智勝寺殺人事件
『智勝寺殺人事件 大谷本部長捜査シリーズ①』ジェイムズ・メルヴィル(C★NOVELS)

智勝寺で禅の修行をしている外国人の一人ディロンから、誰かが自分のスーツケースに麻薬を入れたという通報が兵庫県警に入った。自ら調査しようと大谷本部長が乗り出すが、麻薬は偽物だった。ところが、当のディロンは殺害されてしまう。関係者を尋問中に、見張りをまいて住職の岡本が逃亡する。岡本は神戸の暴力団と接触し、またその事実を警察に密告する者まで現れる。一方、赤軍派が寺の外国人の同志を奪還しようと、寺を襲撃し炎上させてしまう。事件はますます複雑になり、CIAがからんでいたり、外務省がかかわってきたりする……(本書あらすじより)

『青鉛筆の女』以降、外国人が書いた日本人(日系人)、というテーマで本を読んでいるのですが、次はこちら、もう表紙も名前もやばそうな雰囲気が漂うこちらです。あらすじの「かかわってきたりする……」の部分が好きです。ちなみにこのシリーズ、地味に邦訳は3作出ています。
ちょっと面白い(ネタ的にも)、くらいの気持ちで最初は読んでいたのですが、勘違いでした。これはひどい……ひどすぎた……今年ワーストなのでは……。

外国人が禅修行のために宿泊している智勝寺で、麻薬絡みの事件と殺人が発生した。大谷本部長自ら捜査に赴くが、ヤクザ、赤軍、外務省など様々な団体の介入により事件は複雑化し……。
読み心地は完全に昭和ノベルス。日本描写が親切丁寧超濃厚(正確)だったり、いきなりのベッドシーンがあったりで、ペーパーバックの大衆小説感もすごいです。

欧米人が楽しめるよう、やたらとふんだんに日本描写が挿入される(大谷本部長がお昼ごはんのお弁当で味付けのりを袋から出すとかまで書いてある)のが中盤以降まだるっこしい、とかは、あくまで欧米人読者を意識してのことなので仕方がないと思います。それはわかります。ひどいのはそういうところではありません。
作者のジェイムズ・メルヴィルは日本に長く住んでいたこともあるようで、その点の怪しさというか、変な日本描写などはありません。読んでいて日本人が書いたかと勘違いするレベル。翻訳ミステリについて大谷本部長が考えたりするシーンとか、いかにも海外ミステリ好きが書いた日本人の書いた小説みたい。おかしな日本描写も違和感もないので、そういう点ではむしろ全然ネタにならないとすら言えます。

あと濡れ場が多いのですが、本筋とほぼ関係のなかったレズビアンカップルだとか、大谷本部長ですら奥さんと作中で2回もいたしていることだとか、そのへんも大衆小説ということで許します。なぜか随所にアメリカ人女性(白人、32歳)とアメリカ人女性(黒人、27歳)の百合シーンが挿入されて、いったい作者が何をしたいのかただただ困惑しますが、まぁそれも良しとします。とはいえ、とりあえずエロいシーンを入れれば読者は喜ぶだろうという作者の浅はかな考えが感じられます。作者はカーター・ブラウンを見習ってください。

そういうこの本のネタっぽいところとか全部抜きにして、なぜダメかというと、単純に話がダメすぎなのです。禅寺をめぐる陰謀を大風呂敷を広げすぎたあげく散らかしたまま終わってしまうという完全な放置プレイ。複雑なようでただ散らかっているだけなので、陰謀が何だったのかすらピンときません。どんでん返し下手か。
禅寺とかヤクザとか日本要素っぽいのでごまかしているけど、これは単純に小説として酷いでしょ……雑かよ……犯人これでいいのかよ……あいつの意外な正体とかめちゃどうでもいいよ……お前の意外な正体と目的も無理矢理すぎるよ……。

というわけで、各位におかれましては、ぜひとも読んでいただき感想を共有したく存じます。自分はもうこのシリーズに何の期待も抱いていないのですが、ひとまず頑張ってシリーズ2作目を古本屋で探します。光文社文庫から出ているロンドン警視庁特派捜査官シリーズも地雷臭がすごいのでいずれチャレンジ……するか……。

原 題:The Wages of Zen(1979)
書 名:智勝寺殺人事件 大谷本部長捜査シリーズ①
著 者:ジェイムズ・メルヴィル James Melville
訳 者:田中昌太郎
出版社:中央公論社
     C★NOVELS f-6
訳 者:1983.08.25 初版

評価★★☆☆☆
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天皇の密偵
『天皇の密偵 ミスター・モトの冒険』ジョン・P・マーカンド(角川文庫)

