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シャーロット・アームストロング名言2

2019-12

『ドアは語る』M・R・ラインハート - 2019.12.29 Sun

ラインハート,M・R
ドアは語る
『ドアは語る』M・R・ラインハート(ハヤカワ・ミステリ)

あれほど巧妙に組み立てられた計画が、それが最後にドア一つ――錆びた真鍮のノブが付いているペンキ塗りの木製ドア――のために粉砕されようとは。事件後すでに幾月も過ぎ、その間、無数の手がそのノブに触れた。ドアそのものも塗り直してあった。それなのに無心のそのドアが謎を解き、悪魔のような狡猾な殺人犯を破滅させるのだった……。
ベル家の裏にある未開墾地を、青年を乗せた葦毛の馬が静かに進んでいく。と、出し抜けに、馬は猛然と後ずさりし何かに怯えている様子。脚もとの下水管には、数日前から行方不明になっていた看護婦セアラの死体が……。
アメリカのクリスティーと評されるラインハートが、スイートでロマンチックな雰囲気の中に神秘的なサスペンスを色濃く漂わせた堂々たる本格探偵小説(本書あらすじより)

いわゆるHIBK派、すなわち Had I But Known 〈もし知ってさえいたら〉派の始祖、ラインハートの中期の作品。ううううううん、これは評価がむっずかしい。

「私」ことエリザベス・ジェーン・ベルは、オールドミスの金持ちの老嬢。ほどほどの親戚づきあいや、たまに訪ねてくれる姪との会話に満足していた彼女だが、ある日不審者が家に侵入してきたことを皮切りに、不審な事件が相次ぐようになる。やがて家に住む看護師セアラが死体となって見つかり……。

1900年代にデビューしたアメリカ人長編ミステリ作家って貴重だよね、ってだけではない、きちんとした実力のある作家なのは間違いないと思います。感じの良いオールドミスが全てを見聞きするという制限のある一人称の中で(このおばちゃんの語りがまた悪くないんだよね)、とにかく事件を起こし続け(やや長すぎるけど)、フーダニットへの期待を高めさせ続け、かなりの数の登場人物が入り乱れる話をまとめ上げているのはすごいです。
何より登場人物たちがめちゃくちゃ生き生きとしている(語り手のオールドミスやつまようじ大好きな警部が特に良いんです。というか一族間の争い物として、一族をそれぞれ超絶魅力的に描けているのはなかなかに優秀)のは、クイーンとかヴァン・ダインとは一線を画していて、例えばE・D・ビガーズに近いのかも、と感じました。

「事件が終わった後にこの話を書きました!」感のある文章を延々と読まされるのは正直きつい(し長くなりがち)ですが、「もし知ってさえいたら」派の始祖としては申し分のない徹底っぷりでもあります。「あの時ああすれば良かったのに」的な後悔などはほとんどないので、予期していたほどはうっとうしくはないのですが、とはいえ「もし〜」だの「実はあのとき〜」だの「誰それがこの後死んでしまう」だのが連呼されていて正直うざいはうざいです。

ただ、一番残念なのは、ミステリとしての核の部分なのです。タイトルにもなっており、1ページ目から語り手が言っている、狡猾な殺人犯が数か月後に逮捕される決定的な手がかりである「ドア」云々の部分は、正直がっかり。というか、手がかりをめちゃくちゃ提示して、登場人物の行動を整理して、疑問リスト容疑者リストまで作っているのに、一番大事な手がかりが全部後出しなのはつらいなぁ……。

謎解きミステリをガッツリやろうという黄金時代味はあるのに、肝心なところがいろいろ大味なのは、1930年に発表された、けどデビューは黄金時代前であるラインハートの作品として、ある意味妥当なのかもしれません。でも正直『螺旋階段』は早く読んでみたいかも。それくらいには楽しめる作品でした。

原 題:The Door (1930)
書 名:ドアは語る
著 者:M・R・ラインハート Mary Roberts Rinehart
訳 者:村崎敏郎
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ 644
出版年:1961.07.15 初版
     1999.10.31 2版

評価★★★☆☆
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『「老いぼれ腰抜け」亭の純情』マーサ・グライムズ - 2019.12.26 Thu

グライムズ,マーサ
「老いぼれ腰抜け」亭の純情
『「老いぼれ腰抜け」亭の純情』マーサ・グライムズ(文春文庫)

警視ジュリーが恋のとりこになった。相手は美貌の未亡人だがどこか暗い影がある。そのカギは亡き夫の過去にあると見て、親友の独身貴族メルローズを湖水地方へ調査に派遣する。(本書あらすじより)

月一での再読を続けてついに11作目。出ました、ついに『「老いぼれ腰抜け」』亭の純情』です!
客観的に見て、良い点と悪い点が半々くらい……ではあるんですが、個人的に『「老いぼれ腰抜け」亭』の良さにはくらくらっと来てしまいます。陰鬱な雰囲気が前面に出てからの、シリーズの一つの到達点ではないでしょうか。

