FC2ブログ
シャーロット・アームストロング名言2

2020-07

『生物学探偵セオ・クレイ 街の狩人』アンドリュー・メイン

 - 2020.04.15 Wed
メイン,アンドリュー
生物学探偵セオ・クレイ 街の狩人
『生物学探偵セオ・クレイ 街の狩人』アンドリュー・メイン(ハヤカワ・ミステリ文庫)

大学教授を辞め、テクノロジー企業に身を置いているセオ・クレイ。自らの頭脳が軍事や諜報に利用されかねない生活に倦んでいた彼に、九年前に失踪した子供の事件を調べてほしいという依頼が舞い込む。調査に乗り出したセオは、不気味な都市伝説“おもちゃ男”の背後に殺人鬼の影を見出した。闇に潜むシリアル・キラーを狩り立てろ。セオの怒涛の追跡が始まる!型破りな活躍が読者の度肝を抜く、衝撃の生物学探偵シリーズ第二弾。(本書あらすじより)

2月に読んだ前作『生物学探偵セオ・クレイ 森の捕食者』の感想はこちら。これNV文庫じゃね?と言いたくなるような、頭のおかしいぶっ飛んだミステリ(嫌いじゃない)だったわけですが、さぁ2作目はどうなることやら。
結構期待して手に取ったのですが、うーんこういう方向になってしまったか……という残念さと、単純に1作目の方が出来が良かったなぁという微妙感のダブルパンチで、何ともモヤモヤしています。いや、今作もちゃんと面白いんですけれども、こうじゃないと思うんだよなぁ。作者の狙う方向がちょっと合わない方向になってきちゃいました。

ついに大学教授をやめ、捜査機関の一員として働き始めたセオ・クレイ。そんな彼の元に、行方不明の息子を探して欲しいという男が訪ねてくる。前作の事件で有名人となってしまったセオのもとには今や大量の調査依頼が来てしまっているが、それでもこの事件は調べてみる価値があると判断し、休みを取り独自の捜査を開始する。その過程で浮かび上がってきたのは、警察当局からは見つからないまま、長期間、広範囲にわたり、「おもちゃ男(トイ・マン)」として大量の子供をさらっていく男の存在だった……。

すごく苦手な「無実なのに警察に言っても信じてもらえない」展開(1作目)と、「警察に言うべきことを理解してこなれてしまったセオ・クレイに何の危なげさも感じられない」展開(2作目)のどっちを取るかで、自分の中ですごい葛藤があります。嫌いなんですよ、前者。嫌いなんですけど、なぜかそっちの方が面白かったなっていう……。

前作ではあくまで素人探偵だったセオ・クレイですが、今回は捜査機関に属しているため、ある程度の情報にアクセスできる権限を得てしまっています。もはや何の縛りもないセオ・クレイ、自由の極み。しかも前作では自分だけが殺人に気付き警察に訴えるも逆に疑われてしまう……みたいな展開でしたが、その経験をふまえ、今回のセオは警察対応にも慣れつつ捜査に当たっています。
ま、1作目をふまえた上なので、セオ・クレイがある程度余裕を持って捜査できるようになったのは当然っちゃ当然なんです。けど、だったら殺人犯もグレードアップしてほしかった……というのが正直なところ。今作のトイ・マンの方が残虐ですが、前作の犯人と比べるとそんなに脅威とか恐怖を感じません。

とは言え、もちろん作者はこのシリーズを作っていく上で、ある点でパワーアップはさせています。させていますが、この点が、そっちいっちゃったかー、ってな部分なんですよ。
さて、作中のある部分を引用してみます。
「テッド・バンティが自分の車から証拠を洗い落とすのを見ながら、刑事たちが何を感じたか、ふいにわかる。法の内側にいることの無力感だ。」
つまりは、こういう話になってしまったのです。自分自身も、悪ではないけど一種のハンターであることを自覚したセオ・クレイが、連続殺人犯を追う話。セオ・クレイ自身も、正義の側にいるとは言え、自らの命を危険にさらしながら悪人を追い求めることに生きがいを感じてしまうソシオパスなのです。そのことを自覚しつつ、今回の犯人を追うわけですね。

先に言っておくと、引用部分から、なるほど、セオ・クレイが法を犯し過ぎちゃうところが気に入らないのね、と思うかもしれませんが、そうではないのです。セオ・クレイがかなり自由に法を破りつつ犯人を追うのは前作からですし。そうではなくて……いやもう、もろにネタバレだから何も言えませんが、とにかくセオ・クレイの超法規性がこっちに進むのはどうかなぁと。それに合わせて事件のタイプがこっちになるのもどうかなぁと。などなど、勝手に思うわけです(本来ならこういうラストは好きなんですけど、どうにもしっくり来ていない自分がいます)。それこそNV文庫っぽさなんですけどね。HM文庫ですけども。

ゴチャゴチャ言いましたが、「ソシオパス vs ソシオパス」がこのシリーズの面白さであるのは間違いないところでしょう。どうせなら行くところまで行って欲しいなぁ……。

原 題:Looking Glass (2018)
書 名:生物学探偵セオ・クレイ 街の狩人
著 者:アンドリュー・メイン Andrew Mayne
訳 者:唐木田みゆき
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ文庫 471-2
出版年:2020.01.25 1刷

評価★★★☆☆
スポンサーサイト



『死の贈物』パトリシア・モイーズ

 - 2020.04.11 Sat
モイーズ,パトリシア
死の贈物
『死の贈物』パトリシア・モイーズ(ハヤカワ・ミステリ)

クリスタル未亡人の誕生日には、例年外国人に嫁いだ、それぞれの花の名を持つ三人の娘が集うのが習いであった。スイス人医師に嫁いだ長女プリムローズはバースデーケーキを、オランダ人園芸家に嫁いだ次女バイオレットは真紅のバラを、アメリカ人大富豪に嫁いだ三女ダフォディルはシャンペンをもって、その日のために、夫を伴い、ドーヴァー海峡を渡ってくるのだ。今年も、その日が近づいていた。
主任警部ヘンリ・ティベットにしてみれば、今回の特別任務——被害妄想にかかった老未亡人のおもり役などはまことに心外であった。占いの結果、誕生パーティーで殺されると出たぐらいで、わざわざヘンリに保護を依頼するとは! しかし、半信半疑で館を訪れたヘンリは、クリスタル未亡人の様子にただならぬものを感じた。未亡人の安全を計るため、ヘンリはあらゆる手だてを尽くしパーティの席では、毒味役もかって出た。それを見て未亡人は初めて安心したらしい。皆に乾杯をうながし、おもむろに、娘夫婦から贈られたケーキを食べ、シャンパンを飲み、バラの香りをかぎ……次の瞬間、未亡人は大きくあえぎ、床に倒れたのだ! 殺人は行われた。予知された殺人を許し、苦悩するヘンリは、ヨーロッパを舞台に執念の調査を開始した。
本格派モイーズが贈る、MWA賞候補に挙げられた、本格傑作長篇。(本書あらすじより)

大学卒業後もちょこちょこ会っているサークルの先輩に、何か面白い本格ミステリを貸して欲しいと言われたので、パトリシア・モイーズ『死人はスキーをしない』を貸したんです。あの作品、最高じゃないですか。そうしたらめちゃくちゃハマっていただけたようで、もっと他のモイーズをおすすめしろ、と言われたわけです。
というわけで(?)、自分もいっちょ未読モイーズを読むぜ!と『死の贈物』を引っ張り出してきました。いやー、これがまた良作。なんというか、シンプルに上手いし、面白いのです。ひたすらにフーダニットでありハウダニットであるこの毒殺事件を、一切妥協せず本格ミステリに徹しつつ、ここまできちんと読み物としてエンタメらしくまとめられていることにただただ感心します。

かつての社交界のスターである金持ちの未亡人クリスタルのもとに、毎年誕生日に三人の娘はそれぞれケーキ、シャンパン、花を持ってきていた。ティベット主任警視の目の前で彼女は毒殺されるが、しかし遺体からもプレゼントからも毒物は発見されない。果たして犯人はいかなる手段を用いたのか?

