危険な道づれ
『危険な道づれ』フランシス・リック(ハヤカワ・ミステリ)

看守は覗き孔から特別監視の独房を見て、あわてて房のなかに飛びこんだ。なかの男は床に倒れてぴくりともしなかった。看守は男の顔を覗きこむ――そのとき、男の手が伸びて看守の首をつかんだ。同時にからみついた脚が動きを抑え、手は容赦なく絡めつけてくる。看守は必死であがいた。だが、意識は急速に遠のいていった……。ぐったりした看守の体を押しのけると、男は立ちあがり、手早く看守の服を着けはじめた……。
人里離れた山奥の小屋に住むダヴィッドとジュリアの夫婦のもとに見知らぬ来訪者がやってきたのは、冷たい雨の降る秋の夕暮れだった。浮世に背を向けて暮す夫婦は男を暖かく迎えた。しかし、三人の共同生活が始まるとすぐに、トマと名乗るその男の奇妙な振舞いが夫婦を驚かせた。空を飛ぶヘリコプターから身を隠し、風の音にさえ怯えている。トマが重い口を開いて語った話は、途方もないものだった。彼は脱走者だった。ある重大な秘密を握ったために追われる身で、敵は巨大な組織だという。彼にはひたすら逃げるしかなく、彼と接触した人間にも兇暴な追及の手は必ず伸びるだろう、と。秘密の内容を明かそうとしないトマに疑いを抱きながらも、夫婦はトマとともに逃亡の旅を始めることを決意したが! 狂気が生んだ幻影か、それとも……? 姿なき敵の影に怯える男女を乾いた文体で描く新感覚サスペンス。(本書あらすじより)

ネット上に大きい画像がないせいで、こんな感じでぼやけてしまいました。まぁそれだけ読んでる人がいないってことね……。
例によってフランスミステリ固め読み中です。こちらは以前 Twitter でおすすめされた作品なんですが……一言でいうと苦手。終盤まではこれはどういう話なのか、どこに進んでいるのかがほとんど見えません(可能性は、男が本当のことを言っているか嘘をついているかの2つしかないけど)。そして終盤は見える結末に向かってまっしぐらに突き進み、堕ちていく、という。うぅ、つらいっすね。退屈ではないですが、面白いかというと微妙……。

何者かに追われていると主張する男に付き合い、山でひっそちろ暮らしているとある平凡な男女が彼と逃避行を共にすることになります。しかし敵の姿は見えず、気配が感じられるのみ。現実か妄想か? 男は正気なのか狂っているのか? これが一切見えないまま、非常に強い緊張感を保ちつつラストまで一気に進むことになります。なお、後書きは直接的ではありませんが、間接的にネタを割っているので見ないように。
ある部分でフランスミステリらしいトリックが仕掛けられているんですが(要するに○○トリック)、これがなかなかうまい仕掛けとなっていますね。とはいえ、ラストはぼんやりと予想がつくようになっているんです。それが怖いんです。そこに突き進んでいるのが、逃れようがないように見えるのが、破滅が近付くのが恐ろしいのです。

ネタバレになるからこれ以上書きませんが(実際短いし話の内容は少ないので語りにくいし、おまけに時代背景まで絡んじゃうので)、しかし苦手ですね、やっぱり。強烈な一撃を読者に与えるすごい作品だとは思いますし、この短いながらのむちゃくちゃサスペンスフルな読ませ力はなかなかのものがあるんですが、この読書に耐えられるメンタルを俺は持っていないんです。ということで。

書 名:危険な道づれ(1973)
著 者:フランシス・リック
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ 1367
出版年:1981.03.15 1刷

評価★★★☆☆
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