『悔恨の日』発売

2014-05

『黒のクイーン』アンドレアス・グルーバー - 2014.05.31 Sat

黒のクイーン
『黒のクイーン』アンドレアス・グルーバー(創元推理文庫)

険調査専門探偵ホガートは顧客からある依頼を受けた。プラハの展覧会に貸し出した絵画が焼失、調査に派遣した絵画専門の調査員は行方不明になった。調査員の安否と保険詐欺のことを調べて欲しいというのだ。プラハに飛んだホガートは、そこで猟奇連続殺人事件に巻きこまれる。首と手を切りおとしビロードにくるんだ死体の謎。『夏を殺す少女』で衝撃のデビューを飾った、オーストリア・ミステリの名手が仕掛ける巧妙な罠とは?(本書あらすじより)

去年読んだ『夏を殺す少女』が予想以上に面白かったこともあり、グルーバーさんは今期待の新人なのです、自分的に(新人じゃないけど)。話の展開はベッタベタなんですが、どうもこの人は謎解きのツボというのを分かっているフシがあって、情報の出し方とかが上手いのです。あとベッタベタなだけあってストーリーがまず普通に面白いし。年末ベストなんかでは活躍しそうなタイプですが。

というわけで今年も出てくれましたよグルーバーさん、去年訳者の酒寄さんの紹介を聞いてからずっと楽しみにしていたのです。だってあなた、ちょっとネタバレちっくだけど言っちゃいますけどね、なんとプラハをチェス盤に見立てて犯人は毎月一日に死体を置くわけですよ! なんでだよ! 古典本格でもない現代ミステリだからどうせロジカルなアレとかじゃなくてしょうもない理由しかないくせに! でも熱いよ、熱いよグルーバーさん!
と期待して読んだら、やっぱグルーバーは面白いな、と無事再認識しました。大したことないサスペンスなんですけどね、今回も。でも読者を惹きつける謎の提示から解決まで一気に持っていくエンタメっぷりが見事です。重厚さも綿密さもないけど、こういうストレートな面白さの作品は積極的に評価したいです、わたし。

絵画消失を調査していた女性探偵1の失踪を調べにプラハに来たウィーンの探偵は、プラハを騒がす毎月一日に首を切断して死体を放棄する連続無差別殺人を調査する女性探偵2に出会う。彼を邪魔するプラハを牛耳る暗黒街のボスの登場。突然命を狙われた2人(ウィーンの探偵と女性探偵2)。果たして真相は……とてんこ盛り。350ページしかないのに。いいぞいいぞ。おまけにさっき言った見立てとかなにとかもうとにかく詰め込んでラストは殺人犯と対峙してドンパチやるんですよ(鉄壁死亡フラグ「俺に任せて、お前らは先に行け」まで登場)。うーん、グルーバーさん、なんてベタが好きなんだ。

正直なところ、ベタが好きなだけあって展開は予定調和の域をはみ出るものではないし、色々詰め込んだ割にプロットはとっちらかってます。けど、シンプルなだましを入れて来るあたりはさすがだし、何よりこの立て続けの事件だけで引っ張っていこうという姿勢に好感が持てるじゃないですか。
傑作なんてものじゃないし、年間ベストに載ることも絶対ないし、どこか飛び抜けて優れた部分があるってわけでもないんですが、こういうエンタメが自分にはちょうどいいし、読んでいて楽しいんですよね。グルーバーの翻訳が続くことを期待してここは褒めまくっておきますよ……評価は星4つだけどな!

書 名:黒のクイーン(2007)
著 者:アンドレアス・グルーバー
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 Mク-19-2
出版年:2014.01.31 初版

評価★★★★☆
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『模倣の殺意』中町信 - 2014.05.26 Mon

模倣の殺意
『模倣の殺意』中町信(創元推理文庫)

7月7日午後7時、服毒死を遂げた新進作家、坂井正夫。その死は自殺として処理されるが、親しかった編集者の中田秋子は、彼の部屋で行きあわせた女性の存在が気になり、独自に調査を始める。一方、ルポライターの津久見伸助は、坂井の死を記事にするよう雑誌社から依頼され調べを進めるうちに盗作疑惑に直面し、確執のあった編集者を追及していく。著者が絶対の自信を持って仕掛ける超絶のトリック。デビュー長編『新人賞殺人事件』の改稿決定版!(本書あらすじより)

