野兎を悼む春
『野兎を悼む春』アン・クリーヴス(創元推理文庫)


シェトランド署のサンディ刑事は、帰省したウォルセイ島で、祖母ミマの遺体の第一発見者となってしまう。ウサギを狙った銃に誤射されたように見えるその死に、漠然とした疑惑を抱いたペレス警部はサンディとふたりで、彼の親族や近くで遺跡を発掘中の学生らに接触し、事情を探ることに……小さな島で起きた死亡事件の真相は?現代英国ミステリの珠玉“シェトランド四重奏”第三章。(本書あらすじより)

あらかじめ断っておきますと、諸事情によって自分はまだ第2作を読んでいません。早く読みたいんですが、まぁいろいろあって第3作を今年中に急いで読もうと思ったわけです。ま、このシリーズは読む順番を気にする必要はありませんが。

さてさて、2年に1回のお楽しみ、クリーヴスの最新刊ですが、相変わらずの安定した面白さです。ここまで地味な設定で500ページ読ませてしまうとは、作者さんは並の作家ではありませんね。

その地味要因の1つに、今回ペレス警部が扱う事件があくまで「事故」として公式には処理されていることがあります。表立った捜査はなく、事件に動きがそんなにあるわけではありません。もはや警部が自己満足のために捜査しているようなもんです。確たる証拠があるわけでもないので、捜査はひたすら聞き込み(というかおしゃべり)に徹することになります。

にもかかわらずグイグイ読めるのは、人物描写が例によって非常に優れているからでしょう。本の中に留まらず、まるで実在しているかのような錯覚を覚えるほどです。特にハティですね。ハティの視点による描写は秀逸で、彼女の重苦しい心境が緻密に描かれています。また、サンディの父親やホテルの支配人もいい味を出しています。前半が母は強し、みたいなエピソードが多く、後半は父は強し、みたいなエピソードが多い印象がありますね。まぁ人物に関しては、主人公ペレス警部を上回るキャラはいませんが。彼の視点が、読んでいて一番楽しいです。

島の中という狭いコミュニティを描いている以上、人間関係が重要になります。この小説では、母と子、父と子、夫と妻、恋人、友人といったテーマ(なんかほぼ全部ですね)が肝となっており、これらが複雑に絡み合い、最後一気にほどけていく様はまさに名人芸と言えるでしょう。

この小説はまた、サンディ刑事の成長物語でもあります。今までどっちかと言えばウザいキャラクターであったサンディですが、今作のサンディは非常にいい味を出しています。最後、彼が犯人と対峙するシーンは、彼の成長した面と、成長しきれていない面の2つを上手く表すために設けられたんでしょうね。彼が次作でどういう活躍をするのかが楽しみです。


ところで最後のセリフのほっこりさせる感じが、何だかD・M・ディヴァインの『五番目のコード』のラストを思い起こさせたんですが、分かります?(ネタバレではありません)ま、ディヴァインのラストはこんなのばっかりですが(笑)


なお、1つ気になったのがアンナの視点の章です。クリーヴスは章ごとに視点を変える手法を効果的に使う作家さんですが、今回はあまりそれを生かせていないように感じます。その原因がアンナの視点を入れたことではないかと。ハティとは対称的に自立した女性としての目線として大事なのは分かるんですが、どうせならジャッキーの視点の方が上手く出来たのではないかと思います。


とにかく一読の価値ある、現代本格の秀作だと思います。本格ミステリ好きにはぜひ。早く第2作も読まないとなぁ。

書 名:野兎を悼む春(2008)
著 者:アン・クリーヴス
出版社:東京創元社
    創元推理文庫 Mク-13-3
出版年:2011.7.29 初版

評価★★★★★
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『夏目友人帳 肆』の製作が決定したみたいですね!2012年1月だとか。いやぁ、これは嬉しいですねぇ。深夜アニメで4期ってすごくないですか。ってか、「肆」って「四」のことなんですか。初めて知りました……。
3期はちょっとおとなしめの作品が多いですね。もっと泣けるのが見たい~。


昨日、竹久夢路の生家とやらに行きました。夢路は美人画を書く人らしいですけど、まぁTYは日本画に疎いですし……。しかも、竹久夢路は存命中は大衆的な人気が先行し、芸術家としての評価は低かったようですからね。日本史の教科書にもあまり載らないんでしょう。
常々思うんですが、美人画って、当時の人には美人に見えたんでしょうが、今見たらやっぱり見えないんですよねぇ。


さて、万歩書店という古本屋チェーン店をご存知でしょうか?って、自分も昨日初めて知ったんですが……。岡山県内にのみある大型古本屋です。
で、昨日行ったんですが……いやいや、びっくりしました。万歩書店と比べれば、ブックオフなんかカスみたいなもんです。というかカスです。んもう、信じられない蔵書量なんですよ。ありとあらゆるジャンルの本がありましたね。文字通り本の魔窟。ミステリは、文庫も1950年代みたいなものまでありましたし、ポケミスも100番台の初版とかありましたね。聞くところによると、江戸時代の本もあるとか。新しい本だって大量にありますが。

購入リスト
◇アーサー・アップフィールド『ボニーと警官殺し』
◇クリスチアナ・ブランド『緑は危険』
◇ジョイス・ポーター『ドーヴァー⑧/人質』

アップフィールドは1つしか読んでいません。ちょっと期待外れだったので再挑戦です。
ブランドも1つしか読んでいません。なかなか古本屋で見かけないんですよね。って『緑は危険』は新刊で買えたんでした。
ポーターは……えぇと、5つめですか。『人質』はシリーズの異色作で、出来はイマイチというウワサですが。

写真。何だか謝ってもらうと申し訳ないです。



目下新幹線に乗って、2号車の自由席に座って、西方に向かって爆走中です。帰省……というと変ですが、とりあえず親戚の家です。
というわけで、1週間ほどブログが見られません。コメントなどに返事出来なくなりますので、ご了承下さい。いえ、コメントは大歓迎です。

