殺人者は21番地に住む
『殺人者は21番地に住む』S=A・ステーマン(創元推理文庫)

霧深いロンドンの街を騒がす連続殺人。犯人は不敵にも、現場に〈スミス氏〉という名刺を残していた。手がかりもなく途方に暮れる警察に、犯人の住居を突き止めたという知らせが入る。だがしかし、問題のラッセル広場21番地は下宿屋なのだ。どの下宿人が犯人なのか? 二度にわたって読者への挑戦状が挿入される、ファン待望の本格長編。(本書あらすじより)

仏ミス固め読み中。
ロンドンを舞台にした連続無差別通り魔殺人。容疑者が限定された純粋な犯人当て、迷走する捜査とロンドン市民、効果的なトリックなど、あくまで古典的ながら現代でも十分通用するミステリだと思いますし、自分はかなり驚きました。これは良作。

それはもう気持ちいいくらいに無差別通り魔殺人が相次ぎ、警察はもろもろあって容疑者が住むアパートを特定します。一見有能そうな警視はちょっとでも手がかりがあると食いつき、(短絡的すぎだろと呆れる読者を尻目に)即逮捕という究極のアホさを見せつけながら、アパートの面々を逮捕していくのですが、なかなか犯人は見つからず……。
……というあたりいかにも古典ミステリのぐだぐだ感に結びつきそうなお話なんですが、意外とそうでもなく、焦る警察の描写・ずんどこ死ぬロンドン市民によってかなり読ませる物語となっています。おまけにこの警察のアホっぷりにもちゃんとストーリー上の意味があり、読み終わってから評価を上げました。

トリックはこれまた基本的なものですが、用い方がシンプルながらうまいですし、何よりこの明かし方が最高に良いのです。あらゆる本格ミステリは犯人の名前を明かすシーンに苦労していますが、ここまで見事なのはあまりないんじゃないかって気がします。仏ミスっぽいいきなり感含めて高評価ですよわたし。

まぁ読者への挑戦を2回も挟むくせに、伏線とかは結構いい加減なんですけどね、仏ミス(作者はベルギーだけど)本格ミステリとしてはかなり上位に来そうな作品だと思います。面白かったですよ。『六死人』のやや時代遅れ感(低評価)と比べると、はるかにこっちの方がいいと思います。また復刊しましょう創元さん。

書 名:殺人者は21番地に住む(1939)
著 者:S=A・ステーマン
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 212-1
出版年:1983.12.30 初版

評価★★★★★
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