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シャーロット・アームストロング名言2

2020-03

『陰謀の島』マイケル・イネス

 - 2020.03.31 Tue
イネス,マイクル
陰謀の島
『陰謀の島』マイケル・イネス(論創海外ミステリ)

ロンドン市内でルーシーという娘が行方不明になり、ハロゲイトの田舎町では馬車馬が盗まれ、ホーク・スクエアでは一軒家が丸ごと盗まれた。相次ぐ不可解な事件の捜査を担当する事になったアプルビイ警部は、事件の影に暗躍する魔女の存在を知り、盗まれた物が南米大陸に集められている事をつきとめた。秘密施設〈ハッピー・アイランド〉へ乗り込んだアプルビイは、そこで世界規模の陰謀が進行している事を知る……。(本書あらすじより)

最近せっせとブログを更新しているのはいいとして、あんまり褒めている本がないような……しかも今回もだから申し訳ないんですけど。
さてイネス。何やら『陰謀の島』は殊能将之が絶賛した変な話らしいと聞いてはいたのですが……えぇ、なんなんだこれは……ジョン・ブラックバーンとかピーター・ディキンスンっぽいというか……。
面白いか面白くないかで言えば、面白くなくはない、みたいな感じです(二択になっていない)。とりあえず、謎解きミステリではありません。強いて言うならジェイムズ・ボンドに近い……のか?(けどスパイ小説でもないし、戦時中とはいえ冒険小説風でもない) とにかくよく分からない、異色作です。

連続少女失踪事件、そして特に価値のない馬盗難事件の捜査が同時に進む序盤は、英国警察小説のルーツであるかのような渋めの展開でとても面白く読めます。ここには明確な解かれるべき謎がありますし、中間管理職らしいアプルビイの面倒な立場なんかも描かれます。読んでいて、デクスターとかヒルとかラウゼイに連なる雰囲気っぽいのをイネスから感じるのは初めてかも。
この二つの事件は、前者はロンドン警視庁のハドスピス、後者はアプルビイによって、それぞれ別々に調べが進んでいきます。この二つがどこかで結びつくんだろうと、読者は当然予測するわけですが、アプルビイのその気付き方があんまりにも強引で笑ってしまいました。王道のミステリを皮肉るかのようなやり方で、こういうのはめっちゃ好きです。

……とか考えていた自分が甘かったのです。以後の展開は、王道からずらしていく(登場人物すら自身でベタをネタにしていく)とか、そういう要素もあるにはありますが、そんなレベルではないのです。第二部以降の奇想としか言いようのない展開は、もう何でもあり。アプルビイがそもそも「警察官」という役回りですらありません。これ、一番近いのは、後のジェイムズ・ボンドの世界じゃないですか。

何が酷いって、世界中からオカルト的なものを集めて謎の島とか作っちゃってる黒幕的な人が出てくるんですが(どういうこと?)、最初の方はアプルビイが「こいつの目的は何だ、まさか〇〇で終わりってことはないだろう」とか考えていたのに、その〇〇で終わりってことですよ。落としどころが「こいつやべぇ」なんですよ。なのに、この『陰謀の島』という作品に漂う独特の空気感がとにかく異様で、客観的に淡々とヤバさが描かれるだけなんです。ツッコミ不在のボケだけのコントみたい。そんなぬるいもんじゃないけど。
悪役をやっつけるところすら、全く読者をはらはらさせません。なぜなら、作者が下手だからではなく、どうせこういう展開になるって読者も思っているでしょ、と作者とアプルビイが考えているし、そう考えていることを読者に隠そうともしないから。王道っぽさをネタにしすぎてメタになるとこうなるのかっていう。

とりあえず、読めます。面白くなくもないです。けど、つまらないと言えばつまらない。どう評価していいかもよく分かりません。個人的には、そういう作品でした。うーん、イネス、『ある詩人への挽歌』以外はそこまで合わないのかな……。

原 題:The Daffodil Affair (1942)
書 名:陰謀の島
著 者:マイケル・イネス Michael Innes
訳 者:福森典子
出版社:論創社
     論創海外ミステリ 244
出版年:2019.12.10 初版

評価★★★☆☆
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『正義の四人/ロンドン大包囲網』エドガー・ウォーレス

 - 2020.03.28 Sat
ウォーレス,エドガー
正義の四人/ロンドン大包囲網
『正義の四人/ロンドン大包囲網』エドガー・ウォーレス(Gem Collection)

法では裁けぬ悪人に鉄槌を下す四人の男たち。狙いを定めたのは英国外務大臣だった。ロンドン警視庁の威信をかけた包囲網に果敢に挑むが……最初のベストセラーとなったウォーレスの記念すべき第一作。ミステリ史に残る愛すべき古典的名作。(本書あらすじより)

『正義の四人』、『海外ミステリー事典』で知ってからかれこれ13年ずっと気になっていた本だったのですが、結局スリラーとしてしょぼすぎる作品で、読み終わってめちゃめちゃ悲しい気持ちになりました。1905年発表であることをどれだけ差っ引いても、微妙は微妙。この分だと、『真紅の輪』とかも面白くないのかな……。

正義の名のもとに、悪徳な政治家、事業家、権力者など、世界中の要人を次々と暗殺してきた四人組「正義の四人」。彼らの次なる標的は、英国外務大臣だった。「正義の四人」の予告を受けて、ロンドン警視庁はこの計画を阻止しようとするのだが……。

