『悔恨の日』発売

2017-11

『湖畔荘』ケイト・モートン - 2017.10.20 Fri

モートン,ケイト
湖畔荘 上 湖畔荘 下
『湖畔荘』ケイト・モートン(東京創元社)

ロンドン警視庁の女性刑事が問題を起こして謹慎処分となった。女児を置き去りにして母親が失踪したネグレクト事件を担当していて上層部の判断に納得がいかず、新聞社にリークするという荒技に走ったのだった。ロンドンを離れ、コーンウォールの祖父の家で謹慎の日々を過ごすうちに、打ち捨てられた屋敷・湖畔荘を偶然発見、そして70年前にそこで赤ん坊が消える事件があり、その生死も不明のまま迷宮入りになっていることを知る。興味を抱いた刑事は謎に満ちたこの事件を調べ始めた。70年前のミッドサマー・パーティの夜、そこで何があったのか? 仕事上の失敗と自分自身の抱える問題と70年前の事件が交錯し、謎は深まる!(本書あらすじより)

全作読んでいながらこんなこと言うのもなんなんですが、ケイト・モートンがどうしても合わないのです。確かに『秘密』は好きです。あのどんでん返しにはしてやられました。が、文章が好みじゃないというか……。ちなみに世評の高さ・人気の割に自分に合わない作家トップ2が、ケイト・モートンとヘレン・マクロイです。これはもう仕方がない。個人的な好みなので。
ですから、この『湖畔荘』の感想も、あくまで個人的なものだとお考え下さい。実際、めっちゃ評判いいですからね、『湖畔荘』。

さて、現在パートと過去パートを繰り返す系のミステリで一番つらいパターンが、「結局作者が真相をなかなか書かないだけで話を引っ張っているのでは」みたいに思えてしまうやつです。ただ現在と過去を組み合わせているだけ、みたいな。一方でこうした交錯系は、ちゃんと真相を掘り出す捜査が良く出来ていたり、現在の人間の記憶が信用できなかったりすると、途端に面白くなります。
これまでのモートンの諸作品は、どちらかというと過去パートに重きが置かれていた、ような気がします。現代パートは、過去パートを触媒として発動するドラマであって、あんまり過去を捜査するという探究的な面白さが感じられなかったのです。
『湖畔荘』も上巻の途中まではそんな感じだったのですが、上巻の終盤あたりから現代パートが増え始め、面白くなってきました。過去を掘り起こす作業を本格的に描いているからです。さらに、上巻のラストでは過去の記憶が不正確であったことが明らかになり、一見みえみえだった真相がそうではなかったことが分かります。このくだりはめっちゃテンションあがりました。

その勢いのまま下巻も読み終わったのですが、読了直後、まず非常にディケンズらしい作品だなと感じました。きれいすぎる話の収まり方なんかが特に。つまり伏線のあるディケンズですね(好みからするとちょっときれいすぎるけど)。
どんでん返し的な意味での仕掛けは、上巻ラストがピークかなと思います。実際には何が起きたのか、を具体的に一歩一歩固めていくのが下巻の内容。登場人物のつながりなどで、ちょっとしたサプライズなどもありますが。

ただこう、やっぱりハマれませんでした。ケイト・モートンを読んでいる時の面白さの観点って、自分の中では意外な展開、意外な真相にしか置かれていないんだなぁとつくづく思いました。人物描写、心情描写、ドラマ部分などで楽しめていないんです。別に他の作家の作品にはそこまで思わないんだけど……なんでなんだろう……なんか全然薄っぺらくないのに薄く感じるというか、文章が軽く感じるというか……。

これで既訳作4つ全て読んでいることになるわけですが、なぜ合わないのか、というのをきちんと言語化したいので、次また出たら読むと思います。上記感想はあくまで一個人のもの、ということでご勘弁ください。

原 題:The Lake House(2015)
書 名:湖畔荘
著 者:ケイト・モートン Kate Morton
訳 者:青木純子
出版社:東京創元社
出版年:2017.08.31 初版

評価★★★★☆
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『シャーロック・ホームズ殺人事件』グレアム・ムーア - 2017.10.03 Tue

ムーア,グレアム
シャーロック・ホームズ殺人事件 上 シャーロック・ホームズ殺人事件 下
『シャーロック・ホームズ殺人事件』グレアム・ムーア(ハヤカワ・ミステリ文庫)

ホームズ研究家団体〈ベイカー・ストリート・イレギュラーズ〉の大会会場で、著名シャーロッキアンが死体で発見される。彼はコナン・ドイルの失われた日記を発見し、その詳細をこの大会で披露する予定だった。現場に居合わせた若きシャーロッキアンのハロルドは、問題の日記が事件の鍵であると考え、記者のセイラとともにロンドンへと向かうが、それは彼らを予想外の冒険へといざなうことになる。一方1900年、コナン・ドイルは偶然から若い女性の連続殺人に遭遇し、友人のブラム・ストーカーとともに調査に向かっていた。ロンドンの裏街での冒険の行方は? 時空を超えたふたつの事件がからみあう、大型エンタテインメント!(本書上巻あらすじより)