えーだいたい月イチで国内ミステリを読んでいくやつです。ここまで『消失!』『電氣人閒の虞』と来ました。そういうことです。
さて、大型書店が大展開したせいでなぜか大ヒットした中町信の『模倣の殺意』です。殺意シリーズでは『天啓の殺意』が一番面白いらしいですね。中町信の古書価もガンガン上がっております。
で、読んで思ったんですが……結局この手のトリックは始祖的だろうと昔の作品ではきついなぁ……と思いました。序盤中盤の退屈さ、驚きはするけど既視感があり盛り上がらないトリック、トリック実現のためのあの真相の無理矢理感(思い返せばそんなに悪くないけど読了時はぶん投げた)、など全体的に微妙。正直、それほどでもないと思います。

まずストーリーはあらすじの通りなんですが、事件に疑問を持った人たちが延々と容疑者に聞いて回る(お前ら面と向かってあんたが殺したんだろとか言うの失礼だぞ)という、ザ・量産型昭和本格(イメージ)みたいな感じで、どこの火サスだよっていう、はっきり言って楽しくはないやつです。内容もありますが、章の引きの感覚がなんか謎で、変に間延びしてしまってもいます。

どんでん返し自体はいいんですよ、この発表年を考えると。このくらいでも十分でしょう。ただ、そのトリックをどうやって成立させるのかな、と期待していたら、えーそんなストレートにやっちゃうの、ずるいっしょ、と言いたくなるような感じで、これだったら某先行作品のやり方の方が好きです。これがありなら何でもありじゃんね……現在ではここまで考えてないやり方は一周回って新しいのかもしれませんが。ちなみに解説で、このトリックは真新しくないけど国内ミステリでは最初のものだからすごいんだ、って書いてありますが、つまり海外含めると初ではないわけで、実際一つ読んだことあります、たしか。
なお、解説に詳しいですが、この『模倣の殺意』は『新人賞殺人事件』などの旧題バージョン(単行本や徳間文庫版がある)とは内容がいくぶん異なります。改稿されており、特にメイントリックの扱いが大きく変わっています。最初のバージョンもこれはこれで悪くはないんじゃないのかな。

というわけで結局パッとしない作品でしたね……。

書 名:模倣の殺意(1972)
著 者:中町信
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 Mな-1-1
出版年:2004.08.13 初版
     2005.01.07 5版

評価★★★☆☆

『金曜日ラビは寝坊した』ハリイ・ケメルマン - 2014.05.20 Tue

金曜日ラビは寝坊した
『金曜日ラビは寝坊した』ハリイ・ケメルマン(ハヤカワ・ミステリ文庫)

新任の若いラビ、デイヴィッド・スモールの評判はかんばしくなかった。無頓着な服装と理屈っぽい説教に、教会の古い信者たちは眉をひそめていた。 そんな時、教会の庭に置いてあったラビの車のそばで女の絞殺死体が発見された。手がかりはラビの車に残された女のバッグだけ。苦境に立ったラビは、驚くべき論理性に貫かれた推理を駆使して反撃を開始した。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞に輝くラビ・シリーズ第一弾。(本書あらすじより)

「ラビが主人公で宗教臭くて読みにくそう」「と思いきや全くそんなことはない」という前評判を聞いて臨んだら、ミステリとユダヤ教社会の合わせバランスが実に適度な読みやすく良質な本格ミステリでした。ちゃんと長編書けるんじゃないですかケメルマンさん。このシリーズが絶版なのはもったいないですよ。

まず宗教面ですが、ユダヤ教における司祭的ポジションであるラビとはなんぞやということは作品中でおいおい語られ、ユダヤ教の理念や社会を特に押し付けがましくなく読ませていくのはさすがです。この作品に関してはラビが中心というだけで、ユダヤ教自体はあんまり事件とは関係ないんですけどね(被害者ユダヤ人じゃないし)。ところどころで語られる宗教説明も楽しく読めます。ユダヤ教のよい入門書かもしれません(というかケメルマンは『ラビとの対話』なんていうこのシリーズのキャラクターによるユダヤ教解説書なんてものも書いてます)。

さて事件です。教会前で死体が見つかり、ラビが容疑者として浮上……という導入から濡れ衣晴らし奔走系かと思いきや、深刻に疑われるのは序盤だけです。良かった良かった。とはいえラビが捜査に乗り出す動機付けをかなりしっかりと描いている部分には感心。学者肌の新任ラビとかいらねぇよとなるラビ解雇問題と事件の絡み方も安易ではなく上手いです。
本格ミステリとしては地方都市(?)住人まぐわい系で英国物っぽさを感じます。犯人は意外でも何でもないですけどね。ただ、そんな無理に証拠作らなくてもいいだろってとこまで伏線張ってくるあたりに『九マイル』根性が垣間見えます。古き良き本格としては良作でしょう。