タイプとしては同時期(よりやや遅め)のルパンに近く、悪人が主人公、警察は敵という、鼠小僧的な義賊ものなわけですが(新聞が煽りまくりで「正義の四人」寄りなのもルパンっぽい)、まずこの「義賊もの」としての構図がぜんぜん上手く見せられていません。四人の掲げる正義がいまいちピンと来ませんし、「悪人」であるはずの外務大臣もそんなに悪人に見えないっていう(今でいう逃亡犯条例的なものを、社会主義者の引き渡しのために制定しようとしているのですが、それくらいで殺しても……感はあります)。むしろ暗殺を防ぐため警察がすごく頑張ってるなぁ、としか思えません。
大胆不敵(笑)な四人の作戦も本当に大したことがなく、暗殺のアイデアも(引っ張った割に)しょぼめ、それを阻止できない警察も超ザコい、という、何とも低レベルな暗殺劇。四人組が暗殺の邪魔になる一般人を普通に殺しちゃうのもマイナス点です。これやっちゃうと、ただのテロリストじゃねぇか……。

ところで、タイトルは「正義の四人」ですが、シリーズ1作目であるこの作品の冒頭で何が説明されるかと言うと、直近の事件で一人死んでしまって実は三人組になってしまったというのです。そのため、この作品はテリー(サイモン)なるスペイン人を暗殺に必要な知識を持っているからということでスカウトするところから始まるわけです。このテリーが、暗殺そのものに最初から最後まで全然乗り気じゃないですし、何なら他の三人ともケンカする始末。脅されて参加させられてる、という方が近いのです。英語も分からず、何にも事情を知らされていないテリーはただただ哀れ。
aga-searchによると、「『正義の四人』と言われるようにメンバーは四人ですが、その構成員については三人は全編を通じていつも同じですが、後の一人は各編違った人物を補足してその人物がどんな人間かを最後まで明かさないやり方を貫いてい」るんだそうです。おそらく2作目以降は、誰が四人目のメンバーなのか?という謎があるのかなぁと予想していますが、確かにそういう要素があった方が面白かろうとは思います。

でもまぁ、オチも酷いし、スリラーとしても盛り上がらないまま終わるし、マジで加点ポイントがありません。ルパン的に四人組をめっちゃ読者に寄せようとも、たぶんしていないし。ある意味シリーズがこの後どうなるかだけは気になるので、うん、ウィキペディアで読みます。

原 題:The Four Just Men (1905)
書 名:正義の四人/ロンドン大包囲網
著 者:エドガー・ウォーレス Edgar Wallace
訳 者:宮﨑ひとみ
出版社:長崎出版
     Gem Collection 7
出版年:2007.06.10 初版

評価★★☆☆☆

『ザ・チェーン 連鎖誘拐』エイドリアン・マッキンティ

 - 2020.03.25 Wed
マッキンティ,エイドリアン
ザ・チェーン 上 ザ・チェーン 下
『ザ・チェーン 連鎖誘拐(上下)』エイドリアン・マッキンティ(ハヤカワ・ミステリ文庫)

シングルマザーのレイチェルの娘が誘拐された。何者かから、身代金をビットコインで送金し、他人の子どもを誘拐しろと指示されるレイチェル。レイチェルが誘拐した子供の家族がまた身代金を払い、その家族がさらに別の子供を誘拐すれば、娘は生きて解放される。失敗すれば殺されてしまうというのだ。 謎の人物が仕組んだこの連鎖誘拐システム〈チェーン〉に組み込まれてしまったレイチェルは、無関係の子供の誘拐計画を試みることに……被害者から加害者へと変わってしまった彼女の運命は!?(本書上巻あらすじより)

『コールド・コールド・グラウンド』から始まる、北アイルランドの警察小説シリーズが近年話題となっているマッキンティですが、実は全然読んでいなくて……と思っていたら、ノンシリーズが出ました。しかもいただいちゃったので、よし、読んでみよう!と手に取ったら……うぎゃああ、これ、俺がめっちゃ苦手なやつじゃないですか。
面白いかつまらないかで言えば、正直面白いとは思うのです。ここまでイヤ~な誘拐ネタを思い付いたという点で強いし。ただもう、単純にメンタルが耐えられません。あと、後半の展開は正直微妙だと思うんだ……。

以下、感想は超簡潔に書きます。あんまりdisるのもイヤだし。

あらすじです。シングルマザーのレイチェルが娘を誘拐されます。誘拐犯からの電話で、レイチェルは身代金の支払いと共に、別の子供の誘拐を指示されます。なんと、その誘拐犯も、自分たちの子供を誘拐されており、レイチェルが指示を全うするまで子供が誘拐されたままだというのです。子を思う親の心理を利用し、この連鎖誘拐を行っている謎の人物とは何者なのでしょうか……?

とにかく序盤は、レイチェルが娘を誘拐され、そして自身も誘拐犯となってしまう、という話。そして下巻は、色々な要素から、真犯人を見つけ出そうとする話になっています。もちろん前半の方がメンタル的にきつい内容ですし、好み的にも全然合わないのですが、それでも(好み的に、より苦手なはずの)上巻の方が良かったように思えるのは何でなんでしょうね。下巻がアクション寄りになったからどうこうということでもなく、得体の知れなさがなくなって恐怖感が減ったからということでもなく……うーん分からん。

ただまぁ、とにかく個人的に苦手な要素が多すぎました。誘拐をさせられるレイチェルの心理描写がきっついとかもありますし、それに加えて本作の誘拐犯は、システム的に素人ばっかりなわけじゃないですか。つまり、ミスばっかりするんですよ。このミスの連鎖でハラハラさせてくるの、超苦手で……(実は一番どうかと思っているのが冒頭の警官云々のやつなんですよね。こんなシステム上手くいかなくない?っていう)。