上記のポケミスのあらすじがすごくしっかりとしているので、こちらもぜひお読みください。
さて、毒殺ミステリです。「検出されない毒薬」というトリックは、かなり専門的な領域に突入してしまうと、どうしても読者は推理できなくなってしまうわけです。というわけで、モイーズはそこの謎解きに関しては読者とティベットの足並みを揃えさせて、段階的に毒殺方法を明かしていくことにしています。そこで驚かせようとはしていないわけですね。

というわけで謎解きミステリとしては、三人娘とその旦那の6人のうち、誰が犯人か、という話にシフトしていきます。毒殺の謎が分かっても、今度は殺人の動機がなかなか見つからない(「単純な金目当て」という可能性を、序盤に作者が徹底して排除しているのが上手い)ことで、謎解きがすごく面白くなっているんです。誰が毒殺に必要な情報を知っていて、それを利用できたか、その上で殺す目的は何か、ということを調べなくてはなりません。
護衛を頼まれていたのに目の前で殺人が起きてしまったことに悩むティベットは、この事件を解決できなければ辞職すると上司の前で宣言し、休暇を取り、「事故」扱いになっているこの事件の捜査に、言わば自分の職を賭してのぞんでいきます。上司に何か言われたわけではなく、あくまで自分のプライドのために、ティベットが頑張る……いやー、これが結構物語にはまっているんです。
辞職がかかっていて刑事生命の危機であることを妻に説明し、それを理解してもらった上で、わざわざスイス、フランス、オランダにまで調査に行くのに、きちんと必然性がありますし、何より夫婦探偵ものとしてもめちゃ楽しいんですよね。犯人に先手を打たれまいというハラハラ感と、きちんと意外性のある犯人とで、終盤の緊迫感も十分。

こういった内容であっても、モイーズですから別にシリアスにもならず、例えばティベット主任警視が女医といい感じになって奥さんのエミーが嫉妬したり……みたいなこのシリーズ特有のゆるい空気も良い方向に働いています。とにかく「楽しい」本格ミステリでした。小粒ではありますが、やっぱりシンプルに「良い」ミステリは良いですよね。いつものモイーズ同様、本作もおすすめです。

原 題:Who Saw Her Die? (1970)
書 名:死の贈物
著 者:パトリシア・モイーズ Patricia Moyes
訳 者:皆藤幸蔵
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ 1165
出版年:1971.12.15 1刷

評価★★★★☆

『グルブ消息不明』エドゥアルド・メンドサ

 - 2020.04.09 Thu
メンドサ,エドゥアルド
グルプ消息不明
『グルブ消息不明』エドゥアルド・メンドサ(はじめて出逢う世界のおはなし―スペイン編)

特別な任務を帯びてバルセローナにやってきた二人組の宇宙人のひとり「グルブ」が、国民的ポップスターのマルタ・サンチェスの姿をまとったまま行方不明となった。そこでもう一方の宇宙人「私」は、相棒グルブを捜すためにオリバーレス公伯爵やゲイリー・クーパーなどに姿を変え街に出ることにした。やがて老夫婦の経営するバルに通うようになり、人間とふれあい、酒を楽しみ、恋もする……。オリンピック開催直前のバルセローナの活気と混沌をユーモラスに描いたSF風小説。(本書あらすじより)

「これ絶対あなた好きだから読みなさい」と言われたので、手に取った本。Twitter文学賞とかでタイトルを聞いたことはありました。っていうかなんだこのかわいい版型は。
この作品を知らなかったという人、一度上記のあらすじを読んでみてください。こういう話ですよ、えぇ。いやーもう、本当にくだらない。宇宙人が地球に来て色々なものを見聞きするという、SF……っぽいけどガバガバなSF風ユーモア小説。地球人のことを分かっているようで分かっていないめちゃくちゃな宇宙人を笑っていたら、いつの間にか人間のことを笑っていた……みたいな話です。

物語が、何時何分に○○をやった、みたいな記録形式の文章なのですごく読みやすいです。しかもいちいち何をやったかを全部記録しているんですが、
「10:30 飲みすぎてゲロを吐いた」
「10:32 飲みすぎてゲロを吐いた」
「10:34 飲みすぎてゲロを吐いた」
みたいに、延々と同じことを繰り返す宇宙人の行動が超面白いんですよ。作者曰く、本書の発表当時(1990年)実装されたばかりのパソコンのコピペ機能を見て、書いてみたんだとか(なんじゃそりゃ)。人間に興味があるのに、やることなすこと極端な宇宙人の行動は、周囲に迷惑をかけまくっていて、もうあまりにも酷い……(でも銀行口座のデータ改ざんにより得た大金で解決するので、誰も怒っていないし平和)。

この記録文の中で描かれていく、どこか寂しく、どこか哀愁の漂う宇宙人がすごくいいんです。なんかこう、優秀なのに必死で、何一つ周りに良いことをもたらさない宇宙人が、最後しっかり生きていこうとしているこのラスト、めっちゃ良くないですか。

もちろん、人間社会に対する風刺とか皮肉とか、そういう要素もあるにはあります。ですが、とりあえずそういうものは置いておいて、気軽に読んでクスクス笑ってほしい良い小説です。ヘンな話が好き、という自覚がある人はぜひ。

原 題:Sin noticias de Gurb (1990)
書 名:グルブ消息不明
著 者:エドゥアルド・メンドサ Eduardo Mendoza
訳 者:柳原孝敦
出版社:東宣出版
     はじめて出逢う世界のおはなし―スペイン編
出版年:2015.07.10 初版

評価★★★★☆

『ザ・チェーン 連鎖誘拐』エイドリアン・マッキンティ

 - 2020.03.25 Wed
マッキンティ,エイドリアン
ザ・チェーン 上 ザ・チェーン 下
『ザ・チェーン 連鎖誘拐(上下)』エイドリアン・マッキンティ(ハヤカワ・ミステリ文庫)

シングルマザーのレイチェルの娘が誘拐された。何者かから、身代金をビットコインで送金し、他人の子どもを誘拐しろと指示されるレイチェル。レイチェルが誘拐した子供の家族がまた身代金を払い、その家族がさらに別の子供を誘拐すれば、娘は生きて解放される。失敗すれば殺されてしまうというのだ。 謎の人物が仕組んだこの連鎖誘拐システム〈チェーン〉に組み込まれてしまったレイチェルは、無関係の子供の誘拐計画を試みることに……被害者から加害者へと変わってしまった彼女の運命は!?(本書上巻あらすじより)

『コールド・コールド・グラウンド』から始まる、北アイルランドの警察小説シリーズが近年話題となっているマッキンティですが、実は全然読んでいなくて……と思っていたら、ノンシリーズが出ました。しかもいただいちゃったので、よし、読んでみよう!と手に取ったら……うぎゃああ、これ、俺がめっちゃ苦手なやつじゃないですか。
面白いかつまらないかで言えば、正直面白いとは思うのです。ここまでイヤ~な誘拐ネタを思い付いたという点で強いし。ただもう、単純にメンタルが耐えられません。あと、後半の展開は正直微妙だと思うんだ……。

以下、感想は超簡潔に書きます。あんまりdisるのもイヤだし。

あらすじです。シングルマザーのレイチェルが娘を誘拐されます。誘拐犯からの電話で、レイチェルは身代金の支払いと共に、別の子供の誘拐を指示されます。なんと、その誘拐犯も、自分たちの子供を誘拐されており、レイチェルが指示を全うするまで子供が誘拐されたままだというのです。子を思う親の心理を利用し、この連鎖誘拐を行っている謎の人物とは何者なのでしょうか……?