あと、もしかしたら本の感想も載せると思いますが、画像が付けられないので、その点もご了承下さい。ちなみに、別にご了承してくれなくたって画像は付かないわけですから、この断りには何の意味もありません。


隣に座ってる会社員風のおじさん(50以上?)は、ベルトの位置が妙に高い上に、懐かしのゲームボーイアドバンスSPをプレイしています。腕時計を左手に付けているので、たぶん右利きです。彼は新大阪で降りました。

新大阪で乗り込んで来た人は、とりあえず一言で描写するならば「くさい」という単語意外では考えられないだろうという、まぁそういう人です。茶色い髪は四方八方に爆発しており、ズボンは足の太さから考えるに4回りはサイズが大きいでしょう。自分の来ているダボダボセーターで顔を拭う癖があります。彼は(ありがたいことに)姫路で降りました。人間は平等であることは頭で理解していても、個人的な感情(というか対象に対して反応する五感――ここでは鼻――の持った感想)というのは、いかんともしがたいものです。

姫路で乗り込んで来た人は、2人の子供(小学生未満の姉と弟)を抱えるお母さん(子供たちに対して愛想もへったくれもない)……のはずでした。つまり母親は、TYの座る列の3人掛け(1人先着あり)の方に2人を座らせ、自分は2人掛けの方に座ろうとしたわけです。ところがその先着さんがTYの隣に引っ越したため、母子3人は隣り合って座ることが出来たわけです。
引っ越しした先着さんは、ビニール袋に入れた大量のお菓子(トッポをはじめとする)を除いてはたいして荷物を持たず、キリスト教関係っぽい団体の発行する小冊子に没頭する、朝青龍みたいなおばさんです。座席を移るというとっさの判断はぜひとも見習いたい所ですが、お菓子の食べ過ぎはどうかと思います。


というわけで、誰が得する新幹線乗客レポでした。寝るのに忙しくてアイスを食べそびれました。むぅぅぅ。
現在、猛スピードでアン・クリーヴスの最新刊『野兎を悼む春』を読み進めています。まぁその、ちょっと事情がありまして……。というわけで、ルヴェルとアーヴィングはほったらかし状態。うぐぐ、こういう並行読みは本来嫌いなんだけどな……。

いやはやしかし、すでに半分読み終わりましたが(勢いが続けば明日には終わるはず)『野兎を悼む春』がホンットに面白い。あんまり面白くて、2日で読み終わっちゃうのがもったいないくらいです。現代の作家さんで一番好きかも知れませんね、と言えるほど現代の作家さんを読んでいないというのが実情ですが。とか言いつつ恐ろしいことに、第2作の『白夜に惑う夏』をまだ読んでいないのであります。いやまぁ、シリーズとはいえ、全然問題ありませんが。ちなみにそこまで必要だとは思いませんけど、第1作だけは最初に読んだ方がいいかもしれません。ま、特に気にすることはないと思います。


さて、台風が例によって北上しています……当然です、普通台風というのは南には行かんもんです。ただ、このペースだったら、今日までの伊豆諸島でのサークルの合宿は行けたんじゃないかなぁというのが実に残念。そりゃまぁ、孤島で殺人事件&嵐で立ち往生=クローズドサークルぅぅぅ!!というのは極力避けたいですけど、やっぱり行ったとこないとこに行くのは楽しいもんじゃないですか。特に島とか。フェリーで島に渡るのが結構好きなんですよ(実際はヒマだとはいえ)。ちなみに、クローズドサークル設定のミステリはどっちかと言うと嫌いです。


行ったことないとこと言えば、この間土浦の真鍋に新しく出来たブックオフに行ってきました。以前真鍋にあったブックオフは、そりゃあもぉすごくてですねぇ、何だか妙に海外ミステリが充実しているんですよ。マーサ・グライムズとか(『「老いぼれ腰抜け」亭の純情』だったはず)、ロイ・ヴィカーズの迷宮課事件簿とか(『百万に一つの偶然』だったはず)、ミステリじゃないけどジェローム・K・ジェロームの『ボートの三人男』とか(あれ、意外と少ないな……)。いずれもお気に入りの作品ですが、真鍋のブックオフを語る上で(どういう意味だか自分でもよく分からん)、やはり最大の出会いはアントニイ・バークリー『試行錯誤』でしょうね。これを手に取った自分は何て偉いんだと褒めてやりたいです。そこまで言っておきながら、それ以来バークリーを一冊も読んでいないというのはなぜなんでしょ。

えぇと、何の話だったか、とにかく以前真鍋にあったブックオフは地震の後ずっと閉鎖状態で、なんと3月末日ごろに閉店してしまったのであります。うぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!って気分でしたね、その張り紙を見た時は。土浦には海外ミステリ好き(推定)がいるとほぼ確信していただけに、そいつが売ってくれる店がなくなってしまったというのは大ショックでした。ま、まぁ、卒業した以上もうあんまり行かない場所ではあるんですが……。

ところが今年の8月に、ちょっと場所を変えてブックオフが復活したと言うではないですかっ!というわけで、だから行ってきたんですよ。と言っても、あんまり欲しい文庫はなかったんですが……。エラリー・クイーンの読んでないやつがいくつかあったんですが、図書館にあったかどうか記憶にないし、おまけに図書館が今整理中とかで検索エンジンが使用不可能なせいで、結局買いませんでした。
代わりに、この間家族会議の結果、バガボンドを21巻以降も(すでに読んじゃったのも含めて)買いそろえようという話になったので、22~27巻を全て105円で買ってきました。財布を持っていなかったので弟の建て替えです。あれ、まだ払ってないな……。

