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シャーロット・アームストロング名言2

2020-07

『百万長者の死』G・D・H・&M・コール

 - 2020.07.03 Fri
コール,G・D・H・&M
百万長者の死
『百万長者の死』G・D・H・&M・コール(世界推理小説全集)

ロシアで金鉱を発見したアメリカの百万長者ヒュー・ラドレットは、採掘特許権を獲得してロンドンに姿を現わした。英国の政・財界の実力者イーリング伯爵が、ホテルにラドレットを訪問したところ、特別室は取り乱され、猛烈な格闘のあとが歴然として残っていた。目撃者は、殺人犯とラドレットの死体を見たと証言するが死体は発見できなかった。しかも被害者の秘書が、事件発見の直前に、重いトランクをもってホテルを立ち去っている。あとに残された莫大な採掘特許権をめぐって、一方では不可解な事件の追求が行なわれ、他方では虚々実々の経済謀略と株の市場操作が展開される……。現代英国一流の経済学者夫妻が、痛烈な資本主義批判を背景に書き上げた謎解き推理小説。(創元推理文庫版のあらすじより)

50ページ読んだだけで、既にややイライラしたので嫌な予感はあったんですが……これはヒドいな……(ちなみに完答を狙った真相は、カンペキに予想通りではありましたが、そんなことはどうでもいい)。

行方不明となっていたアメリカの百万長者ヒュー・ラドレットが、ロシアの金鉱の採掘権を見つけ、取引のためイギリス財界のイーリング伯爵のもとを訪れた。ところがラドレットは宿泊していたホテルから消え、室内には事件の跡が。犯人はラドレットに付き添っていた怪しげなロシア人なのか? ウィルソン警視は高名なイーリング伯爵の行動を不審に思いつつ、犯人を追うことになるが……。

さて、以下、『百万長者の死』を読んで考えたことをつらつら書いていきますが。

1920年代のイギリスは黄金時代と呼ばれてはいますが、事件発生→探偵による捜査→謎解き、みたいな、いかにもな基本フォーマットで書いていたのって、むしろクリスティーくらいなんじゃないか、と思いました。というかそのフォーマットがまだ確立されていなかった、というか。

『百万長者の死』は1925年の作品ですが、例えば『赤毛のレドメイン家』(1922)にせよ、『矢の家』(1924)にせよ、『陸橋殺人事件』(1925)にせよ、クロフツの初期作にせよ、なんか基本フォーマットとはちょっと違うんですよ。まぁ型にはまっていない作品ばかりが日本に紹介されているだけかもしれませんが。
でもまぁ、ホームズが冒険よりの謎解き諸作品を発表し、ホームズのライヴァルたちは純正謎解きっぽいものを発表し、ルブランやウォーレスら海外勢は冒険小説を書き、みたいな状況なわけですよ、当時。例えば純正謎解き短編をただ引き伸ばしたような長編を作るのは難しいと判断され、色々な要素が盛り込まれたのかもしれません。

何でごちゃごちゃ言っているのかというと、『百万長者の死』は核となるトリックを作者が用意しており、かつ殺人事件とは別枠の陰謀なども事件に絡まっていて、いかにもがっぷり四つで謎解きしてやるぜ!みたいなお膳立てはなされているにもかかわらず、全然そうじゃなかったからなのです。
殺された百万長者のロシア時代の物語などは、『月長石』とかの19世紀以来の冒険小説感があるし、終盤は特に真相を隠そうとしなくなってきてむしろ犯人目線の物語と友情に焦点があてられるしで、ストーリー的には謎解きからだんだんと外れていきます。最後には名探偵役であるウィルソン警視が「みなを集めてさてと言」うにも関わらず、あまり本格味がないのです。
(ラストの皮肉っぽいあれとかは、まぁこの頃英国ミステリではすでにこういうことをする流れ自体はあった気はするのでスルー)

ただですね……『百万長者の死』が読んでいてイマイチ面白くないのは、謎解きが弱いからではなく、本格味が薄いからでもなく、結局ぬっるい冒険小説を入れてはいるけど、サスペンス性とか心理面とか恋愛とかで読者をつかもうという感じが皆無で、物語に起伏がないからなのです。『レドメイン』『矢』とか、なんなら『トレント』には、到底勝てません。純粋に「つまらない」のが本書の敗因です。どうしようもねぇ。

というわけで、コール夫妻、論創の『ウィルソン警視の休日』もつまらなかったし、いよいよ『ブルクリン家の惨事』を頑張って探そうという気力がやや萎えたのを感じますね……新潮文庫は罪な存在だ……。

原 題:The Death of a Millionaire (1925)
書 名:百万長者の死
著 者:G・D・H・&M・コール G. D. H & M. Cole
訳 者:石一郎
出版社:東京創元社
     世界推理小説全集 12
出版年:1956.08.15 初版

評価★★☆☆☆
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『ポンコツ競走馬の秘密』フランク・グルーバー

 - 2020.06.24 Wed
グルーバー,フランク
ポンコツ競走馬の秘密
『ポンコツ競走馬の秘密』フランク・グルーバー(論創海外ミステリ)

走れ、走れ、ユリシーズ。誰がために馬は駆ける……。伸るか反るかの大博打! 狙うは大穴、一攫千金。駄馬の馬主になったお気楽ジョニー、競馬界に進出か? ドタバタ喜劇の真骨頂、〈ジョニー&サム〉シリーズ第6作。(本書あらすじより)