ただまぁ、間違いなくジェットコースターエンタメ小説として完成されているとは思います。後半の出来云々も引っかかるとはいえ、やはり相性の問題だとは思うので、あらすじを見て面白そう!と感じるなら読んで損はしないのではないでしょうか。

原 題:The Chain (2019)
書 名:ザ・チェーン 連鎖誘拐(上下)
著 者:エイドリアン・マッキンティ Adrian McKinty
訳 者:鈴木恵
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ文庫 462-4,5
出版年:2020.02.25 1刷

評価★★☆☆☆

『ある醜聞(スキャンダル)』ベルトン・コッブ

 - 2020.03.22 Sun
コッブ,ベルトン
ある醜聞
『ある醜聞(スキャンダル)』ベルトン・コッブ(論創海外ミステリ)

非業の死を遂げたロンドン警視庁の女性職員。その背後には警察内部の醜聞が隠されていた……。事件を追うブライアン・アーミテージ警部補は真相を明らかにできるのか?(本書あらすじより)

これまで翻訳が『消えた犠牲』しかなかったベルトン・コッブの作品が、論創から出ました。てっきり作数の少ないクラシック作家かと思っていたのですが、最初のミステリ作品が1936年、そこから1971年に亡くなるまで、50作以上も発表していたんですね、ベルトン・コッブって。活動期間を考えると、カーと同時期なんだよなぁ。
で、『ある醜聞』ですが……全体的には面白かったと言えますし、200ページの長編と考えればまぁこんなもんで良いんじゃないでしょうか、という感じ。クラシック本格ミステリとしては、悪くない論創ではないでしょうか。

ロンドン警視庁のアーミテージ警部補は、週末の田舎町で、上司のバグショー警視が宿泊するホテルに彼の秘書が入っていくところを見かける。翌週、秘書が死体となって発見されるが、バグショーは週末のことを何も言わなかった。アーミテージは上司が何を隠しているのか暴こうとするが……。

主人公のアーミテージがやや暴走気味なところとか、終盤のツイストとか、最後の皮肉な結末とか、これ誰かの作風っぽいなぁと思ったら、あれなんですよ、バークリーですよ。これ、バークリーファンが好きなやつですよ、間違いない。
原題が『スコットランドヤードのスキャンダル』となっているように、ロンドン警視庁の刑事たちが後ろ暗いことを隠している話です。主要登場人物4人もみな刑事。主人公のアーミテージは警部補なので警視や部長刑事の間に挟まれる中間管理職としてもなかなか苦労人です。
結構一発ネタ寄りの作品なのに、ミスディレクションが露骨で容疑者も少ないため、割と真相は予想しやすいかもしれません。まぁでも、この短さならこういうネタでも許せるかな……。

主人公は名探偵でも名刑事でもなく、とにかく「上司は何かを隠しているに違いない!」と突っ走るだけな人で、一方で上司は終始堂々とした態度。さらに、主人公は上司の泊まっていたホテルに秘書を送り届けはしたものの、ホテルに入っていくところ自体は実は見ていないのです(ということに中盤気付くのがちょっと遅いんですが)。言ってしまえばパターンとしては、「(実際に殺人犯かはともかく)本当に上司が秘書と付き合っていた」と「主人公の勘違いだった」のどちらかしかないわけで、しかも主人公が全然迷わないので、謎解きミステリ的な転がし方としてはあんまり意外性が生まれにくいわけです。
という具合なので、大枠としてはあまりどんでん返しがないのですが、そこからもう一歩、読者への騙しがあるので、やはり出来は悪くはないでしょう。ただでもこれ、1969年の作品なんですよねー。1930〜40年代の黄金時代ならまだ分かりますが、1969年にしちゃあ……なんだろう、うっすい内容のような気がするのです。いや十分に面白いしそこそこ楽しみましたが。ちょっとミスディレクションをやりすぎなのかな。

というわけで、本書を読んだ結果、ベルトン・コッブに対する期待値が無にリセットされたので、『消えた犠牲』を読むまでは評価は保留とします。作者の死の二年前に書かれた『ある醜聞』とは異なり、『消えた犠牲』は1958年の作品なので、またちょっと作風が違うかもしれないですね。

原 題:Scandal at Scotland Yard (1969)
書 名:ある醜聞(スキャンダル)
著 者:ベルトン・コッブ Belton Cobb
訳 者:菱山美穂
出版社:論創社
     論創海外ミステリ 245
出版年:2019.12.25 初版

評価★★★★☆

『パリのアパルトマン』ギヨーム・ミュッソ

 - 2020.03.20 Fri
ミュッソ,ギヨーム
パリのアパルトマン
『パリのアパルトマン』ギヨーム・ミュッソ(集英社文庫)

クリスマス間近のパリ。急死した天才画家の家で偶然出会った一組の男女、元刑事のマデリンと人気劇作家のガスパールは、画家が死の直前に描いたとされる未発見の遺作三点を一緒に探しはじめる。その捜索はやがて、画家を襲った悲劇の謎を探る旅へと変わり――。絵に隠された秘密に導かれて突き進む二人を待ち受けていた、予想外の真相とは!? フランスNo.1作家が放つ話題の傑作ミステリー。(本書あらすじより)

『ブルックリンの少女』でミステリ界隈で急に話題になったミュッソですが(もともと作品は結構紹介されていたわけですしね)、引き続きミステリ的にかなり「強い」作品が登場しました。『ブルックリンの少女』と同じくグイグイ読ませる系の内容ですが、もっとまとまっているため、作品の完成度としてはより高くなっているのではないでしょうか。

