たとえ傾いた世界でも
『たとえ傾いた世界でも』トム・フランクリン&ベス・アン フェンリイ(ハヤカワ・ミステリ)

出逢うはずのなかった二人、出逢うべきではなかった二人――ここはミシシッピ川の増水により、崩壊が近づく町。密造酒を作り続けるディキシー・クレイは、愛する赤子を亡くした。一方、潜入調査のため町に向かう密造酒取締官のインガソルは、かつて孤児だった哀しみを抱えてきた。彼は道中、銃撃戦に巻き込まれて奇跡的に生き残った赤子を拾ってしまう。ディキシー・クレイが我が子を亡くしたことを町で聞きつけたインガソルは、彼女に赤子を託す。敵対する関係とは知らず、温かい何かが二人の間に芽生えるが……『ねじれた文字、ねじれた路』『密猟者たち』の著者が紡ぐ希望。愛と感動のミステリ。(本書あらすじより)

トム・フランクリンは初読。『ねじれた文字、ねじれた路』は未読です。あれは結構評判良かったですね、たしか。
というわけでどんなもんかと思っていたら、いきなりの共作でした。うーん、なんだこれは。ミステリ……なんでしょうかそもそも。犯罪要素が、まぁなくもなくもない……か、うーん。
薄いのに、読み切るのにずいぶんと時間がかかってしまいました。どうもこの手のアメリカンミステリというか、アメリカ南部のミステリというか、禁酒法時代のミステリというか、ミステリというか小説が、苦手な気がします。うーん。
アメリカ南部禁酒法時代を、洪水という当時の大問題と絡めて描いた、ミステリというより雰囲気小説。一番苦手な時代です。つまらなくはないけど、これといって好きになるポイントがないのが結構つらかったんです、たぶん。

要するに子守小説で、密造酒取締官と、密造酒を作らされている密造酒売人の妻と、どこぞの捨て子の物語。混乱した時代の混乱した状況で、赤ん坊のために不器用な密造酒取締官は何をしてやれるか……完全な人情小説ですねこれ。堤防が決壊するまでは、これが実にだらだらと続くのですよ。一方決壊した後は、この実在の洪水にいかに人々が立ち向かうか、みたいな力強さというか、人間のしぶとさが感じられて、もうそれこそミステリじゃないんですけど、こちらは非常に良かったかなと思います。

2人の密造酒取締官の友情や、子供をきっかけに結びついていく男と女の物語など、終盤は読みどころが多いですねー。そんなうまくいきすぎだろってくらい好都合な展開が潔いのも良し。でもやっぱり前半がそんなに楽しめないのが個人的にはマイナスです。それからそもそも禁酒法が嫌いです。
え、うーんと、ほら、禁酒法時代のなんか暑い空気がまず好きじゃないし、ギャングとかマフィアも好きじゃないし、やたらと政府が取り締まるみたいな国の雰囲気も好きじゃないし、みたいな感じ。個人的な好みですが。

というわけで、どうすんですか何にも書きようがない……なぜポケミスから出たんでしょうね……。
ちなみにこれで、この年度のポケミスは12冊中7冊読んだことになります。がんばったなー。

書 名:たとえ傾いた世界でも(2013)
著 者:トム・フランクリン&ベス・アン・フェンリイ
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ 1886
出版年:2014.08.15 1刷

評価★★★☆☆
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