とにかく序盤は、レイチェルが娘を誘拐され、そして自身も誘拐犯となってしまう、という話。そして下巻は、色々な要素から、真犯人を見つけ出そうとする話になっています。もちろん前半の方がメンタル的にきつい内容ですし、好み的にも全然合わないのですが、それでも(好み的に、より苦手なはずの)上巻の方が良かったように思えるのは何でなんでしょうね。下巻がアクション寄りになったからどうこうということでもなく、得体の知れなさがなくなって恐怖感が減ったからということでもなく……うーん分からん。

ただまぁ、とにかく個人的に苦手な要素が多すぎました。誘拐をさせられるレイチェルの心理描写がきっついとかもありますし、それに加えて本作の誘拐犯は、システム的に素人ばっかりなわけじゃないですか。つまり、ミスばっかりするんですよ。このミスの連鎖でハラハラさせてくるの、超苦手で……(実は一番どうかと思っているのが冒頭の警官云々のやつなんですよね。こんなシステム上手くいかなくない?っていう)。

ただまぁ、間違いなくジェットコースターエンタメ小説として完成されているとは思います。後半の出来云々も引っかかるとはいえ、やはり相性の問題だとは思うので、あらすじを見て面白そう!と感じるなら読んで損はしないのではないでしょうか。

原 題:The Chain (2019)
書 名:ザ・チェーン 連鎖誘拐(上下)
著 者:エイドリアン・マッキンティ Adrian McKinty
訳 者:鈴木恵
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ文庫 462-4,5
出版年:2020.02.25 1刷

評価★★☆☆☆

『パリのアパルトマン』ギヨーム・ミュッソ

 - 2020.03.20 Fri
ミュッソ,ギヨーム
パリのアパルトマン
『パリのアパルトマン』ギヨーム・ミュッソ(集英社文庫)

クリスマス間近のパリ。急死した天才画家の家で偶然出会った一組の男女、元刑事のマデリンと人気劇作家のガスパールは、画家が死の直前に描いたとされる未発見の遺作三点を一緒に探しはじめる。その捜索はやがて、画家を襲った悲劇の謎を探る旅へと変わり――。絵に隠された秘密に導かれて突き進む二人を待ち受けていた、予想外の真相とは!? フランスNo.1作家が放つ話題の傑作ミステリー。(本書あらすじより)

『ブルックリンの少女』でミステリ界隈で急に話題になったミュッソですが(もともと作品は結構紹介されていたわけですしね)、引き続きミステリ的にかなり「強い」作品が登場しました。『ブルックリンの少女』と同じくグイグイ読ませる系の内容ですが、もっとまとまっているため、作品の完成度としてはより高くなっているのではないでしょうか。

仕事や休暇のつもりでパリを訪れたところ、管理人の不手際で同じアパルトマンに部屋を取ってしまい、最悪の出会い方をした元刑事の女性と劇作家の男性。しかし、その家が1年前に亡くなった天才画家ショーン・ローレンツのものであることを知った彼らは、ローレンツの行方不明の遺作を捜すため、彼の死について調べ始めるのだが……。

この読み方が合っているかは分かりませんが、読了後の率直な感想として、『パリのアパルトマン』はロマンスではなかったからこそ面白いんじゃなかろうか、と感じました。男と女が出会って、なんやかんやを経て、はいロマンス、という展開の方が絶対ベタだし、それはそれでもちろん面白いとは思います。ただ、この作品のみんな大好きな最後の展開は、ラブロマンス「ではない」からこそ映えるわけですよ。

さて、以前紹介された『ブルックリンの少女』は、数十ページごとに「これ別の作品になってない?」と思ってしまうような超スピード急展開つぎはぎミステリで、良い意味でも悪い意味でもとっ散らかっていたわけですが、今回はある程度作品としてまとまっている……ように見えます。例えば、前半は死亡した現代画家の失われた作品探しであり、かなり地味な捜査が描かれたり、とか。そして途中から、がらっと違う物語になっていくわけです。
次から次へと謎がテンポよく襲ってきた短編の連鎖型みたいな『ブルックリンの少女』とは異なり、『パリのアパルトマン』の謎の出し方は、一つの謎が出て、それをじっくり捜査し解決し、また次の謎が登場し……という具合なので、短編というよりは中編の連鎖のようです。個別の謎は100ページずつで1つ1つ解決され、最後に物語全体に関わるようなラスボス的な謎が現れる、という感じ。『ブルックリン』ほど軸はぶれていませんが、話がどんどん変わっていくのがこの作者の持ち味なんでしょうか。正直、このスタイルは結構好きです。

ご都合主義的であったり、偶然が多すぎたりはしますが、主人公二人は何かにとりつかれたかのように話を聞いて回り、着実に真実に向かって突進していきます。そして最後……いやぁ、この着地点、すごく良いんだよなぁ。個人的な思い入れからスタートする素人の「捜査」を経て、彼らが成長し、この結末にたどり着くわけです。最高。
捜査自体は地味ですし、過去の事件の再捜査なのでサスペンス感などもそこまでありませんが、次から次へと物語が別の方向に動いていくので、全く飽きさせません。読み終わって「面白かった!」と心から言える作品ではないでしょうか。集英社さん、次もまた良いのを出してくれるといいなぁ。というかむしろ、小学館文庫のミュッソってどれが面白いんでしょう。

原 題:Un appartement à Paris (2017)
書 名:パリのアパルトマン
著 者:ギヨーム・ミュッソ Guillaume Musso
訳 者:吉田恒雄
出版社:集英社
     集英社文庫 ミ-5-2
出版年:2019.11.25 1刷

評価★★★★☆

『熊の皮』ジェイムズ・A・マクラフリン

 - 2020.03.11 Wed
マクラフリン,ジェイムズ・A
熊の皮
『熊の皮』ジェイムズ・A・マクラフリン(ハヤカワ・ミステリ)

アパラチア山脈の麓で自然保護管理の職を得たライスは、故郷から遠く離れ、穏やかな日々を送っていた。ところが、管理区域で胆嚢を切り取られた熊の死体が発見される。熊の内臓は闇市場で高値で取引されている。ライスは密猟者を追うが、地元民は非協力的で、前管理人で生物学者のサラを暴行した犯人もまだ見つかっていない。味方はサラと動物たちだけという孤立無援の状況で、さらに疎ましい過去の因縁――麻薬カルテルの暗殺者も迫りくる……アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞に輝く冒険ノワール登場!(本書あらすじより)

ブログのデザインを超マイナーチェンジしました。各記事のタイトルの下の日付の部分をちょっと見やすくしたりとか、あとカテゴリの「今年のベスト10」を上に持ってきたりとか。久々にhtmlいじるとワケわかんないですね。
さて、新刊のポケミスです。あらすじの「冒険ノワール」という部分にどんなもんだろうと思って読み始めたのですが……う、うーん、作者がもうちょっと読む気にさせてくれればいいのに……。
なんかこう、どこに面白さを感じながら読めばよいのか分かりませんでした。部分部分は楽しい(めっちゃトリップしているところとか)のに、総じて見るとすごく内容がないというか……ぶっちゃけつまんねぇというか……。