論創グルーバーも、これで4冊目。ただ、今まで読んだジョニー&サムシリーズの中では、一番微妙な出来だったかもしれません。終始私設馬券屋一味に追い回される二人が、後半は特に逃げ回るばかりで、ジョニーの探偵欲が今回は空回りしている感。登場人物が次々と出てくる割に処理し切れていないようにも思えます。ただ、真相のサプライズ感と納得感は結構良く、謎解きミステリとしては比較的成功しているのではないでしょうか。

今まで一勝もしていない馬ユリシーズの馬主シブリーが死んだ。シブリーの友人であったジョニーはまさかの相続人に。ただし遺言では、シブリーの莫大な遺産を馬のユリシーズのためだけに使うこと、となっており、ジョニーはその馬の面倒を生涯見ることとなってしまう。馬主として一発当てようとするジョニーだが、私設馬券屋一味ともめ事を起こしてしまい……。

ユリシーズに賭けた1300ドルがどうなるかとハラハラさせる中盤のクライマックス、1942年の競馬界の様子など、読みどころは多くあります。ただ、馬主や調教師をじっくり描く……というほどでもないので、結構雑は雑。というか、調べてるんでしょうけど、あんまりストーリーに落とし込まなかったのかな。
競馬ミステリとして弱いもう一つの理由が、今回は競馬場外での追いかけっこが話のメインであることです。シブリーと付き合いのあった悪徳賭け屋にちょっかいを出したせいで、今回の主人公たちはありとあらゆるところを常に逃げまくっています。大都会を舞台にした逃走劇は楽しいんですが(地下水道にまで逃げ込む羽目に)、終始これなので、緊張感はだんだん薄れていきますし、今回はジョニーの首突っ込みたがりっぷりもあんまり機能してない気がします。

とはいえ、作者はサービス精神満載のグルーバーですので、今回も謎解き要素は盛りだくさん。馬主シブリーはユリシーズに蹴られて死んだが本当は殺人ではないのか、シブリーの親戚を名乗り現れた二人は本物か、私設馬券屋一味はシブリーから何をせしめようとしているのか、そして弁護士や調教師や騎手や、とにかく色々な人たちは何を企んでいるのか……多い多い。要素が多い。
ラスト関係者一同が集結し、シンプルに謎解きがなされる様はやはり圧巻です。結局こういう話は、ある程度読んでいて楽しいもの。論創からのグルーバー未訳全紹介は今後も続くようで、次作の刊行も予告されていたので楽しみ。タイトル的に、次作は絶対面白いと思うんだよなぁ。

原 題:The Gift Horse (1942)
書 名:ポンコツ競走馬の秘密
著 者:フランク・グルーバー Frank Gruber
訳 者:冨田ひろみ
出版社:論創社
     論創海外ミステリ 247
出版年:2020.02.29 初版

評価★★★☆☆

『神の灯』エラリー・クイーン

 - 2020.06.07 Sun
クイーン,エラリー
神の灯
『神の灯』エラリー・クイーン(嶋中文庫)

メイヒュー氏の遺産が眠る“黒い家”に、令嬢アリスとともに乗り込んだ名探偵クイーン。そこには奇怪な親類たちが待ち受けていた。そして翌朝。石造の豪邸“黒い家”は忽然と姿を消してしまった……。前代未聞の大トリックに挑み、ミリオンセラーを記録した「神の灯」など四篇を収録。短篇で愉しむクイーンの神髄。(本書あらすじより)

久々に黄金時代の本格ミステリを読みまくろうの第2弾は、エラリー・クイーンの中短編です。クイーンの短編は、大学の英語の授業で読んだ「三人の寡婦」しか読んだことがありません。そもそも黄金時代のミステリ短編をたぶん全然読んでいないんですけどね(カーの「妖魔」1編くらいで、クロフツもクイーンもセイヤーズも読んでいません。クリスティーだけは読んでいますが、クリスティーの初期短編は本格っぽくなればなるほどつまらないし……)。
嶋中文庫版『神の灯』の収録作は、表題作(『エラリー・クイーンの新冒険』から)の他に、『エラリー・クイーンの冒険』から3編が収録されています。ただ、識者曰く、なぜ『冒険』からのチョイスがよりによってこの3つなんだ、という中途半端な作品で、正直中短編集としてはやや微妙な1冊かもしれません。

クイーン中短編を4作読んだ雑な感想を書くなら、クイーンらしい倦怠感たっぷり版の金田一少年の事件簿短編シリーズ、みたいな感じでしょうか。本格らしい謎の提示がしっかりありつつ、一点突破をねらうタイプの作品です(ま、普通の本格ミステリ短編はそういうものですけどね、たぶん)。
そう考えると、やっぱり謎が多重的な「神の灯」は本当に良い作品でした。一番金田一少年味があったのは「マッド・ティー・パーティ」ですが、閉じ込められてもいないのになぜかクローズド感(ファンタジック味あり)があったりと、かなりクセが強い作品でもあります。

以下、個別に簡単な感想を。今さら言うのもなんですが、確かに「神の灯」は一読の価値あり。それ以外は……なんか、わざわざ短編を読むからには、ごちゃごちゃした短編か、すげぇストーリー力の強い短編かを読みたいですよね、うん。

