ウサギ料理は殺しの味
『ウサギ料理は殺しの味』ピエール・シニアック(創元推理文庫)

フランスの田舎町で続く奇妙な事件。町のレストランで狩人風ウサギ料理が出された木曜日の晩には若い女が絞殺され、その遺体のそばに扇が置かれる。切り裂き魔ならぬ”風吹き魔”……?殺人を予言する占い師の女、彼女にほどこしを受けるホームレスの男、ウサギ料理を食べたがるセールスマン、金ではなく、町の高級品店の新入荷品でのみ上客を受ける娼婦、レストランに届く「木曜日の夕食のメニューにウサギ料理を載せるな」という脅迫状。この町に何が起きているのか?とてつもないブラックユーモアが横溢する傑作フランス・ミステリ。(本書あらすじより)

はっはっは、いやーアホやな(笑)こんなネタで長編をいっちょ作ったろう、なんて考えた作者に脱帽です。実際ね、あちこちに書いてあるほど、アホなネタじゃあないと思うわけです。バカミスの定義は知りませんけど。人間の欲(特に性欲?)って面白いねぇ。

残念ながら、作者がやろうとしていることは途中で気付いてしまったんですが、まさかここまで伏線(?)張って連鎖させるとは思いませんでした。まさに、○○○○ば○○○○○○る、なわけですね(これが分かれば謎もくそもない)。
解説でからくりが分かる人はいないと断定していますが、果たしてそうでしょうか。ちゃんと書き出せば分かるんじゃないかという印象を持ちましたけどねぇ。わたしゃ、途中でめんどくさくなって放棄しましたが。

しかしこの話の見所は、むしろ謎が解決された後でしょう、もちろん。なんでブラック・ユーモアとか言われてるのか、やっと分かりましたよ。一言で言えば、「え、死ぬの?」という(笑)後は読んで下さいな。
しかし、もっと上手く○○○○○に○○をあげれば、万事解決したんじゃないでしょうか、なんて考えちゃいけません。

単なるブラック・ユーモアだけでなく、所々小ネタが効いているのもいい感じ。登場人物表に載ってない方々が後半一同に会している図にはなんか笑ってしまいます。それ以外にも、なんか妙に皮肉った文体とか、覚えてる人だけで結構!みたいなネタとか、かなり楽しめます。前半退屈という意見もあるようですが、十分面白いじゃん、と思いました。
全体的に現在型で書かれていますが、これは正解です。

しかし、フランス人の名前のなんと覚えにくいこと。海外モノを読み慣れてない人は、最初で挫折するかも。ってか、それが微妙な評価の一因では。

ま、考えたもん勝ちのネタでした。怪作とはピッタリな表現。シニアックの他の長編の訳が進むのに期待したいです。

書 名:ウサギ料理は殺しの味(1981)
著 者:ピエール・シニアック
出版社:東京創元社
    創元推理文庫 Mシ-12-1
出版年:2009.12.25 初版

評価★★★★★
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