カルビン・ゲーツがその日本人と初めて会ったのは、釜山へ向かう連絡船の上だった。常に微笑を浮かべ、やたらに”アイム・ソーリー”を連発する、慇懃無礼な男だった。男の名前はⅠ・A・モト。柔和な外見の下にカミソリのような頭脳を隠し、小柄な体に恐るべき柔術の業を秘めた、日本No.1の秘密情報部員である。
時代は、日本が中国侵略に乗りだした昭和10年代。ゲーツがひそかに目指すのは、今まさにキナ臭さを増し始めた中国奥地であった。そして同じ車中には、これまた秘密の匂いのするアメリカ娘と、同行のロシア人、その3人から監視の眼を離さないミスター・モト。旅の進展とともに明らかになる、大がかりな国際謀略とは?(本書あらすじより)

『青鉛筆の女』に第二次世界大戦中の日系人が出てきたので、この本を読むタイミングは今しかない!と思い読んでみました。結構面白いんです、これが。

時は1937年。とある目的からモンゴルへ旅に出たアメリカ人男性ゲーツは、道中で謎の日本人男性ミスター・モトに出会う。気付けばゲーツはシガレット・ケースをめぐる日本、ロシア、中国、モンゴルの駆け引きに巻き込まれてしまうのだが……というお話。

とにかくべらぼうに書き込み・時代背景描写が上手いです。日本の天皇と軍部の対立、ロシアの動向、1937年の日本の支配下にある中国・朝鮮の様子などがしっかりと描かれていて、普通に勉強になります。欧米人の描く「日本人物」としての違和感もほぼ感じませんでした。1938年にこれを書けるって相当すごいと思います。
ミスター・モトが読む前に予想していたほどデフォルメ日本人っぽくないのが興味深いですね。笑みを絶やすことなく、ただし圧力は十分かけるめちゃくちゃ立ち回りの上手い政府高官、という感じ。あらすじにあるような武術面は特に披露されませんでしたね。全て主人公の白人ゲーツ視点で描かれるのはチャーリー・チャンと同様です。そういえば本書に登場する白人は、日本人や中国人などをきちんと見分けているんですが、これも結構珍しい気がします。
ゲーツがモンゴルを目指す動機や、各国の策略の入り乱れる終盤など、古き良きスパイ物としてのストーリー性も十分。ミスター・モトの、一見日本に不利なことを目論んでいるかと思われる行動に対するホワイはやや腰砕けでしたが、これだけ複雑な諜報戦を描けているんだから仕方ないかなと。

期待をはるかに上回る内容で、なるほどこれはチャーリー・チャンとセットで語られるなぁと。似ているんですよね、雰囲気とか、ちょっとした男女の駆け引きなんかを添えている点とかが。『サンキュー、ミスター・モト』も評判良いので読んでみます。
それと『青鉛筆の女』で言及されていた1942年発表のシリーズ第5作も気になるところですが……論創海外ミステリさん、頑張ってくれないかな……。第二次世界大戦中に発表されたミスター・モトシリーズだそうで、どうモトを扱っているかが気になります。

原 題:Mr.Moto Is So Sorry(1938)
書 名:天皇の密偵 ミスター・モトの冒険
著 者:ジョン・P・マーカンド John P. Marquand
訳 者:新庄哲夫
出版社:角川書店
     角川文庫 赤545-1
出版年:1981.02.28 初版

評価★★★★☆
青鉛筆の女
『青鉛筆の女』ゴードン・マカルパイン(創元推理文庫)

2014年カリフォルニアで解体予定の家から発見された貴重品箱。そのなかには三つのものが入っていた。1945年に刊行されたパルプ・スリラー。編集者からの手紙。そして、軍支給の便箋に書かれた『改訂版』と題された原稿……。開戦で反日感情が高まるなか、作家デビューを望んだ日系青年と、編集者のあいだに何が起きたのか? 驚愕の結末が待ち受ける、凝りに凝った長編ミステリ!(本書あらすじより)

千葉読書会のために読んだ本です。いやこれ、発売前から気になっていたんですよ(ゲラ版モニターも申し込んで落ちたし)。おまけに帯に踊る文字が「書籍・手紙・原稿で構成される三重構造の驚異のミステリ」「MWA候補の超絶技巧ミステリ」ですよ。もう期待せざるを得ないのです。
……と思っていざ読み始めたら、知り合いの国内ミステリ読み系女子Oさんがこう言うのです。

「作中作で面白かったミステリ、一度も読んだことないんだけど」

ななな、何てことを言うんですか。仮にもO女史は国内ミステリ読み系女子でしょうが。そんなこと言うと、えーと自分は海外ミステリ読み系男子だからよく分からないけど、アレとかアレとか、あちこちに喧嘩を売るんじゃないですか。いい加減にしてください。