「神の灯」The Lamp of God (1935)
マジで屋敷が土台ごと消えました。すげぇ。
実際のところ、屋敷消滅トリックは、おそらくこの中編を下敷きに作られたであろう某作品のせいで、あぁあのトリックかぁ、となってしまいました。ただ、むしろメインでない殺人の謎が非常に良く出来ており、素直に感心します。読者を徹底して騙そうというクイーンの気概みたいなものを感じるんですよね。
屋敷が消えた(消された)のはそこに住んでいた老人の残した金貨を隠すため、という、消失トリックを起こす動機は最初から提示されているとはいえ、犯人がこれだけ大がかりなトリックをやる必然性みたいなものが殺人から導き出されるのも良いです。見えているもの全てがその通りではない、というミステリの神髄みたいなものが見事に表れた作品ではないでしょうか。
(あと、これが中編ってのが良いですよね……長編だとそこまできれいな構成にならない気がします)

「マッド・ティー・パーティ」 The Adventure of the Mad Tea Party (1934)
ファンタスティックな雰囲気とエラリーによる頭のおかしい演出が面白い作品。トリック、犯人指摘は、まぁそれなり(ただ、キャラの描き分けとかはかなり上手いです)。

「ひげのある女」 The Adventure of the Bearded Lady (1934)
一族物で、正直かなりくだらないかなぁ……(伏線もりもりなのに解き方も雑)。

「首つりアクロバット」 The Adventure of the Hanging Acrobat (1934)
サーカスの殺人という面白さこそあっても、容疑者の描き分けの不徹底さとか、あまりに後出しからの一発で犯人が分かってしまう手がかりとかで、この中短編集の中では一番しょぼい作品です。

原 題:The Lamp of God and other stories (1934~1935)
書 名:神の灯
著 者:エラリー・クイーン Ellery Queen
訳 者:大久保康雄
出版社:嶋中書店
     嶋中文庫 M-1-5
出版年:2004.11.20 1刷

評価★★★★☆

『フレンチ警部と紫色の鎌』F・W・クロフツ

 - 2020.06.02 Tue
クロフツ,F・W
フレンチ警部と紫色の鎌
『フレンチ警部と紫色の鎌』F・W・クロフツ(創元推理文庫)

映画館の切符売りをしている若い女性が、フレンチ警部に助けを求めてやって来た。誘われるままに深入りした賭け事で借金を作ってしまい、返済のために怪しげな提案をのまざるを得なくなった彼女は、紹介された男の手首に紫色の鎌形のあざを見つけて、変死した知り合いの娘が残した言葉を思い出したというのだ。フレンチ警部執念の捜査があばく、切符売り子連続怪死事件の謎とは。(本書あらすじより)

本日、6月2日で、ヨッシーワールド11周年です! いぇい!! 半端な数字!!!
いつもご覧いただき、ありがとうございます。批評とか評論とかではない、ただの感想文の寄せ集めでしかないミステリブログを、高校3年の時以来これだけ長く続けられたのも、皆さんに来ていただいているからこそです。本当にありがとうございます。

……と言っても、10周年だった去年に何かやったわけでもないので、何もやるつもりはなかったんですが、せっかくなので現時点でのオールタイムベストでも作ってみようかな、という気になってきました。まぁ、〇〇やります、とこのブログで言って、やったことの方が少ないので何の保証も出来ませんが、再読などの労力もかけずに適当に作ってみるかもしれません。気長にお待ちください。


というわけで、今日も普通に感想を書きますが、せっかくなので高校生の頃の気持ちに戻り、立て続けに黄金時代の本格ミステリを読んでみることにしました。今日から5冊続きます。
一発目は、黄金時代の作家の中でも飛びぬけて手を付けていないクロフツ大先生です。なんてったって、5作しか読んでいませんからね(英仏、樽、スターヴェル、製材所、クロイドン)。今回はツイッターでのオススメを参考に、『フレンチ警部と紫色の鎌』です。

捜査冒険小説……みたいな内容でしょうか。『フレンチ警部の失敗』とでも名付けたくなるような、犯人一味に対して常に後手後手で捜査・追跡をしていく物語。一体何が起きているか分からず、そもそも何が事件なのか分からない、前半の雲を追うような捜査がすごく好きです。

映画館のチケット売りをしている女性から、何やら詐欺、および殺人事件に巻き込まれているらしいと相談を受けたフレンチ警部。犯人たちを一網打尽にすべく、待ち合わせの約束をし、いったん女性はスコットランドヤードから去っていった。だが、約束の場所に女性は現れず、彼女は死体となって見つかってしまう。フレンチ警部の必死の追跡行が始まるが……。

犯人一味の情報こそ最初から出てはいますが、正体を明らかにすることは主眼ではなく、映画館のチケット売りをする女性たちが次々に狙われているのはなぜなのか?という大きな謎が冒頭から提示されています。解決につながる糸口が全く見えない中で、時には奥さんの助言も受けつつ、一歩一歩(特に独創的でもない)捜査を進めて全貌を明らかにする……という流れが意外に面白いのです。っていうか、これが面白いなら、俺はクロフツ向いているんじゃないかな……。

