赤い右手
『赤い右手』ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ(世界探偵小説全集)

結婚式を挙げに行く途中のカップルが拾ったヒッチハイカーは、赤い眼に裂けた耳、犬のように尖った歯をしていた……。やがてコネティカット州山中の脇道で繰り広げられる恐怖の連続殺人劇。狂気の殺人鬼の魔手にかかり、次々に血祭りに上げられていく人々――悪夢のような夜に果して終りは来るのか?熱に憑かれたような文体で不可能を可能にした、探偵小説におけるコペルニクス的転回ともいうべきカルト的名作、ついに登場。(本書あらすじより)

いやはや、これはすごいです。賛否両論あるとは思いますが、個人的には傑作です。とんでもないです。まさしく「やられたっ!」という気持ち。

と感想を書き出したはいいですが、この作品、何を書いてもネタバレになるという作品でして、何と言えばいいのか、なかなか難しいですね。


ハリー・リドルという医者(!)による一人称(!)によって物語が進行するのですが、なんだかまずこのリドルさんの文章が途方もなく胡散臭いんですね。やみくもに書いたかのような熱っぽい文体と構成に、章を設けない突っ走った書きっぷり、そもそも名前だってリドル(謎)じゃないですか。で、やはり読む方としても、この異様な雰囲気にどっぷり浸かって物語を追っていくことになるわけです。

決してリーダビリティに溢れているわけではないんですが、とにかく読んでいる間ひたすらのめり込みます。読み終わってみると、何だかいろいろとツッコミたくなるんですが、読んでいる間は物語の違和感を感じさせない異空間にぶっ飛ばされてしまうというか。これを計算で書いていたら作者さんはかなりの天才だと思いますが、他の長編の紹介を見る限りではまぐれっぽいですね。まぁいずれにしろ天才的な構成力です。


いろいろ問題もあり、手放しに褒められるわけでもないんですが、一読の価値はある傑作だと思います。海外ミステリファンにはぜひ手にとってみて欲しい一冊。

書 名:赤い右手(1945)
著 者:ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ
出版社:国書刊行会
    世界探偵小説全集 24
出版年:1997.4.25 1刷
    1997.11.20 2刷

評価★★★★★
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