両シチリア連隊
『両シチリア連隊』アレクサンダー・レルネット=ホレーニア(東京創元社)

1925年、二重帝国崩壊後のウィーン。大戦時に両シチリア連隊を率いたロションヴィル大佐は、娘のガブリエーレとともに元トリエステ総督の催す夜会に招かれた。その席で彼は、見知らぬ男から、ロシアで捕虜となって脱走した末、ニコライ大公に別人と取り違えられたという奇妙な体験談を聞く。そして宴もお開きになるころ、元両シチリア連隊の将校エンゲルスハウゼンが、邸宅の一室で首を捻られて殺害される。六日後には、事件を調べていた元連隊の少尉が行方不明となり……。第一次世界大戦を生き延びた兵士たちが、なぜ今“死”に見舞われるのか。謎に次ぐ謎の果て、明らかとなる衝撃の真相とは。二重身、白昼夢、幻視、運命の謎。夢想と論理が織りなす、世の終わりのための探偵小説。反ミステリの金字塔。(本書あらすじより)

たいてい新刊は図書館頼りなんですけどね、いちいち買ってたらお金なくなっちゃうし。特に単行本なんかは。ところがなぜか買っちゃいましたよ、これを。だってあらすじがすごそうじゃないですか。「世の終わりのための探偵小説」ですよ。「反ミステリの金字塔」ですよ。
かつて連隊に所属していた元兵士が次々と襲われていく、という『六死人』的な超王道ストーリーで、これに入れ替えトリックなどが合わさるため基本的には真っ当なミステリ。ただ、ところどころの哲学談義がはっきり言って長くて長くて、全体的に楽しくなかったです……せっかく買ったのに……文学ミステリってやつぁこれだから苦手なんだ……。

毎章連隊に所属していた兵士の誰かを中心に話が進行し、彼らは無残に殺されたり消えたり病気になったりしていきます。彼らは何が起きているのかを自力で見つけ出そうとし、そしてソ連から脱出したとある兵士が関係しているらしいことがだんだんと分かって来て……という感じ(適当)で、結構ミステリしてはいます。というかミステリです。
ところが合間合間に彼らが色々小難しいことを考えたり議論したり死とは何かとかそういうブンガクめいたことを話していて、これがはっきり言ってきつかったです、はい。ミステリ面はリーダビリティ高いのにこちらが読みづらい(というかほぼ頭に入って来ない)ので、260ページほどの物語のくせになんかやたらと手こずりました。

だから、真相のややずれた反ミステリ的なのか知らないけどそういう面白さとか(偶然要素の使い方とか面白いですね)、狂言回し的な刑事の最後の一人語りの面白さとか評価したい、とは思うんですが、全体的に見て楽しい読書だったとは言い難いので、結論としては55点くらいかな……ダメでしたね……。
なお、作者のレルネット=ホレーニアについては訳者解説が非常に詳しいです。結構前の人なんですよね、この本も1942年の作品ですし。また、この本のどこが反ミステリかということを徹底的に論じてらっしゃるので、読みごたえあり。いい加減に反ミステリとか言ってるわけじゃないってことは分かりました。

書 名:両シチリア連隊(1942)
著 者:アレクサンダー・レルネット=ホレーニア
出版社:東京創元社
出版年:2014.09.12 初版

評価★★★☆☆
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