ジュリー警視が結婚を考えた相手が、自殺と思われる死を迎えた。彼女の一族の中で、この数年間で2件の自殺と2件の事故が起きていたことを知ったジュリーは、湖水地方の金持ち一家にまつわる死の謎を調べることになる。

ぶっちゃけ言うと、謎解きミステリとしては事件の真相はかなり厳しいのです。唐突さもあるし、説得力にもやや欠けるし、証拠はないし、容疑者の掘り下げも足りないし。それはもうふわっふわした謎解きなので、期待してはいけません。まぁ、そもそもこのシリーズに謎解きを期待しすぎて良かったことはないけれども……。

じゃあ何が良いのかって言ったら、この500ページの本全体に漂う雰囲気と、老人と、子供。これにつきます。
いやいや、毎回グライムズはそうじゃねぇか、と言われるとぐうの音も出ないのですが、でもその中でも良いんです。マジで良い。
失意のどん底にあるジュリー警視、周りに無関心で世俗離れした湖水地方の名家、老人ホームに住む強烈で最高なじいさんとばあさん、母の自殺を受け入れられない少年、母の死の真相を調べる下働きの少女。こういったものがとにかく全部素晴らしくて、500ページ全く飽きさせません。

そしてこの雰囲気を最後に彩るのが、(やや残念な)真相解明後の、あの見事なラストシーン。安易? 唐突? やりきれない? もちろんそういうご意見もありましょうが、俺はこれが好きなんです。少なくとも、このシリーズは、これをやっていいだけの積み上げがここまでにあると思うのです。

再読も残り2作となりましたが、この残り2作は、いわばジュリー警視たちがアメリカ(作者の国)に行く「アメリカ編」で、これがもう微妙にもほどがあった記憶しかないので、全然期待していません。再読して評価が変わると良いんだけど……。

原 題:The Old Contemptibles (1991)
書 名:「老いぼれ腰抜け」亭の純情
著 者:マーサ・グライムズ Martha Grimes
訳 者:山本俊子
出版社:文藝春秋
     文春文庫 ク-1-10
出版年:1993.12.10 1刷

評価★★★★★

『死体が転がりこんできた』ブレット・ハリデイ - 2019.12.22 Sun

ハリデイ,ブレット
死体が転がりこんできた
『死体が転がりこんできた』ブレット・ハリデイ(ハヤカワ・ミステリ文庫)

マイク・シェーンの事務所に血だるまの男が転がりこんできた。男はマイクのかつての友人ジムで、胸に弾丸をくらっていた。話す間もなくこと切れたジムの手には謎の紙片が握られていた。折も折、そこへ依頼人が現れた。ヘレンと名乗るその女は、昔ジムと組み離婚斡旋で稼いでいたという。驚くべきことに女の用件は、脱獄中の夫を殺してくれという殺人の依頼だった! 紙片に残る謎の文字、そしてジムとヘレンの出現の奇妙な符合は? マイアミの赤毛探偵シェーンは、友人の弔い合戦に立ち上がった! 好評のハードボイルド・シリーズ第二弾。(本書あらすじより)

かつて『37の短篇』で読んだブレット・ハリデイの「死刑前夜」が好きすぎて、んで買って、そのまま7年間放置していた作品。開始4ページでさっそく死体が転がりこんできたのですが、悲しいことに開始4ページでもうつまらなそう感があるという……。
うむむむむ。軽ハードボイルドって、今でも楽しめるものとキツいものに分かれるのだと思いますが、この作品に関してはがっつり後者であると言わざるを得ません。もうね、かなり厳しい。最初から最後までずっと厳しくて、割としんどかったです。

私立探偵シェーンの事務所に突如飛び込んできた男がそのまま死んでしまった。かつて私立探偵仲間だった男の死体を抱えたシェーンのもとに、夫殺害を依頼する女性が訪れる。果たしてシェーンが巻き込まれた事件の全貌とは?

とにかく、依頼人の女性クレアと、シェーンの妻であり探偵事務所の協力者であるフィリスがウザいのです。1942年という発表年を考慮しても、女性の描き方が無能すぎ。また戦時中の作品であることもあり、愛国心やらスパイやらが絡んだり絡まなかったりする部分も、悪い意味でややアメリカ色が強すぎ、という感じ。
事件自体も、複数の人間が物を取り合う系のごたごたが、ただごたこたしていて複雑なだけ。おまけにシェーンが有能というよりは強引さで捜査を進めているので、どうしても印象が悪くなります。最後の真相に驚かなかったとは言いませんが、それにしたってもっと上手く事件を見せられなかったかなぁ……。

色々感想を漁った感じ、どうも妻フィリスと死別してしまった後のシェーンの方がキャラクターが良さそうな気がするので、今度読むならむしろ中後期作でしょうか。同時代のアメリカだと、レックス・スタウトやE・S・ガードナー、クレイグ・ライスやフランク・グルーバーなんかがいるわけですが、それらと比べるとどうしても格落ち感は否めないかな、と思います。

原 題:The Corpse Came Calling (1942)
書 名:死体が転がりこんできた
著 者:ブレット・ハリデイ Brett Halliday
訳 者:平井イサク
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ文庫 65-2
出版年:1981.06.30 1刷