謎の正体自体は、フレンチ警部があんまり賢くないせいもあってじわっと明かされるので、そこまで意外性のあるものではありません(というよりは面白味がありません)。ただ、そこからの『エジプト十字架』みたいな(発表年は逆だけど)、怒涛の追跡劇も結構読ませます。エンタメじゃん、っていう。フレンチの「凡人探偵」っぷりが十二分に発揮されているが故に、ややまだるっこしさもありますが、それでも読みにくさとか進まなさを感じさせないのはさすがのクロフツの面白さだな、と思わせられます。っていうか、これと比べると『製材所』『クロイドン』は酷かったな……。

年一冊くらいのペースでクロフツ読みたいよね、と思えたので、例えば創元の復刊ってちょうどよいのかもしれないですね。面白かったです。ちなみに、訳者後書きで井上勇氏がすご〜く慎重に言葉を選びつつ、『樽』って代表作じゃなくない?みたいなことを言っているのがウケます。

原 題:The Purple Sickle Murders (1929)
書 名:フレンチ警部と紫色の鎌
著 者:F・W・クロフツ Freeman Wills Crofts
訳 者:井上勇
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 Mク-3-9
出版年:1972.07.07 初版
     1991.06.10 14版

評価★★★★☆

『犯罪王モリアーティの生還』ジョン・ガードナー

 - 2020.04.26 Sun
ガードナー,ジョン
犯罪王モリアーティの生還
『犯罪王モリアーティの生還』ジョン・ガードナー(講談社文庫)

名探偵シャーロック・ホームズの宿敵でホームズとともに死んだと思われていたモリアーティがロンドンに生還した。しかし、その組織は、配下モラン大佐のずさんな支配のためにすっかり乱れていた。モリアーティは組織の再統一を図り、暗黒街の帝王の地位を着実に固めてゆく。ジョン・ガードナー会心の長編犯罪小説。(本書上巻あらすじより)
犯罪界の帝王として、再びロンドンに君臨したモリアーティの前途には、しかしまだ困難な問題が山積していた。それら一つ一つを地道に始末しながら、モリアーティは積年の念願である大陸同盟の実現をめざして行動を起こす。——シャーロック・ホームズの宿敵モリアーティの犯罪活動を描くガードナー会心の長編。(本書下巻あらすじより)

ネット上で公式あらすじが見つからないので、下巻の裏表紙のやつも写しておきました。
ジョン・ガードナーと言えば、スパイ小説やジェイムズ・ボンドの公式続編で知られる、っていうかそこまで日本では知られてもいない作家です。その彼が1974年、1975年、そして2008年に発表したのが、モリアーティ3部作なのです(3作目は未訳)。
正直読む前は、レア本だというだけでそこまで面白くないのかな、と思っていたのですが……いやーなめてました。『犯罪王モリアーティの生還』、すげぇ面白いじゃないですか。3部作として完璧な入り。
あまり書き方が親切ではないので最初は入りにくいですが、じわじわっと面白くなってくるタイプの作品。本書の特徴を一言で表すなら、「フロスト警部的モジュラー型+ネロ・ウルフ的安楽椅子探偵」なのです。

実は死んでいなかったモリアーティが、3年ぶりにロンドンに帰ってきた。モリアーティの作り上げた巨大犯罪組織はモラン大佐に引き継がれてはいたが、別の犯罪者に支配域を食われたり、あちこちにほころびがあったりと、まず立て直しが必要となっていた。
3年の間にヨーロッパ全域の犯罪者をまとめ上げたいという野望を持ったモリアーティは、幹部らと共に次々と組織の拡大を図っていく。一方、スコットランドヤードのクロウ警部は、モリアーティ帰還の噂を聞きつけ、検挙に向けて着実に捜査を進めていた……。

物語は、帰還したモリアーティのもとに「ファミリー」の者たちが次々と陳情を持ち込んでくるところから始まります。
・地方の貴族の屋敷の強盗計画
・刑務所に入ったファミリーの仲間を脱出させる
・3年の間に成長した敵対組織の壊滅
・手酷く扱われている召使いの救出
などなど。
様々な規模のありとあらゆる犯罪にモリアーティが関与し、ロンドンの裏社会をまとめ上げていきます。ファミリーの幹部である、パゲット、スピア、リー・チョウ、エンバー、パーカーらがモリアーティの手足となり、組織の拡充に努めていくのが前半の主な内容。いわば犯罪版モジュラー型ミステリ+安楽椅子探偵なのです(なお、幹部の一人であるモラン大佐がどうなるかは、読んでのお楽しみ)。
ですから、「フロスト警部+ネロ・ウルフ」という構造、と説明するのが一番しっくりきます。モリアーティ自身はめったに手を下さず、指示を出し、関係者に会うのみ。けど本当に重要な案件だけは自らこっそり遂行します。ミスはほとんどしませんし、ファミリーの結束は非常に強固。とにかくモリアーティが強く、そして怖く描かれており、っていうかノワールじゃないのこれ、みたいな場面もしばしば。1894年のロンドンで起きうる多様な犯罪が、物語にしっかり溶け込んでいるのが上手いです。
ちなみに、このシリーズの設定では、モリアーティは30代です。なぜこんなに若いのかはちゃんと説明されているので読んでください。

そのモリアーティの邪魔をするのが、ホームズ……ではありません。本書のホームズは、諸事情により、あくまで公式には「死んだ」ことになっているモリアーティに手を出さないのです。
代わりに登場しモリアーティの捜査を行うのがクロウ警部。彼がモリアーティの組織に迫っていく下巻がめっちゃ良いんですよ。ホームズと同等の危険性を感じるとモリアーティに言わしめるクロウは、冴えない男ではあるけど切れ者、めちゃめちゃ地道かつ着実にモリアーティの尻尾を掴んでいくのです。