メキシコのマフィアから逃れて身分を偽り森林管理人となった男が、立入禁止区域内での違法な熊狩りを止めさせようとする話、なんですが、いま思い返すとたぶん要素詰め込みすぎで全部曖昧なままなのが微妙なのかもしれません。メインストーリーであるはずの熊部分の中途半端さがすごい。

具体的に、要素詰め込みすぎ問題として、
①熊の密猟:これがメインのはずなんだから、せめて誰が密猟者なのかとかそういうのをちゃんと探ってほしいんだよなぁ。
②カットバックで語られる過去のエピソード:ここが一番雑すぎで嫌。主人公がメキシコのマフィアに狙われることになった背景が語られますが、まー雑。最後の方とか特に雑。ちなみにここ数年で読んだ中で、麻薬を扱うマフィアのゆるふわ敵感No.1小説です。
③森林管理人の前任者であるサラとの関係性:サラが森林管理人をやめる理由となった暴行事件の犯人は誰なのか、という謎が追加されますが、終盤もはやこっちの方が中心になってしまっているせいで話がブレブレ。あとサラを話に関わらせるならちゃんと関わらせてほしいのです(それだけの関係を描いてほしいし、単なる足引っ張り要因にしてほしくないし)。

山と一体化した主人公ライスが、トリップ状態になったり、急にノワールの主人公らしくやることなすことやばくなってきたり(ここの裏付けを後から慌てて付け足したりもしないでほしい)、最終的に山と一体化した主人公によるガンアクションがあったり、の最後の方はちゃんと面白かったので、シンプルな冒険小説だったらもっと良いものを書ける作者なんだろうとは思います(あるいはガッツリノワールか。ゆるふわノワールじゃなくて)。ただこの作品をどれだけ評価できるかというと、詰め込んだ要素を「面白さ」まで持っていけていない気がするので、正直微妙。次作に期待しましょう(読まない気もするけど)。

原 題:Bearskin (2018)
書 名:熊の皮
著 者:ジェイムズ・A・マクラフリン James A. McLaughlin
訳 者:青木千鶴
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ 1949
出版年:2019.11.15 1刷

評価★★☆☆☆

『生物学探偵セオ・クレイ 森の捕食者』アンドリュー・メイン

 - 2020.03.07 Sat
メイン,アンドリュー
生物学探偵セオ・クレイ 森の捕食者
『生物学探偵セオ・クレイ 森の捕食者』アンドリュー・メイン(ハヤカワ・ミステリ文庫)

モンタナ山中での調査からモーテルに戻ってきた生物学者セオ・クレイは、突如警察に拘束された。かつての彼の教え子が、無残に切り刻まれた死体となって近隣で発見されたのだ。セオの嫌疑はすぐに晴れ、検死の結果、犯人は熊とされた。だがセオはその結論に納得せず、独自の調査を始めるのだった―カオスの中に秩序を見出す! 生物情報工学を駆使して事件を解決する天才教授セオ・クレイの活躍を描く、シリーズ第一弾。(本書あらすじより)

去年一部界隈でかなり話題になっていた新刊。天才学者が謎を解こうとするも、あまりに頭が良すぎて、逆に疑われてしまう……というあらすじを聞いて、合わなそうかなぁと遠慮していたのです。が、今年シリーズ第2作が出て、さらに評判が良かったので、まず1作目を読んでみたら……頭のおかしい本を読んでしまった、助けてくれ……。
最後の方の頭のおかしい展開とか、HM文庫じゃなくてNV文庫に近いじゃないですか、これ。『パインズ』かよ。

比較的倫理的なネジのゆるい生物情報工学の天才セオ・クレイが、教え子が殺された事件に関係していると疑われるも、犯人は熊であることが判明。しかしこれは連続殺人だと気付いたセオは、誰にも信じてもらえないまま、単身殺人犯を追う……的な話かと思ってたら、なんか途中から違うんですよ。

・犯人と疑われる ←分かる
・殺人だと主張するも信じてもらえない ←分かる
・専門家でもないくせに地図にピンとか指してたら連続殺人のパターンを見抜く ←フィクションだからまぁ分かる
・どんどん死体を見つけて警察に送りつける ←分からない

え? なんで途中からそうなっていくの?という当たり前の疑問を皆さん抱くでしょう。ほんとにねー、なんでなんですかねー、説明して欲しいですよねー、作者が頭おかしいんですかねー。

さて、生物情報工学者であるセオ・クレイが連続殺人犯を追うことができる理由は、彼が生物学のプロであり捕食者のパターンを見抜けるからと説明されています。すなわち、今回の殺人犯は、もはや人間ではなく、生態として息をするように殺人を続けているモンスターだから、セオ・クレイの専門領域にあるのです!……という展開になるの、強引にもほどがあるしシュールな笑いみを感じます。作者バカなの?
セオ・クレイが大学行くの諦めてからの後半とか、特にやばいのです。後半は10ページごとに違う作品を読んでいるのかってくらい場面が変わりまくり、最後の方はテンポ良く法を犯すセオ・クレイとむちゃくちゃなアクションとで、読んでいてめまいを起こしそうになります。雑にも程がある構成(ツッコミどころしかない)ですが、ここまで振り切っていると文句も出ないんだよなぁ。自分、めちゃくちゃな作品好きなので……。

主人公のセオ・クレイは、天才過ぎて自分の思考回路を説明できる前に直観で全て見抜いてしまう人なんでしょうが(だからすぐ警察に疑われる)、ひとまずこの作品ではまだまともな人ではあります(というか連続殺人犯のヤバさと比べると、相対評価でだいぶまともに見えます)。一応、前半だけならぎりぎりジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライムっぽいし。ただ、本作のラストではもはや普通に作品を続けられるような状況ではないので、この先どうなるのかにすごい興味があります。今年出た2作目もなるべくすぐ読んでみるつもり。

原 題:The Naturalist (2017)
書 名:生物学探偵セオ・クレイ 森の捕食者
著 者:アンドリュー・メイン Andrew Mayne
訳 者:唐木田みゆき
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ文庫 471-1
出版年:2019.04.25 1刷

評価★★★★☆

『雲』エリック・マコーマック

 - 2020.02.20 Thu
マコーマック,エリック
雲
『雲』エリック・マコーマック(東京創元社)

出張先のメキシコで、突然の雨を逃れて入った古書店。そこで見つけた一冊の書物には19世紀に、スコットランドのある町で起きた黒曜石雲という謎の雲にまつわる奇怪な出来事が書かれていた。驚いたことに、かつて、若かった私はその町を訪れたことがあり、そこで出会ったある女性との愛と、その後の彼女の裏切りが、重く苦しい記憶となっていたのだった。書物を読み、自らの魂の奥底に辿り着き、自らの亡霊にめぐり会う。ひとは他者にとって、自分自身にとって、いかに謎に満ちた存在であることか……。幻想小説、ミステリ、そしてゴシック小説の魅力を併せ持つ、マコーマック・ワールドの集大成とも言うべき一冊。(本書あらすじより)

ここのところ、すげぇテンポ良くブログの更新が出来ているなぁ……と思っていたら、すぐ何日もあいちゃっていました。油断も隙もありません。
マコーマックは積んでばっかりで、8年前に『隠し部屋を査察して』を読んだっきりだったりします。今回久々に新刊が出たのでちゃんと読んでみましたが……うわー読ませるなぁ。そして、『隠し部屋を査察して』は今読んだ方が絶対楽しめそう。