評価★★☆☆☆

蔵書目録 - 2019.12.18 Wed

日記
(2012.07.27に更新、267冊)
(さらに2012.10.28に更新、324冊)
(さらに2013.01.18に更新、384冊)
(さらに2013.03.03に更新、434冊)
(さらに2013.07.12に更新、484冊)
(さらに2013.10.14に更新、513冊)
(さらに2014.01.10に更新、558冊)
(さらに2014.05.06に更新、598冊)
(さらに2014.09.10に更新、628冊)
(さらに2014.12.15に更新、666冊)
(さらに2015.07.09に更新、696冊)
(さらに2015.10.13に更新、704冊)
(さらに2016.02.05に更新、711冊)
(さらに2016.05.02に更新、735冊)
(さらに2016.10.04に更新、775冊)
(さらに2017.02.13に更新、787冊)
(さらに2017.10.01に更新、834冊)
(さらに2018.03.11に更新、883冊)
(さらに2018.12.05に更新、933冊)
(さらに2019.07.05に更新、977冊)
(さらに2019.12.18に更新、1033冊)

今後も使うと思うので、ちょくちょく追加していく予定です。なお、ミステリ・SF限定となっております。
この中で、ぜひ感想が見たい!なんて本があればコメントでお知らせください。ちゃんとすぐに読みます。

追記に、著者名あいうえお順

【2019.07.06 ~ 2019.12.18の間の新規購入本】
今回の新規追加分、64冊です。5か月ぶりの更新。7冊しか減っていません。ちゃんと処分していかないと……ついに本棚に本が入りきらなくなったし……。
毎回書いている新規購入本、以下のように、書名・著者名・購入日・値段の順で書いています。で、今回見れば分かると思うんですが、めっちゃレアな本を100円で買った、みたいなパターンがあんまりなくて、レアな本をまぁまぁの値段で買う、みたいなパターンが増えてきています。量は買わなくなったから許されるかなって……あともう社会人だからね、しょうがないね。
一番嬉しかったのは、S・A・ステーマン『三人の中の一人』でしょうか(頂き物ですが。マジでありがとうございます!)。お金は出しましたが、『私のすべては一人の男』なんかもようやくゲット。均一の大当たりが『SS-GB』『マイクロチップの魔術師』あたり。次の狙い目は『犯罪王モリアーティの生還』かなぁ。

971 悪党パーカー/エンジェル リチャード・スターク 2019.06.30 108
972 悪党パーカー/ターゲット リチャード・スターク 2019.06.30 108
973 悪党パーカー/地獄の分け前 リチャード・スターク 2019.06.30 108
974 さらば、愛しき鉤爪 エリック・ガルシア 2019.07.14 108
975 女魔術師 ボワロ&ナルスジャック 2019.07.15 300
976 チャタトン偽書 ピーター・アクロイド 2019.07.15 500
977 ベルガード館の殺人 ケイト・ロス 2019.07.24 108
978 ギデオンの夜 J・J・マリック 2019.07.26 800
979 SS-GB 上 レン・デイトン 2019.07.28 108
980 SS-GB 下 レン・デイトン 2019.07.28 108
981 マックス・カラドスの事件簿 アーネスト・ブラマ 2019.07.28 108
982 失われた男 ジム・トンプスン 2019.07.31 240
983 グリフターズ ジム・トンプスン 2019.07.31 240
984 ゲッタウェイ ジム・トンプソン 2019.07.31 240
985 呪われた穴 ニコラス・ブレイク 2019.08.07 1944
986 メグレの退職旅行 ジョルジュ・シムノン 2019.08.07 729
987 眠れる犬 ディック・ロクティ 2019.08.08 100
988 警察官に聞け アントニイ・バークリイ他 2019.08.08 552
989 呪い ボワロ&ナルスジャック 2019.08.13 300
990 眠りと死は兄弟 ピーター・ディキンスン 2019.08.13 900
991 離愁 ジョルジュ・シムノン 2019.08.15 108
992 死者の都会 ハーバート・リーバーマン 2019.08.19 400
993 メグレ式捜査法 ジョルジュ・シムノン 2019.08.19 500
994 メグレと政府高官 ジョルジュ・シムノン 2019.08.19 500
995 メグレ夫人のいない夜 ジョルジュ・シムノン 2019.08.19 500
996 メグレと妻を寝とられた男 ジョルジュ・シムノン 2019.08.19 500
997 メグレの打明け話 ジョルジュ・シムノン 2019.08.19 500
998 メグレと田舎教師 ジョルジュ・シムノン 2019.08.19 500
999 終止符 ホーカン・ネッセル 2019.08.20 400
1000 白衣の女 上 ウィルキー・コリンズ 2019.08.28 821
1001 白衣の女 中 ウィルキー・コリンズ 2019.08.28 929
1002 白衣の女 下 ウィルキー・コリンズ 2019.08.28 929
1003 危険なやつら チャールズ・ウィルフォード 2019.08.30 108
1004 マイアミ・ポリス 部長刑事奮闘す チャールズ・ウィルフォード 2019.08.30 108
1005 ジョン・D・マクドナルド短編傑作集2 牡豹の仕掛けた罠 ジョン・D・マクドナルド 2019.08.30 108
1006 これが密室だ! ロバート・エイディー+森英俊編 2019.08.31 684
1007 紅蓮館の殺人 阿津川辰海 2019.09.25 939
1008 雪が白いとき、かつそのときに限り 陸秋槎 2019.10.02 0
1009 BAR酔虎伝 酒口風太郎 2019.10.05 300
1010 バトラー弁護に立つ ジョン・ディクスン・カー 2019.10.06 300
1011 ディケンズ朗読短篇選集(Ⅱ) チャールズ・ディケンズ 2019.10.14 500
1012 時は準宝石の螺旋のように サミュエル・R・ディレーニ 2019.10.15 450
1013 金融街にもぐら一匹 マイケル・ギルバート 2019.10.15 200
1014 猫と話しませんか? パトリシア・モイーズ 2019.10.27 600
1015 悪魔の機械 K・W・ジーター 2019.10.27 250
1016 私のすべては一人の男 ボアロー、ナルスジャック 2019.10.27 2000
1017 雨の午後の降霊術 マーク・マクシェーン 2019.10.27 400
1018 ストリッパー カーター・ブラウン 2019.10.27 80
1019 ネプチューンの影 フレッド・ヴァルガス 2019.10.31 1540
1020 ギデオン警視の一カ月 J・J・マリック 2019.11.02 1000
1021 ギデオン警視の危ない橋 J・J・マリック 2019.11.02 1000
1022 リトモア少年誘拐 ヘンリー・ウェイド 2019.11.02 500
1023 マイクロチップの魔術師 ヴァーナー・ヴィンジ 2019.11.04 100
1024 海から来た男 イネス 2019.11.04 100
1025 悪党パーカー 死神が見ている リチャード・スターク 2019.11.17 1500
1026 チャイナ・ホワイト トニー・ケンリック 2019.11.17 100
1027 三人の中の一人 S・A・ステーマン 2019.11.17 0
1028 復讐の序章 ジャック・ヴァンス 2019.11.30 150
1029 殺戮機械 ジャック・ヴァンス 2019.11.30 200
1030 アクロイドを殺したのはだれか ピエール・バイヤール 2019.12.08 0
1031 チューインガムとスパゲッティ シャルル・エクスブライヤ 2019.12.08 0
1032 影絵のように ジョルジュ・シムノン 2019.12.08 0
1033 グルーバー 殺しの名曲5連弾 フランク・グルーバー 2019.12.15 300
1034 取るに足りない殺人 ジム・トンプスン 2019.12.15 400