というわけで、かなり楽しめました。このシリーズは二作目の『土曜日』が本格としてよく出来てるとか、『火曜日』『水曜日』が面白いとか色々聞くので、順番に読んでいきたいところです。というかまず『日曜日』と『月曜日』の文庫が欲しいです。だれか買ってください。

書 名:金曜日ラビは寝坊した(1964)
著 者:ハリイ・ケメルマン
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ文庫 19-1
出版年:1976.04.30 初版

評価★★★★☆

『あなたに不利な証拠として』ローリー・リン・ドラモンド - 2014.05.17 Sat

あなたに不利な証拠として
『あなたに不利な証拠として』ローリー・リン・ドラモンド(ハヤカワ・ミステリ)

警官志望のキャシーが助けを求める女性のもとに赴いた時、その胸にはナイフが突き刺さっていた。彼女はレイプ未遂犯の仕業だと主張するが、刑事は彼女の自作自演と断定した。だが6年後、事件は新たな展開を見せる。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀短篇賞を受賞した「傷痕」をはじめ、一人の男を射殺した巡査の苦悩を切々と描く「完全」など、5人の女性警官を主人公にした魂を揺さぶる10篇を収録。大反響を呼んだ傑作集。 (文庫版あらすじより)

あらゆるブックオフにこのポケミスがあることから言ってもいかにこいつが売れたかが分かるってもんです。
連作短編集です。目次を見れば分かりますが、短編ごとに主人公が異なり、10編計5人の女性警察官が主人公となります。そうして、女性警察官の生き様を色々な角度から描いているわけです。
作者が警察官だった経験を活かして書いているので基本的にリアルな話が多いのですが、最後の方の話だけ少し非現実的な趣がある短編が登場します。そんでもってこちらの方が面白いんですよね……ただ、特に飛びぬけた何かを感じることなく読み終わってしまった、というのが正直なところ。

女性警官特有の(?)心情やなんかを毎話うまく取り込んでおり、それぞれ妙に読後感の重い短編となっています。被害者との向き合い方、夫を警察官に持つこと、銃の扱い、とかそういう。どれもそれなりに面白いんですが、ただ全然読んでいて残らないんです。伝えようとする熱意は感じるんですが、作家としての力量が足りていないのかもしれないとちょっと思いました。
ラスト2話だけ非常にフィクションっぽい物語で、警官が集まって死者を弔ったり、主人公から現実から逃走したりとストーリーが面白いし読ませます。ただそうなると、そこまでで読まされたリアルなものがありきたりすぎるように思えてしまって。個人的には警官とかとりあえずおいておいて、ドラモンドさんの一から作った創作を読んでみたいかなと思いました(第2作のタイトルまで巻末解説では書かれていますが、本国でも刊行されていません、どうしたんでしょう)。

個人的には全体的に少々魅力に欠ける短編集でしたが、例えば女性が読むのと男性が読むのではまた感じ方が違ったりとかするかもしれませんし、まぁあれだけ売れたからには何かはあるんだと思うですけどね(適当な感想)。
ところで、この突き放した簡潔で読みやすい文体とか、雰囲気とか、最終話で異国行っちゃうとことか、めちゃくちゃ売れたところとか、いろいろとシーラッハ『犯罪』とダブって見えますが、このへんから海外小説の国内でのヒット条件が見えたりしませんかね、しませんね。

書 名:あなたに不利な証拠として(2004)
著 者:ローリー・リン・ドラモンド
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ 1783
出版年:2006.02.15 初版
     2006.04.20 5版

評価★★★☆☆

『ブラック・ダリア』ジェイムズ・エルロイ - 2014.05.12 Mon

ブラック・ダリア
『ブラック・ダリア』ジェイムズ・エルロイ(文春文庫)

1947年1月15日、ロス市内の空地で若い女性の惨殺死体が発見された。スターの座に憧れて都会に引き寄せられた女性を待つ、ひとつの回答だった。漆黒の髪にいつも黒ずくめのドレス、だれもが知っていて、だれも知らない女。いつしか事件は〈ブラック・ダリア事件〉と呼ばれるようになった――。“ロス暗黒史”4部作の、その1。(本書あらすじより)

さてついに出ましたよノワールの大家エルロイが。当然未読作家。さぞやエグい話が来るだろうと大いに期待していたのですよ。
ざっくりと展開をまとめると、途中までは警官が主人公のハードボイルドで、主人公が(一瞬だけ)常軌を逸する終盤を経てボイルドに戻り妙にすっきりとした終わり方をする、という感じです。悪徳警官を描いた話としては面白いんですが、案外パンチが弱いです。何より長いです。いや長いのは構いませんけど、それに見合うだけのストーリーが欲しいのです。

