バン、バン! はい死んだ
『バン、バン! はい死んだ ミュリエル・スパーク傑作短篇集』ミュリエル・スパーク(河出書房新社)

突き抜けた意地の悪さが痛快な、イギリスのブラックユーモアの女王、秘蔵の傑作群。ミステリあり、スラップスティックありの多彩な味わいで贈る日本オリジナル短篇集。本邦初訳多数。(本書あらすじより)

さてやってまいりました、年に何回か訪れる、新刊の中でもちょっぴり外文要素を感じられなくもない純ミステリとは言い難い枠のコーナーです。この枠、全体的に65点くらいでなかなかこれってのがないのはなぜなんでしょう。あ、でも去年のロン・カリー・ジュニア『神は死んだ』は傑作でしたね。まぁそれはともかく。
スパークと言えば過去に何作か単行本で長編や短編集が刊行されていますが、軒並み絶版、値段の高騰すること山の如しというレア様です。私も欲しいです。もうニコラス・スパークスの名前を見るたびに「あっこれか?!」って興奮するのやめたいです。

「ポートペロー・ロード」(1958)
「遺言執行者」(1983)
「捨ててきた娘」(1957)
「警察なんか嫌い」(1963)
「首吊り判事」(1994)
「双子」(1954)
「ハーパーとウィルトン」(1953)
「鐘の音」(1995)
「バン、バン! はい死んだ」(1961)
「占い師」(1983)
「人生の秘密を知った青年」(2000)
「上がったり、下がったり」(1994)
「ミス・ピンカートンの啓示」(1955)
「黒い眼鏡」(1961)
「クリスマス遁走曲」(2000)

ごく普通の現実に奇想が入り込んだり、妙に現実味のある奇想が出て来たり、単純にひねくれてたりと、読みやすいけどクセのある短編集でした。ブラックユーモアの冴えるエゲレス的アイロニー、って感じです(適当)。面白いことは面白いんですけど、なーんか物足りないんですよね……どちらかと言えば長編を読んでみたいかも。

半分くらいの短編は犯罪小説的な要素(殺人とか詐欺とか)を取り入れた作品で、そこに幽霊とか幽霊とか変な要素が絡んでくる、というものです。なんとなくズレた展開・どう話が進むのか先行きの見えない不安さで読者を物語に引きずり込みます。読みやすいけど、分かりやすいとは限りません。そいいや「鐘の音」が、自分が大好きなジョン・D・マクドナルド「懐郷病のビュイック」に似ていてちょっとピンと来ました。というかこれだけ真っ当にミステリでした。

ただ個人的には犯罪小説要素のないものの方が楽しかったですね。小説が現実化する「ハーパーとウィルトン」、部屋に幽霊が出る「人生の秘密を知った青年」、恋愛小説「上がったり、下がったり」、ミニUFO「ミス・ピンカートンの啓示」、御伽話「クリスマス遁走曲」など。
いずれもあんまりひねくれてないユーモラスな”いい話”寄りで、この短編集の中ではそんなにブラックじゃない方なんですが、こういうものの方がやっぱり自分は好き。「ミス・ピンカートンの啓示」とか読んでる方が幸せになれるんですよわたしゃ。ミニUFOを目撃したというのに、いまどきハンドルとペダルが付いたミシンですよ!とかそういうことに突っ込みを入れているかわいいおばちゃんを見て爆笑したいんですよわたしゃ。

……というわけで、やっぱり個人的に決め手には欠ける作品集でした。好きな人は好きなんだろうな、きっと。

書 名:バン、バン! はい死んだ(1953~2000)
著 者:ミュリエル・スパーク
出版社:河出書房新社
出版年:2013.11.30 初版

評価★★★☆☆
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