ロジャー・マーガトロイドのしわざ
『ロジャー・マーガトロイドのしわざ』ギルバート・アデア(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

1935年、英国ダートムア。。吹雪のため、人々はロジャー・フォークス大佐の邸に閉じ込められた。大佐、その妻と娘、ゴシップ記者、アメリカ人の青年、女流作家、牧師とその妻、女優、医師とその妻。やがてゴシップ記者が全員の秘密を握っていることを示唆し、彼への憎しみが募るなか、悲劇が起こる。密室状況で記者が殺害されたのだ。被害者のポケットには不可解なアルファベットが記された紙片が。やがてセイウチ髭のトラブショウ元警部が駆けつけ、大佐が重大な告白を始める。「私の本当の名はロジャー」……ミステリの枠を打ち破る超ミステリ(本書あらすじより)


なかなか楽しめる作品でした。まずはじめに言っておきますと、あらすじ最後の「超ミステリ」というのがよく分かりません(笑)

吹雪で閉じ込められた屋敷、いかにもな客たち、密室殺人、などなど、ザ・本格ミステリとでもいいたくなる舞台設定。誰からも嫌われている人物が殺されるというのも、それっぽいですね。

密室トリックは、読者に提示される手がかりの少なさを考えるとフェアプレイかなぁという感じですし、犯人の手がかりはそれこそ皆無に近いと思います。ですから、密室トリックは、うむむといった感じなんですが(実際、期待しない方が吉、かなぁ)、犯人が誰か明かされた瞬間、(なぜか)死ぬほどビックリしました。直前一行でさえ別の人だと思ってましたしねぇ。もちろん犯人は、ロジャー・マーガトロイドです(笑)

この驚きを与える大きな要因の一つは、作者のクリスティばりのミスリードの上手さにあると思います。そもそもこの作品はクリスティ作品へのオマージュとしての側面が強いようです。詳しくは解説にある通りですが、よく研究したんだなぁとなぜか感心しました。

また個人的には、えぇと、ネタバレにならないように言うのが難しいんですが、ジェントリーが殺された理由、というのが、なんかクリスティの某有名作品を意識しているように感じました。ありがちな部分なのかもしれませんが、自分は読んでて結構納得しましたねぇ。


上記のようなザ・本格っぷりに加え、もうひとつ大きな特徴としてパロディ要素の多さがあります。いかにもな本格っぷりはあくまで読者を非常に意識したものだし、本格読者への当てこすりみたいな描写も多く見られます。だいたい容疑者であるミステリ作家なんか、読者をおちょくっているとしか思えません。こういったメタに近いパロディなど、クスリと笑える点が多いのもいいですね。211ページの最初の部分なんか、もう笑っちゃいます。


全体的に何となく変化球のような感じではあるんですが、あくまで本格「らしさ」を最後まで(!)貫いたところには好感が持てます。最後の結末は、個人的にはハッピーエンドだと思っているんですが、まぁどうなんでしょうね。いくつか問題アリな気がしないでもないですが、こういう作品は嫌いではありません。


ちなみに、特にネタバレというわけではないですが、解説を読むのは読後の方がいい気がします。余計な誤解を読者に与えかねないので……いや、自分が与えられたからなんですが(笑)


書 名:ロジャー・マーガトロイドのしわざ(2006)
著 者:ギルバート・アデア
出版社:早川書房
    ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1808
出版年:2008.1.15 初版

評価★★★★☆
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