はい出ました、今年のイロモノ/地雷枠です。
素人探偵シャーロッキアンが、コナン・ドイルの失われた日記を巡る殺人事件を美女と捜査する現在パートと、コナン・ドイルが友人ブラム・ストーカーと共に婦人参政権を巡る連続殺人事件を捜査する過去パートが交互に語られます。ってな話なんですが。もう全然ダメ。そもそも作者は本当にシャーロッキアンなのかな……全然愛が伝わらないんだけど……。

シャーロッキアンがコナン・ドイルの失われた日記を巡って調査を行う現在パートは、殺人事件の真相、付け狙う謎の男の正体、調査過程など、全ての点で微妙。主人公の童貞臭いシャーロッキアンが、素人探偵をやることにやる気満々なのはいいとして、ホームズのまねごとをしたりコスプレをしたりする痛々しさが単純にキツいです。童貞臭いロマンスも中途半端で、読者への媚びっぽいし、何より殺人事件の解決が肩透かし&理解不能すぎてすごい……そんな理由かよ……これでどう納得しろと……。
一方アーサー・コナン・ドイルとブラム・ストーカーが探偵役となり連続殺人を追う過去パートも、コナン・ドイルの情緒不安定っぷり(頑固で旧弊な頭の持ち主のくせに作者の都合ですぐ折れる)、あっさり見つかる真犯人、雑すぎる解決、とやはりダメ。婦人参政権という当時のネタを全く上手く生かせていないのも悲しいじゃないですか。これではアーサーがただのイヤなやつなんですが……。
さらに、過去パートと現在パートの交錯も、ところどころシンクロはしてはいますが、基本的には全然交わりません。交わったラストもそこまで上手くはまっていないし、最後までなかなかに盛り上がらない読書でしたね、いやほんと。

地雷は言い過ぎですが、まぁ普通にプロットも甘けりゃストーリーもダサいのが致命的です。っていうかダサいって言葉がめっちゃしっくり来る……。ハヤカワ・ミステリ文庫は時たま「???!?」みたいな本を出しますが(『闇と影』とか……うっ頭が)、でもまぁこういうのが好きな人もいるにはいるんだろうなぁ。

原 題:The Sherlockian(2010)
書 名:シャーロック・ホームズ殺人事件
著 者:グレアム・ムーア Graham Moore
訳 者:公手成幸
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ文庫 447-1,2
出版年:2017.02.15 1刷

評価★★☆☆☆

『荒鷲の要塞』アリステア・マクリーン - 2017.09.28 Thu

マクリーン,アリステア
荒鷲の要塞
『荒鷲の要塞』アリステア・マクリーン(ハヤカワ文庫NV)

連合軍の一将軍がドイツ軍に捕われた。彼はヨーロッパ反攻計画の全貌を知る人物で、ただちに救出せねばならない。監禁された場所はアルプス山中にそそりたつ鉄壁のゲシュタポ本部。英国情報部のスミス少佐らは吹雪をついて決死の潜入を図った。が、敵は、ゲシュタポだけではなかった。仲間の中にナチの二重スパイが紛れ込んでいたのだ! 強烈なスリルとアクション、二重三重のどんでん返し─冒険小説の王者の最高傑作!(本書あらすじより)

アクションてんこ盛りサスペンス、と言ったところ。ご都合主義的な展開と完璧超人なヒーローが踊り狂う中で、これでもかとどんでん返しが仕込まれるので、本格ミステリ好きとしては言うことがありません。やはりマクリーンは、他の冒険小説作家とは一味違います。

アルプス山中にあるゲシュタポ本部に囚われた連合軍の将軍を救出するため、英国情報部のメンバーがチームを組み侵入を目論む。ところがメンバー内に裏切り者がいるようで、早々にメンバーから死者が出てしまう。果たして作戦は上手くいくのか、そして裏切り者の正体とは?