という感じなので、基本的にごちゃごちゃした話なのですが、きちんと大きなストーリー軸が何本か用意されているのが長編としてまた上手いところ。上記のクロウ警部の追跡に加え、モリアーティがいない3年間にロンドンで成長した組織のボスである、義足のマイケル・執事のピーターとの抗争、モリアーティに次ぐ主人公格であるモリアーティの腹心パゲットが、結婚を機に組織に居続けることに対して感じ始める不安……などが主軸でしょうか。
ついにモリアーティの組織が追いつめられ、さぁどうなる?と終盤は大盛り上がり。いやーこれは良い終わり方。あくまで単独作品としても、モリアーティの「ヤバさ」が垣間見える良いラストですし、モリアーティと好敵手クロウ警部との関係が今後どうなるかも非常に気になるところです。

上下巻とは言え全部で500ページに満たない物語。登場人物は多いしストーリーは複雑だしで、最初はすごく読みにくいと思いますが、なぜかじわじわ面白い、という良作でした。モリアーティの残酷さと狂信的な野望と共に、生き生きとした登場人物たちの人生が描かれていく19世紀末ノワール。2作目『犯罪王モリアーティの復讐』も、何とか手に入れて読んでみたいところです。


(追記1) 解説に紹介されている、モリアーティがチベットの瞑想ホールでホームズと対峙し、「わしとて日本の墜落の技(アート・オブ・フォーリング)"トビワザ"を心得ているのだ。この技さえ修めておれば、崖から転落してもけが一つせんのだ」とのたまうとか言う、リチャード・ウィンカー『チベットのシャーロック・ホームズ』って作品、すごい気になるんですが未訳ですよね。

(追記2) 本書の背表紙なのですが、
犯罪王モリアーティの生還背表紙
上巻の文庫番号が、BX221なの、すごくないですか? これ講談社は狙ってやったのかなぁ。

原 題:The Return of Moriarty (1974)
書 名:犯罪王モリアーティの生還(上下)
著 者:ジョン・ガードナー John Gardner
訳 者:宮祐二
出版社:講談社
     講談社文庫 BX221,222
出版年:1979.02.15 1刷

評価★★★★★

『ある醜聞(スキャンダル)』ベルトン・コッブ

 - 2020.03.22 Sun
コッブ,ベルトン
ある醜聞
『ある醜聞(スキャンダル)』ベルトン・コッブ(論創海外ミステリ)

非業の死を遂げたロンドン警視庁の女性職員。その背後には警察内部の醜聞が隠されていた……。事件を追うブライアン・アーミテージ警部補は真相を明らかにできるのか?(本書あらすじより)

これまで翻訳が『消えた犠牲』しかなかったベルトン・コッブの作品が、論創から出ました。てっきり作数の少ないクラシック作家かと思っていたのですが、最初のミステリ作品が1936年、そこから1971年に亡くなるまで、50作以上も発表していたんですね、ベルトン・コッブって。活動期間を考えると、カーと同時期なんだよなぁ。
で、『ある醜聞』ですが……全体的には面白かったと言えますし、200ページの長編と考えればまぁこんなもんで良いんじゃないでしょうか、という感じ。クラシック本格ミステリとしては、悪くない論創ではないでしょうか。

ロンドン警視庁のアーミテージ警部補は、週末の田舎町で、上司のバグショー警視が宿泊するホテルに彼の秘書が入っていくところを見かける。翌週、秘書が死体となって発見されるが、バグショーは週末のことを何も言わなかった。アーミテージは上司が何を隠しているのか暴こうとするが……。

主人公のアーミテージがやや暴走気味なところとか、終盤のツイストとか、最後の皮肉な結末とか、これ誰かの作風っぽいなぁと思ったら、あれなんですよ、バークリーですよ。これ、バークリーファンが好きなやつですよ、間違いない。
原題が『スコットランドヤードのスキャンダル』となっているように、ロンドン警視庁の刑事たちが後ろ暗いことを隠している話です。主要登場人物4人もみな刑事。主人公のアーミテージは警部補なので警視や部長刑事の間に挟まれる中間管理職としてもなかなか苦労人です。
結構一発ネタ寄りの作品なのに、ミスディレクションが露骨で容疑者も少ないため、割と真相は予想しやすいかもしれません。まぁでも、この短さならこういうネタでも許せるかな……。

主人公は名探偵でも名刑事でもなく、とにかく「上司は何かを隠しているに違いない!」と突っ走るだけな人で、一方で上司は終始堂々とした態度。さらに、主人公は上司の泊まっていたホテルに秘書を送り届けはしたものの、ホテルに入っていくところ自体は実は見ていないのです(ということに中盤気付くのがちょっと遅いんですが)。言ってしまえばパターンとしては、「(実際に殺人犯かはともかく)本当に上司が秘書と付き合っていた」と「主人公の勘違いだった」のどちらかしかないわけで、しかも主人公が全然迷わないので、謎解きミステリ的な転がし方としてはあんまり意外性が生まれにくいわけです。
という具合なので、大枠としてはあまりどんでん返しがないのですが、そこからもう一歩、読者への騙しがあるので、やはり出来は悪くはないでしょう。ただでもこれ、1969年の作品なんですよねー。1930〜40年代の黄金時代ならまだ分かりますが、1969年にしちゃあ……なんだろう、うっすい内容のような気がするのです。いや十分に面白いしそこそこ楽しみましたが。ちょっとミスディレクションをやりすぎなのかな。

