パインズ ―美しい地獄―
『パインズ ―美しい地獄―』ブレイク・クラウチ(ハヤカワ文庫NV)

川沿いの芝生で目覚めた男は所持品の大半を失い、自分の名さえ思い出せない。しかも全身がやけに痛む。事故にでも遭ったのか……。やがて病院で記憶を回復し、みずからが捜査官だと思い出した男は、町の保安官や住民に助けを求めた。だが、この美しい町パインズはどこか狂っていた。住民は男が町から出ようとするのを執拗に阻み続け、外部との連絡にも必ず邪魔が入る――絶対予測不能の衝撃のラスト!(本書あらすじより)

現時点で、えー、今年の新刊の裏ベストです。ちゃんとベスト作るなら2位ですね。いやー、やばいっすよこれ。
ネタバレかもだけどあえて言うとミステリでホラーでSFでファンタジーと、とにかく盛り込みまくり。怪しげな町から住民が出させてくれないというのを発端に、猛スピードで話が展開していき異様に面白く、そしてドガンとオチ。うわぁお、なんというB級感。しかしそれがいいんです。

行方不明の捜査官2名(AとB)を探しに一見理想的な田舎町ウェイワード・パインズに来た捜査官バーク。ところが外とは連絡が取れず、町から出ようとすると住民の邪魔が入る。そして彼は変わり果てた(意味深)Aとさらに変わり果てた(超意味深)Bを見つける。この町は何かがおかしい!……というのが前半。
バークはこの町を生きて脱出しようと死に物狂いでサバイバルすることになるわけですが、あまりに展開が目まぐるしいので、彼は(そして読者は)推理したり状況を整理したりする暇がほとんどありません。ひたすら(常識的に言って)(現実的にも)ありえない超展開が続き、どうなるどうなると読者はもうたまらんわけですよ。
そうしてとんでもないところまで話は広がり、まぁもう合理的にこの説明しか無理だろという衝撃オチが畳み掛けられ、そして(何よりやばいことに)前向きに話が終わっちゃうんですよ! こんな話で! やべぇ、バークさんやべぇ。作者の思考回路もすげぇ。中盤のお祭りがいかにもモダンホラーって感じですがこれも頭おかしいし。

正直言ってホラーチックにえぐい場面とかはすごい苦手だったんですが、それでもこれはかなりキてる作品だと思います。ネタバレになってしまうのでこれ以上語れないのがつらいところですが、傑作というかケッ作というか怪作。やるなぁハヤカワNV。こういうジャンル横断的なわけわからん作品を読めるから、海外ミステリというくくりのエンタメは楽しいんです。ゲテモノ・キワモノ好きにぜひおすすめしたいですね。

書 名:パインズ ―美しい地獄― (2012)
著 者:ブレイク・クラウチ
出版社:早川書房
     ハヤカワ文庫NV 1303
出版年:2014.03.15 1刷

評価★★★★★
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