、こういう読んでて素直に楽しいクライムノベルって、最近なかなかないんですよ。ランキングに絡みはしませんが、もっと存在が知られて欲しいなぁと。需要あると思うんですよ、出版社が微妙なので気付かれていないだけで。

書 名:ガットショット・ストレート(2010)
著 者:ルー・バーニー
出版社:イースト・プレス
出版年:2014.08.30 1刷

評価★★★★☆
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