読みました。

O女史「どうだった?」
吉井「O女史の説は覆らなかったよ……」


やってることは面白いんだけど、全然驚かそうという気がない構成だったのが悲しいです。

あらすじはあまり知らずに読む方が良いかも。第二次世界大戦中に発売されたパルプ・スリラー、その編集者(=青鉛筆の女)から作者への手紙、そして謎の原稿、の3つが交互に登場します。

趣向が徐々に明らかになる序盤は非常に楽しいのです。「こっこれ、どういうこと?? 説明して!!」と思いながら読むのですが、当然それを作者が説明してくれるわけがありません。読みながら段々と読者がそれに気付いていき、仕掛けが分かった時に「そういうことか! すげぇ!」と面白さのピークを迎えます。
問題はそれが分かったあとなんですよ。特に謎の原稿の主人公スミダが介入し始めてからがすげぇ普通というか、ありきたりの域を出なすぎなんです(意図的に007みたいな王道を書こうとしているだけになおさら)。手紙部分の青鉛筆の女も不快。パルプ・スリラー風の物語を意図的に書いているんですが、そもそもパルプ・スリラーだって面白いものはもっと面白いぞ……結末も納得いかないし……。

結局作者はこの趣向を試したかっただけで、小説的な面白さをあまり追及していないんですよね。戦中アメリカの日系を扱っている点なども、結局趣向的に使いやすいからだけですし。差別など突っ込んで書けばいくらでも深くなりそうなのに、そうもならず、表面的であるのは否めません。総合的にはイマイチですし、とりあえずネタが気になる人だけ読めば十分かなと思います。

原 題:Woman With a Blue Pencil(2015)
書 名:青鉛筆の女
著 者:ゴードン・マカルパイン Gordon McAlpine
訳 者:古賀弥生
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 Mマ-27-1
出版年:2017.02.28 初版

評価★★★☆☆
明日に賭ける
『明日に賭ける』ウイリアム・P・マッギヴァーン(ハヤカワ・ミステリ文庫)

失業中のスレイターに、ある日仕事の口がかかった。暗黒街に名の売れた職業的プランメーカーのノヴァクから、銀行強盗の片棒をかつがないか、と誘われたのだ。一方黒人の賭博師イングラムも、たちの悪い借金の代りに銀行強盗の一味に引きずりこまれた。冬近い霧の立ちこめる朝、四人の男たちがペンシルバニアの小さな田舎町に侵入した。完璧な計画――少なくとも20万ドルが易々と手に入るはずだった……一人の慧眼な保安官さえいなかったら。田舎町の銀行襲撃を背景に、白人と黒人の憎悪と愛情、人間性の悲劇を描く感動作!(本書あらすじより)

初マッギヴァーン。HM文庫はウィリアムじゃなくてウイリアムなんですね。
マッギヴァーンといえば悪徳警官ものだとか、ノワールの文脈でも読めるだとか、個人的にはあまりそそられない評価のイメージしかなかったのですが、この『明日に賭ける』(かつては入手困難作だったらしい)は傑作らしい……という話を聞いたのがかれこれ4年以上前。で、ようやく数ヶ月前に入手して、いざ読んでみたら、本当に、こう、なんだ、良い作品すぎました。こんなん泣くに決まってんじゃんかよ……。

銀行強盗を目論む4人の男と、その失敗から始まる逃走劇、という設定だけ見るとめちゃくちゃありふれています。ただ、主人公アール・スレイターのキャラ設定が絶妙なんですよね。第二次世界大戦での活躍を引きずり、高飛車で、話も聞かず、働きもせず(ヒモ)、怒りっぽく、黒人を心から毛嫌いしている、そんなドイヒーな野郎なのです。強盗団の黒人にのっけから人種差別バリバリ発言を吹っ掛け、殴りかかるという、本当に1ミリも好感を持てないやつなのです。余計な行動を取って強盗失敗の原因を作るなど、とにかくイライラさせられるのです。
対して敵役、つまり主人公を追い詰めていく老保安官のかっこいいこと。娘との関係に悩みながらも、人知れず町を守っている超優良保安官です。ジム・トンプスンの登場人物に見習わせたい。
だから結構読んでいて不快感がつのるわ、強盗の甘さにイライラするわで、前半は、なんだこのクライム・ノベルぶっ飛ばすぞ、みたいな気持ちだったのですが……もうね、強盗とかどうでも良かったね。その後の逃亡劇が本当に素晴らしいのです。

このドイヒーな主人公が、案の定強盗失敗後、強盗団の黒人イングラムと共に逃走することになります。最初はいがみ合っていた二人も、潜伏の中でだんだんと打ち解け、主人公スレイターも良いやつに……
って話ならまだ分かります。ちょっと違うんですよ。スレイターがほぼラスト近くまで嫌な奴のままなんですよ。だからこそ、この作品は傑作なのです。