『ナヴァロンの要塞』は「実は本格ミステリ」な話でしたが、『荒鷲の要塞』は最初っから本格ミステリです。なんつっても連続殺人なのです。
そして、脱落者が出つつもチームで何かミッションを成し遂げる的な王道冒険小説かと思いきや、チーム内に全然結束はないわ、すぐゲシュタポに捕まるわ、そもそも全然作戦が順調じゃないわ、そもそもそもそも作戦が何なのかよく分からないわで、とりあえず全然違うことが分かります。上記のあらすじの内容も、実は途中までで、後半ははっきり言って別物です。極端なことを言えば、作戦自体ががらっと変化するのです。
一方、これまで読んだマクリーンのようなシビアさとか非情さはあまりなく、窮地をいかに脱するか、試行錯誤しミッションをこなしていく様を安心して眺める、という感じ(後日語ったところによれば、なんて地の文を入れちゃうし)。出来レースではあるけど絶体絶命感はしっかりあるので、冒険小説としての出来栄えには全く問題ありません。誰もミスしない/足引っ張らないタイプの冒険小説っていうだけで、もうね、好き。

しかしそれよりも見るべきは、誰が味方で誰が敵なのか、何の目的で彼らは行動しているのかがなかなか見えてこないサスペンス部分。仲間内に裏切り者がいることは最初から明かされているし、主人公らしきキャラクター、スミス少佐に別の目的があることも最初からほのめかされているのです。
一人ずつ脱落していくのかと思いきや中盤から展開がガラッと変わるし、ラスト100ページは物語の見え方そのものが大きく揺れるレベルのどんでん返しが連発します。緻密ではないけどいちいち伏線的なものも示されるので、やはりマクリーンの本格ミステリ読者に訴える力の強さはえげつないことでありますよ(ラストのやつとか何であんなにロジカルなんじゃ)。心理描写が少なく、アクションと会話文が多いのも、解説にあるように映画のために書かれたというのもあるんでしょうが、要するに地の文で嘘をつかないためのテクニックのように思えます。

そんな中で、キャラ小説としての立て方がまた絶妙。特に、国籍混合の部隊の中で、軽口いけいけアメリカ人シェイファーの癒しっぷりが完璧です。『ナヴァロン』のフケツのミラーポジションなのですが、もっといい味出しています。何しろ主人公食ってるし。

というわけで、アリステア・マクリーンの初期作はやはり期待を裏切りませんでした。今度は本格ミステリっぷりが最も出ているという『北極基地/潜航作戦』を読んでみます。

原 題:Where Eagles Dare(1967)
書 名:荒鷲の要塞
著 者:アリステア・マクリーン Alistair MacLean
訳 者:平井イサク
出版社:早川書房
     ハヤカワ文庫NV マ-1-11
出版年:1977.12.31 1刷
     1986.06.30 7刷

評価★★★★☆

『智勝寺殺人事件 大谷本部長捜査シリーズ①』ジェイムズ・メルヴィル - 2017.07.16 Sun

メルヴィル,ジェイムズ
智勝寺殺人事件
『智勝寺殺人事件 大谷本部長捜査シリーズ①』ジェイムズ・メルヴィル(C★NOVELS)

智勝寺で禅の修行をしている外国人の一人ディロンから、誰かが自分のスーツケースに麻薬を入れたという通報が兵庫県警に入った。自ら調査しようと大谷本部長が乗り出すが、麻薬は偽物だった。ところが、当のディロンは殺害されてしまう。関係者を尋問中に、見張りをまいて住職の岡本が逃亡する。岡本は神戸の暴力団と接触し、またその事実を警察に密告する者まで現れる。一方、赤軍派が寺の外国人の同志を奪還しようと、寺を襲撃し炎上させてしまう。事件はますます複雑になり、CIAがからんでいたり、外務省がかかわってきたりする……(本書あらすじより)

『青鉛筆の女』以降、外国人が書いた日本人(日系人)、というテーマで本を読んでいるのですが、次はこちら、もう表紙も名前もやばそうな雰囲気が漂うこちらです。あらすじの「かかわってきたりする……」の部分が好きです。ちなみにこのシリーズ、地味に邦訳は3作出ています。
ちょっと面白い(ネタ的にも)、くらいの気持ちで最初は読んでいたのですが、勘違いでした。これはひどい……ひどすぎた……今年ワーストなのでは……。

外国人が禅修行のために宿泊している智勝寺で、麻薬絡みの事件と殺人が発生した。大谷本部長自ら捜査に赴くが、ヤクザ、赤軍、外務省など様々な団体の介入により事件は複雑化し……。
読み心地は完全に昭和ノベルス。日本描写が親切丁寧超濃厚(正確)だったり、いきなりのベッドシーンがあったりで、ペーパーバックの大衆小説感もすごいです。

欧米人が楽しめるよう、やたらとふんだんに日本描写が挿入される(大谷本部長がお昼ごはんのお弁当で味付けのりを袋から出すとかまで書いてある)のが中盤以降まだるっこしい、とかは、あくまで欧米人読者を意識してのことなので仕方がないと思います。それはわかります。ひどいのはそういうところではありません。
作者のジェイムズ・メルヴィルは日本に長く住んでいたこともあるようで、その点の怪しさというか、変な日本描写などはありません。読んでいて日本人が書いたかと勘違いするレベル。翻訳ミステリについて大谷本部長が考えたりするシーンとか、いかにも海外ミステリ好きが書いた日本人の書いた小説みたい。おかしな日本描写も違和感もないので、そういう点ではむしろ全然ネタにならないとすら言えます。