さて『雲』なんですが、理想主義vs現実主義をめぐる、様々な愛の形の物語、というか。ハリーという中年男性の一人称による半生(自伝的)の中で、出会いと別れが繰り返され、時には主人公に関わる形で、時には関わらない形で、愛のエピソードが次々と描かれていきます。空想的な物語のようで、最終的にしっかりと現実的な物語である、というあたりに、ただの幻想小説とは違うマコーマックらしさを感じます。
終始大きな謎として提示されるのが、主人公ハリーがかつて滞在していたスコットランドの町、ダンケアンで昔起きたという「黒曜石雲」です。偶然手に取った本で「黒曜石雲」のことを知ったハリーは、ダンケアンという地名に懐かしさを感じたこともあり、この現象が現実のものだったのかを調べてもらおうと思います。巨大な黒い雲が町を覆い、不思議な事故を巻き起こしたこの雲は実在したのか?……うーん、なんて魅力的な謎なんでしょう。

全体的な好みとしては、旅行記的な側面と奇抜なエピソードの宝庫である前半の方が面白く感じられました(片脚の男だらけになった町、とかそういう挿話が最高)。愛にやぶれ、愛に裏切られ、全てを失ったと思った若き青年が、冒険好きでもないのに世界放浪の逃避行に出てしまい、その中で自分の理想とは異なる、でも間違っているとも言えない愛の形に触れ続けていくのです。
文明のかけらもないような奥地で働く医師に出会ったり、情熱的になることが全くない大企業の社長に出会ったり……そういった出会いで、主人公は必ずしも自分の考えを変えるわけではありません。むしろ、自分とは逆だと思うことの方が多いですし、我々読者もロマンチックな主人公を応援し続けるのですが、それでも彼はなにがしかの影響を受けていくのです。

それらを経ての終盤の展開が、自分の中で消化できていないような気がします。最後に主人公か知るひとつの愛の形は、理想主義と現実主義が一筋縄ではいかないことを示していて、それはまぁ良いんです。が、「雲」の着地点がすごくモヤモヤするんですよ。でもそれはそれで読者の理想主義の押しつけのような気がしてならないし……この世は現実だから、何もかもファンタジーというわけにもいかないし……うううむ。
でも、マコーマックという作家は、本好き、読書好きの気持ちを正確に理解しているわけでしょ? だからこそ、「エンポリウム」みたいな、空想的なもので溢れる素敵空間なお店なんかも出しちゃうわけでしょ? なのに、こういう形で最後に「雲」の正体が分かるわけでしょ? ずるくない? というか酷くない??

というわけで、結局100%は楽しめなかった気がします。今度は『ミステリウム』を読んでみようかなぁ。幻想文学は難しいんだぜ。

原 題:Cloud (2014)
書 名:雲
著 者:エリック・マコーマック Eric McCormack
訳 者:柴田元幸
出版社:東京創元社
     海外文学セレクション
出版年:2019.12.20 初版

評価★★★☆☆

『コンドミニアム』ジョン・D・マクドナルド

 - 2020.02.04 Tue
マクドナルド,ジョン・D
コンドミニアム(上下)
『コンドミニアム』ジョン・D・マクドナルド(海外ベストセラー・シリーズ)

ゴールデンサンズ・コンドミニアム。フロリダ西海岸沿いの島々の一つに建つ、8階建てのリゾート・マンションである。正面の砂浜の向こうは青い広大なメキシコ湾、背後は未開の密林。そして四季を通じて降りそそぐ”黄金の太陽”。引退した人々が余生を送るには絶好の環境である。
ゴールデンサンズの戸数は47戸。居住者の大半が、老後の快適な生活と引きかえに大金をはたいて入居してきた人々だった。だが、現実は彼らを執拗に追いかけてくる。すべての煩わしさから逃れるために、この島へやってきたのに……。(本書上巻あらすじより)

マケプレオーバー2000月間、6冊目にして最後の本は、ジョンマクによるノンシリーズ長編です。これがまぁ、分厚いわ長いわで小さい文字の単行本で600ページ、めちゃくちゃ時間を取られました。
ジョン・D・マクドナルドと言えば、まずもめ事処理屋のトラヴィス・マッギーシリーズ、あとはノンシリーズの犯罪小説なのですが、なぜか『海外ミステリー事典』ではこの『コンドミニアム』を代表作としており、ずっと読みたいなと思ってはいたのでした。ハリケーンの恐怖を描いた、群像劇であり非ミステリー作品、というのが一番簡単な説明かなと思いますが……全然一筋縄じゃいかないんだな、これが……。

ハリケーンの脅威を描いた全米話題作!(1977)みたいなことを聞くと、『ポセイドン・アドベンチャー』とか『タワーリング・インフェルノ』などの1970年代のパニック映画みたいな作品かな、と思うじゃないですか。パニックのかけらもないんですよ。ビックリじゃないですか。
まず、ハリケーンが来ません。全然来ません。上巻の半分まで、毎章コンドミニアムの住人・関係者など新しい登場人物が2人ずつくらい出てくるばかりで、とにかくハリケーンは来ません。上巻の半分どころか、下巻の残り150ページになっても来ません。ハリケーンの恐怖じゃねぇのかよ。
これは冒険小説ではなく、主人公のいない、純然たる群像劇なのです。ハリケーンの恐ろしさをアメリカ国民に伝えようとした啓蒙小説と言ってもいいかもしれませんが、いかんせんハリケーンの発生が終盤なので、ある意味主人公は「コンドミニアム」そのものと言ったほうが近いかもしれません。

コンドミニアムとは、定年退職した老人などが住むリゾートマンションのこと。舞台となるのはフロリダの島に作られたコンドミニアムで、おおむね60歳以上の何十人もが暮らし、隠居したド暇さをもてあましながら、せっせと不倫に明け暮れているのであります。なんだこの激ヤバ空間は。
当時はコンドミニアムが空前のブームで、悪徳不動産業者は行政をワイロでまるめ込み、違法建築で安くコンドミニアムを建てまくり、弁護士と結託して暴利をむさぼろうとしています。そして、せっせと不倫に明け暮れているのであります。なんだこの激ヤバ業界は。

というわけで600ページ中500ページは何十人もの登場人物(コンドミニアムに携わる人々と住民)の堕落しきって先の見えない暮らしが延々と描写されるばかり。コンドミニアム業界の限界がだんだんと露呈してきて住民との対立が生じていく、みたいな展開はあるけど、基本的にストーリーはほぼありません。
そして最後、空前の規模のハリケーンが発生し、フロリダを襲い、めっちゃ人が死ぬ。そういう小説なのです。

実際、ラスト100ページはすんごい面白いです。ハリケーンからきちんと避難している人、ナメてて逃げない人、などなどいますが、でも争ったりパニクったりする暇もなく、容赦なくハリケーンで人が死ぬ。それだけ。だから冒険小説感もパニック小説感もないのです。だって、抗いようがないから。確かにここは圧巻。

ただ、この部分を読むために長過ぎる群像劇を読まなきゃいかんのか、とは思うので、正直おすすめはしないかなぁ。っていうか、絶対マクドナルドの代表作ではないと思うんですよ……『海外ミステリー事典』がなぜこれを推していたのか結構謎です。