というわけで、本書を読んだ結果、ベルトン・コッブに対する期待値が無にリセットされたので、『消えた犠牲』を読むまでは評価は保留とします。作者の死の二年前に書かれた『ある醜聞』とは異なり、『消えた犠牲』は1958年の作品なので、またちょっと作風が違うかもしれないですね。

原 題:Scandal at Scotland Yard (1969)
書 名:ある醜聞(スキャンダル)
著 者:ベルトン・コッブ Belton Cobb
訳 者:菱山美穂
出版社:論創社
     論創海外ミステリ 245
出版年:2019.12.25 初版

評価★★★★☆

『「レインボウズ・エンド」亭の大いなる幻影』マーサ・グライムズ

 - 2020.02.27 Thu
グライムズ,マーサ
「レインボウズ・エンド」亭の大いなる幻影
『「レインボウズ・エンド」亭の大いなる幻影』マーサ・グライムズ(文春文庫)

朝靄にけぶる古代遺蹟の穴ぼこで息絶えていた女性、そして別の日、別の町でさらに二人の女性が急死した。一見なんの関連もなさそうな三人の死を結ぶ一本の線が―三人とも同じ時期にアメリカのある町にいたのだ。魅惑の地ニューメキシコのサンタフェである。それだけの幻のような線をたぐり、ジュリー警視はふたたび海を渡る。(本書あらすじより)

2019年1月から続けてきた月一マーサ・グライムズ再読、2020年1月をしそびれてしまいましたが、とにかくついに最終回です。いやー感慨深いなぁ……で、今回は感想が鬼長いので、ご覚悟ください。あとまとまりもないです。最後だから書きたいこと全部書く。
シリーズ13作目『「レインボウズ・エンド」亭の大いなる幻影』ですが、シリーズの過去作をやたらと織り交ぜながら660ページにわたってグライムズ節でダラダラ読ませるという、一見さんお断り感ハンパねえ作品なのであります。とはいえ、ここまで徹底して「シリーズ」として作られると、なんかもう好き放題やればいいんじゃいか、みたいな気持ちになってきました。

前作『「乗ってきた馬」亭の再会』の完全な続編で、そもそも前作で起きた未解決の事件が題材。バラバラな場所、バラバラな時期に、3人の女性が心臓発作で倒れた。3人が一時期アメリカのサンタフェにいたことから、マキャルヴィ方面部長は殺人であると断言し、ジュリー警視は単身アメリカに飛ぶが……。

前作と今作をまとめるなら「アメリカ編」なんですが、趣はだいぶ異なります。前作はシリーズキャラクター何人かでアメリカに行き、しかもボルティモアというポオの街を観光しつつ捜査……というトラベル・ミステリ感満載の内容でしたが、今回はジュリー警視一人でアメリカに行く上に、あまり観光地感のない街で一人いつもの捜査を進める、というものです。
連続心臓発作というとらえどころのない事件なので、ミステリとしてはフーダニットに加えてもちろんハウダニットもあるわけですが、これに関しては(いつも通り)かなりお粗末。犯人の造形もいい加減ですし、まぁ正直言って謎解きミステリとしては見どころはありません。ぶっちゃけアメリカを舞台とする意味もあんまりないし。

ちなみに意外と本作を嫌いになれない理由のひとつが、アメリカでジュリー警視が会う容疑者たちが全員キャラクターとしてかなり良く出来ているところです。グライムズはうじうじ考えたり、逆に浮世離れしていたりする人間を描くのがやっぱり上手いんですよねぇ。
特に、被害者の19歳離れた妹メアリの人物造形は、グライムズが得意とする利発な「子供」の完成形の一つ。仲の良い姉の性格との対比で現実主義的な面をしっかり描きつつ、ネイティブアメリカンの風習を取り入れた神秘主義的な面も違和感なく持たせています(メアリの登場を限界まで引っ張るのも上手いですよね)。

また、今作で面白いのが、まずジュリー警視と元貴族メルローズ・プラントの二人の関係性、というか性格の変化。今までは「無自覚にモテるジュリー」と「嫉妬するプラント」だったのに、ジュリーがアメリカに行きプラントが取り残され、そこでプラントが思いっきり自由に捜査を行うことで、ジュリーに対しやや優位に立つようになるのです。ここ数作のプラントは探偵として結構優秀なんです。
二人は連絡は取り合うけど会うことはなく、660ページの最後の最後でのみ、直接会います。ここでジュリーがらしくない弱さを見せます。ジュリーとプラントが、両方がっつり恋愛のことを考えまくる……という展開も、実は珍しいし。これ、次作以降どうなっていくのかなぁ。決まった相手が出来るとはとても思えないんだけど……。