ブラック・ダリアと呼ばれる娼婦が殺され(これは実在の事件)、ブライチャート刑事は大掛かりすぎる捜査やマスコミの騒ぎに疑問を感じつつ、真相を追う、というストーリー。
ノワールエルロイと聞いて構えていただけに、ブラック・ダリア殺人事件が終始、ある種非常にオーソドックスなハードボイルドっぽい物語だったことが意外っちゃあ意外です(真相とか特に)。まぁハードボイルドが正義の主人公なら、ノワールはその裏、なんてよく言いますが。でも主人公が結構まともで、どこかこう不安定さが物足りません。

殺人事件によって踊らされる人々を描く群像劇としての面白さは堪能しました。一娼婦の死が多くの人生を狂わすことになるわけですよ。事件によって引き起こされる人間の行動の数々が絶妙に絡み合って一つの大きな物語を作りあげます。こういうところがプロット力の見せ所なのかな。
ただ、長さを費やして多くの登場人物を動かしたわりに全員を上手く見せられなかったかなとも思います。1940年代のLA描写も、もっと強烈な方が話を引っ張れるんじゃないかなぁ。物語の渦に読者を引き込むには至らなかった、という感じ(あくまで個人的な感想)。あとなんとなくロスマクとか後期ディケンズっぽいなと思いました。

というわけでそんなに楽しめなかったかな……。この4部作は、4作目の『ホワイト・ジャズ』が圧倒的に評判が良いですが、これを読む前には2作目、3作目を読まないといけないらしいのです(1作目のこれはあんまり関係ないらしい)。うーん読むのかな……まぁいずれ読みます。

書 名:ブラック・ダリア(1987)
著 者:ジェイムズ・エルロイ
出版社:文藝春秋
    文春文庫 エ-4-1
出版年:1994.03.10 1刷
    2007.02.15 11刷

評価★★★☆☆

『ボーン・コレクター』ジェフリー・ディーヴァー - 2014.05.08 Thu

ボーン・コレクター 上 ボーン・コレクター 下
『ボーン・コレクター』ジェフリー・ディーヴァー(文春文庫)

ケネディ国際空港からタクシーに乗った出張帰りの男女が忽然と消えた。やがて生き埋めにされた男が発見されたが、地面に突き出た薬指の肉はすっかり削ぎ落とされ、女物の指輪が光っていた…女はどこに!? NY市警は科学捜査専門家リンカーン・ライムに協力を要請する。彼は四肢麻痺でベッドから一歩も動けないのだが……。(本書あらすじより)

さーて、ここから文春文庫ミステリチャレンジスタートです!
……のつもりだったんですが、色々あって数冊で中断してしまいました。なんて適当なんでしょう……。まぁ読まずに終わったクックとかゴダードも今年中には読むはずですので。

さて、初リンカーン・ライムですよ。シリーズ第一作。ディーヴァーの長編はノンシリーズの『追撃の森』だけ読んでいます。
ディーヴァーといえばどんでん返しとよく聞きますが、この頃はまだそれほどでもなかったのでしょうか。こう落とせば驚くよね、という感じ。終盤よりも中盤までのボーン・コレクターとの知恵比べの方が普通に楽しく、終盤は、まぁ、そうですか、という程度だったかなと。

ボンコレ(略した)が拉致した被害者が発見されるたびに次の被害者の居場所を示す隠されたヒントが見つかり……というサスペンスで、「鑑識」の凄さを見せ付けられます。わずかな証拠から犯人に一歩一歩迫っていく組み立ては非常に上手いです。ちゃんと犯人にたどり着ける、ってのがよく出来ているんですよ。科学捜査のおしごと小説としても楽しめます。
合間にFBIとの管轄争いとか(俺が一番嫌いな展開)、四肢麻痺となったリンカーン・ライムとサックス巡査の物語が挿入されるのですが、うーんこれぞアメリカ発エンタメだなぁという感じです。犯人の行う拷問とかグロめの死体とかもそう(でもこのへんは合衆国読者に媚びてる感じがして正直微妙です)。