あと濡れ場が多いのですが、本筋とほぼ関係のなかったレズビアンカップルだとか、大谷本部長ですら奥さんと作中で2回もいたしていることだとか、そのへんも大衆小説ということで許します。なぜか随所にアメリカ人女性(白人、32歳)とアメリカ人女性(黒人、27歳)の百合シーンが挿入されて、いったい作者が何をしたいのかただただ困惑しますが、まぁそれも良しとします。とはいえ、とりあえずエロいシーンを入れれば読者は喜ぶだろうという作者の浅はかな考えが感じられます。作者はカーター・ブラウンを見習ってください。

そういうこの本のネタっぽいところとか全部抜きにして、なぜダメかというと、単純に話がダメすぎなのです。禅寺をめぐる陰謀を大風呂敷を広げすぎたあげく散らかしたまま終わってしまうという完全な放置プレイ。複雑なようでただ散らかっているだけなので、陰謀が何だったのかすらピンときません。どんでん返し下手か。
禅寺とかヤクザとか日本要素っぽいのでごまかしているけど、これは単純に小説として酷いでしょ……雑かよ……犯人これでいいのかよ……あいつの意外な正体とかめちゃどうでもいいよ……お前の意外な正体と目的も無理矢理すぎるよ……。

というわけで、各位におかれましては、ぜひとも読んでいただき感想を共有したく存じます。自分はもうこのシリーズに何の期待も抱いていないのですが、ひとまず頑張ってシリーズ2作目を古本屋で探します。光文社文庫から出ているロンドン警視庁特派捜査官シリーズも地雷臭がすごいのでいずれチャレンジ……するか……。

原 題:The Wages of Zen(1979)
書 名:智勝寺殺人事件 大谷本部長捜査シリーズ①
著 者:ジェイムズ・メルヴィル James Melville
訳 者:田中昌太郎
出版社:中央公論社
     C★NOVELS f-6
訳 者:1983.08.25 初版

評価★★☆☆☆

『天皇の密偵 ミスター・モトの冒険』ジョン・P・マーカンド - 2017.07.11 Tue

マーカンド,ジョン・P
天皇の密偵
『天皇の密偵 ミスター・モトの冒険』ジョン・P・マーカンド(角川文庫)

カルビン・ゲーツがその日本人と初めて会ったのは、釜山へ向かう連絡船の上だった。常に微笑を浮かべ、やたらに”アイム・ソーリー”を連発する、慇懃無礼な男だった。男の名前はⅠ・A・モト。柔和な外見の下にカミソリのような頭脳を隠し、小柄な体に恐るべき柔術の業を秘めた、日本No.1の秘密情報部員である。
時代は、日本が中国侵略に乗りだした昭和10年代。ゲーツがひそかに目指すのは、今まさにキナ臭さを増し始めた中国奥地であった。そして同じ車中には、これまた秘密の匂いのするアメリカ娘と、同行のロシア人、その3人から監視の眼を離さないミスター・モト。旅の進展とともに明らかになる、大がかりな国際謀略とは?(本書あらすじより)

『青鉛筆の女』に第二次世界大戦中の日系人が出てきたので、この本を読むタイミングは今しかない!と思い読んでみました。結構面白いんです、これが。

時は1937年。とある目的からモンゴルへ旅に出たアメリカ人男性ゲーツは、道中で謎の日本人男性ミスター・モトに出会う。気付けばゲーツはシガレット・ケースをめぐる日本、ロシア、中国、モンゴルの駆け引きに巻き込まれてしまうのだが……というお話。

とにかくべらぼうに書き込み・時代背景描写が上手いです。日本の天皇と軍部の対立、ロシアの動向、1937年の日本の支配下にある中国・朝鮮の様子などがしっかりと描かれていて、普通に勉強になります。欧米人の描く「日本人物」としての違和感もほぼ感じませんでした。1938年にこれを書けるって相当すごいと思います。
ミスター・モトが読む前に予想していたほどデフォルメ日本人っぽくないのが興味深いですね。笑みを絶やすことなく、ただし圧力は十分かけるめちゃくちゃ立ち回りの上手い政府高官、という感じ。あらすじにあるような武術面は特に披露されませんでしたね。全て主人公の白人ゲーツ視点で描かれるのはチャーリー・チャンと同様です。そういえば本書に登場する白人は、日本人や中国人などをきちんと見分けているんですが、これも結構珍しい気がします。
ゲーツがモンゴルを目指す動機や、各国の策略の入り乱れる終盤など、古き良きスパイ物としてのストーリー性も十分。ミスター・モトの、一見日本に不利なことを目論んでいるかと思われる行動に対するホワイはやや腰砕けでしたが、これだけ複雑な諜報戦を描けているんだから仕方ないかなと。