作者マッギヴァーンが、たぶん良い人が好きなんでしょうね。地元で慕われる優秀な保安官のもとに、銀行強盗の捜査でFBIがやってきたら、普通対立するじゃないですか。しないんですよこれが。お互いにプロで、かつ微妙に人間としては欠点を持つ、そんな追う側の二人の物語としてもラストは感慨深いものとなっています。
ラストの展開も必要十分に感傷的で、かつ必要以上に悲惨じゃないのが良いです。現代でここまで大人しいクライム・ノベルは書かれないと思いますが、ここで描かれる救いにはやはりグッと来ます。書かれてはいない後日譚(医者の話とか)に自然と想像が膨らんでしまうような、そんな生き生きとした人間臭い登場人物たちがお見事。

というわけで、久々に名作読んだなぁという気分。マッギヴァーンは読まず嫌いでしたが、思ったより好きな作風のようです。読んでいこう。

原 題:Odds Against Tomorrow(1957)
書 名:明日に賭ける
著 者:ウイリアム・P・マッギヴァーン William P. McGivern
訳 者:峯岸久
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ文庫 29-3
出版年:1977.09.30 1刷

評価★★★★★
ルシアナ・Bの緩慢なる死
『ルシアナ・Bの緩慢なる死』ギジェルモ・マルティネス(扶桑社ミステリー)

ある日曜日、作家である「私」の元に一本の電話がかかる。10年ぶりに聞くその声の主はルシアナ。有能な美貌のタイピストだった彼女は、いま命の危険を訴え彼に切実に助けを求めていた。この10年の間に彼女を襲った、近親者の相次ぐ不自然な死亡事故。しかし彼女は確信していた。一見無関係に見えるそれぞれの死の背後で、一人の偉大な作家が糸をひいていることを……。想像を凌駕する驚愕の展開。『オックスフォード連続殺人』の著者が贈る、罪と罰をめぐる究極のメタミステリー。(本書あらすじより)

皆さんは覚えているでしょうか。アルゼンチン出身の作家が書き、翻訳当時日本でかなり話題となり、ジョン・ハートとイライジャ・ウッド主演で映画化もされてしまった『オックスフォード連続殺人』という作品を。
そして皆さんは覚えているでしょうか。その作者ギジェルモ・マルティネスの邦訳第2作として出版されるも、まったく話題にならずに消えていった『ルシアナ・Bの緩慢なる死』という作品を。

……というわけで、ついに読みましたマルティネスの2作目。『オックスフォード連続殺人』を読んだの高2の時ですよ。どんだけ前の話だよ。ちなみに偉そうに書きましたが映画観てませんし、出版当時の話題っぷりは知りません。
大作家クロステルに家族や恋人を次々と殺されていると主張する女性ルシアナをめぐる状況を描いたサスペンスで、決してダメとは言いませんし、狙いもよく分かるんですが、とはいえめちゃくちゃモヤモヤする上にあんまり面白くないという何とも言い難い作品です。出来の悪いボアナルみたい。

全体としてサスペンスなのにもかかわらず盛り上がらないのは、話の9割がルシアナとクロステルと回想だからでしょうか。現在進行形の話は、ほぼラストだけ。だから、そういう作風とはいえどうにも動きがありません。
また、これが作者の狙いだというのを分かった上でも、このモヤモヤ感が……。クロステルが「1対7」で復讐をしている、というこの数字にすらモヤモヤするし、真相はたぶんああだろうなと思ってもやっぱりモヤモヤするし、そもそもルシアナ・Bの名字を最後まで明かさない理由も分からないし。『オックスフォード連続殺人』と重ねて考えてみると、作者の数学者らしい要素というか、好きな要素が見えてきて興味深くはあります。

というわけで、まぁ話題にならないよなぁ。『オックスフォード連続殺人』はゴリゴリの本格ミステリだったので、どうしても期待と違うというのもあるかもしれませんが、そうでなくともそもそもイマイチな気がします。っていうかこの人の他の作品ってどういうのなんだろう……全然予想がつかないんだけど……。

原 題:La muerte lenta de Luciana B.(2007)
書 名:ルシアナ・Bの緩慢なる死
著 者:ギジェルモ・マルティネス Guillermo Martínez
訳 者:和泉圭亮
出版社:扶桑社
     扶桑社ミステリー マ-25-2
出版年:2009.06.30 1刷

評価★★★☆☆
地下組織ナーダ
『地下組織ナーダ』J・P・マンシェット(ハヤカワ・ミステリ)