そういや買ったときに、ほら、ブックオフって、タッチで何とかなかんとかみたいな、会員登録ポイント割引みたいのがあるじゃないですか。確か前に話したと思いますけど、この間遂に登録したは良いけど、新宿のブックオフでとっさに「登録してません!」と言ったためポイントを稼げなかったわけですよ(実のところ、どうやってポイントをゲットするのか未だに知らないんですけど)。で、今回やったろぉぜ!何しろ東京じゃないから田舎店員に遠慮は無用だぜ!という、何だか出所の分からない自信を胸に抱いて、タッチするんだか何だか知りませんがやろうとしたら、店員さんが何にも言ってこないわけですよ、「登録してますか?」みたいなことを。で、やはり出所不明の自信を以て、会員なんですけど、と言ってみたら……「あ、うちは加盟していないんですよ」だと?!なんだ加盟って、同じブックオフだろぉがぁ!という心の叫びもむなしく、「あ、そうなんですか……」というセリフと半端な薄笑いを浮かべ、自信の代わりに気まずさを抱えて、レジの前を急ぎ足で離れたのでした……。
ディーン牧師の事件簿
『ディーン牧師の事件簿』ハル・ホワイト(創元推理文庫)

八十歳を迎えたのを機に、長年務めてきた牧師の任を退いたサディアス・ディーン。愛犬のセントバーナード”プパドッグ”と好物のバナナプディングとともに、悠々自適の老後を送るはずだった彼のもとには、次々と不可解な殺人事件の謎が持ちこまれる。屋敷を相続した五人兄弟に降りかかる”足跡のない”連続殺人、密室状態のアパートから消えた狙撃者、教会で行われた聖餐式の最中の毒殺……牧師としての経験で培われた洞察力と人間への理解を武器にした、ディーン先生の名推理。アメリカのミステリマニアが日本の仲間たちへ贈る、六つの難事件。(本書あらすじより)

21世紀にもなって、ガッチガチの不可能犯罪物が出たというのは驚きですが、それをちゃんと訳してくれた東京創元社さんにはほとほと頭が下がります。ありがたやありがたや。

で、要は80歳のおじいちゃんがですね、不可能犯罪である必然性が皆無に等しいゴリゴリ物理トリック多用の不可能犯罪をばったばったとなぎ倒していく短編集です。まー、よく考えつきますね、こんなトリック。作者の好きな日本のミステリ漫画の1つに『金田一少年の事件簿』が挙げられているのをみると妙に納得。カーとの関連性も言われているみたいですが、オカルトっぽさは皆無ですので、やはりホックの系統ではないかと思います。

ただ、トリック自体は正直イマイチ……いや、イマイチということもないんですけど。何しろこういう短編集ですから、ある程度の器械トリックは覚悟していますよ。ただまぁ、いくらなんでもねぇ、不可能なら何でもいいってもんじゃないでしょう。自分が犯人なら、こんなトリックを考えついた時点で殺すのをやめます。第1話の最初の事件からして、あんなシュールな場面を犯人が黙々とやっているかと思うと、ね。

ただまぁ、それはそうなんですが、なぜか妙に楽しんで読めました。こういう事件が、現代を舞台に行われているというのはやはり楽しいものですし、事件の発端自体はどれも非常に魅力的。まぁ、事件に魅力のない不可能犯罪とか、読むに堪えないでしょうし。
もう1つの魅力が、主人公ディーン牧師のキャラクターです。こんなに親しみやすいおじいちゃんなら、そりゃ誰だって友達になりたがるでしょうね。ちょいちょい亡くなった奥さんのことを回想してしんみりしたりと、じいさんぽいこともしていますが、基本的に彼はめっちゃ若々しいです。なんたってパソコンはお手のもんですからね。
彼が80歳(途中たぶん81歳になっているはず)であるというのはいいんですが、どうも作者が「いかにもな80歳」を書こうとしているようなのが気になります。というか、それを書ききれていないせいで、なんだか時々老けたり若々しくなったりしているのではないでしょうかねぇ。エドワード・D・ホックよりは文章は格段に上手いと思いますが、読みやすいとはいえ、そんなに物語を書くのが上手いとも思えません。やはり、不可能犯罪物ファンによる、不可能犯罪物ファンのための同人雑誌というか、その域を出ていないのではないかという気がします。

まぁでも、読みやすいし、なかなか楽しめる一冊ではあると思います。次作が出たらどうせ読んじゃうんでしょう。今度はもっとトリックの充実、および姪のスーザンの再登場をお願いします(笑)

ところで、ハル・ホワイトさんって何年生まれなんでしょうか。分かる方がいましたらぜひ教えてくださいな。

以下、個別の感想をちょっと辛口目に。あ、それとどうでもいいんですが、現代が全て「Murder」から始まってるなら、全部「~の殺人」とか「~殺人事件」とかにそろえてあげるのが礼儀ではないかと。


「足跡のない連続殺人」
あらすじは題名通りです。

第一の事件、これはまぁ、実際にやるのはアホとは言え、いいでしょう。第二の事件、これもまぁアホとは言え、いいでしょう。しかし第三の事件、これはいただけません。警察だってそこまでバカじゃないんですから、ちゃんと捜査すれば分かると思います。動機は、ひょっとするとこの本の中で一番まともかも(笑)


「四階から消えた狙撃者」
アパートの四階から男が狙撃された。しかしながら四階の周辺にはウロウロと都合良く人がいたため、犯人がその部屋から出て行ったのを誰も見ていないことが分かる。一体犯人はどこに消えたのか?