期待をはるかに上回る内容で、なるほどこれはチャーリー・チャンとセットで語られるなぁと。似ているんですよね、雰囲気とか、ちょっとした男女の駆け引きなんかを添えている点とかが。『サンキュー、ミスター・モト』も評判良いので読んでみます。
それと『青鉛筆の女』で言及されていた1942年発表のシリーズ第5作も気になるところですが……論創海外ミステリさん、頑張ってくれないかな……。第二次世界大戦中に発表されたミスター・モトシリーズだそうで、どうモトを扱っているかが気になります。

原 題:Mr.Moto Is So Sorry(1938)
書 名:天皇の密偵 ミスター・モトの冒険
著 者:ジョン・P・マーカンド John P. Marquand
訳 者:新庄哲夫
出版社:角川書店
     角川文庫 赤545-1
出版年:1981.02.28 初版

評価★★★★☆

『青鉛筆の女』ゴードン・マカルパイン - 2017.07.08 Sat

マカルパイン,ゴードン
青鉛筆の女
『青鉛筆の女』ゴードン・マカルパイン(創元推理文庫)

2014年カリフォルニアで解体予定の家から発見された貴重品箱。そのなかには三つのものが入っていた。1945年に刊行されたパルプ・スリラー。編集者からの手紙。そして、軍支給の便箋に書かれた『改訂版』と題された原稿……。開戦で反日感情が高まるなか、作家デビューを望んだ日系青年と、編集者のあいだに何が起きたのか? 驚愕の結末が待ち受ける、凝りに凝った長編ミステリ!(本書あらすじより)

千葉読書会のために読んだ本です。いやこれ、発売前から気になっていたんですよ(ゲラ版モニターも申し込んで落ちたし)。おまけに帯に踊る文字が「書籍・手紙・原稿で構成される三重構造の驚異のミステリ」「MWA候補の超絶技巧ミステリ」ですよ。もう期待せざるを得ないのです。
……と思っていざ読み始めたら、知り合いの国内ミステリ読み系女子Oさんがこう言うのです。

「作中作で面白かったミステリ、一度も読んだことないんだけど」

ななな、何てことを言うんですか。仮にもO女史は国内ミステリ読み系女子でしょうが。そんなこと言うと、えーと自分は海外ミステリ読み系男子だからよく分からないけど、アレとかアレとか、あちこちに喧嘩を売るんじゃないですか。いい加減にしてください。

読みました。

O女史「どうだった?」
吉井「O女史の説は覆らなかったよ……」


やってることは面白いんだけど、全然驚かそうという気がない構成だったのが悲しいです。

あらすじはあまり知らずに読む方が良いかも。第二次世界大戦中に発売されたパルプ・スリラー、その編集者(=青鉛筆の女)から作者への手紙、そして謎の原稿、の3つが交互に登場します。

趣向が徐々に明らかになる序盤は非常に楽しいのです。「こっこれ、どういうこと?? 説明して!!」と思いながら読むのですが、当然それを作者が説明してくれるわけがありません。読みながら段々と読者がそれに気付いていき、仕掛けが分かった時に「そういうことか! すげぇ!」と面白さのピークを迎えます。
問題はそれが分かったあとなんですよ。特に謎の原稿の主人公スミダが介入し始めてからがすげぇ普通というか、ありきたりの域を出なすぎなんです(意図的に007みたいな王道を書こうとしているだけになおさら)。手紙部分の青鉛筆の女も不快。パルプ・スリラー風の物語を意図的に書いているんですが、そもそもパルプ・スリラーだって面白いものはもっと面白いぞ……結末も納得いかないし……。

結局作者はこの趣向を試したかっただけで、小説的な面白さをあまり追及していないんですよね。戦中アメリカの日系を扱っている点なども、結局趣向的に使いやすいからだけですし。差別など突っ込んで書けばいくらでも深くなりそうなのに、そうもならず、表面的であるのは否めません。総合的にはイマイチですし、とりあえずネタが気になる人だけ読めば十分かなと思います。

原 題:Woman With a Blue Pencil(2015)
書 名:青鉛筆の女
著 者:ゴードン・マカルパイン Gordon McAlpine
訳 者:古賀弥生
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 Mマ-27-1
出版年:2017.02.28 初版

評価★★★☆☆

『明日に賭ける』ウイリアム・P・マッギヴァーン - 2017.03.27 Mon

マッギヴァーン,ウィリアム・P
明日に賭ける
『明日に賭ける』ウイリアム・P・マッギヴァーン(ハヤカワ・ミステリ文庫)