頭を撃ち抜かれ、オートバイごと道路に叩きつけられながらも、警官は誘拐団の運転手役の男に銃口を向けて狙いをつけた。アナキストの悪党め、一発でしとめてやる……。だが、相手はいやにゆっくりと拳銃をポケットにしまうと、アルミニューム製のパチンコを取り出しはじめた。鋼鉄の球をひっかけて、ゴムを引きしぼる――冗談じゃない。中世の戦争じゃあるまいし、石投器で向かってきやがる――その時、はねかえるゴムの音が唸った。鋼鉄の球は官給のヘルメットをあっさり突き通した。警官はがっくりと首を前に折る。すでに死んでいた……。
一匹狼の殺し屋エポラールは政治運動とまんざら縁がなかったわけではない。アルジェ、キューバと渡り歩き、革命家と行動をともにしてきた。しかし、つねに金儲けが第一であり、負ける戦いは避けるのが信条だった。そんな彼が、アルジェ時代の戦友ブエナベントゥーラの指揮する過激派グループ“ナーダ”に参加したのは、彼自身にも理解できない衝動からだった。四人の男と謎の女カッシュが準備を進めていたのは、駐仏アメリカ大使の誘拐計画――勝ち目の薄い戦いだ。だが、寒い金曜日の夜半、“ナーダ”は襲撃を開始した……!
強烈なスピード感とユニークな文体で描く暴力の世界。絶大な人気を博す新・暗黒小説の若き鬼才の第二段!(本書あらすじより)

マケプレオーバー2000月間、8冊目です(まだ去年に読んだ本の感想を書いている)。なるほど、ポケミスのそっち系のフランス・ミステリか。
左も左のアナキストたちがアメリカ大使を誘拐しようとする様を、徹底的にそのアナキスト側に立って描いた作品。敵対するゴエモン警部がクソオブクソの非情さを見せるので、必然的に主人公たちのある種の目的のない正義が現れるのです。……が、読んでいて思うのはそういうことじゃないんですよ。
時代の閉塞感に不満を覚えた主人公たちの行動は、正直やけっぱちで、行動を起こそことにこそ意味があるように見えます。そこに表面には現れていない狂気が見え隠れしているように思えてしまいます(アナキストの一人の妻が精神病だったりするのもそう)。淡々と、短い章をたくさんつなぎながら、どうにもならない状況でもがく男たちの死に様(失敗することは最初に示されてる)が提示されます。時代だなぁ(語彙不足)。

同じポケミスのフランシス・リックの『危険な道づれ』の空気感と非常に近いかもしれません。まぁ『危険な道づれ』の方が変な作品ですが、『地下組織ナーダ』もやっぱり書き方がおかしくて、時系列の前後の仕方が章ごとどころか章の中でもずれたり前後したりするので読んでいて妙な感じになります。でもそれはそれで違和感がないってのがある意味すごい。
ただ、この系統のフランス・ミステリってそんなに好みじゃないんだよなぁ。ノワールの中でも、『おれは暗黒小説だ』とかの方が勢いと変なユーモアがって好きというか。救いのない、ユーモアもない、シリアスなフランス・ミステリのエグさってすごいものがありますよね……。

ところで話は変わりますが、作中でキャモンベールなるものをパンに挟んで食べていてなんじゃそらと思ったのですが、もしかしてこれカマンベールのこと?

原 題:Nada(1972)
書 名:地下組織ナーダ
著 者:J・P・マンシェット J.P. Manchette
訳 者:岡村孝一
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ 1241
出版年:1975.04.30 1刷

評価★★★☆☆
ささやく真実
『ささやく真実』ヘレン・マクロイ(創元推理文庫)

悪趣味ないたずらで、周囲に騒動をもたらす美女クローディア。彼女は知人の研究室から盗みだした強力な自白剤を、自宅のパーティーで飲みものに混ぜてふるまい、宴を暴露大会に変えてしまう。その代償か、夜の終わりに彼女は何者かに殺害された……! 精神科医ウィリング博士が、意外な手がかりをもとに指摘する真犯人は? マクロイ屈指の謎解き純度を誇る、傑作本格ミステリ。(本書あらすじより)

世の中には合わない作家というのがいるもので、自分にとってヘレン・マクロイはその筆頭です。しかしかれこれ3年も遠ざかっていたので、このままだと読まず嫌いになりかねない、ということで意を決して手に取ってみました。
で、やっぱりこう、楽しめたかというと微妙なんですが、とりあえず無の気持ちで読み終わることは出来ました(どういうことだ)。既読マクロイの中では『家蝿とカナリア』が一番嫌いじゃないという人間なので、純本格寄りである同じ初期作品として自分の好みに近かったというのもありそうです。