『ネプチューンの影』フレッド・ヴァルガス - 2019.12.17 Tue

ヴァルガス,フレッド
ネプチューンの影
『ネプチューンの影』フレッド・ヴァルガス(創元推理文庫)

ネプチューンの三叉槍(トリダン)で刺されたような傷がある死体。30年前アダムスベルグの弟が恋人殺しの嫌疑で追われた事件も同じ手口だった。それ以前に五件、その後に二件同様の殺人があった。謎の多いこの事件で弟を失ったアダムスベルグは、彼の無実を証明すべく自らが犯人と確信する男を追い続けていた。アダムスベルグの人生を大きく変えた不可解な事件の驚愕の真相。CWA賞受賞作。(本書あらすじより)

本作が出るまでの過程については、前の記事に詳しく書いたので省略。
さて、この『ネプチューンの影』、やっと読めたぜ!というだけでも嬉しいのに、内容も超楽しい作品でした。これだよ! アダムスベルグ署長シリーズが楽しいのは、これなんだよ!

三叉の槍で殺し、近くに記憶をなくした人物を置くことで罪を着せる……ということを何度も繰り返してきた男。アダムスベルグ署長は、弟がこの事件に巻き込まれた過去を持つため執拗に連続殺人犯を追い続けていたが、犯人と目される判事が既に死亡していることもあり、この連続殺人の存在自体を周囲からは信じてもらえていない。
ある日、12年ぶりに連続殺人犯が活動を再開したことにアダムスベルグは気付いたが、やはり犯人の尻尾をつかめない。ところがカナダへの科学捜査研修に行った後に、ついにアダムスベルグ自身がこの連続殺人に巻き込まれてしまうことに……。

アダムスベルグのぶっ飛んだ空想と天才的直感型推理が、連続殺人鬼を相手にすることで抜群の輝きを見せます。また、今回は署長自身が追い込まれてしまう中で、署長を手伝うサポートメンバーがとにかく楽しいのです。部下ダングラールの博学さ、初登場の部下ルタンクールの有能感、そして最強の老嬢たちの神がかった活躍……キャラクターの面白さで言えば、今までで一番なのではないでしょうか。
序盤、アダムスベルグ一行がカナダに科学捜査の研修で行くのですが、カナダ警察のメンバーもとにかく個性的。めっちゃ個性的なキャラクターたちがエグいぐらい個性的な事件を追う、というヴァルガスの持ち味が存分に生かされていて、読んていて多幸感しかありません。ちなみにカナダ人の訛りの訳も、色々な意味ですんごいのでぜひ読んでもらいたい……。