仕事や休暇のつもりでパリを訪れたところ、管理人の不手際で同じアパルトマンに部屋を取ってしまい、最悪の出会い方をした元刑事の女性と劇作家の男性。しかし、その家が1年前に亡くなった天才画家ショーン・ローレンツのものであることを知った彼らは、ローレンツの行方不明の遺作を捜すため、彼の死について調べ始めるのだが……。

この読み方が合っているかは分かりませんが、読了後の率直な感想として、『パリのアパルトマン』はロマンスではなかったからこそ面白いんじゃなかろうか、と感じました。男と女が出会って、なんやかんやを経て、はいロマンス、という展開の方が絶対ベタだし、それはそれでもちろん面白いとは思います。ただ、この作品のみんな大好きな最後の展開は、ラブロマンス「ではない」からこそ映えるわけですよ。

さて、以前紹介された『ブルックリンの少女』は、数十ページごとに「これ別の作品になってない?」と思ってしまうような超スピード急展開つぎはぎミステリで、良い意味でも悪い意味でもとっ散らかっていたわけですが、今回はある程度作品としてまとまっている……ように見えます。例えば、前半は死亡した現代画家の失われた作品探しであり、かなり地味な捜査が描かれたり、とか。そして途中から、がらっと違う物語になっていくわけです。
次から次へと謎がテンポよく襲ってきた短編の連鎖型みたいな『ブルックリンの少女』とは異なり、『パリのアパルトマン』の謎の出し方は、一つの謎が出て、それをじっくり捜査し解決し、また次の謎が登場し……という具合なので、短編というよりは中編の連鎖のようです。個別の謎は100ページずつで1つ1つ解決され、最後に物語全体に関わるようなラスボス的な謎が現れる、という感じ。『ブルックリン』ほど軸はぶれていませんが、話がどんどん変わっていくのがこの作者の持ち味なんでしょうか。正直、このスタイルは結構好きです。

ご都合主義的であったり、偶然が多すぎたりはしますが、主人公二人は何かにとりつかれたかのように話を聞いて回り、着実に真実に向かって突進していきます。そして最後……いやぁ、この着地点、すごく良いんだよなぁ。個人的な思い入れからスタートする素人の「捜査」を経て、彼らが成長し、この結末にたどり着くわけです。最高。
捜査自体は地味ですし、過去の事件の再捜査なのでサスペンス感などもそこまでありませんが、次から次へと物語が別の方向に動いていくので、全く飽きさせません。読み終わって「面白かった!」と心から言える作品ではないでしょうか。集英社さん、次もまた良いのを出してくれるといいなぁ。というかむしろ、小学館文庫のミュッソってどれが面白いんでしょう。

原 題:Un appartement à Paris (2017)
書 名:パリのアパルトマン
著 者:ギヨーム・ミュッソ Guillaume Musso
訳 者:吉田恒雄
出版社:集英社
     集英社文庫 ミ-5-2
出版年:2019.11.25 1刷

評価★★★★☆

『残酷な夜』ジム・トンプスン

 - 2020.03.17 Tue
トンプスン,ジム
残酷な夜
『残酷な夜』ジム・トンプスン(扶桑社ミステリー)

肺を病む小柄な青年が、田舎町に現われた。寄宿した家のあるじは、被告として裁判をひかえ、暗黒街からの影におびえる毎日だ。胸に何かを秘めた青年は、下宿先の美しい妻に接近していく。おなじ屋根の下には、世話好きの老人と、足の悪い娘。青年は、見えない脅威に次第に追い詰められながら、ひそかに牙をとぐ。だが、事態は彼の予想をこえて転がりはじめた。計画の意外な結末と、そのあとに待つ、おそるべき闇の世界……鬼才トンプスンのベストとも称される、異形のノワール。(本書あらすじより)

うわっ、うわうわうわっ

ヤバい本を読んでしまいました。すごい。本当にすごい。この本の評価を★5つとしていますが、これは面白さよりも、読了後「ヤバい」とただただ思ったからです。『ポップ1280』なんかに興奮してる場合じゃねぇ。
『おれの中の殺し屋』とか『ポップ1280』とは完全に別系統で、先にこれらのスタンダード(?)を読んでからの方が良いかな、と思います。そうでないと、ヤバさが伝わらないと思うので。そうなんですけど、まぁとにかく良かったのでした。めっちゃ好き。

主人公カールは殺し屋であるとはいえ、そこまでダークサイドに落ちてはいない人間(トンプスンなのに)。むしろボスの命令と監視に苦悩し、誰が自分を見張っているか分からない中で、殺しを計画しなくてはならない、という不安感が常に前面に出ています。そんな彼が、殺しのターゲットのいる下宿先に大学生として住み込み、下宿先の二人の女に振り回される話です。

本来有能なはずのカールは、どこか今回の仕事では上手く行かず、客観的には「やめろ! それやめろ!」な行動がだんだん多くなってきます。ミスとかというより、とにかくカール自身が将来への不安などを抱えまくり、思うように行動を取れていないんですよね。どう考えたって味方に引き入れちゃいけない人間に殺し屋であることをバラしちゃったり、うっかり感情的に行動を取ってしまったり、なんてことになるわけですが、これも全部「いつもの仕事」だったらやっていないはずのミスで、カール自身がはっきりとそれを自覚しています。
その上で、この小説は、読者の気持ちが猛烈にカールを応援したくなるようになっているのです。序盤こそカールには冷酷感がありましたが、それでも読者はどんどんカールが心配になります。なぜなら、カールが常に不安の塊だから。カール自身がとにかく恐れているから。