男が撃たれた瞬間の描写の前後に露骨な「んっ?」という点がありますが、まぁでもこの事件はなかなか魅力的です。犯人があるごまかしをするべく涙ぐましい努力を重ねているのを読むと、あぁ、殺人なんて犯すもんじゃないなぁと心から思います。いかにもな『金田一少年』的なトリックですが、ここまで徹底すればいいんじゃないでしょうか。


「不吉なカリブ海クルーズ」
友人のプレゼントによりカリブ海クルーズに参加したディーン牧師。船上で4人の男女と知り合いになるが、そのうち一人が密室で死体となって発見されることに……。

これは事件がいいですねぇ。いえ、読んでいる側としては、トリックが分かるかどうかは置いといて、犯人はだれか、どんなごまかしがなされているかにすぐ気付くと思います。しかしながら、個人的には非常に面白かったです。どれか1つ選べと言われれば、たぶんこれ。不可能犯罪である必然性が、ちょびっととはいえあるのも良いですね。
ディーン牧師の最後のセリフ、何だかそんなに感動できないのですが、もしかして読み違えているんでしょうか。被害者の行動がいまひとつ理解できていない気がします。誰か教えてください。


「聖餐式の予告殺人」
ディーンの知り合いの牧師の教会の日曜ミサに、なんと二週連続神が現れ、殺人予告を行った。そしてとうとうその次の週に殺人が……。

犯人はかなり運に頼っていますね。毒のタイミングがずれたらどうするつもりだったというんでしょうか。
解決シーンで、ディーンは犯人に罪の意識を持たせようと決意しますが、正直言ってぜんっぜん成功していないと思います……いいのかな?(笑)


「血の気の多い密室」
誰も出入り出来なかったアパートの、鍵を閉められた一室の中で死体が発見された。インフルエンザでふらふらのディーンは、家の中で推理していくことになるが……。

これはさすがにダメでしょう。いえ、科学的なトリックはいいんです。21世紀の不可能犯罪ですから、むしろそれが出来ることを示すのが大事です(とは言え必要なものが手に入るかは微妙)。そんなことではなく、いったいなんですか、この密室トリックは!!読んだ人なら分かると思いますが……つまりその、何一つ解決していませんね(爆)


「ガレージ密室の謎」
収穫祭の準備作業中、誰も出入りしていないはずのガレージ内から死体が発見された。犯人は、いつ、どのように殺人を行ったのだろうか?

実行可能かはひとまずおいておくとして、何だか全体的に作りが雑であるような気がします。特に動機ですね。別にハル・ホワイトさんは動機にはこだわっていないようなのでいいんですが、これはちょっとこじつけではないかと……。
死体がどんな状態だったかを考えると、これはこれでシュールな笑いというものでしょう。


書 名:ディーン牧師の事件簿(2008)
著 者:ハル・ホワイト
出版社:東京創元社
    創元推理文庫 Mホ-8-1
出版年:2011.1.14 初版

評価★★★★☆
台風のくそったれのせいで、利島(何にもないとこ)なる島へ遠征する予定だった我がサークルの合宿は消滅してしまいました。うーむ、何と言うか、その、出発9時間前に「なしになった!」と宣言されるというのは、気が抜けるもんです。荷物詰め終わってるのに……。


で、ある意味そのおかげで、今日実はあった高校3年のクラスの同窓会にどさくさで潜り込めました。やーっぱり楽しいですね!今日は前回みたいに誰かが醜態さらすこともなく、まぁ実にいい感じでした(なんて稚拙な感想)。
次回は春でしょうか?こういうのっていつまでも続くといいですね。


最近見たDVDの感想です。


刑事コロンボ『別れのワイン』

ドナルド・プレザンスって、演技が上手いですねぇ。『大脱走』でも、非常に印象的な役を演じていましたね。
まぁとにかく、『別れのワイン』と言えば、コロンボ史上1、2を争う傑作です。誰もが指摘する通り、事件自体はちょっと微妙。決定的な証拠がないとは言え、犯人の行動&トリックは粗が多いんですよね。また、最後コロンボが仕掛ける罠も、よく考えりゃ何の決め手にもなっていないわけです。

……が、コロンボとエイドリアン・カッシーニの関係を90分かけてみっちり描き、最後あの場面に持っていくわけですから、もう感動するに決まってます。倒叙物の真髄は人間ドラマにあり。やはり傑作でしょうね。何とも味わい深いラストが素晴らしい。

脇役としては、ちょっと名前が今出ませんが、レストランの支配人とワイン係をやっている人が楽しすぎます。いやもう爆笑。


刑事コロンボ『野望の果て』

動機が弱いという指摘は否めませんが、まぁ当選確実なとこまで来た以上、用済みでもいいんじゃないですか?(笑)

コロンボがいちいち気付く細かいポイントの積み重ねが良いですね。指摘される度に、なるほどなぁと感心しました。また、全体的にコメディタッチな笑い要素が多く、その点も魅力的。前回見た時はやや微妙だった印象がありますが、意外と面白かったです。

『別れのワイン』の支配人が、今作では高級服店の店員を演じています。やはり彼はお笑い担当なのかな?


なお、両作品のタイトルはそれぞれ『Any Old Port In a Storm』『Candidate For Crime』です。やっぱり英語のタイトルは意味が二重で面白いですね。


『ミッドナイト・ラン』

いわゆるロードムービーというやつ、らしいです。ロードムービーとやらは初めてなのでよく知りませんが。

とっても楽しかったですね。何と言うか、全編にわたって安心出来る空気があります。どうせ誰も死なないんでしょ、みたいな。笑える要素が始終出てくる上、アクションも軽くあり、最後ホロッといい感じに終わる……うーん、娯楽作としては最高じゃないですか。

デ・ニーロもチャールズ・グローディンも上手いんですよねぇ。この2人にはどこか妙に目立つところがあります。



『ニューパラ(ニューシネマパラダイス)』を見たいと思う今日この頃……字余り。
というわけで、お久しぶりです、TYです。いえ、なんかずーっとトップ記事がルパンになってましたが、それはそれでどうなんだろうという微妙な心遣いを理由に、日記を書いている次第であります。

いやまぁ、実際ちょっと忙しいんですよね。目の回るほどってほどではないし、どっちかっていうと回らなすぎて逆回転するくらいの忙しさではありますけど、とにかくパソコンに向かってごちゃごちゃ仕事してるわけです。面白い内容ではあるんですけどねぇ。