このシリーズは、事件自体はシリアスなのに描き方がファンタジックなので、オフビートというか、現実離れしたふわふわ感を伴うというなかなか特異な読み心地。しかも今回はこのふわふわ感に、アダムスベルグ自身がピンチに陥るという点が上手く合わさっており、リーダビリティの面でも万全の体制。ミステリのストーリーとしても500ページとにかく楽しいのです。
亡霊のような犯人が最初からある程度分かっている中で、中盤まで防戦一方だったアダムスベルグが攻撃に転じ、ひたすら手がかりを追いまくる後半は、意外性こそないものの圧倒的に面白いです。『裏返しの男』は、ややうーんな感じでしたが、今回は『青チョークの男』レベルの(もしかしたら超える)面白さなのではないでしょうか。

世間的には三聖人シリーズの方が人気ですが、自分は断然こちらの方がフランス・ミステリに求めるものが詰まっている気がして好きなんですよね。あと6作はシリーズ未訳作があるはずなので、頼むから東京創元社さん、引き続き頑張っていただきたい……いくらでも買うので……。

原 題:Sous les vents de Neptune (2004)
書 名:ネプチューンの影
書 名:フレッド・ヴァルガス Fred Vargas
訳 者:田中千春
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 Mウ-12-6
出版年:2019.10.31 初版

評価★★★★★

『ネプチューンの影』フレッド・ヴァルガス……が出るまで - 2019.12.14 Sat

ヴァルガス,フレッド
ネプチューンの影
『ネプチューンの影』フレッド・ヴァルガス(創元推理文庫)

ネプチューンの三叉槍(トリダン)で刺されたような傷がある死体。30年前アダムスベルグの弟が恋人殺しの嫌疑で追われた事件も同じ手口だった。それ以前に五件、その後に二件同様の殺人があった。謎の多いこの事件で弟を失ったアダムスベルグは、彼の無実を証明すべく自らが犯人と確信する男を追い続けていた。アダムスベルグの人生を大きく変えた不可解な事件の驚愕の真相。CWA賞受賞作。(本書あらすじより)

今日の記事は長いです。皆さん、諦めてください。なぜなら、
喜べ! ついにフレッド・ヴァルガスが出たぞ!


思い返せばほぼ7年前、2013年1月1日、元日の東京創元社の新刊予告で、フレッド・ヴァルガスの次なる翻訳作品が『汚れた手』であることが発表されました。タイトル的に、これはインターナショナル・ダガー賞を受賞した、アダムスベルグ警視シリーズの作品に違いない!(仏題とは違うけど英題がこんな感じだし!) 2012年1月にはアダムスベルグ警視シリーズ第2作『裏返しの男』、2012年8月には〈三聖人〉シリーズ第3作にして最終作『彼の個人的な運命』が出たばかり。2013年にもヴァルガスが読める!と我々(ヴァルガスファンは)期待に胸を膨らませたわけです。

ところが2013年、ヴァルガスは刊行されませんでした。まぁまぁ、東京創元社の元日ラインナップに載った作品が、その年に出ないことなんてざら。おそらく2014年には出るだろうと思っていると、案の定2014年1月1日の予告で『Sous les vents de Neptune』というタイトルが出ました。ふむふむ、まだ邦題は未定ということね。分かる分かる。頑張ってくれ。

しかしながら2014年も音沙汰なし。ここから我々ヴァルガスファンにはつらい、つらい、予告暗黒時代が始まります。すなわち、

2015年1月1日:『ポセイドンの爪痕』
2016年1月1日:『ポセイドンの爪痕』
2017年1月1日:『ポセイドンの爪痕』

何も変わっていないじゃないか!!!!!


停滞する一方のヴァルガス予告に悶え苦しんでいた我々に、ようやく感知できる動きが現れたのが2018年元日。この年の予告では、

2018年1月1日:『ネプチューンの爪痕』

となっていました。
なるほど、邦題がついに決まってきた感があります。これは間違いなく今年出る! 待ったぞ何年も! 2018年だったんだな! いいんだ出るなら! ちょっと(5年)くらい待たされても!!



2019年1月1日:『ネプチューンの爪痕』


……出ないじゃないか!
なんなんだこの予告タイトルマイナーチェンジは!! こちらをやきもきさせようと微妙に動きを見せたりしないでくれ!



しかし!!! 2019年は違ったのです!
時は2019年2月13日。東京創元社の新刊ラインナップ説明会で、ついにフレッド・ヴァルガスが今年出るということが告げられました。やったぜ! いぇい! ついに出る! いつも元日予告だけだけど、今年は違う!
すわ、わたくし、あえて6年間未読のままにしていた『論理は右手に』を読み、いつでも来いや!とばかりに待ち構えます。ひと月が経ち、ふた月が経ち……あれ、全然出ないな、どうなってるんだ……。




2019年8月16日(東京創元社のメールマガジン「2019年10月の近刊案内」):『ネプチューンの影』(仮)



いぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!!!!!!!!!!!!!!!!
(脳内のサンシャイン池崎)



かくして、2019年10月31日、ついに我々は、フレッド・ヴァルガス『ネプチューンの影』を手にすることとなったわけです!