さて、こういうタイプのどんでん返しのミステリを、自分は勝手に「てってれー型」と呼んでいます。具体的に言うと、「○○は実は○○ではなくて××でしたー!」「な、なんだってー? そういやあの時こうだったしあれはああだったのか!!!」みたいな感じで読者を驚かせに来るやつです。そりゃあ驚くでしょ、っていう。最近のサスペンスに非常に多いのですが、自分はあんまり好きではないんですよね。
(余談ですが、こういうのを本格ミステリに入れていいのか……となると微妙です。本格ミステリ系読者からするとなんだか取って付けたというか、伏線を付け足しで説明しているだけでただひっくり返しただけというか、まぁそう思ってしまうようなアレです。)
だったのでどんでん返し自体はわりかしどうでもいいんです、本書に関しては。えーえー驚きましたとも。

ただとりあえず中盤までは何だかんだ読んでいるあいだは問答無用で面白いし、こういうグイグイ系サスペンスもたまにはいいものだなぁと思ったので、もっと評判の良い次作もなるべく早く読もうと思いました。次作はグロくないらしいので。それが一番大事です、いやマジで。
ちなみにこれ、自ら捜査の出来ない天才とその手足となって現場を動き回る女性警察官、という設定は『羊たちの沈黙』を意識しているんでしょう(ついこの間読んだ本を偉そうに引き合いに出す)。それよりも『ボーン・コレクター』がネロ・ウルフ賞を受賞しているあたりが個人的にはツボです。

書 名:ボーン・コレクター(1997)
著 者:ジェフリー・ディーヴァー
出版社:文藝春秋
    文春文庫 テ-11-3,4
     上巻 2003.05.10 1刷
        2007.12.05 3刷
     下巻 2003.05.10 1刷

評価★★★★☆

『電氣人閒の虞』詠坂雄二 - 2014.05.04 Sun

電氣人間の虞
『電氣人閒の虞』詠坂雄二(光文社)

「電気人間って知ってる?」一部の地域で根強く語られている奇怪な都市伝説。真相に近付く者は次々に死んでいく。語ると現れ、人の思考を読むという電気人間は存在する!?ライターの柵馬朋康もまた謎の解明に乗り出すが、複数の仮説を拒絶する怪異は、彼を出口の見えない困惑の迷宮に誘う――。ミステリか、ホラーか。ジャンルの枠を軽妙に超越する鮮烈の問題作!(文庫版あらすじより)

だいたい月イチで国内ミステリを読んでいこう企画です。ちなみに読む本の選定はワセダミステリクラブのさる人に一任されているので大変偏りの激しいものとなっていますが(今回もそうだし)、まぁそのへんはご愛嬌ということで。

さて、いきなりの詠坂雄二なのですが……ダメですね……俺には本格愛と教養が足りません……。
溢れる本格愛から生まれた作品であるということを偏愛者2名から熱く語られないとこの本の良さというか本質が分からないような自分に溢れる本格愛はないし、そしてそれではこの本はそこそこストーリーが面白いホラーミステリ、に留まってしまうのでダメなのです。

都市伝説をベースにした連続殺人というストーリーが結構楽しいので、いろいろ考えなくても大丈夫っちゃあ大丈夫なんですけどね。でもそれでは不十分なんですよ、やっぱり。読書メーターの感想を読むと、褒めている人でも方向が2つに分かれているし、大半の人は普通に面白い、くらいの感想なようです。
なぜそれでは不十分なのかというと、トリックには既視感があるし(知っている中でも海外作品にすら前例がありますね)、意外性におっとはなりますが作者がはなっから意外性のみでやっていないのでやっぱりそこそこに留まってしまいますし、そもそもそれ言ったらストーリーだってそこそこですし、あと推理が長いんですよ(どうせダミー推理なんだろみたいな空気を出しながら長々語んないでよ)。というわけで、単純に「面白い小説」としてすすめるには弱いのです。

え、えーと、別に作品の内容云々を感想書いてもいいんですけど、こういう作品は感想に書きたいことがないので(トリックが全てであともうどうでもいい的スタンスを作家が持つのは絶対によろしくない)、ここらへんで終わりにします。やっぱこの手のは向いてないわ……。

書 名:電氣人閒の虞(2009)
著 者:詠坂雄二
出版社:光文社
出版年:2009.09.25 初版

評価★★★☆☆

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クリスティ、デクスター、グライムズ、ディヴァインが好きな、ヨッシーことTYこと吉井富房を名乗る遅読の新社会人が、日々読み散らかした海外ミステリ(古典と現代が半々くらい)を紹介する趣味のブログです。ブログ開始から7年になりました。ちなみにブログ名は、某テンドーのカラフル怪獣とは全く関係ありません。
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ビバリー,ビル (1)
ヒラーマン,トニイ (2)
ピリンチ,アキフ (1)
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フランシス,ディック (1)
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