以下最近思ったことをつらつらと。あ、あらかじめ言っておきますけど、ぜんっぜん大したことではありません。


朝日新聞で、「しつもん!ドラえもん」ってコーナーが毎日あるじゃないですか。朝日新聞をとってる人なら分かると思いますけど。あれですよ、答えが必ずカラーページにあることを知らないと答えがなかなか見つからないやつです。
で、9月7日はこんな内容でした。


587 スポーツのあき編
(弾の入ったピストルを持ちながらウインクをしているマフィアことドラえもんの絵)
かけっこの「位置について」「用意」という合図は、どうやって決まったの?
新聞をひらいてこたえをさがしにいこう

こたえ アイデアを公募して
(カラスを撃ち落として興奮気味のギャングことドラえもんの絵)
1928年に日本陸上競技連盟が一般の人からアイデアを募集して決めたんだ。それより前は「いいか」「支度して」などと言われていたらしいよ。


「編」とか「公募」なんて漢字を使いながら「こたえをさがしにいこう」はないだろう、とか、何だよ「らしい」ってコノヤロとか、まぁいろいろご不満はあると思いますけど、まぁとにかくそういうことだったらしいですよ。なるほどぉ。
と思って調べてみたら、安田雑学なるホームページにはこうありました。以下引用。


「位置について・・・よ~い ドン!!」という合図!今では定着してますよね。しかし、このかけ声に至るまでは「ちょっとした歴史」がありました。

1883年(明治16年)に行われた東京大学の運動会での事です。どんな合図でスタートしてたと思いますか?答えはこれです。「いいか、ひ、ふ、み」←です(笑 歴史を感じます)

「なんかしっくりこないな~」という事で、次の年に行われた東京大学の運動会の合図がこれになりました。「よろしゅうごわすか、用意」←です(大爆笑)

1913年(大正二年)に行われた「第1回陸上競技会」での合図は「支度して、用意」←です(おおおっ!ほんのちょっとだけ近づいてきたぞ)

そしてついに!!
1917年(大正六年)に行われた「第3回極東選手権」ではこれになりました「on your mark get set go」←です(くぅぅ~英語になっちゃったよ・・・)国際的にこの合図でスタートしてるから「日本」もこれでいきましょう。との事だと思います。

しかし、日本陸連は「何か日本語でいい合図はないかな~」俺達が決めるより「一般公募」の方がセンスがあるかもよ?という事で1928年(昭和二年)に募集をかけます。そして「山田秀夫」さんの提案した「位置について、用意、ドン」が採用となりました。


引用終了。と、こういうことらしいですよ。山田秀夫なるこのありふれすぎた名前の持ち主がは果たして本当にセンスがあるのかどうかという疑問はひとまず置いといて、とりあえずなるほどという感じ。しかしこんだけいろいろあったなら、ドラえもんが「らしい」なんて自信をなくしちゃうのも無理ないというか。いや関係ないか。

まぁでも個人的には、「よろしゅうごわすかぁ!よぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉい!」の方がよっぽどかっこいいんではないかと思いますけど(笑)


ってか話は変わりますが、「ショートケーキ」ってあるじゃないですか。で、海外のショートケーキはそもそもスポンジじゃなくてクッキーを使ってるわけで、shortってのは「(ショートニングが多くて)壊れやすい、さくさくする」という意味なのだ、ということをこの間知ったんですよ。
で、この事実に、TYとしては、ある種超!衝撃を覚えたわけです。今まで自分はショートって「(すぐ腐るから置いとける期間が)短い」って意味だと思ってましたし。あの、うちに「チャイルド科学絵本館なぜなぜクイズ絵本」なるシリーズの絵本がありまして、その中の「たべもの」の巻だったと思うんですけど、いや、というのもあったはずなんですけど本棚探したらシリーズの半分くらいしか見つからなくって、いやそんなことはどうでもよくって、とにかく確か「たべもの」の巻のクイズの答えではそういう答えだったんですよ。小学生以来ずっと信じてきたのにこのどさくさに紛れて信頼を裏切られた気分です。今なら小早川秀秋に裏切られた石田三成の気持ちが分かります。ホントです。「ぐっぞおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」って感じです、たぶん。


えー、本の方ですが、『サイダーハウス・ルール』が全然読めていません。本を読める時間がなっかなか作れなくて。で、『夜鳥』の方は、着実に毎日寝る前に一編ずつ読み進めています。つまり、全然進んでいません。

というわけで、何だかまとまりが全然ないですけど、ひとまず終わります。
813 続813
『813』『続813』モーリス・ルブラン(偕成社)

パリ市内のホテルで連続殺人事件が発生した。殺されたダイヤモンド王ケッセルバッハはある人物の調査を進めており、謎の暗号「813」と「APOON」がその鍵となっているらしいのだが……。ルパン、ロシア貴族、国家警察部長、謎の男爵、ドイツ皇帝、ホームズ、そして殺人鬼「L・M」が死闘を繰り広げる大長編。ルブランの最高傑作とも言われる。(あらすじ)

ここ数年またルパンを読み直したいなぁと思っていたんですが、ようやく実現できました。とりあえず、傑作と名高い『813』を再び読むことにしましたが、読み終わって気付きました。ははぁ、わたしゃこの本を読んだことはないな、と(笑)

ルパン物の中では推理小説要素が強いとも言われます。○○の正体は誰だ!的な謎が中心となりますが(一番身近なところでは、ルパンは誰に変装しているのか、という見え見えの問題)、推理小説ファンの間では変装とか、あの男は実は○○だ!みたいなネタはあまり評価されない傾向にあります。ま、仕方ないですね。やはりルパンは推理小説というより冒険小説ですから。