失業中のスレイターに、ある日仕事の口がかかった。暗黒街に名の売れた職業的プランメーカーのノヴァクから、銀行強盗の片棒をかつがないか、と誘われたのだ。一方黒人の賭博師イングラムも、たちの悪い借金の代りに銀行強盗の一味に引きずりこまれた。冬近い霧の立ちこめる朝、四人の男たちがペンシルバニアの小さな田舎町に侵入した。完璧な計画――少なくとも20万ドルが易々と手に入るはずだった……一人の慧眼な保安官さえいなかったら。田舎町の銀行襲撃を背景に、白人と黒人の憎悪と愛情、人間性の悲劇を描く感動作!(本書あらすじより)

初マッギヴァーン。HM文庫はウィリアムじゃなくてウイリアムなんですね。
マッギヴァーンといえば悪徳警官ものだとか、ノワールの文脈でも読めるだとか、個人的にはあまりそそられない評価のイメージしかなかったのですが、この『明日に賭ける』(かつては入手困難作だったらしい)は傑作らしい……という話を聞いたのがかれこれ4年以上前。で、ようやく数ヶ月前に入手して、いざ読んでみたら、本当に、こう、なんだ、良い作品すぎました。こんなん泣くに決まってんじゃんかよ……。

銀行強盗を目論む4人の男と、その失敗から始まる逃走劇、という設定だけ見るとめちゃくちゃありふれています。ただ、主人公アール・スレイターのキャラ設定が絶妙なんですよね。第二次世界大戦での活躍を引きずり、高飛車で、話も聞かず、働きもせず(ヒモ)、怒りっぽく、黒人を心から毛嫌いしている、そんなドイヒーな野郎なのです。強盗団の黒人にのっけから人種差別バリバリ発言を吹っ掛け、殴りかかるという、本当に1ミリも好感を持てないやつなのです。余計な行動を取って強盗失敗の原因を作るなど、とにかくイライラさせられるのです。
対して敵役、つまり主人公を追い詰めていく老保安官のかっこいいこと。娘との関係に悩みながらも、人知れず町を守っている超優良保安官です。ジム・トンプスンの登場人物に見習わせたい。
だから結構読んでいて不快感がつのるわ、強盗の甘さにイライラするわで、前半は、なんだこのクライム・ノベルぶっ飛ばすぞ、みたいな気持ちだったのですが……もうね、強盗とかどうでも良かったね。その後の逃亡劇が本当に素晴らしいのです。

このドイヒーな主人公が、案の定強盗失敗後、強盗団の黒人イングラムと共に逃走することになります。最初はいがみ合っていた二人も、潜伏の中でだんだんと打ち解け、主人公スレイターも良いやつに……
って話ならまだ分かります。ちょっと違うんですよ。スレイターがほぼラスト近くまで嫌な奴のままなんですよ。だからこそ、この作品は傑作なのです。

作者マッギヴァーンが、たぶん良い人が好きなんでしょうね。地元で慕われる優秀な保安官のもとに、銀行強盗の捜査でFBIがやってきたら、普通対立するじゃないですか。しないんですよこれが。お互いにプロで、かつ微妙に人間としては欠点を持つ、そんな追う側の二人の物語としてもラストは感慨深いものとなっています。
ラストの展開も必要十分に感傷的で、かつ必要以上に悲惨じゃないのが良いです。現代でここまで大人しいクライム・ノベルは書かれないと思いますが、ここで描かれる救いにはやはりグッと来ます。書かれてはいない後日譚(医者の話とか)に自然と想像が膨らんでしまうような、そんな生き生きとした人間臭い登場人物たちがお見事。

というわけで、久々に名作読んだなぁという気分。マッギヴァーンは読まず嫌いでしたが、思ったより好きな作風のようです。読んでいこう。

原 題:Odds Against Tomorrow(1957)
書 名:明日に賭ける
著 者:ウイリアム・P・マッギヴァーン William P. McGivern
訳 者:峯岸久
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ文庫 29-3
出版年:1977.09.30 1刷

評価★★★★★

『ルシアナ・Bの緩慢なる死』ギジェルモ・マルティネス - 2017.02.11 Sat

マルティネス,ギジェルモ
ルシアナ・Bの緩慢なる死
『ルシアナ・Bの緩慢なる死』ギジェルモ・マルティネス(扶桑社ミステリー)

ある日曜日、作家である「私」の元に一本の電話がかかる。10年ぶりに聞くその声の主はルシアナ。有能な美貌のタイピストだった彼女は、いま命の危険を訴え彼に切実に助けを求めていた。この10年の間に彼女を襲った、近親者の相次ぐ不自然な死亡事故。しかし彼女は確信していた。一見無関係に見えるそれぞれの死の背後で、一人の偉大な作家が糸をひいていることを……。想像を凌駕する驚愕の展開。『オックスフォード連続殺人』の著者が贈る、罪と罰をめぐる究極のメタミステリー。(本書あらすじより)