周囲の人間のうち、誰が監視者なのか。気のいい、バイト先を紹介してくれるジジイは本当に無害なのか。この気の良さはただの田舎の人間特有のものなのか、それとも演技なのか。カールはボスにどれだけ信頼されていて、この殺しを終えた後無事でいられる保証があるのか。少なくとも誰が見張っているか分からない以上、ミスを重ねるわけにはいかない……みたいなメンタルの主人公。
そんな彼が怯えながらついに最後に……



あーーーーーーー



いや言えねぇですよ。言えませんってば。けどヤバいんですってこのラスト。マジどういうことなんだってばよ。主人公も読者も感情ぐっちゃぐちゃだよ。
この仕事は無事に終わるのかなぁ、最後死んじゃうかなぁ、なんてふわふわした気持ちで読んでいたのですが、いやー完全に油断していましたね。滝本誠さんの熱っぽく長い解説も、読了後の「あー! あー!」な読者の感情を1ミリも邪魔しなくて最高です。すごい。すごい本だこれは。

これから読む人に、「なるほど、ラストがすごい本なんだね!」みたいなテンションで挑まれると、いやそういうすごさではないんだ、何かを期待して読むものでもないんだ、と途端に言い訳したくもなるのですが、個人的にはなかなか得難い読後感であったと言って良いと思います。トンプスン、こういう本がまだ出てくるんだとしたら、やっぱり天才だよなぁ……。

原 題:Savage Night (1953)
書 名:残酷な夜
著 者:ジム・トンプスン Jim Thompson
訳 者:三川基好
出版社:扶桑社
     扶桑社ミステリー トー5-6
出版年:2007.04.30 1刷

評価★★★★★

『メグレ式捜査法』ジョルジュ・シムノン

 - 2020.03.14 Sat
シムノン,ジョルジュ
メグレ式捜査法
『メグレ式捜査法』ジョルジュ・シムノン(メグレ警視シリーズ)

ロンドン警視庁はメグレの評判を伝え聞いて、その捜査法を学ぶためにパイク刑事を研修に派遣してきた。メグレはパイクに一日中つきまとわれ、気づまりで仕方がない。折も折、南仏海岸、地中海に浮かぶ小島ポルクロール島で殺人事件が起こった。殺された男はその日暮らしのしがない漁師なので、およそこの殺人に結びつく動機など考えようがない。ただ事件の前夜、彼が、自分はメグレの友達だと自慢していたことから、地元の警察はメグレに何らかの関係ありと想定して、彼に捜査を要請してくる。メグレはパイクとともにポルクロール島に旅立つ……。(本書あらすじより)

ずいぶんと久々のメグレ。なんと2018年12月以来です。まぁ今現在45冊もシムノンを積んでいるので、どんどん読まないとヤバいんですけどね、ははっ(全然笑えない)。
さて、メグレ第3期の『メグレ式捜査法』なのですが……わーお、珍しく、ちゃんとハズレのメグレです。いっつも平均70点みたいなメグレシリーズとしてはなかなかないことかもしれません。ストーリー的な面白さでも、メグレ警視の魅力においても、いまいち見どころがないんです。設定としてはすごくシムノンらしさを出せそうな作品なだけに残念。

メグレ警視のもとに、スコットランドヤードからメグレの捜査法を学ぶためパイク刑事が派遣されてくる。パイクの人柄は良いものの、常に行動を共にしなければならなず、どう評価されているかが気になってしまい、やりにくさを覚えるメグレ。
そんな彼らが捜査に向かったのは、南仏のリゾート地ポルクロール島で起きた殺人事件だった。いつもならのびのびと島の住民と仲良くなりつつ捜査を行うメグレだが、パイク刑事に見られる中で、警視らしくばりばり指揮を取らねばならぬのかと悩むが……。

……という話なので、普段のメグレと異なり、そもそも容疑者たちの掘り下げがすごく浅く、人物描写も物足りないのです。主力容疑者として濃そうなメンバーが何人も出てくるものの、メグレとの関係が上手く描かれないので、いつもの面白さが全然ありません。
相変わらずシムノンは事件の発端を作るのが上手く、今回も「リゾートの島で、メグレが知り合いであると自慢した元犯罪者が翌日殺される」という、メグレ自身が絡みそうなものなのですが、こちらも上手く話に絡ませられず。殺された理由が結局しょぼい、くらいならいつものことですが、メグレの昔の知り合いが登場するのにメグレとの関係を上記の設定のせいで深め切れないところがダメなのです。
メグレが昔パリで世話をした女、ジネットとの意味深な関係も、表面的な複雑さで終わってしまっているせいで、全然面白くないのです。じゃあ余計な設定作らなきゃいいのに、みたいな感じ。また、やりようによってはシムノンの得意な名犯人小説になるところを、今回の犯人が「ケチな犯罪者」であることにメグレがキレて終わる、という形で落としどころを作ってしまったので、犯人まで物足りません。

何より、今回終始登場するゲストキャラクターである、「メグレの捜査法を学びに来た」パイク刑事を全然生かせていないのが問題です。読者の誰が考えたって、メグレには学ぶような捜査法はなく、むしろそのフワフワしたところが良さでしょ、みたいな終わり方になるしかないわけですよ。しかも、パイク刑事は本質的にはメグレと捜査の考え方が似ていそうなだけに、絶対そうなるべきなんです。
なのに、すごく良いキャラになりそうだったパイク刑事が中途半端で終わってしまい、結局南仏の空気が苦手なメグレが、見られながら捜査することにイライラして終わり、になってしまっているわけです。シムノンならもっと良い話に出来たはずなのに……。

なかなかメグレらしくない長編ですが、作者としてもなんとかしてバリエーションを増やしたかったのかな……と感じられます。そういう意味では第3期っぽいっちゃぽいんですが、残念ながら作品としては失敗かなーというところでしょう。