前作『奇岩城』の4年後ということになっており、ルパンももはや38歳、立派なおっさんであります。そして前作までのルパンは、軽妙でちょっとやんちゃな、いわゆるザ・義賊、ってキャラクターだったと思いますが(たしかね)、今作ではルパンの性格に変化が見られます。目的のためなら周りのやつらなんか知ったこっちゃねぇ、というジコチューな性格になっちゃったわけで、ぶっちゃけちょっと性格が悪いです(いや、そんな悪くはないけどさ)。こんなルパンだからこそ、最後の最後に痛い目を見ることになるわけで、そこが見どころの一つでもあります。

ルパンと敵対する人間はぞろぞろ出てきますが、やはりルノルマン国家警察部部長がいいですね。彼の活躍シーンはルパンの出張っているシーンよりワクワクします。彼がどう物語に関わってくるかが面白いですね。ちなみにホームズさんは一瞬名前が登場するだけという散々な扱いです(爆)


全体的に言って、冒険小説としては非常に楽しめる佳作だと思います。子供心に帰って、ルパンの活躍に胸を躍らせればいいんじゃないでしょうか。まぁ個人的には、後期の渋いルパンの話の方が好きな印象がありますが。

ちなみに翻訳権の関係上、現在入手が容易な『813』は、この偕成社版と新潮社版のみです。新潮社版の堀口大學訳はルパンの一人称が「わし」だったり妙に漢語調だったりするため、個人的には偕成社版をお勧めします。児童書という扱いではありますが(だから翻訳権にひっかからなかったらしい)、大人が読んでも何の問題もありません。ルパンの全集は偕成社版しかないわけですし。

なお、ルパンの解説については「怪盗ルパンの館」というサイトがオススメです。『813』の解説では、舞台となった場所、時代背景、登場人物の追跡などやたらに詳しくてこっちがひくほどです。読み終わった方はぜひ一度ご覧になってみてくださいな。

書 名:813(1910)、続813(1910、1917年に大幅改訂)
著 者:モーリス・ルブラン(モーリス=ルブラン)
出版社:偕成社
出版年:【813】1981.9 1刷
         1989.8 11刷
    【続813】1981.10 1刷
          1988.8 9刷

評価★★★★☆


2011.09.08 読書状況
『続813』読了しました。感想を今日のっける予定でしたが、あまりに眠いので断念しました。ぐー。明日頑張ります。まぁ、明日は明日で歯医者行ったり、採点の締め切りがあったりなので分かりませんが……。


昨日図書館行って来まして、本を借りて来ました。3週間くらい休館するとかで1ヶ月以上借りられます。ひゃっほぅ!

◇ニコルソン・ベイカー『フェルマータ』
◇ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ『赤い右手』
◇エドモン・ロスタン『シラノ・ド・ベルジュラック』
◇モーリス・ルヴェル『夜鳥』
◇ジョンストン・マッカレー『地下鉄サム』

ジャンルぐっちゃぐちゃですね……。
ベイカーは、前回借りるもまだ読んでなかったのでもっかい借りて来ました。
『赤い右手』は前から気になってた国書から出たやつです。
エドモン・ロスタンのは19世紀末の戯曲ですね。文学的評価の高いやつです。
モーリス・ルヴェルとジョンストン・マッカレーは、今年ミステリの翻訳史を研究して以来気になっていたものです。ルヴェルが再び読めるとはいい時代ですね、ホント。『地下鉄サム』もまた楽しみです。ジョンストン・マッカレーは、ほら、『怪傑ゾロ』とか書いた人です。


明日からはジョン・アーヴィング『サイダーハウス・ルール』を読みはじめます。ちょっと時間がかかるかな。あと、昨日の夜から毎日1話『夜鳥』を読んでますが、このペースでは1ヶ月かかります(笑)
昨日は河合塾の一部の面々と飲み会でした。いえ、そんな大したもんじゃないですから。
しかしまぁ、11人中8人も集まるんですから、こりゃ頑張った方ですよ。次回は忘年会ですかねぇ。

どうでもいいですが、いやよくないんですけど、東京で何かあるたびに、往復2000円かかってしまうのはどうにかなんないんでしょうか。定期がなぁ、夏休み中は作ってないから、まぁしょうがないんですが……。


というわけでえっちらおっちら新宿に行ってきたわけですが、ちょっとでも普段行かない土地に行けば古本屋に行きたくなるというのが人情でしょう(異論は認める)。というわけで久々のお買いもの。どんくらい久々か調べてみたら、7月28日以来、古本なら7月20日以来でした。ってことは8月は本を買わなかったわけですか。うぅむ、積ん読がひたすらたまってるのを見る限りでは、買わない方がいいんですけどね……。


【八重洲古書館】
ピーター・アントニイ『衣裳戸棚の女』

この古本屋さんは今まで何度も足を運んでいるんですが、ポケミスとかもいろいろある割に、買ったのは初めてです。どうも毎回欲しいのがなかったんですが、今回はありましたね。良かった良かった。念のため、市内の図書館の本の在庫を調べてみたら、在庫なし。完璧。

……と思ってたら、検索する時『衣装戸棚の女』で調べてたんですよ。はい、実は図書館にありました。タイトルに『衣裳』なんて紛らわしい漢字を使わないでください。250円の損。ぐはぁ。いや、別にそんなに損失はでかくないです。

レジのお姉さんが本にカバーを付けてくれたんですが、その手際の良いこと。しかも見たことない見事な手順の付け方でしたね。めちゃくちゃカバーがキレイに本にひっついています。

【ブックオフ代々木駅北口店】
マイケル・ギルバート『捕虜収容所の死』

何年か前に話題になった本ですね。マイケル・ギルバートはちょっと興味がある作家さんですねぇ。これは105円でしたが、とんでもない美本。というか、ここのブックオフは100円コーナーがどれもキレイでした。いえ、全っ然文句ではありません。