原 題:Condominium (1977)
書 名:コンドミニアム(上下)
著 者:ジョン・D・マクドナルド John D. MacDonald
訳 者:広瀬順弘
出版社:角川書店
     海外ベストセラー・シリーズ
出版年:1984.02.29 初版

評価★★★☆☆

『ギデオンの夜』J・J・マリック

 - 2020.01.30 Thu
マリック,J・J
ギデオンの夜
『ギデオンの夜』J・J・マリック(crime club)

霧の夜のロンドン、警視庁のギデオン部長は当直をかって出た。平穏な夜だった。しかし彼は妖しい胸騒ぎがしてならなかった……。一つ、二つ、三つ四つ、無数の事件が奔流のようにクライマックスへ殺到する! 推理小説に新らしい方向をあたえた画期的な作品! 1957年のベスト1(アントニー・バウチャー〈ニューヨーク・タイムズ〉紙)(本書あらすじより)

マケプレオーバー2000月間、4冊目はギデオン警視シリーズから『ギデオンの夜』、シリーズ3作目です。
正直、以前読んだ『ギデオンの一日』が微妙だったので、モジュラー型警察小説の先駆者、という点でしか評価できないんだろうなぁと思っていたのですが……まさかの最後までちゃんと面白くてびっくりしました。す、すごいサスペンスフル……ダラダラしていてつまらなかった『ギデオンの一日』は、むしろ一体何だったんだ……。
モジュラー型警察小説として、理想的な出来と言う他ありません。間違った褒め方だとは思いつつあえて言いますが、かなり『夜のフロスト』に近いのではないでしょうか。警察官の人生は、常に悲哀に満ちているのであります。

今夜は夜勤に出てきたギデオン警視。夜のロンドンと言えども、犯罪は次から次へと起こります。今回のメインとなる事件は、連続婦女暴行犯〈徘徊者〉、連続赤ん坊誘拐事件、若者ギャング団の抗争あたり。この他に、無数の事件が夜のロンドンで起きまくり、犯罪捜査部部長であるギデオンがひたすら報告されてくる事件たちをばったばったと処理していきます。

シリーズ1作目である『ギデオンの一日』を読んだ時は、現場の警官ではなく管理職であるギデオンの捜査(指揮)に全く面白さを見出せられなかったのですが、この点が本作では超見どころとして生かされています。どの事件にどれだけの警官を送るか、どの現場に管理職としてあえて出向くか、どの事件の追加調査を命じるか、などなど、連続で行っていく判断の難しさがよく描かれているのです。例えば、ただのギャング団同士のいつもの抗争にしか見えない事件に、何かきな臭さを感じたその地区の署長から警察官を多く回すよう要求があり、しかし連続赤ん坊警官事件などを抱えるギデオン警視としてはどうするべきか、署長との関係性や、事件の詳細などから判断しなくてはいけない……とか。
また、本シリーズでは、(『一日』『夜』を読んだ限りでは)ギデオン警視側の視点だけでなく、被害者や犯人側の視点の描写がよく挿入されるようです。この部分が『一日』ではつまらない上にテンポが悪く思えたのですが、『夜』ではすごく面白いんですよ。赤ん坊を誘拐された母親、婦女暴行犯に襲われる女性、隣人を拉致監禁している悪人夫妻(警察がまだ気付いていない事件)などの描写がとにかくサスペンスフル。警察側の視点と、事件側の視点の交錯が、きちんと意味のあるものになっているように思います。

加えて、ギデオンの管理職としてどう指揮するべきかという苦悩や、ギデオンの立場を狙っている部下との関係性なんかも上手く挿し込まれたりとか、警官になりたいと突如言い出したギデオンの息子とか、色々な要素が絶妙に結びついていて、とにかく、これは誉め言葉として言うのですが、「ちゃんと」「面白い」のです。普通にオススメできるのではないでしょうか。意外とこのシリーズに期待が持てるかもしれません。良かった良かった。
一説では、ギデオン警視シリーズは時間が短ければ短いほど面白いんだとか。ということは手持ちの『ギデオン警視の一カ月』はつまらないということに……じゃ、じゃあ、評判の良い『ギデオン警視と放火魔』を次は読もうかな。

原 題:Gideon's Night (1957)
書 名:ギデオンの夜
著 者:J・J・マリック J. J. Marric
訳 者:清水千代太
出版社:東京創元社
     crime club 7
出版年:1958.08.25 初版

評価★★★★☆

NEW ENTRY «  | BLOG TOP |  » OLD ENTRY

プロフィール

ヨッシー

Author:ヨッシー
クリスティ、デクスター、グライムズ、ディヴァインが好きな、ヨッシーことTYこと吉井富房を名乗る遅読の社会人3年目が、日々読み散らかした海外ミステリ(古典と現代が半々くらい)を紹介する趣味のブログです。ブログ開始から9年になりました。ちなみにブログ名は、某テンドーのカラフル怪獣とは全く関係ありません。
来て下さった方々が、コメントを残して下さると、管理人が大変喜びます。広告のコメントは、削除することがあります。
このサイトはリンクフリーですが、一言声かけてくれると嬉しいです。
Twitter(@yossi3110)