皆さんは覚えているでしょうか。アルゼンチン出身の作家が書き、翻訳当時日本でかなり話題となり、ジョン・ハートとイライジャ・ウッド主演で映画化もされてしまった『オックスフォード連続殺人』という作品を。
そして皆さんは覚えているでしょうか。その作者ギジェルモ・マルティネスの邦訳第2作として出版されるも、まったく話題にならずに消えていった『ルシアナ・Bの緩慢なる死』という作品を。

……というわけで、ついに読みましたマルティネスの2作目。『オックスフォード連続殺人』を読んだの高2の時ですよ。どんだけ前の話だよ。ちなみに偉そうに書きましたが映画観てませんし、出版当時の話題っぷりは知りません。
大作家クロステルに家族や恋人を次々と殺されていると主張する女性ルシアナをめぐる状況を描いたサスペンスで、決してダメとは言いませんし、狙いもよく分かるんですが、とはいえめちゃくちゃモヤモヤする上にあんまり面白くないという何とも言い難い作品です。出来の悪いボアナルみたい。

全体としてサスペンスなのにもかかわらず盛り上がらないのは、話の9割がルシアナとクロステルと回想だからでしょうか。現在進行形の話は、ほぼラストだけ。だから、そういう作風とはいえどうにも動きがありません。
また、これが作者の狙いだというのを分かった上でも、このモヤモヤ感が……。クロステルが「1対7」で復讐をしている、というこの数字にすらモヤモヤするし、真相はたぶんああだろうなと思ってもやっぱりモヤモヤするし、そもそもルシアナ・Bの名字を最後まで明かさない理由も分からないし。『オックスフォード連続殺人』と重ねて考えてみると、作者の数学者らしい要素というか、好きな要素が見えてきて興味深くはあります。

というわけで、まぁ話題にならないよなぁ。『オックスフォード連続殺人』はゴリゴリの本格ミステリだったので、どうしても期待と違うというのもあるかもしれませんが、そうでなくともそもそもイマイチな気がします。っていうかこの人の他の作品ってどういうのなんだろう……全然予想がつかないんだけど……。

原 題:La muerte lenta de Luciana B.(2007)
書 名:ルシアナ・Bの緩慢なる死
著 者:ギジェルモ・マルティネス Guillermo Martínez
訳 者:和泉圭亮
出版社:扶桑社
     扶桑社ミステリー マ-25-2
出版年:2009.06.30 1刷

評価★★★☆☆

『地下組織ナーダ』J・P・マンシェット - 2017.01.09 Mon

マンシェット,J・P
地下組織ナーダ
『地下組織ナーダ』J・P・マンシェット(ハヤカワ・ミステリ)

頭を撃ち抜かれ、オートバイごと道路に叩きつけられながらも、警官は誘拐団の運転手役の男に銃口を向けて狙いをつけた。アナキストの悪党め、一発でしとめてやる……。だが、相手はいやにゆっくりと拳銃をポケットにしまうと、アルミニューム製のパチンコを取り出しはじめた。鋼鉄の球をひっかけて、ゴムを引きしぼる――冗談じゃない。中世の戦争じゃあるまいし、石投器で向かってきやがる――その時、はねかえるゴムの音が唸った。鋼鉄の球は官給のヘルメットをあっさり突き通した。警官はがっくりと首を前に折る。すでに死んでいた……。
一匹狼の殺し屋エポラールは政治運動とまんざら縁がなかったわけではない。アルジェ、キューバと渡り歩き、革命家と行動をともにしてきた。しかし、つねに金儲けが第一であり、負ける戦いは避けるのが信条だった。そんな彼が、アルジェ時代の戦友ブエナベントゥーラの指揮する過激派グループ“ナーダ”に参加したのは、彼自身にも理解できない衝動からだった。四人の男と謎の女カッシュが準備を進めていたのは、駐仏アメリカ大使の誘拐計画――勝ち目の薄い戦いだ。だが、寒い金曜日の夜半、“ナーダ”は襲撃を開始した……!
強烈なスピード感とユニークな文体で描く暴力の世界。絶大な人気を博す新・暗黒小説の若き鬼才の第二段!(本書あらすじより)

マケプレオーバー2000月間、8冊目です(まだ去年に読んだ本の感想を書いている)。なるほど、ポケミスのそっち系のフランス・ミステリか。
左も左のアナキストたちがアメリカ大使を誘拐しようとする様を、徹底的にそのアナキスト側に立って描いた作品。敵対するゴエモン警部がクソオブクソの非情さを見せるので、必然的に主人公たちのある種の目的のない正義が現れるのです。……が、読んでいて思うのはそういうことじゃないんですよ。
時代の閉塞感に不満を覚えた主人公たちの行動は、正直やけっぱちで、行動を起こそことにこそ意味があるように見えます。そこに表面には現れていない狂気が見え隠れしているように思えてしまいます(アナキストの一人の妻が精神病だったりするのもそう)。淡々と、短い章をたくさんつなぎながら、どうにもならない状況でもがく男たちの死に様(失敗することは最初に示されてる)が提示されます。時代だなぁ(語彙不足)。