原 題:Mon ami Maigret (1949)
書 名:メグレ式捜査法
著 者:ジョルジュ・シムノン Georges Simenon
訳 者:谷亀利一
出版社:河出書房新社
     メグレ警視シリーズ 13
出版年:1977.07.25 初版

評価★★☆☆☆

『熊の皮』ジェイムズ・A・マクラフリン

 - 2020.03.11 Wed
マクラフリン,ジェイムズ・A
熊の皮
『熊の皮』ジェイムズ・A・マクラフリン(ハヤカワ・ミステリ)

アパラチア山脈の麓で自然保護管理の職を得たライスは、故郷から遠く離れ、穏やかな日々を送っていた。ところが、管理区域で胆嚢を切り取られた熊の死体が発見される。熊の内臓は闇市場で高値で取引されている。ライスは密猟者を追うが、地元民は非協力的で、前管理人で生物学者のサラを暴行した犯人もまだ見つかっていない。味方はサラと動物たちだけという孤立無援の状況で、さらに疎ましい過去の因縁――麻薬カルテルの暗殺者も迫りくる……アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞に輝く冒険ノワール登場!(本書あらすじより)

ブログのデザインを超マイナーチェンジしました。各記事のタイトルの下の日付の部分をちょっと見やすくしたりとか、あとカテゴリの「今年のベスト10」を上に持ってきたりとか。久々にhtmlいじるとワケわかんないですね。
さて、新刊のポケミスです。あらすじの「冒険ノワール」という部分にどんなもんだろうと思って読み始めたのですが……う、うーん、作者がもうちょっと読む気にさせてくれればいいのに……。
なんかこう、どこに面白さを感じながら読めばよいのか分かりませんでした。部分部分は楽しい(めっちゃトリップしているところとか)のに、総じて見るとすごく内容がないというか……ぶっちゃけつまんねぇというか……。

メキシコのマフィアから逃れて身分を偽り森林管理人となった男が、立入禁止区域内での違法な熊狩りを止めさせようとする話、なんですが、いま思い返すとたぶん要素詰め込みすぎで全部曖昧なままなのが微妙なのかもしれません。メインストーリーであるはずの熊部分の中途半端さがすごい。

具体的に、要素詰め込みすぎ問題として、
①熊の密猟:これがメインのはずなんだから、せめて誰が密猟者なのかとかそういうのをちゃんと探ってほしいんだよなぁ。
②カットバックで語られる過去のエピソード:ここが一番雑すぎで嫌。主人公がメキシコのマフィアに狙われることになった背景が語られますが、まー雑。最後の方とか特に雑。ちなみにここ数年で読んだ中で、麻薬を扱うマフィアのゆるふわ敵感No.1小説です。
③森林管理人の前任者であるサラとの関係性:サラが森林管理人をやめる理由となった暴行事件の犯人は誰なのか、という謎が追加されますが、終盤もはやこっちの方が中心になってしまっているせいで話がブレブレ。あとサラを話に関わらせるならちゃんと関わらせてほしいのです(それだけの関係を描いてほしいし、単なる足引っ張り要因にしてほしくないし)。

山と一体化した主人公ライスが、トリップ状態になったり、急にノワールの主人公らしくやることなすことやばくなってきたり(ここの裏付けを後から慌てて付け足したりもしないでほしい)、最終的に山と一体化した主人公によるガンアクションがあったり、の最後の方はちゃんと面白かったので、シンプルな冒険小説だったらもっと良いものを書ける作者なんだろうとは思います(あるいはガッツリノワールか。ゆるふわノワールじゃなくて)。ただこの作品をどれだけ評価できるかというと、詰め込んだ要素を「面白さ」まで持っていけていない気がするので、正直微妙。次作に期待しましょう(読まない気もするけど)。

原 題:Bearskin (2018)
書 名:熊の皮
著 者:ジェイムズ・A・マクラフリン James A. McLaughlin
訳 者:青木千鶴
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ 1949
出版年:2019.11.15 1刷

評価★★☆☆☆

『生物学探偵セオ・クレイ 森の捕食者』アンドリュー・メイン

 - 2020.03.07 Sat
メイン,アンドリュー
生物学探偵セオ・クレイ 森の捕食者
『生物学探偵セオ・クレイ 森の捕食者』アンドリュー・メイン(ハヤカワ・ミステリ文庫)

モンタナ山中での調査からモーテルに戻ってきた生物学者セオ・クレイは、突如警察に拘束された。かつての彼の教え子が、無残に切り刻まれた死体となって近隣で発見されたのだ。セオの嫌疑はすぐに晴れ、検死の結果、犯人は熊とされた。だがセオはその結論に納得せず、独自の調査を始めるのだった―カオスの中に秩序を見出す! 生物情報工学を駆使して事件を解決する天才教授セオ・クレイの活躍を描く、シリーズ第一弾。(本書あらすじより)

去年一部界隈でかなり話題になっていた新刊。天才学者が謎を解こうとするも、あまりに頭が良すぎて、逆に疑われてしまう……というあらすじを聞いて、合わなそうかなぁと遠慮していたのです。が、今年シリーズ第2作が出て、さらに評判が良かったので、まず1作目を読んでみたら……頭のおかしい本を読んでしまった、助けてくれ……。
最後の方の頭のおかしい展開とか、HM文庫じゃなくてNV文庫に近いじゃないですか、これ。『パインズ』かよ。

比較的倫理的なネジのゆるい生物情報工学の天才セオ・クレイが、教え子が殺された事件に関係していると疑われるも、犯人は熊であることが判明。しかしこれは連続殺人だと気付いたセオは、誰にも信じてもらえないまま、単身殺人犯を追う……的な話かと思ってたら、なんか途中から違うんですよ。

