模倣の殺意
『模倣の殺意』中町信(創元推理文庫)

7月7日午後7時、服毒死を遂げた新進作家、坂井正夫。その死は自殺として処理されるが、親しかった編集者の中田秋子は、彼の部屋で行きあわせた女性の存在が気になり、独自に調査を始める。一方、ルポライターの津久見伸助は、坂井の死を記事にするよう雑誌社から依頼され調べを進めるうちに盗作疑惑に直面し、確執のあった編集者を追及していく。著者が絶対の自信を持って仕掛ける超絶のトリック。デビュー長編『新人賞殺人事件』の改稿決定版!(本書あらすじより)

えーだいたい月イチで国内ミステリを読んでいくやつです。ここまで『消失!』『電氣人閒の虞』と来ました。そういうことです。
さて、大型書店が大展開したせいでなぜか大ヒットした中町信の『模倣の殺意』です。殺意シリーズでは『天啓の殺意』が一番面白いらしいですね。中町信の古書価もガンガン上がっております。
で、読んで思ったんですが……結局この手のトリックは始祖的だろうと昔の作品ではきついなぁ……と思いました。序盤中盤の退屈さ、驚きはするけど既視感があり盛り上がらないトリック、トリック実現のためのあの真相の無理矢理感(思い返せばそんなに悪くないけど読了時はぶん投げた)、など全体的に微妙。正直、それほどでもないと思います。

まずストーリーはあらすじの通りなんですが、事件に疑問を持った人たちが延々と容疑者に聞いて回る(お前ら面と向かってあんたが殺したんだろとか言うの失礼だぞ)という、ザ・量産型昭和本格(イメージ)みたいな感じで、どこの火サスだよっていう、はっきり言って楽しくはないやつです。内容もありますが、章の引きの感覚がなんか謎で、変に間延びしてしまってもいます。

どんでん返し自体はいいんですよ、この発表年を考えると。このくらいでも十分でしょう。ただ、そのトリックをどうやって成立させるのかな、と期待していたら、えーそんなストレートにやっちゃうの、ずるいっしょ、と言いたくなるような感じで、これだったら某先行作品のやり方の方が好きです。これがありなら何でもありじゃんね……現在ではここまで考えてないやり方は一周回って新しいのかもしれませんが。ちなみに解説で、このトリックは真新しくないけど国内ミステリでは最初のものだからすごいんだ、って書いてありますが、つまり海外含めると初ではないわけで、実際一つ読んだことあります、たしか。
なお、解説に詳しいですが、この『模倣の殺意』は『新人賞殺人事件』などの旧題バージョン(単行本や徳間文庫版がある)とは内容がいくぶん異なります。改稿されており、特にメイントリックの扱いが大きく変わっています。最初のバージョンもこれはこれで悪くはないんじゃないのかな。

というわけで結局パッとしない作品でしたね……。

書 名:模倣の殺意(1972)
著 者:中町信
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 Mな-1-1
出版年:2004.08.13 初版
     2005.01.07 5版

評価★★★☆☆
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://yossiworld.blog72.fc2.com/tb.php/1014-5106579d