パーティーの主催者クローディアのいたずらによって強力な自白剤がカクテルに混入され、大混乱に陥る……という冒頭は、愛憎乱れあう人間関係を書かせりゃ天下一品のマクロイにぴったりな設定です。暴露大会と化したパーティーの一番いいところで屋敷の様子を描くのをやめてしまい、あとはウィリング博士視点にする、という構成は、いったいパーティーはその後どうなったのかと読者に期待させるという意味では悪くないんですが、だったらもっと捜査でそこを焦点にすればいいのにと思わなくもありません(最強の自白剤というキレキレなアイテムの中途半端な用い方がちょっとダサい)。
いつも通り鼻持ちならないウィリング博士によって死んだクローディアの性格がほどほどに明らかにされた後、とある大きなミスディレクションをひっさげて真相解明となります。正直なところ、一番の決め手が綱渡りどころかバレバレ過ぎるという大きな問題点がありまして、問答無用で犯人がすぐ分かっちゃうんですよね……。
ミスディレクションとか、上げて下げるようなオチとかって、合うときは合うんですけど、合わないときは徹底的に「何だその肩透かしは」となっちゃうじゃないですか。どういうモチベーションでのぞめばいいのかしらん(『ささやく真実』については、ある点をかなり証拠立てて掘り下げていくのが、結構良いとは思います)。

というわけで、うん、また3年くらいしたらマクロイ読もうかな……。どうも今年のマクロイだと『二人のウィリング』の方が評価高めっぽいので、読むのを間違えたかなという気がしなくもありません。なんかやっぱりマクロイの語りって肌に合わないんだけど、なぜなんだろう……駒月さんの翻訳は、他作家だとすごい好きなんですけどね。

原 題:The Deadly Truth(1941)
書 名:ささやく真実
著 者:ヘレン・マクロイ Helen McCloy
訳 者:駒月雅子
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 Mマ-12-9
出版年:2016.08.31 初版

評価★★★☆☆
古書贋作師
『古書贋作師』ブラッドフォード・モロー(創元推理文庫)

後頭部を殴打され、両手首を切断された状態で発見されたその男は、コナン・ドイルなど著名作家の直筆を偽造する贋作師だった。彼の妹と交際しているわたしも、かつて名を馳せた贋作師。だが逮捕されたことを契機に足を洗い、今は古書オークションハウスで働いている。文豪の筆跡で書かれた、謎の脅迫状に怯えながら……。異様な語りで稀覯本の世界へ読者を誘う、異色のミステリ。(本書あらすじより)

ううん、かなり期待していたんですが。今年はビブリオとか美術系ミステリの新刊が多いのに、なかなか自分と合わない気がする……。
ふわふわしているというか、『赤い右手』的な異臭があるというか、とにかく落ち着かない個性的な作品です。読んでいる途中あたりは『赤い右手』の語り力を得たアガサ・クリスティーの異色作、みたいな印象でした(読み終わってみるとそんな大したものではなかった)。正直言って作者のやりたいことが最後までよく分からないのです。読者をどこに感心させて読ませたいのかな、とか。

古書贋作師が殺される。その妹と付き合っている主人公も、元古書贋作師。過去と脅迫者に怯える主人公は、今日もこっそり贋作に励むのであった(え)。

終始、胡散臭い主人公の一人称で語られます。登場人物にはロクなやつがおらず、殺された古書贋作師の正体と主人公への脅迫を中心に物語は一応動いているのですが、とにかく話にまとまりがなく、語り口も独特です。
語り口が魅力的と言えばそうなのですが、ただ結構ぐっだぐだだし、事件の片付け方が「え、それだけの話だったの?」という感じだし、最後のサプライズも作者が全然隠す気がなかったせいで意外性ゼロだし、そもそも主人公に感情移入できなすぎて何一つ終盤で思うところがありません。これはなに、どういう気持ちで読了すればいいんだ俺は。

語りやウンチク、ドイルネタなどは楽しめましたが、結局のところスカスカしたミステリだったという感が否めません。端的に言えば面白くないのです。あらすじ倒れかなぁ、記憶に残りにくい作品でした。

原 題:The Forgers(2014)
書 名:古書贋作師
著 者:ブラッドフォード・モロー Bradford Morrow
訳 者:谷泰子
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 Mモ-7-1
出版年:2016.06.24 初版

評価★★☆☆☆
白夜の爺スナイパー
『白夜の爺スナイパー』デレク・B・ミラー(集英社文庫)

シェルドン・ホロヴィッツ、82歳。孫娘夫婦と暮らすため、アメリカから嫌々ノルウェーに移ってきた。危うい記憶や言動で、周囲を振り回す生活だ。ところがある日、母親を殺された少年を守る羽目に陥る。少年を追う暴力男や、迫り来る尿意と闘いながらの逃避行。道中、覚醒していく元スナイパーの嗅覚。たぎるユダヤ人のプライド。彼らを待ち受ける意外な運命とは? 傑作クライム・スリラー!英国推理作家協会(CWA)賞ジョン・クリーシー・ダガー賞受賞。(本書あらすじより)