ブックオフの、えーとなんでしたっけ、携帯で登録するやつ、タッチで何とかとかいうのに登録したんですよ、昨日初めて。ところが本を買う時に「タッチが何とかに登録していますか?」「えと、えー、はい、その、してません」といつものように条件反射で「No!」と言っちゃったもんですから、何にも意味をなしませんでした。うぐぐぐぐ。

この日は新宿を歩きまわってもう一つブックオフに行ったんですが、そちらはなーんにも面白いもんがありませんでした。
二流小説家
『二流小説家』デイヴィッド・ゴードン(ハヤカワポケミス)

ハリーは冴えない中年作家。シリーズもののミステリ、SF、ヴァンパイア小説の執筆で食いつないできたが、ガールフレンドには愛想を尽かされ、家庭教師をしている女子高生からも小馬鹿にされる始末だった。だがそんなハリーに大逆転のチャンスが。かつてニューヨークを震撼させた連続殺人鬼より告白本の執筆を依頼されたのだ。ベストセラー作家になり周囲を見返すために、殺人鬼が服役中の刑務所に面会に向かうのだが…。ポケミスの新時代を担う技巧派作家の登場!アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞候補作。(本書あらすじより)

なーるほど、これは面白く、またとっても読みやすいお話。読んでいて楽しかったですね。

あらすじを読むと、オイオイこりゃ一体どんな話なんだ、となるため、つかみは十分。主人公のハリーは、まぁ確かに二流のしょぼい小説家ですが、いくぶん自虐的で斜に構えつつもユーモアたっぷりなところが良いですね(そのくせ妙にモテるのはなぜなんだ、おい)。そして、まぁ死刑囚に会ったり死刑囚の命じるままあっちこっちの女に会ったりすることになるわけですが、しかしこれがミステリである以上、このまま進むわけがありません。と言いつつも、正直この部分がかなり面白いですね。別にこのまま事件が起きなくても自分は満足出来ます(笑)

というのどかな空気で進むかと思いきや、事件発生です。正直ねぇ、これがちと残虐すぎる気がします。わたしゃこういうのは苦手。告白部分も、ちょっと読んでいてキツかったです。自分としてはほのぼのムードで最後まで突っ走って欲しかったという気もしますが。それに、この事件の犯人が分かるとこまでの展開は、まぁ結構ありふれているかなという気がします。終盤のくどいほどの展開は結構好きですが。

しかぁし!こういっちゃなんですが、この小説は作者の遊び心を楽しむべきじゃないんでしょうか。も、正直ね、殺人事件とかどうでもよろしいわけで(いやそんなことないけど)。例えば、ある程度主人公ハリーの心情と関係があるとはいえ、ぶっちゃけた話何にも意味のない作中小説とか、こういった部分こそが『二流小説家』の最大の魅力。B級臭くて自分が一生読むことのないであろうハードボイルドとややエロSFとヴァンパイア小説とポルノ(冒頭のみ)がちょいちょい挿入されてくるわけですが、この辺が妙に楽しいんですね。また、作者自身で作家という存在を皮肉ったり、あるいはそれでも持ち上げたりと、ややメタ的な要素までちらほら。
まぁ全体的に、ユーモラスな雰囲気が満載です。とりあえず面白がりながら読めれば、この小説は勝ちです。

ちなみにクレア(正ヒロインはダニエラなんかじゃない、断じてだ)が可愛すぎます。後半はあんまり出てこなくなったのが残念至極。最後の彼女からの手紙は、何だか余韻が素晴らしいですね。作者がまた彼女の登場する話を書いてくれると良いんですが。ホントに。お願いします。


まぁとにかく、これは一流のエンタメ小説です。ガッと読めるはずです。かなり楽しめると思いますし、今年の話題作だそうなので、興味のある方はぜひ。

書 名:二流小説家(2010)
著 者:デイヴィッド・ゴードン
出版社:早川書房
    ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1845
出版年:2011.3.15 初版

評価★★★★☆
ちょっと久々の日記です。気付けばもう9月ですかー。朝7時半過ぎに颯爽と(とは言えないけど)家を飛び出していく弟を見ると、あな、今だらけた生活を送っている自分には高校に通うなんて難儀な真似は出来んなー、と思ってしまうわけです。

タイトルですが、まぁ知ってる人は知っているんでしょうけど、クマのプーさんの作者と言えばA・A・ミルンですね。そう、ミステリ的には1921年(だったかな)に『赤い館の秘密』を書いたミルン様ですね。彼の一人息子の名前がクリストファー・ロビンなわけで、息子を溺愛する親バカな童話作家ミルンさんは、自分の書いた作品に息子をポーンと気前良く出しちゃったわけです、テディベアのお友達として。つまり彼の本名は、クリストファー・ロビン・ミルンだってことになりますね。あぁどうでもいい……。

夕刊のテレビ欄の下の映画広告に、3Dと銘打ったうえCG100%みたいなアニメ映画『スマーフ』(ありゃいったいなんじゃ)とやらの隣に、手書きのアニメ『くまのプーさん』があるのを見て、なんだかおかしくなっちゃいました。ディズニー生誕110周年とのことですが、110という数にいったいどんな意味があると言うのか。ちなみに1901年生まれの人を調べてみたら、ゴ・ディン・ディエムとか、バチスタ大統領とか、柳家金語楼とか、小栗虫太郎とか(読んだことないけど)、昭和天皇とか、ゲイリー・クーパーとか(見たことないけど)、スカルノ大統領とか(何か国のトップになる人多いな)、円谷英二とか、ルイ・アームストロングとか、マーガレット・ミードとか、まぁ何というか、さえない面々が並んでいます。うぅむ、確かに110周年をやるなら、ディズニーくらいが無難なのかも。


以下、日記です。


さて、さかのぼること8月29日は、上野で1Hプラスαの飲み会的なものがあったんですが、その前の時間を利用して鈴本演芸場に行ってきました。3年振りですよ。3年振りったって、2回目ですが。