・犯人と疑われる ←分かる
・殺人だと主張するも信じてもらえない ←分かる
・専門家でもないくせに地図にピンとか指してたら連続殺人のパターンを見抜く ←フィクションだからまぁ分かる
・どんどん死体を見つけて警察に送りつける ←分からない

え? なんで途中からそうなっていくの?という当たり前の疑問を皆さん抱くでしょう。ほんとにねー、なんでなんですかねー、説明して欲しいですよねー、作者が頭おかしいんですかねー。

さて、生物情報工学者であるセオ・クレイが連続殺人犯を追うことができる理由は、彼が生物学のプロであり捕食者のパターンを見抜けるからと説明されています。すなわち、今回の殺人犯は、もはや人間ではなく、生態として息をするように殺人を続けているモンスターだから、セオ・クレイの専門領域にあるのです!……という展開になるの、強引にもほどがあるしシュールな笑いみを感じます。作者バカなの?
セオ・クレイが大学行くの諦めてからの後半とか、特にやばいのです。後半は10ページごとに違う作品を読んでいるのかってくらい場面が変わりまくり、最後の方はテンポ良く法を犯すセオ・クレイとむちゃくちゃなアクションとで、読んでいてめまいを起こしそうになります。雑にも程がある構成(ツッコミどころしかない)ですが、ここまで振り切っていると文句も出ないんだよなぁ。自分、めちゃくちゃな作品好きなので……。

主人公のセオ・クレイは、天才過ぎて自分の思考回路を説明できる前に直観で全て見抜いてしまう人なんでしょうが(だからすぐ警察に疑われる)、ひとまずこの作品ではまだまともな人ではあります(というか連続殺人犯のヤバさと比べると、相対評価でだいぶまともに見えます)。一応、前半だけならぎりぎりジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライムっぽいし。ただ、本作のラストではもはや普通に作品を続けられるような状況ではないので、この先どうなるのかにすごい興味があります。今年出た2作目もなるべくすぐ読んでみるつもり。

原 題:The Naturalist (2017)
書 名:生物学探偵セオ・クレイ 森の捕食者
著 者:アンドリュー・メイン Andrew Mayne
訳 者:唐木田みゆき
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ文庫 471-1
出版年:2019.04.25 1刷

評価★★★★☆

『魔力』トニイ・ヒラーマン

 - 2020.03.04 Wed
ヒラーマン,トニイ
魔力
『魔力』トニイ・ヒラーマン(ミステリアス・プレス文庫)

インディアン保留地で、3件の殺人と警官殺害未遂事件が連続して起こった。何のつながりも見えない4つの事件を結ぶものはナヴァホ族の呪いなのか? 呪術を嫌悪するリープホーン警部補と呪術師をめざすチー巡査——対照的な生き方をする2人のインディアン警官の活躍を描き、全米の熱い注目を集めるベストセラー作家の人気シリーズ。アンソニー賞受賞作。(本書あらすじより)

ヒラーマンを読むのは3作目ですが、ジム・チー巡査が登場する作品を読むのは初。で、読み終わって思うのですが、やっぱ『魔力』は面白かったなぁとじわじわ感じています。『祟り』はまぁちょっと微妙なところもあるので置いとくにしても、『死者の舞踏場』よりも面白かったんじゃないでしょうか(読んだのが6年以上前なのであやふやですけど)。

リープホーン警部補が今回捜査するのが、連続ナヴァホ殺人事件。明らかに面識のない三人の殺人に繋がりがないかと探っていたところ、今度は警官殺害未遂事件が発生。リープホーンは被害者であるジム・チー巡査に捜査協力を求め、真相を探り出そうとするが……。

ナヴァホ・本格ミステリとしての完成度がエグいんですよ。「魔法使い」「呪い」と言ったナヴァホの文化・風習が違和感なく真相に絡んでいて、かつそこにナヴァホでありながら呪術に否定的なリープホーン警部補(ベテラン)と比較的肯定的なチー巡査(若手)を配置しているため、異文化の説明と展開がめちゃうまいのです。
これまで別シリーズであったリープホーンとチーの初共演……となる作品でもあるのですが、この二人の全く仲良くならなそうな関係もすごく良いですよね。別にバディ物ではないので、二人ともバラバラに捜査し、たまに別部署の上司と部下として会話するくらいの関係。それぞれ優秀な二人が、着実に真相に近付いていく感じが捜査小説としても大変面白いです。

そもそもこのシリーズは「ナヴァホ・インディアン」という親しみのない世界を描いているため、スラスラ読めるものではない……という印象でしたが、今作は警官が銃撃されたり、ダブル主人公であることが上手く生かされていたりするせいで、割と読みやすくなっているのもグッド。ナヴァホと白人の対比、文化の違いなどが、説明臭くなく、小難しくもなく、そして物珍しさを押し付ける感じもなく、自然に説明されていきます。

そしてまた本格ミステリとしても謎解きが超楽しいんです。ミッシング・リンクがとにかくなかなか解けないのですが、真相がバチッとはまった瞬間の気持ちよさが見事。真相のある部分が巧妙なので、真犯人が分かりづらくなっているんですが、仕組みが分かった途端に全貌がちゃんと見えるというこの絶妙さ。
その真相がちゃんとナヴァホ絡みで、しかもそこまでの説明が丁寧だから、複雑な事件で、かつ読者が不案内な文化がベースになっていようが、すっと受け入れられてしまうんですよね。上手い。ただただ上手い。SFミステリ作家は参考にしてほしい……。