久々に出ました、傑作です。素晴らしい。とんでもないものを読んでしまいました。今年の新刊ランキング暫定1位。混乱と妄想に振り回されがちな怪しい記憶と回想によりユダヤ人・父と子・愛国心というテーマを扱いつつ、勝手な爺が勝手な贖罪の旅に出かけるハードボイルド・ロードムービーです。
表紙とあらすじから想像される、痛快爺アクションとかコミカル逃走劇とは違う、ということは聞いて知っていました。だからてっきり『もう年はとれない』(そんなに痛快ではない爺アクション)+『窓から逃げた100歳老人』(爺コミカル逃走劇)+シリアス味300%(ユダヤ人の苦悩と戦争の苦悩)、みたいな感じだと思って読んでいたんですよ。いや実際350ページくらいはそうだったんですよ。でもこんなに最後、無情に、非情になるとは思わなかったのです。そして、あのラストになるとは思いもしなかったのです。読み終わってずっと心をえぐるような、爽快さはないけど不快感もない、ぜひ読んでほしい作品です。以下ちょっと長くなります。

主人公シェルドンは、アメリカ生まれアメリカ育ちのユダヤ人、朝鮮戦争への従軍経験を持つ82歳の老人です。孫娘夫婦に呼ばれてノルウェーに移住してきましたが、街とも孫娘とも上手く折り合いの付かない毎日。そんなある日、とある殺人事件に巻き込まれたシェルドンは、命を狙われている少年を連れて現場から逃走します。
基本的にコメディ要素ゼロ、そんなに明るくもなく、爺のかっこいいアクションが見られるわけでもなく、扱うテーマはめちゃ重く、冒頭だけ見れば不快な認知症ジジイが周りと喧嘩してるだけの話なんです。うーん、なんでこんなに面白くなってしまうんだ。

シェルドンは常に、朝鮮戦争で亡くした戦友と大戦で死んだユダヤ人、さらにベトナム戦争で死んだ息子、という死の苦悩を抱えて生きています。今までの彼は周りの死を防げなかった、だからこそ今度こそ、この少年を救おうとするのです。
という展開なら、なるほどこの爺はボブ・リー・スワガーみたいな伝説のスナイパーなんだな、となるはず。ところがこの爺の正体がいまいちよく分からないのがミソ。本人は自分がスナイパーであったと確信していますが、周りはそれを認知症故の妄言とみなしています。おまけにシェルドンは常に、過去に亡くした友人や息子の記憶の中に生きており、しょっちゅうその妄想過去の中に入り込んで死んだ友人と語り始めるようなやつなのです。言うなれば信頼できない語り手ものと言っていいくらい(あながち間違ってもいない)。
シェルドンの逃走劇は、ユーモラスなわけでも笑えるわけでもないのに、語り口が柔らかいせいかこちらが読んでいて重くなりすぎないのも良いですね。ロードムービー調のストーリーに、シェルドンの背景・悩みという重いテーマがじっくりと絡み、あまり類のない作品に仕上がっています。

その他の登場人物の描き方も抜群です。事件を調べる女性刑事や少年を殺そうとする一味、通りすがりの通行人は、はっきり言って全員脇役なのですが(刑事は違うかな)、ほとんど筆を費やさずに絶妙に人間くさく、かつ読者にとって好ましく描けているあたり、デレク・B・ミラーさんの新人離れした力を感じます。背後から殴られる場面を手落ち感なく処理して終わるの珍しくないですか。すごい作者に好感持てるんですけど。
そしてあのラスト数行! なんかもう、こうなるとは全く思っていなかったので、衝撃でした。この設定だからこそ成立する、見事なエンディングだと思います。

かなりとっちらかった感想になってしまい申し訳ないのですが、いやもうとにかくすげぇんだぞということを言いたかったのです。舞台こそノルウェーですが、作者もノルウェーに移住してきたアメリカ人ですので、要するにジェイムズ・トンプスンと同じアメリカ産北欧ミステリ。だから、いわゆる「北欧ミステリ」ジャンルの作品とは一線を画した出来になっています。400ページという程よい分量ですので、興味のある方はぜひ!

原 題:Norwegian by Night(2013)
書 名:白夜の爺スナイパー
著 者:デレク・B・ミラー Derek B. Miller
訳 者:加藤洋子
出版社:集英社
     集英社文庫 ミ-4-1
出版年:2016.05.25 1刷

評価★★★★★
女王陛下のユリシーズ号
『女王陛下のユリシーズ号』アリステア・マクリーン(ハヤカワ文庫NV)

援ソ物資を積んで北極海をゆく連合軍輸送船団。その護送にあたる英国巡洋艦ユリシーズ号は、先の二度の航海で疲弊しきっていた。だが、病いをおして艦橋に立つヴァレリー艦長以下、疲労困憊の乗組員七百数十名に対し、厳冬の海は仮借ない猛威をふるう。しかも前途に待ち受けるのは、空前の大暴風雨、そしてUボート群と爆撃機だった……鋼鉄の意志を持つ男たちの姿を、克明な自然描写で描破した海洋冒険小説の不朽の名作。(本書あらすじより)