リンク

このブログをリンクに追加する

読書メーター

ヨッシーさんの読書メーター ヨッシーの最近読んだ本

検索フォーム

最新コメント

カテゴリ

未分類 (2)
日記 (526)
今年のベスト10 (12)
ア行 (145)
アヴリーヌ,クロード (1)
アジェイ=ブレニヤー,ナナ・クワメ (1)
アシモフ,アイザック (4)
アシャット,フェデリコ (1)
アダム,ポール (1)
アーチャー,ジェフリー (1)
アッシュ,ロザリンド (1)
アップデール,エレナー (2)
アップフィールド,アーサー (2)
アデア,ギルバート (1)
A・D・G (2)
アトキンソン,ケイト (1)
アフォード,マックス (1)
アームストロング,シャーロット (4)
アリンガム,マージェリー (6)
アルレー,カトリーヌ (1)
アンズワース,キャシー (1)
アンダースン,ウィリアム・C (1)
アンダースン,ジェームズ (1)
アントニイ,ピーター (1)
アンプエロ,ロベルト (1)
アンブラー,エリック (1)
イェルハルドセン,カーリン (1)
イジー,ユージン (1)
イシグロ,カズオ (2)
イデ,ジョー (2)
イネス,マイクル (5)
イーリイ,デイヴィッド (1)
インゲルマン=スンドベリ,カタリーナ (1)
インドリダソン,アーナルデュル (3)
ヴァルガス,フレッド (7)
ヴァン・ダイン,S・S (3)
ヴァンス,ジャック (1)
ウィアー,アンディ (2)
ヴィカーズ,ロイ (3)
ウイバーリー,レナード (3)
ウィリアムズ,ナイジェル (1)
ウィルフォード,チャールズ (1)
ウィングフィールド,R・D (6)
ウィンズロウ,ドン (1)
ウィンタース,ベン・H (3)
ウェイン,エリザベス (1)
ウェストレイク,ドナルド・E(コウ,タッカー、スターク,リチャード) (7)
ヴェリー,ピエール (1)
ヴェルヌ,ジュール (2)
ウォーカー,マーティン (3)
ウォーターズ,サラ (4)
ヴォートラン,ジャン (2)
ウォルターズ,ミネット (1)
ウォーレス,エドガー (2)
ウッドハウス,P・G (1)
ウールリッチ,コーネル(アイリッシュ,ウィリアム) (9)
エアード,キャサリン (2)
エクストレム,ヤーン (1)
エクスブライヤ,シャルル (4)
エーコ,ウンベルト (1)
エナフ,ソフィー (1)
エフィンジャー,ジョージ・アレック (1)
エリザーロフ,ミハイル (1)
エリン,スタンリイ (3)
エール,ジャン=マルセル (1)
エルキンズ,アーロン (7)
エルロイ,ジェイムズ (1)
オコンネル,キャロル (1)
オーツ,ジョイス・キャロル (1)
オベール,ブリジット (1)
オリオール,ローレンス (1)
オルツィ,バロネス (2)
カ行 (202)
カー,グリン (1)
カー,ジョン・ディクスン(ディクスン,カーター) (16)
ガーヴ,アンドリュウ (1)
カサック,フレッド (2)
カーター,M・J (1)
カッリージ,ドナート (2)
ガードナー,E・S(フェア,A・A) (5)
ガードナー,ジョン (1)
カーマイケル,ハリー (3)
カミ (4)
カミング,チャールズ (1)
カリー・ジュニア,ロン (1)
カーリイ,ジャック (4)
カリンフォード,ガイ (1)
キアナン,オリヴィア (1)
キース,エリック (1)
キーティング,H・R・F (1)
キャヴァナー,スティーヴ (1)
キャリスン,ブライアン (1)
ギャレット,ランドル (1)
キーラー,ハリー・スティーヴン (1)
ギルバース,ハラルト (2)
ギルバート,マイケル (2)
キング,スティーヴン (1)
キング,ルーファス (1)
クイーン,エラリー (16)
クェンティン,パトリック (7)
クック,トマス・H (3)
クッチャー,フォルカー (3)
グライムズ,マーサ (28)
クラウチ,ブレイク (4)
クラトフヴィル,イジー (1)
グランジェ,ジャン=クリストフ (1)
クリーヴス,アン (7)
グリシャム,ジョン (1)
クリスティ,アガサ (2)
クリスピン,エドマンド (4)
グリーニー,マーク (2)
グリーン,アラン (1)
クルーガー,ウィリアム・ケント (1)
グルーバー,アンドレアス (4)
グルーバー,フランク (5)
クレイス,ロバート (4)
クロフツ,F・W (6)
グロラー,バルドゥイン (1)
クーン,シェイン (2)
クーンツ,ディーン・R (1)
ケアリー,エドワード (4)
ケストナー,エーリヒ (1)
ケメルマン,ハリイ (3)
ケリー,ジム (4)
ケンリック,トニー (3)
胡傑 (1)
ゴズリング,ポーラ (5)
コッタリル,コリン (1)
コッブ,ベルトン (1)
コードウェル,サラ (4)
ゴードン,デイヴィッド (2)
コニイ、マイクル (2)
コーベン,ハーラン (1)
コマストリ=モンタナーリ,ダニーラ (1)
コメール,エルヴェ (2)
コリータ,マイクル (1)
コリンズ,ウィルキー (2)
コリンズ,マックス・アラン (1)
コール,G・D・H・&M (2)
コレット,サンドリーヌ (1)
サ行 (86)
サフォン,カルロス・ルイス (3)
サマター,ソフィア (1)
サール,ニコラス (1)
ザングウィル,イズレイル (1)
ジェイミスン,ハンナ (1)
シェパード,ロイド (1)
シエラ,ハビエル (1)
シニアック,ピエール (1)
シムノン,ジョルジュ (20)
シモンズ,ジュリアン (1)
ジャクスン,シャーリイ (2)
ジャックマール&セネカル (2)
ジャップ,アンドレア・H (1)
ジャプリゾ,セバスチアン (1)
シャプレ,アンネ (1)
シューヴァル,マイ&ヴァールー,ペール (1)
ショウ,ボブ (1)
シール,M・P (1)
水天一色 (1)
スカーレット,ロジャー (1)
スコット,ジャック・S (1)
スコット,J・M (1)
スタウト,レックス (7)
スタージョン,シオドア (1)
スチュアート,メアリー (2)
スティーヴンス,ロビン (1)
ステーマン,S=A (4)
スパーク,ミュリエル (1)
スペンサー,ロス・H (3)
スミス,シェイマス (1)
スミス,チャールズ・メリル (1)
スラデック,ジョン (1)
スルペツキ,シュテファン (1)
スレッサー,ヘンリイ (1)
スローン,ロビン (1)
スワンソン,ピーター (2)
セイヤーズ,ドロシー・L (9)
セシル,ヘンリイ (2)
セミョーノフ,ユリアン (1)
ソアレス,J (1)
ソウヤー,ロバート・J (1)
タ行 (103)
タイボ二世,パコ・イグナシオ (1)
ダグラス,キャロル・ネルソン (1)
タシュラー,ユーディト・W (1)
タートン,スチュアート (1)
ダニング,ジョン (1)
ダール,フレデリック (2)
チェイズ,エリオット (1)
チェスタトン,G・K (1)
チャータリス,レスリイ (1)
チャーチル,ジル (3)
チャンドラー,レイモンド (1)
陳浩基 (3)
デ・サンティス,パブロ (1)
デ・ハートック,ヤン (1)
デ・ミュリエル,オスカル (1)
デアンドリア,ウィリアム・L (1)
テイ,ジョセフィン (3)
ディーヴァー,ジェフリー (2)
ディヴァイン,D・M (10)
デイヴィス,L・P (1)
ディキンスン,ピーター (2)
ディケール,ジョエル (1)
ディケンズ,チャールズ (11)
ディックス,マシュー (2)
ディッシュ,トーマス・M (1)
ディドロ,フランシス (1)
デイリー,エリザベス (1)
テオリン,ヨハン (3)
デクスター,コリン (12)
デュレンマット,フリードリヒ (1)
テラン,ボストン (4)
デリオン,ジャナ (1)
ドイッチ,リチャード (1)
トゥロー,スコット (2)
ドッヂ,デヴィッド (1)
トーマス,ロス (2)
トムスン,ジューン (1)
ドラモンド,ローリー・リン (1)
トレヴェニアン (4)
トンプスン,ジム (11)
トンプソン,ジェイムズ (3)
ナ行 (13)
ナイト,アランナ (2)
ナット・オ・ダーグ,ニクラス (1)
ニューマン,キム (1)
ニーリィ,リチャード (1)