いっやー、相変わらず面白かったですね!最近ラジオで落語とか聞いていなかったもんですから、久々に落語漬けで最高でした。最大の目的は、三遊亭歌之介師匠。TYの大っ好きな落語家さんです。んもう、この方の落語は大爆笑ですよ。出て来た途端につい「待ってました!」と言ってしまいました(他にも言ってる人がいたけど)。以前独演会にも行ったほどです。楽屋から出て来たとこにばったり出くわして、ちょっと挨拶出来ました。
ネタは「母ちゃんのあんか」でした。以前真打ち競演で聞いたネタで、ちょこっと違うバージョンです。

出演者は全体的に上手かったと思います。前に来た時は結構微妙なものがいくつかあったんですが、ま、そんなことはなく。三代目林家正楽師匠の紙切り芸ですが、わたしゃ紙切りなんて芸は初めて見たもんですから、かなりビックリしました。シンデレラとかいう注文が出てましたね、確か。日本には面白い芸能がたくさんあるんですねぇ。また見てみたいと思います。
若い人では柳家三三が良かったですね。ってか、あぁ、なんか記憶が既にかなり抜け落ちてきている気が……。


で、まぁその日のメインイベントがむしろ寄席になってしまいました。その後の飲み会も楽しかったですけどね。ひっさびさに会う人ばっかりで嬉しかったですね。1年の時だけ同じクラスだった人とか、なかなか会う機会が作れませんから。


えー、30日は、まぁ市内をバタバタ走り回っておりました。午後は、某妹と(笑)くっちゃべっていましたが、まぁやっぱり人間、周りの人に文句をぶつけてこそ&ぐちってこそ、気持ちよく生きられるというもんですよ、えぇ。
その後、友達から(酒嫌いだって言ってんのに)飲みに誘われたので行ってきたせいで、帰った時間がそうとう遅くなってしまいました。遅かったのになぜか4時ごろまでテンション高いまま起きていたりとかしたせいで、その日からどうも睡眠時間が変な時間になっています。こんなんじゃいけませんね。朝はやっぱり7時に起きたいものです。いくら能天気な大学生だとはいえ。


31日は……一日中パソコンと格闘です。とりあえず模試の採点を全力で行い、基礎演習の論文の執筆も全力で行い。どちらも締め切りは0時だったんですが、なんっとか間に合わせることが出来ました。論文は最後ちょっとグダグダ気味でしたが……。優取れるといいですねぇ。この科目ぐらいしかむしろ優が取れません。


1日から始まった模試の採点の新しい担当分は今日怒涛の勢い(というと語弊が80%くらいはある)で終わらせましたので、あと2日ほど暇になりました。5日は河合塾松戸校の一部のメンバーで会う予定ですが。ちょっとお金が厳しいかねぇ……。


というわけで、ここんとこかなーりだらけた毎日を送っているTYです。しゃきっとせい!
とかいいつつ、明日はまだ読んでいる『二流小説家』が読み終わる予定。感想は早めに載せます。その次は……『月と六ペンス』かなと思ってましたが、本を返却したりする都合上、たぶん『813』になると思います。
紳士と月夜の晒し台
『紳士と月夜の晒し台』ジョージェット・ヘイヤー(創元推理文庫)

月夜の晩、ロンドンから離れた村の広場で、晒し台に両足を突っ込んだ紳士の刺殺体が発見された。動機を持つ者にはこと欠かないが、浮世離れした容疑者たちを前に、ハナサイド警視は苦戦する。そんなとき、思わぬ事態が発生して……。ヒストリカル・ロマンスの大家として知られる一方、セイヤーズも認めた力量を持つ著者による、巧みな人物描写と緻密なプロットの傑作本格ミステリ。(本書あらすじより)


まず言っておきますと、非常に楽しいお話でした。巧みな人物描写というのは全くその通りで、テンポ良い会話の進行が読んでいてとっても楽しいんです。またいかにもな黄金時代の作品めいた雰囲気もグッド(嫌な奴が殺され、容疑者は親族で、南米で死んだ弟がいて、みたいな)。
が。

これが単なる小説ではなく、本格ミステリであるならば、かな~り不満足な作品ということになってしまうでしょうね。プロットは行き会ったりばったりのようで、伏線はほとんどなし、手がかりもほぼ皆無です。決め手の証拠はかなり良い出来だと思いますが、最後の最後に明かされても困ります(いや、一応解決シーンの前……というか直前ですけど)。著者のヘイヤーさんは、ミステリとしてはこれが処女作だそうなので、まだ書き慣れていないのかもしれませんが。

一番がっかりなのは、なぜ死体が晒し台にあったのか、という謎。全く、タイトルがこうである以上、いやがおうでも期待してしまうこの最大の謎の答えにはさすがにがっかりです。


というわけで、手がかりも伏線もない以上、この作品の9割は容疑者同士の会話、ということになります。被害者の義理の弟妹である、どう考えてもどこかズレている2人による推理やら無駄口やらおしゃべりやらを中心に、容疑者があーだこーだと話しているお話なんですよ、これは。そしてこれがたいそう面白いと来てます。登場人物一人一人の描写・キャラ付けが秀逸なんですよね。ユーモアあふれる会話にただただ爆笑します。

てなわけですから、主役のはずのハナサイド警視はどうしても脇役・傍観者とならざるを得ません。感じの良い人ではあるんですがねぇ。この作品、バークリーみたいに、ミステリをちょっと皮肉った面があるのではという気がします。


なお、翻訳がちょっと気になりました。登場人物の口調が一定ではないというか。


というわけで、ミステリ的にはかなりアレですが、面白くはあったので、刊行が予定されている次作に大いに期待したいところです。

書 名:紳士と月夜の晒し台(1935)
著 者:ジョージェット・ヘイヤー
出版社:東京創元社
   創元推理文庫 Mヘ-15-1
出版年:2011.5.31 初版

評価★★★☆☆