未読の名作というのは案外減らないもので、目先の新刊だとかマニアックな積ん読だとかを追っていると、どうしても後回しになってしまいがちです。いつでも読めるし、的な感じで。まぁ確かに、いずれ読むんだろうけど。
というわけで、今年の頭の時点で、さすがに早いとこ読もうぜ、と決めた名作群がこちらでした。

『赤毛のレドメイン家』『鷲は舞い降りた』『深夜プラス1』『女王陛下のユリシーズ号』『死の接吻』『さむけ』『興奮』『利腕』『ロウフィールド館の惨劇』

……全て、一昨年の頭にも目標にあげたはずなんですけどね。去年は全然名作系を読まなかったからなぁ。
そして今年は既に『深夜プラス1』『興奮』を片付けており、今度は『女王陛下のユリシーズ号』となったわけです。マクリーンを読むのは『ナヴァロンの要塞』に続いて2冊目。『ささやかな手記』のヘビーさに殴られたばかりの自分です。そろそろスカッとする冒険小説でも読みたいぜ、という気持ちで手に取ったのですが……。

実を言うと、前半はほとんど乗れませんでした。船も海戦もよく分からないし、登場人物も多すぎるのに一覧ないからよく分からないし、ぼっこぼこにやられる(おまけにミスもある)ばかりで何も楽しくないし。
ところが後半くらいから、こちらの気持ちが変わったのです。内容や展開は前半と全く変わらないのに(むしろつらさが増すばかり)、気付けばなぜか涙ぐみながら読んでいました。読み終わった瞬間、「うわぁ……すっげぇ……」とため息が出ちゃうほど。傑作というより名作、という感じの作品でしょう。


第二次世界大戦中、北極海におけるユリシーズ号とドイツ海軍の戦いを描いた作品です。ひたすらヘビーです。
というのも、ユリシーズ号が現在行っている任務は、管理側によって強いられた無茶なものなのです。ヴァレリー艦長以下ユリシーズ号の乗務員は現場側。結局命令に従わざるを得ず、既に限界に達している状態から航海を始めることになります。折しもドイツ海軍は最強軍艦を差し向けたとの噂。乗組員も限界なら艦長は死にかけ(文字通り)。お先真っ暗なのであります。

というシチュエーションに加え、専門用語の連発・やたらと大勢いる乗組員(登場人物表なし)と、読書を阻む要素が多すぎるのです。なるほど、この逆境の中苦しみ戦い続ける乗組員のかっこよさに男汁出しまくりながら読めばいいんだな、と思いきや、確かにプロフェッショナルの話なのですが、老害司令官やらダメ兵の活躍もあり、正直状況は深刻になるばかり、かっこよさどころかかっこ悪い。おまけにドイツ海軍との戦いとは言っても、こっちは逃げてばかり、沈んでばかり。一体何なんだこれは、と。どこが面白いんじゃ、と。まぁ思うわけですよ。
ところが後半くらいから、極限に追い詰められたあたりから、まずユリシーズ側のミスが消えます(というかミスする人が消えます)。さらに、病で死にかけながら依然乗務員たちの支えとなり続けるヴァレリー艦長がここぞとばかりにかっこよさを見せつけ、乗組員のアツいドラマも展開し、命を燃やし尽くそうとするユリシーズ号の全てから目が離せなくなります。これは一大悲劇なんでしょうね。娯楽作・エンタメ作ではあるんですが、それよりも古典的名作としての品格が印象的な作品でした。ヴァレリー艦長がね……かっこいいんだよ、本当に。
ただし一つだけ言うと、エピローグは苦手です。必要なのは分かるし、小説としての格調もぐんと上がるんだろうけど、やっぱり苦手です。これはもう仕方ない、そういう好みなので。

話としては『ナヴァロンの要塞』の方が圧倒的に好きだし、っていうか選べって言われたら躊躇なくナヴァロンを選ぶのですが、それでも『女王陛下のユリシーズ号』にはこうなんか、最終的にはとんでもない、凄味を感じました。マクリーンはすごい。初期作を中心にこれからも読んでいくつもりです。『北極基地/潜航作戦』を読みたいんだけど、全然見つからないんだよなぁ。
というわけでこれで、「知名度がずば抜けている気がする冒険小説トップ5」 も残すところあと1作、『鷲は舞い降りた』だけとなりました。ちなみに残り4作は『女王陛下のユリシーズ号』『ジャッカルの日』『高い砦』『深夜プラス1』です。選考基準とかないので聞かないでください。

原 題:H.M.S. Ulysses(1955)
書 名:女王陛下のユリシーズ号
著 者:アリステア・マクリーン Alistair MacLean
訳 者:村上博基
出版社:早川書房
     ハヤカワ文庫NV 7
出版年:1972.01.31 1刷
     1984.02.15 10刷

評価★★★★☆