(長すぎるので続く。感想は次の記事で。『ネプチューンの影』はね、すごく面白かったんですよ!!!!)

『メインテーマは殺人』アンソニー・ホロヴィッツ - 2019.12.14 Sat

ホロヴィッツ,アンソニー
メインテーマは殺人
『メインテーマは殺人』アンソニー・ホロヴィッツ(創元推理文庫)

自らの葬儀の手配をしたまさにその日、資産家の老婦人は絞殺された。彼女は、自分が殺されると知っていたのか? 作家のわたし、ホロヴィッツはドラマの脚本執筆で知りあった元刑事ホーソーンから、この奇妙な事件を捜査する自分を本にしないかと誘われる……。自らをワトスン役に配した、謎解きの魅力全開の犯人当てミステリ! 7冠制覇の『カササギ殺人事件』に匹敵する傑作!(本書あらすじより)

去年、『カササギ殺人事件』で一世を風靡した、アンソニー・ホロヴィッツの作品。今年もどうやらランキングを席巻しそうな感じですが……どうもあんまりはまらない。
いっろいろ考えた結果、たぶんこれは構造・構成の上手さ・面白さで感心するべき本なんだと思います。『カササギ』下巻と同じで、読んでいてそこまで面白くない(面白さとして評価すべき部分の面白さが自分には分からない)ところが、はまらなかった理由なのかなぁ、などというどうでもいい結論になりました。つらい。

主人公は作家アンソニー・ホロヴィッツ本人。元刑事ホーソーンから、現在事件を手掛けている自分と共に行動し、俺のことを本にしてほしいと頼まれる。失礼で無礼で傲慢な男ホーソーンに付き従い、いやいや調べ始めたホロヴィッツの前に現れた事件は、自らの葬儀の手配をした日に絞殺された女性の事件だった……。

ワトソン役(あるいは書き手)が前面に出るタイプのミステリ自体は結構好きなので、主人公ホロヴィッツがやたらとぶーたれたり、書き上げた第一章を探偵役ホーソーンからダメ出しされたり、みたいなメタっぽいところは好きではあります。あと、ホロヴィッツが映画タンタンの脚本をスピルバーグとピーター・ジャクソンに依頼されるシーンとかも最高。これ実話なの?
その他にもこの作品の構成の上手さというのは、まぁとにかく色々と多岐にわたっているんですが、そこだけでは個人的には物足りないのです。そうなると、本格ミステリ・謎解き部分での評価、ということに自分はなるんですが、こっちもこっちで難しくて。

自分の葬儀の依頼をした女性がその日に殺されるという発端、意外な犯人と動機、きちんと張り巡らされた伏線、と、要素としては申し分ないし、これを黄金時代のミステリとして読んだら多分普通に満足していると思います。
でもこの作品は、着々と捜査を進めるわけではないわけです。助手と探偵の対立やら、メタっぽい部分やら、そしてそこにも伏線があったりやらで、こう、なんだ、集中できなかったのかもしれません。ただ、好みとかおいておいて、「そこにも伏線がある」というのは紛れもなく構成の上手さの部分なので、だからダメとも言えなくて。でもなぁ……面白くはないんだよなぁ……。

ってなわけでなんか、ちゃんと楽しめてなくてすみません……みたいな気持ちしかありません。もっと、何でも楽しめる心と、何でも言語化できる力が欲しいと思います(皮肉じゃなくて本気で)。

原 題:The Word Is Murder (2017)
書 名:メインテーマは殺人
著 者:アンソニー・ホロヴィッツ Anthony Horowitz
訳 者:山田蘭
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 Mホ-15-3
出版年:2019.09.27 初版

評価★★★☆☆

『紅蓮館の殺人』阿津川辰海 - 2019.12.05 Thu

国内ミステリ
紅蓮館の殺人
『紅蓮館の殺人』阿津川辰海(講談社タイガ)

山中に隠棲した文豪に会うため、高校の合宿を抜け出した僕と友人の葛城は、落雷による山火事に遭遇。救助を待つうち、館に住むつばさと仲良くなる。だが翌朝、吊り天井で圧死した彼女が発見された。これは事故か、殺人か。葛城は真相を推理しようとするが、住人や他の避難者は脱出を優先するべきだと語り――。タイムリミットは35時間。生存と真実、選ぶべきはどっちだ。(本書あらすじより)

後輩であるため、唯一毎年読んでいる(というか毎年唯一読んでいる)国内ミステリ作家、阿津川辰海の、文庫書き下ろし作品です。今までで一番話題になっている(=売れている)ようで何より。日本人はやっぱり館が好きなんだねっていう。
さて、1作目、2作目は「名探偵」の在り方の追及&特殊設定ミステリ、という路線でしたが、今作は特殊設定を捨て、「名探偵」ミステリとして完全に仕上げてきた作品となっています。トリックなどなどは前作の方が好きですが(というか特殊設定部分と相まって「強い」というか)、物語そのもの、そしてミステリとしての構造自体はこちらの方が好き。名探偵小説として……とかおいておいて、単純に読み物、推理小説として抜群に面白い作品ではないでしょうか。