単体としてはもう全く評価できない作品になってしまいましたが、13作コツコツ読んできた身としては初期からの大きな変化が感じられてやっぱり面白く読めました。もはやダラダラ読むのが楽しくなってきていますし。とはいえ、ここで翻訳が止まってしまったのも仕方ないかなと思わなくもありません。やっぱ分厚すぎるしな……。
なお、翻訳が止まった理由の一つではないかと疑っているのですが、『「レインボウズ・エンド」亭の大いなる幻影』は、過去作の登場人物が意図的に多数登場します。シリーズ3作目・9作目の登場人物はかなり出てくる他、セリフだけで5作目のことを匂わせたりと、明らかに出まくっているのです。作者としてもシリーズの総括的な位置付けにしたかったのでしょうか。
今度13作品の総括もちゃんとやりましょう。次も何か月一読書やってみたいなぁ。

原 題:Rainbow's End (1995)
書 名:「レインボウズ・エンド」亭の大いなる幻影
著 者:マーサ・グライムズ Martha Grimes
訳 者:山本俊子
出版社:文藝春秋
     文春文庫 ク-1-14
出版年:1998.08.10 1刷

評価★★★★☆

『おちび』エドワード・ケアリー

 - 2020.02.23 Sun
ケアリー,エドワード
おちび
『おちび』エドワード・ケアリー(東京創元社)

マリーは、お世辞にも可愛いとはいえない小さな女の子。父の死後、母と共に人体のパーツを蝋で作る医師のところに住み込むが、そのあまりのリアルさに敬虔なクリスチャンである母は耐えられずに自殺、残されたマリーが、医師の手伝いをすることに。やがてマリーは医師に伴われてパリに行き、ルイ16世の妹に仕える。だがパリには革命の嵐が。〈アイアマンガー3部作〉の著者が激動の時代を生きたマリーの生涯を描く、驚天動地の物語。(本書あらすじより)

アイアマンガー三部作が面白かったので、他のケアリーも全部買って積んでいたところ、さっそうと新刊が登場したので読んでみました。ですが……あんまり刺さらなかったんだよなぁ。なぜだろう、というのを読み終わってずっと考えています。以下は、感想というより、読み終わって書いたメモのようなもの、とお考え下さい。

後にマダム・タッソーの蝋人形館をロンドンで作ることになる少女マリーは、スイスのベルンで人付き合いの苦手な医師クルティウスに出会う。母親を亡くしクルティウスの下で暮らすことになったマリーは、彼の蝋人形制作を手伝うようになる。やがてパリに移住した彼らは、蝋人形制作を行う中で、フランス革命に巻き込まれていくのだが……。

たぶんですけど、「かわいそうな孤児物」があんまり好きじゃないんですよね……パリに移住後、居候先となる仕立て屋のピコー夫人がクルティウスとマリーをいいように利用していくところか、結構つらい……ピコー夫人の息子エドモンドとの出会いとかは、アイアマンガー三部作を思い起こさせるボーイミーツガールで好きなんですけど。
中盤、ルイ16世の妹エリザベートに気に入られ、マリーはついに家を出て、エリザベート専属の蝋人形の先生としてヴェルサイユ宮殿に住み始めます。フランス革命前のブルボン王家や貴族の様子がたっぷり描かれており、このへんの雰囲気はすごく好き。ルイ16世がすごく良い人だ……ケアリーの生み出す登場人物って、ぶっちゃけ好きになれない人が多いんですけど、彼だけ割と純粋に良い人だ……。

フランス革命後、マリーたちは王党派ではないかと疑われたり、スイス人であることから他国のスパイではないかと疑われたり、けど彼らの作る蝋人形が重宝されたりと、とにかく激動の人生を送っていくことになります。特に、フランス革命に突入した後の、暴動に明け暮れる民衆、恐怖政治のもとで周りを告発しまくる民衆、戦争に向けてヒートアップしていく民衆など、ナポレオン登場前のひたすらに暴力的なパリが描かれるのが素晴らしいです。フランス革命と言えば、恐怖政治を挟みつつも、とにかく革命に賛同していた民衆か、あるいは虐げられた貴族かのどちらかの視点から見ることが多いように思いますが、この視点からの物語はすごく貴重なのかも。

ただ、やっぱりハマれなかったんですよね。常に気丈で、気高くて、自分のやりたいことをやり通そうとするマリーは応援したくなるキャラクターですが、ザ・イヤな人物として描かれるピコー夫人はともかく、マリーが慕いマリーの「保護者」であるクルティウス医師がどうしても好きになれなかったからかも。こういう、そこはかとなくイヤ~な大人を描くのがケアリーの本領発揮なんでしょうけど……。
あとは、自分がアイアマンガー三部作を楽しめたのって、作者ケアリーの尋常でないモノへのこだわり、そしてファンタジックさの2つだったと思うのですが、『おちび』にはそこがあまりなかったのもハマれなかった理由かも。どうも『望楼館追想』を読むべきらしいので、今度はそっちでケアリーとの相性を考えてみようかなぁ。

原 題:Little (2018)
書 名:おちび
著 者:エドワード・ケアリー Edward Carey
訳 者:古屋美登里
出版社:東京創元社
出版年:2019.11.29 初版

評価★★★☆☆

『白衣の女』ウィルキー・コリンズ

 - 2020.02.08 Sat
コリンズ,ウィルキー
白衣の女 上 白衣の女 中 白衣の女 下
『白衣の女(上・中・下)』ウィルキー・コリンズ(岩波文庫)

暑熱去らぬ夏の夜道、「ロンドンに行きたい」と声をかけてきた白ずくめの女。絵画教師ハートライトは奇妙な予感に震えた――。発表と同時に一大ブームを巻き起こし社会現象にまでなったこの作品により、豊饒な英国ミステリの伝統が第一歩を踏み出した。ウィルキー・コリンズ(1824-89)の名を不朽のものにした傑作。(本書上巻あらすじより)