全く派手さはありませんが、単純に良い作品なのでおすすめです。そりゃアンソニー賞も取ります。このシリーズ、ちゃんと読み続けていきたいなー。

原 題:Skinwalkers (1986)
書 名:魔力
著 者:トニイ・ヒラーマン Tony Hillerman
訳 者:大庭忠男
出版社:早川書房
     ミステリアス・プレス文庫 22
出版年:1990.03.15 初版
     1992.12.31 3版

評価★★★★☆

『見習い警官殺し(上下)』レイフ・GW・ペーション

 - 2020.03.02 Mon
ペーション,レイフ・GW
見習い警官殺し 上 見習い警官殺し 下
『見習い警官殺し(上下)』レイフ・GW・ペーション(創元推理文庫)

被害者は、母親のマンションの部屋に滞在していた警察大学の女子学生。強姦されたうえ絞殺されていた。県警本部長は腕利き揃いの国家犯罪捜査局の殺人捜査特別班に応援を要請する。そこで派遣されたのは少々規格外のベックストレーム警部率いる捜査チーム。現地に入った彼らは早速捜査を開始する。CWA賞・ガラスの鍵賞など5冠に輝く『許されざる者』の著者の最新シリーズ。(本書上巻あらすじより)

ごめんなさい、今回は悪口多めです。いやもうさぁ、こんなに楽しみにしてたのにさぁ。
2018年に出たレイフ・GW・ペーション『許されざる者』は、それはそれは素晴らしい傑作でした。個人的2018年新刊ベスト1。引退した老元警官ヨハンソンが、怒涛の勢いで仲間を集めて犯人を追い求める、超絶カックイイ作品なのです。
一方今作は、ベックストレーム警部を主人公とする別シリーズ。これがまぁ、めちゃめちゃ歪なミステリなのです。地方で起きた警官見習いの女性殺人事件を解決するため、国家犯罪捜査局からベックストレーム警部をはじめとする一団が派遣され、県警と協力して事件解決を目指す……という話なのですが。

前半は「捜査」の面白さをあえて(?)描かず、ドーヴァーとフロストを混ぜ合わせたかのようなベックストレーム警部の活躍(笑)が描かれます。きちんとした真っ当な捜査を行わず、被害者に残されていた犯人のDNAを見つけ出すべく、ローラー作戦的に地域の全住民のDNAを採取しようと無茶苦茶をやりまくるベックストレーム警部の大活躍、というわけ。実はベックストレームがそこまで超無能というわけでもないのですが、彼の不快さで読ませようとしていることを考えると、まぁコメディとかユーモアミステリと言っていいような作品です。
後半はそのベックストレームの迷活躍のネタも切れ(たわけではないだろうけどこっちもいい加減飽きているので)、それ以外の刑事たちが打って変わって生き生きとし始めます。前半はベックストレーム視点のせいで無能っぽかった人たちも、後半になると急に有能になってきたり、とか。警察小説なのでもちろん色々な刑事が同時並行的に活躍していくわけですが、それにしても後半はベックストレーム視点が大きく減り、あれ主人公変わった?ってなくらい読み味が変わっています(っていうか主人公が変わります)。

後半は後半でこれぞ警察小説!なストーリーなので面白いですし、『許されざる者』の主人公ヨハンソンが思わぬ形で出演してめっちゃ良いところをさらっていくのもやっぱり楽しいは楽しいと思います(だからこそ上下巻の長さがピンと来ないわけですが。こんな長さいる?)。ところが、ラストの展開がどうにも納得がいかなくて……。
内容が良い、悪い、ではないのです。まず、ただのお笑いミステリだったはずのところに急に社会派要素がクローズアップされるラストとか、序盤からずっとどんでん返しがいかにもありそうだっのに全くなかったところとか、そういう雑な構成がすごく気持ち悪いのです。っていうか、まさに「雑なミステリ」ですよ、これは。

ただ、これはこれで、なんなそういう読み味の作品なのかなぁと、まぁ思えなくはないかもしれません(終盤の蛇足感すごかったけども)。でも一番納得がいかないのは、このベックストレーム警部が「シリーズ」になってしまったことなんですよ。そのせいで、前半と後半でベックストレーム警部の扱いに落差がこれだけあるのに、ちゃんと落ちきらないんです。すげぇもやっとします。読者がどれだけベックストレーム警部を嫌おうが、所詮こういう終わり方なんだぜ、と作者が読者にもやっと思わせたいのかな。これが公務員である警察のリアルなんだと言われればそりゃそうでしょうが、DNAを採取しまくる警察のアホ捜査を風刺していた癖に、急にリアルに冷められても……感はあります。

訳者後書きによると次もベックストレーム警部シリーズを訳すとのことですが、悪いけどもうこの警部に興味がわかないんだよなぁ。ヨハンソンシリーズ出してくださいよ……どういう事情かは分からないけどそっちを読みたいんだよ……。

原 題:Linda - som i Lindamordet (2005)
書 名:見習い警官殺し(上下)
著 者:レイフ・GW・ペーション Leif GW Persson
訳 者:久山葉子
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 Mヘ-19-2, 3
出版年:2020.01.24 初版

評価★★☆☆☆

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プロフィール

ヨッシー

Author:ヨッシー
クリスティ、デクスター、グライムズ、ディヴァインが好きな、ヨッシーことTYこと吉井富房を名乗る遅読の社会人3年目が、日々読み散らかした海外ミステリ(古典と現代が半々くらい)を紹介する趣味のブログです。ブログ開始から9年になりました。ちなみにブログ名は、某テンドーのカラフル怪獣とは全く関係ありません。
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