高校生でありながら名探偵である葛城と、友人である助手の田所。高校の勉強合宿を抜け出した2人は、隠居した大物ミステリ作家財田雄山が住むという館を目指して山を登り始めた。偶然山火事が発生したせいで、2人は仕掛けだらけ、怪しい住人だらけの財田雄山の屋敷に閉じ込められることになるが……。

山火事の山頂の館、すなわち閉鎖的な空間に閉じ込められ外部と連絡が取れなくなった……という設定を生かしきっているという印象です。館の住人、偶然の訪問客たちの中で、殺人だけでなく様々な事件が勃発し、主人公たちは謎を解きつつ何とか館の脱出ルートを探さなくてはならなくなります。
孤立した場では、もちろんクリスティーお得意のアイデンティティの偽装がさく裂するわけですが、さらに登場人物それぞれが各自の思惑で勝手な行動を取るせいで、事件がとにかく複雑になっていきます。個人的に、『ナイルに死す』みたいな、本筋以外の枝葉てんこ盛り・犯人じゃない人の行動てんこ盛りみたいなミステリが大大大好きなんですよ。次々と謎が暴かれていくシーンの快感がえぐいのです。
手がかりがバラまかれているというより、推理の時に初めて「えっ、そんなことが起きてたの?」となるような遡りタイプのミステリなので、意図していないところでの謎解きがあるのが楽しいんですよね。じゃあ謎解きまでがつまらないかと言えば、殺人と脱出ルート探しという二本柱があるおかげで、物語がきちんと進むので全くそんなこともありません。

そこに、「かつて名探偵だったが今は謎を解くのをやめてしまった」という、いわば高校生探偵葛城から見れば先達にあたるような(元)名探偵を配置しているのがまた見事。新旧名探偵の対立に、しっかり新旧の殺人を絡ませているので、物語の構造的にやたらと(良い意味で)無駄がないのです。無駄がないのにキツキツじゃないあたり、1作目からの成長を感じます。個人的に今回のエピローグはいらない派(というか欲しくない派)ですが、名探偵小説としてのまとめ方も良いのではないでしょうか。

というわけで、普通に完成度が高いミステリを楽しく読めた、という感じ。もしこれをシリーズにするなら、続きもやはり読んでみたいと思えます。謎解き・本格ミステリがお好きな方、ぜひぜひご一読を。

原 題:紅蓮館の殺人 (2019)
著 者:阿津川辰海
出版社:講談社
     講談社タイガ ア-I-01
出版年:2019.09.18 1刷

評価★★★★☆

『黄』雷鈞 - 2019.12.01 Sun

雷鈞
黄
『黄』雷鈞(文藝春秋)

中国の孤児院で育ち、富裕なドイツ人夫婦の養子となった盲目の青年、阿大ことベンヤミン。中国で六歳の少年が木の枝で両目をくり抜かれる凄惨な“男児眼球摘出事件”が発生。ベンヤミンは被害者の少年を力づけ、同時に事件の真相を暴くべく、お目付け役のインターポール捜査員・温幼蝶とともに中華文明発祥の地・黄土高原へと旅立った――。第4回噶瑪蘭(カバラン)島田荘司推理小説賞受賞。(本書あらすじより)

何が嬉しいって、島田荘子推理小説大賞が、またちゃんと単行本として刊行されるようになったってことですよ。第3回受賞作の『ぼくは漫画大王』『逆向誘拐』は、ほら、あのなんかよく分からない版型だったじゃないですか(しかもクラウドファンディング)。第1回の『虚擬街頭漂流記』、第2回の『世界を売った男』のように、またきちんと出たというのは嬉しい限り。これも華文ミステリが以前よりも普及したおかげ……なのでしょうか。
さて、今回もごりっごりの、島荘大賞らしい、日本の新本格らしい本格ミステリ。正直言って、あんまり嫌いになれない(むしろまぁまぁ好き)な自分がいます。第3回(『漫画大王』、『逆向誘拐』)よりも、第1回(『虚擬街頭』)、第2回(『世界を売った男』)寄りというか。今年の海外本格ミステリの中では大きな収穫ではないでしょうか。

あらすじは省略。上記のあらすじが一番簡潔にまとまっています。
というわけで、主人公は盲目、しかも彼の一人称という時点で、何らかのそれを生かしたトリックが出てくるんだろうなぁ(そしてアレ系統かなぁ)と予想はしていたわけですが、これが実にきれいに決まっているのです。何というか、主人公の驚きと気付きがちゃんと物語全体に結び付けられているところに好感を持てます。作り物っぽい不自然さも、そのおかげで許せるというか。似た系統のトリックは海外ミステリの中でも何作か思いつきますが、それをかなり巧妙にやっているように思います。
ちなみに本書の冒頭で、「この小説には一つ叙述トリックが含まれている。ご注意を。」という注意書きがあります。読み終わってみると……叙述トリックという言葉の意味を正確に理解していれば、なるほど、そういうことか!となるのではないでしょうか。ここらへんも、地味に上手いし楽しいところ。

