ホッグ連続殺人
『ホッグ連続殺人』ウィリアム・L・デアンドリア(ハヤカワ・ミステリ文庫)

雪に閉ざされたニューヨーク州スパータの町は、殺人鬼HOGの凶行に震え上がった。彼は被害者を選ばない。手口も選ばない。不可能としか思えない状況でも、確実に獲物をとらえる。そして巧妙に事故や自殺に見せかけたうえで、声明文を送りつけるのだ。署名はHOG――このおそるべき連続殺人事件解決のため、天才犯罪研究家ニッコロウ・ベネデッティ教授が乗り出した!アメリカ探偵作家クラブ゛賞に輝く本格推理の傑作。(本書あらすじより)

さて、まぁ本作は有名ですよね。ブックオフなら2つに1つは売っているくらい。というわけで相当期待していまして、ようやく読めましたが……。

結論。面白いことは面白いんですが、ぶっちゃけた話、ちょっと期待外れでした。期待が高すぎたというのもあるんでしょうが。

先に欠点をあげていきますと、まず、作者の狙いはかなり大きな一発物で、悪くないものです。そう、この仕掛けには何にも問題はないんですよ。ところが、まぁ騙されれば気持ちいいんでしょうが、なぜだかトリックが明かされてもビックリできません。読みながら、確証は持てなくても、たぶん1回くらい疑っちゃってるんですよね。これは、HOGの犯行があまりに神懸かっているせいのような気がします。いろんなパターンの殺人が起こるのは面白いですが、犯行数が多すぎる気もします。

さらに、犯人が明かされるシーンもちょっと微妙です。作者がもっと盛り上げてくれればいいのに、さらっと犯人を出してしまうんですよね。もっと言えば、容疑者が少な過ぎる、というのも問題です。ミッシングリンクが絡む連続殺人物として有名なのはアガサ・クリスティ『ABC殺人事件』でしょうが、あの場合は容疑者を上手くそろえていますよね。

もう2つ、小さいことですが。まず、ロンが事件に関わるきっかけが少々こじつけです。どうせなら、もっとその点をHOGに絡めて欲しかったです。また、このトリックは構わないんですが、読み返してみると、いくらか(2点ほど)アンフェアではないかと思う点があります(追記に書きます)。

さらにこれは個人的なことですが、なぜだか読んでいてジャネットがひたすらうざかったです。うざいことに気付いてからはさらにうざかったです。彼女がこの事件に関わる必要性はあるんでしょうか?おそらくはラブロマンス要因として登場したんでしょうが、ラブストーリーが無理なくはめ込まれている、というより、何だかそこだけ浮いている気もします。


……すみません、こんなケチをつけるつもりはなかったんですが。読んでいて面白いのは事実です。先の気になるスピーディーな展開、事件の魅力など、読ませる力は大したもんです。また、さっきも言いましたが、このトリックは悪いものでは決してありません。

特に上手いのがキャラクターの描き分けでしょう。上手いです。こういった様々な人がぞろぞろと出てくる話ではそこが大事なわけですが、この点は優秀です。ベネデッティ教授のいかにもな名探偵ぶりもいいですね。いや実際、ここまで名探偵な空気を出し、実際に自他共に誰もが認める名探偵、というのは珍しいと思います。

またHOGの意味ですが、これもいいですね。動機とか、事件の異常性などに妙に納得してしまい、(なぜか)軽く感動さえします。まぁロンも言っていますが、犯人はやっぱり自己中過ぎるとは思いますけど。


というわけで、いろいろ考え合わせると星4つくらいかなと思いますが、ちょっと辛めに3つにしました。同じベネデッティ教授物に『ウルフ連続殺人』というのも邦訳されているようなので、機会があれば読んでみます。ちなみに旧版は「ベイネデイッティ」だったそうです。うーむ。

書 名:ホッグ連続殺人(1979)
著 者:ウィリアム・L・デアンドリア
出版社:早川書房
    ハヤカワ・ミステリ文庫 76-11
出版年:2005.1.31 初版(新装版)
    (1981.10.31 旧版)

評価★★★☆☆


(※注意!以下ネタバレあり)
... 続きを読む
スポンサーサイト