葡萄園の骨
『葡萄園の骨』アーロン・エルキンズ(ハヤカワ・ミステリ文庫)

どこへ行こうと、スケルトン探偵ことギデオン・オリヴァーを迎えるのは骨なのか。イタリア・トスカーナ地方の山中で発見された二体の白骨死体。一年ほど前に失踪していた葡萄園経営者夫妻のものだ。状況から見て、不倫を疑った夫が妻を射殺してから自殺したものと警察は考える。だがたまたま夫妻と知り合いでもあったギデオンが白骨の鑑定をしたことから意外な事実が次々と明るみに!(本書あらすじより)

なぜか”スケルトン探偵”(笑)の最新作を読みたくなったので手に取ってしまったのでした……ミスった……。
あの『古い骨』を書いたエルキンズさんの本格ミステリとしてはもうゴミみたいな解決だし(事件自体は非常に良い)、100ページにまとめられるでしょっていうだらけっぷりだし、イタリア観光ものとしてもアメリカ人のうざさが際立っていてあんまり楽しめず、つまりとても微妙。本格云々以前に評価するポイントがないぞ……。

夫が妻を殺したあと自殺したと見られていた事件が、”スケルトン探偵”ギデオンの分析により、非常に説明のしがたい二重殺人であったことが明らかとなります、というのが冒頭。この「事件はいったいどのように起こったか?」という謎自体はとても魅力的で、分析すればするほど深まっていくのもよいですね。ホワットダニットとしては悪くはないのです。
ところが事件は最後「こうならつじつまが合うんじゃね?」という思いつきと「お、それっぽい!」「名推理!」というおだてでいつの間にか解決するんですよ……。しかも「でも誰が犯人かはわかんないね」って言ってたら警官が登場し「こんな物証が見つかったからこの人が犯人でした!」「「へーー!!」」みたいなオチですよふざけんなよ。
……ということはホワットダニット的な側面はギデオンが分析した時点で分かったってことですね、中盤全部いらないよ……その後の事件が完全に切り離されてるよ……ギデオンのもったいぶった推理もいい加減後半になるとぶち切れそうになるほどまだるっこしいわ……。

さてじゃあイタリアを舞台にしたワインとお食事のお話としてはどうでしょうか。わたくしイタリア語を第二外国語として学んだくらいにはイタリアに愛着があるので期待大ですよ。ところがこれも微妙。というのも主人公たちが「こういう料理苦手なんだよなぁ」とか「アメリカ料理食いてぇ」とか「イタリア料理飽きたからアイリッシュパブ行こうぜ」とかぬかしやがってるんですよおいおいおいお前らやる気あるのか。。トラベル・ミステリーとしてもダメすぎです。
もちろんイタリア礼賛的な描写もあるんですが、旅行者あるあるリアリティ(味噌汁食べたい的な)じゃあるまいし、飽きたとか言わないで欲しいですよ、やっぱり。やっぱりアメリカ人って郷に入っても郷に従わないんですかね……(偏見)。現地の魅力をもっと伝えてくださいよエルキンズさん、献辞にあげられたイタリア人たち泣いてるよ。

というわけで、うん、まぁ、エルキンズはどっちかというと旧作つぶしていくほうが優先した方がよさげです。

書 名:葡萄園の骨(2012)
著 者:アーロン・エルキンズ
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ文庫 299-12
出版年:2014.01.25 1刷

評価★★☆☆☆
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