無理があるんだけど、無理がなく、シリアスにもなりすぎず、けど内容は(社会的に)シビア。主人公の自分探しの旅と推理がきちんと決着するところがすごく良いのです。270ページでこじんまりとまとまった良作。今年の華文ミステリの中では一番のおすすめです。

原 題:黃 (2015)
書 名:黄(コウ)
著 者:雷鈞(らいきん)
訳 者:稲村文吾
出版社:文藝春秋
出版年:2019.07.25 1刷

評価★★★★☆

『11月に去りし者』ルー・バーニー - 2019.12.01 Sun

バーニー,ルー
11月に去りし者
『11月に去りし者』ルー・バーニー(ハーパーBOOKS)

1963年11月、ニューオーリンズ。暗黒街で生きる男ギドリーは、ケネディ大統領暗殺の報に嫌な予感を覚える。数日前に依頼された仕事はこの暗殺絡みに違いない。ならば次に死ぬのは自分だ、と。仇敵を頼って西へ向かう道中、夫から逃れてきた訳ありの母娘と出会ったギドリーは家族連れを装いともに旅するようになる。だが組織が放った殺し屋はすぐそこに迫っていた――MWA賞受賞作家の話題作。(本書あらすじより)

以前一部で話題になった『ガットショット・ストレート』のルー・バーニーが、再び翻訳されました。あれ読んだの、大学4年(1回目)の時だから、もう5年も経つんですね……。
そして読んでみたら……うぉぉぉぉめっちゃ良いぃぃぃぃぃぃぃ。ほんっとうに良い。2019年度のハメット賞、アンソニー賞長編賞、バリー賞長編賞、マカヴィティ賞長編賞を獲っちゃったらしいですね、この作品。実にめでたい。個人的にも、今年イチ押しの傑作です。

ケネディ大統領暗殺にアメリカ中が悲嘆にくれている、1963年11月。暗殺の数日後、暗黒街の組織の幹部であるギドリーは、組織からある命令を受けた。ダラスにある車を処分しろというのだ。ケネディ大統領暗殺との関連に気付き、この仕事を終えたら自分も消されるのではないかと危惧したギドリーは、組織から逃れて西に逃げようとするが……。

追うものと追われるもののクライム・ロード・ノベル。非情さしかない犯罪者たちの世界で、追う側にも追われる側にも偶然の出会いが訪れることで、それはもう感傷的でドラマチックな、でも非情な世界が作り出されます。登場人物たちから醸し出される人間臭さと、小説ならではのタフさのバランスが見事なのです。
ギドリーはバトルタイプというよりは、頭を使うタイプ。逃走の途中、とある母子と出会ったギドリーは、彼らと疑似家族的な関係を作ることで組織の目を騙そうとします。一方、追っ手である殺し屋バローネも、道案内として黒人の少年と行動を共にすることに。それぞれのこの出会いが何をもたらすのか……そりゃね、人情的に良い話になることくらいね、分かってましたよ。非情な犯罪者が出会いによって変わったりするやつでしょ、知ってたけどもさ……こういう展開になるとは思わなかったし、犯罪小説としてカンペキなストーリーなんだよなぁ……。
あとは、端役が生きている、ということをすごく感じました。保安官、ウェイトレス、自動車整備士など、それぞれが魅力的であるからこそ、それぞれとの出会いに意味が生まれるのです。もちろん、メインのキャラクターたちがそれを上回る魅力を持っているからこそなんですが(というか出会いのおかげで、より魅力的になっています)。これこそロード・ノベルの醍醐味。

さて、「組織」に狙われ、逃げようとする……という物語で一番気になるのが、どう終わらせるか、という点。そんな簡単に逃げられるわけもないし、簡単に殺されてしまっても意味がないわけで。さぁどうするのかと思いきや……うひゃあ、これもすごい。主人公の数々の出会いの後に、物語全体がエンディングに貢献するようなこの終わらせ方は、一つの理想型ではないでしょうか。人生は素晴らしい! そういうことです。

『ガットショット・ストレート』のような軽妙さはないけど、個人的にはむしろこっちの方が好き。今年はロード・ノベルの傑作が多いな……ぜひぜひ読んでいただきたい作品です。

原 題:November Road (2018)
書 名:11月に去りし者
著 者:ルー・バーニー Lou Berney
訳 者:加賀山卓朗
出版社:ハーパーコリンズ・ ジャパン
     ハーパーBOOKS Mハ-5-1
出版年:2019.09.20 1刷

評価★★★★★

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Author:ヨッシー
クリスティ、デクスター、グライムズ、ディヴァインが好きな、ヨッシーことTYこと吉井富房を名乗る遅読の社会人3年目が、日々読み散らかした海外ミステリ(古典と現代が半々くらい)を紹介する趣味のブログです。ブログ開始から9年になりました。ちなみにブログ名は、某テンドーのカラフル怪獣とは全く関係ありません。
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