同じポケミスのフランシス・リックの『危険な道づれ』の空気感と非常に近いかもしれません。まぁ『危険な道づれ』の方が変な作品ですが、『地下組織ナーダ』もやっぱり書き方がおかしくて、時系列の前後の仕方が章ごとどころか章の中でもずれたり前後したりするので読んでいて妙な感じになります。でもそれはそれで違和感がないってのがある意味すごい。
ただ、この系統のフランス・ミステリってそんなに好みじゃないんだよなぁ。ノワールの中でも、『おれは暗黒小説だ』とかの方が勢いと変なユーモアがって好きというか。救いのない、ユーモアもない、シリアスなフランス・ミステリのエグさってすごいものがありますよね……。

ところで話は変わりますが、作中でキャモンベールなるものをパンに挟んで食べていてなんじゃそらと思ったのですが、もしかしてこれカマンベールのこと?

原 題:Nada(1972)
書 名:地下組織ナーダ
著 者:J・P・マンシェット J.P. Manchette
訳 者:岡村孝一
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ 1241
出版年:1975.04.30 1刷

評価★★★☆☆

『ささやく真実』ヘレン・マクロイ - 2016.11.10 Thu

マクロイ,ヘレン
ささやく真実
『ささやく真実』ヘレン・マクロイ(創元推理文庫)

悪趣味ないたずらで、周囲に騒動をもたらす美女クローディア。彼女は知人の研究室から盗みだした強力な自白剤を、自宅のパーティーで飲みものに混ぜてふるまい、宴を暴露大会に変えてしまう。その代償か、夜の終わりに彼女は何者かに殺害された……! 精神科医ウィリング博士が、意外な手がかりをもとに指摘する真犯人は? マクロイ屈指の謎解き純度を誇る、傑作本格ミステリ。(本書あらすじより)

世の中には合わない作家というのがいるもので、自分にとってヘレン・マクロイはその筆頭です。しかしかれこれ3年も遠ざかっていたので、このままだと読まず嫌いになりかねない、ということで意を決して手に取ってみました。
で、やっぱりこう、楽しめたかというと微妙なんですが、とりあえず無の気持ちで読み終わることは出来ました(どういうことだ)。既読マクロイの中では『家蝿とカナリア』が一番嫌いじゃないという人間なので、純本格寄りである同じ初期作品として自分の好みに近かったというのもありそうです。

パーティーの主催者クローディアのいたずらによって強力な自白剤がカクテルに混入され、大混乱に陥る……という冒頭は、愛憎乱れあう人間関係を書かせりゃ天下一品のマクロイにぴったりな設定です。暴露大会と化したパーティーの一番いいところで屋敷の様子を描くのをやめてしまい、あとはウィリング博士視点にする、という構成は、いったいパーティーはその後どうなったのかと読者に期待させるという意味では悪くないんですが、だったらもっと捜査でそこを焦点にすればいいのにと思わなくもありません(最強の自白剤というキレキレなアイテムの中途半端な用い方がちょっとダサい)。
いつも通り鼻持ちならないウィリング博士によって死んだクローディアの性格がほどほどに明らかにされた後、とある大きなミスディレクションをひっさげて真相解明となります。正直なところ、一番の決め手が綱渡りどころかバレバレ過ぎるという大きな問題点がありまして、問答無用で犯人がすぐ分かっちゃうんですよね……。
ミスディレクションとか、上げて下げるようなオチとかって、合うときは合うんですけど、合わないときは徹底的に「何だその肩透かしは」となっちゃうじゃないですか。どういうモチベーションでのぞめばいいのかしらん(『ささやく真実』については、ある点をかなり証拠立てて掘り下げていくのが、結構良いとは思います)。

というわけで、うん、また3年くらいしたらマクロイ読もうかな……。どうも今年のマクロイだと『二人のウィリング』の方が評価高めっぽいので、読むのを間違えたかなという気がしなくもありません。なんかやっぱりマクロイの語りって肌に合わないんだけど、なぜなんだろう……駒月さんの翻訳は、他作家だとすごい好きなんですけどね。

原 題:The Deadly Truth(1941)
書 名:ささやく真実
著 者:ヘレン・マクロイ Helen McCloy
訳 者:駒月雅子
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 Mマ-12-9
出版年:2016.08.31 初版

評価★★★☆☆

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クリスティ、デクスター、グライムズ、ディヴァインが好きな、ヨッシーことTYこと吉井富房を名乗る遅読の新社会人が、日々読み散らかした海外ミステリ(古典と現代が半々くらい)を紹介する趣味のブログです。ブログ開始から7年になりました。ちなみにブログ名は、某テンドーのカラフル怪獣とは全く関係ありません。
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