ネイハム,ルシアン (1)
ネスボ,ジョー (4)
ネッセル,ホーカン (1)
ノックス,ロナルド・A (2)
ハ行 (227)
バー=ゾウハー,マイケル (1)
ハイスミス,パトリシア (1)
ハイランド,スタンリー (1)
ハインズ,ジョアンナ (1)
パーカー,ロバート・B (1)
ハーカウェイ,ニック (1)
バークリー,アントニイ(アイルズ,フランシス) (6)
バグリイ,デズモンド (1)
バークレイ,リンウッド (1)
バージェス,アントニイ (1)
ハース,ヴォルフ (1)
バゼル,ジョシュ (1)
ハチソン,ドット (1)
ハーディング,フランシス (2)
バトラー,エリス・パーカー (1)
ハナ,ソフィー (2)
バーナード,ロバート (3)
バーニー,ルー (2)
バニスター,ジョー (1)
ハーパー,ジェイン (2)
ハーパー,ジョーダン (1)
ハーパー,ブラッドリー (1)
パーマー,スチュアート (1)
ハミルトン,エドモンド (1)
ハミルトン,スティーヴ (1)
ハメット,ダシール (2)
パラニューク,チャック (1)
バランタイン,リサ (1)
ハリス,トマス (1)
ハリデイ,ブレット (1)
バリンジャー,ビル・S (3)
ハル,リチャード (1)
パレツキー,サラ (1)
ハンター,スティーヴン (2)
ビガーズ,E・D (5)
ピカード,ナンシー (1)
ヒギンズ,ジャック (1)
ピース,デイヴィッド (2)
ピータース,スティーヴン (1)
ピーターズ,エリス (3)
ビッスン,テリー (2)
ビネ,ローラン (1)
ビバリー,ビル (1)
ビュッシ,ミシェル (1)
ヒラーマン,トニイ (3)
ピリンチ,アキフ (1)
ヒル,トニ (3)
ヒル,レジナルド (4)
ヒルディック,ウォラス (1)
フィツェック,セバスチャン (3)
フィックリング,G・G (3)
フィッシュ,ロバート・L (4)
フィッチュー,ビル (1)
フィニイ,ジャック (5)
フィルポッツ,イーデン (2)
フェーア,アンドレアス (1)
フェイ,リンジー (1)
フェスパーマン,ダン (1)
フェラーズ,エリザベス (7)
フェルナンデス,ドミニク (1)
フォーサイス,フレデリック (1)
フォン・シーラッハ,フェルディナント (7)
プライヤー,マーク (1)
ブラウン,カーター (8)
ブラウン,フレドリック (2)
ブラックバーン,ジョン (1)
ブラッティ,ウィリアム・ピーター (1)
ブラッドリー,アラン (1)
ブラッドン,ラッセル (1)
フラナガン,トマス (1)
フランシス,ディック (2)
ブランド,クリスチアナ (6)
プリースト,クリストファー (1)
フリードマン,ダニエル (2)
フリーマン,オースチン (1)
フリーマントル,ブライアン (1)
ブリュソロ,セルジュ (1)
フリーリング,ニコラス (1)
フリン,ギリアン (1)
ブルース,レオ (4)
ブルックマイア,クリストファー (1)
ブレイク,ニコラス (3)
ブレット,サイモン (1)
フレミング,イアン (3)
ブロック,ローレンス (4)
プロンジーニ,ビル (1)
文善 (1)
ヘアー,シリル (2)
ヘイズ,サマンサ (1)
ヘイダー,モー (1)
ベイヤー,ウィリアム (1)
ヘイヤー,ジョージェット (3)
ベイヤード,ルイス (1)
ベイリー,バリントン・J (1)
ベイリー,H・C (1)
ペーション,レイフ・GW (2)
ペニー,ルイーズ (1)
ベリー,ジュリー (1)
ペリー、トマス (1)
ペリッシノット,アレッサンドロ (1)
ペルッツ,レオ (1)
ヘロン,ミック (3)
ペンティコースト,ヒュウ (1)
ベントリー,E・C (1)
ポー,エドガー・アラン (2)
ホーガン,ジェイムズ・P (1)
ポースト,M・D (2)
ポーター,ジョイス (9)
ホック,エドワード・D (4)
ホッケンスミス,スティーヴ (2)
ポツナンスキ,ウルズラ (1)
ホッブズ,ロジャー (2)
ホーリー,ノア (1)
ホルスト,ヨルン・リーエル (1)
ホロヴィッツ,アンソニー (2)
ホワイト,ハル (1)
ホワイト,ライオネル (1)
ボワロ&ナルスジャック (6)
ボンド,マイケル (2)
ボンフィリオリ,キリル (1)
マ行 (82)
マイヤーズ,イザベル・B (1)
マガー,パット (2)
マーカム,ヴァージル (1)
マカルパイン,ゴードン (1)
マーカンド,ジョン・P (1)
マクジョージ,クリス (1)
マクダニエル,デイヴィッド (1)
マクドナルド,ジョン・D (4)
マクドナルド,フィリップ (2)
マクドナルド,ロス (3)
マグナソン,アンドリ・S (1)
マクベイン,エド (2)
マクラフリン,ジェイムズ・A (1)
マクリーン,アリステア (3)
マクロイ,ヘレン (5)
マグワイア,イアン (1)
マコーマック,エリック (2)
マゴーン,ジル (1)
マシスン,リチャード (1)
マシューズ,ハリー (1)
マスロフスキー,B (1)
マーソンズ,アンジェラ (1)
マッギヴァーン,ウィリアム・P (1)
マッキネス,ヘレン (1)
マッキンティ,エイドリアン (1)
マリック,J・J (2)
マルティネス,ギジェルモ (2)
マン,アントニー (1)
マンケル,ヘニング (1)
マンシェット,J・P (1)
ミエヴィル,チャイナ (1)
寵物先生(ミスター・ペッツ) (1)
ミッチェル,グラディス (1)
ミュッソ,ギヨーム (2)
ミラー,デレク・B (2)
ミラー,マーガレット (3)
ミルフォード,ケイト (1)
ミルン,A・A (1)
ムーア,グレアム (1)
ムカジー,アビール (1)
メイン,アンドリュー (2)
メースン,A・E・W (1)
メルヴィル,ジェイムズ (1)
メルドラム,クリスティーナ (1)
メロ,パトリーシア (1)
メンドサ,エドゥアルド (1)
モイーズ,パトリシア (5)
モートン,ケイト (4)
モール,ウィリアム (1)
モロー,ブラッドフォード (1)
モンテイエ,ユベール (3)
ヤ行 (4)
ヤッフェ,ジェイムズ (1)
ヤング,デイヴィッド (1)
ユジョン,チョン (1)
ヨナソン,ヨナス (1)
ラ行 (85)
ライアル,ギャビン (1)
雷鈞 (1)
ライス,クレイグ (3)
ライト,リリー (1)
ライバー,フリッツ (1)
ラインハート,M・R (1)
ラヴェット,チャーリー (1)
ラヴゼイ,ピーター (3)
ラックマン,トム (1)
ラッセル,アラン (1)
ランキン,イアン (1)
陸秋槎 (2)
リック,フランシス (1)
リッチー,ジャック (5)
リーミイ,トム (1)
リューイン,マイクル・Z (5)
リュウ,ケン (2)
劉震雲 (1)
リール,エーネ (1)
ル・カレ,ジョン (3)
ルヴェル,モーリス (1)
ルブラン,ミッシェル (3)
ルブラン,モーリス (2)
ルヘイン,デニス (4)
ルーボー,ジャック (2)
ルメートル,ピエール (3)
ルルー,ガストン (2)
ルーレ,ドミニック (1)
レーダー,ベン (1)
レーダー=デイ,ローリー (1)
レドモンド,パトリック (2)
レドンド,ドロレス (1)
レピラ,イバン (1)
レム,スタニスワフ (1)
レルネット=ホレーニア,アレクサンダー (1)
レンデル,ルース (3)
ロウ,ジェニファー (1)
ローガン,シャーロット (1)
ローザン,S・J (6)
ロジャーズ,ジョエル・タウンズリー (1)
ロスコー,セオドア (1)
ロースン,クレイトン (1)
ロック,アッティカ (1)
ロード,ジョン (1)
ロバーツ,アダム (1)
ロプレスティ,ロバート (2)
ロボサム,マイケル (1)
ロラック,E・C・R (1)
ロング,アメリア・レイノルズ (2)
ワ行 (3)
ワイルド,パーシヴァル (1)
ワトスン,コリン (2)
海外合作他 (6)
リレー小説 (1)
雑誌など (0)
アンソロジー (11)
その他海外 (8)
国内ミステリ (74)
その他国内 (18)
ファンタジー (1)
その他 (6)
社会1○○○○ (4)

ピープルカウンター