毎年恒例年越しディケンズ(6回目)……をいつもなら年末年始にやるのですが、2019年はもう『オリヴァー・ツイスト』を春に読んだ上に『荒涼館』の再読までしているので、今回はやりません。
じゃあ代わりに何を読むか、19世紀のディケンズ代わりになりそうなミステリっぽい作家っていたっけ……そうだ、ウィルキー・コリンズだ!というわけで、今年は番外編年越しコリンズ、岩波文庫版『白衣の女』に挑戦です。最適解でしょこれ。
そして、大興奮のまま読み終えていました。自分がクラシックが好きとかヴィクトリア朝作家が好きすぎとかそういうの全部抜きにして、客観的に見てスーパーウルトラ傑作だと思います。マジです

ディケンズの面白さって、個人的には超好きなんですが、たぶん19世紀の小説としての面白さなんですよ。ところが『白衣の女』の面白さは明らかに20世紀のエンタメを読む面白さのように思えるのです。クラシックを読んでいて、この作品がこの時代に書かれたの?!ってたまになることがありますが(『ビッグ・ボウの殺人』とか)、あの感覚に非常に近いというか。
『月長石』に興奮したのが2010年。そしてそれを上回る興奮を『白衣の女』が与えてくれたのが2020年。ウィルキー・コリンズ、最高!

岩波文庫版で言うと上中下巻がそれぞれ第一部、第二部、第三部となっていて、話が大きく変わっていきます。第一部では、貧しい中流階級の絵描きが上流階級の女性の美術の家庭教師となり、お互いに身分違いの恋に落ち、しかし彼女には決められた貴族の結婚相手がいて……みたいなやつ。よくある。
しかしその絵描きが偶然出会った、精神病院から抜け出した「白衣の女」が、貴族の女性の結婚相手となっている準男爵に関する何らかの秘密を知っているらしく……みたいな謎が提示されます。準男爵がかなりうさんくさい人間である中、さぁどうなる、という顛末が、関係者の手記で語られていくのです。

さて、第二部ではある巧妙な犯罪が行われ、そして第三部では追いやられた主人公たちが復讐の鬼と化し、中ボスと究極の大ボスと命がけの戦いを繰り広げます。そう、これは復讐譚なんですよ! 特に第二部以降は、お互いが相手の裏をかこうとする頭脳編なんです。だから、とにかくハラハラドキドキ、サスペンスフルで、クソ面白い。第二部のラストとかめっちゃビビる面白さ。『荊の城』の上巻読了時みたいな感じ(だから、サラ・ウォーターズが好きな人にはもれなく読んでもらいたい……)。

さて主要登場人物。全然ダラダラしていない、気の休まらない頭脳戦を繰り広げる善側が、まず恋に落ちた美術教師ウォルター・ハートライト。そしてもう一人が、ウォルターと恋仲になったローラの姉、マリアン・ハルカム嬢なのであります。このマリアンがもうとにかく魅力的なんですよ……ここだけで1000字は語れるな……。
マリアン・ハルカムという、超絶魅力的な、ヒロインじゃないけど実質ヒロインを生み出せたという時点で作者の完全勝利と言っていいのではないでしょうか。邪悪な企みから妹を守るため、とにかく頭を使い何とかしようとする彼女がむちゃくちゃかっこいいのです。本当にこの作品が19世紀に書かれたのかよ。信じられねぇな。

さらに敵役の、とりあえずネタバレを避けるため誰とは言いませんが、ある人物がこれまた信じられないくらい魅力的。007とかルパン三世のラスボスのような悪のカリスマ。謎の情けとかかけちゃうあたりがますます悪のカリスマっぽいし。
この魅力的な敵味方が争いつつ、全ての謎が解かれる第三部は圧巻としか言いようがありません。ウィルキー・コリンズがこだわる(『月長石』と同様の)手記リレー形式にも必然性があり、多視点を生かしてこれだけの物語を紡ぎ出せるのは本当にすごいと思います。全力でおすすめ。

19世紀の長編ミステリの始祖として語られるディケンズの『荒涼館』とコリンズの『白衣の女』、どっちも好きですが、どちらかをおすすめするとなると、万人向けの面白さと言う点で『白衣の女』の圧勝と言う他ないかな……悔しいけども……(だって19世紀離れしてるからさぁ)。今後もウィルキー・コリンズの長編はなるべく読んでいきたいですね(あんまり手に入らないけど)。

ところで、岩波文庫版『荒涼館』の感想でも書きましたが、つくづく自分は岩波文庫の翻訳をなめていたなぁと反省しています。とにかくべらぼうに読みやすい。なんか、勝手に読みにくいイメージがあったので……いや昔のは実際読みにくかったと思うんだけど……。

原 題:The Woman in White (1959~1960)
書 名:白衣の女(上・中・下)
著 者:ウィルキー・コリンズ Wilkie Collins
訳 者:中島賢二
出版社:岩波書店
     岩波文庫 赤284-1,2,3
出版年:1996.03.18 1刷
     2011.06.06 6刷

評価★★★★★

『「乗ってきた馬」亭の再会』マーサ・グライムズ

 - 2020.01.18 Sat
グライムズ,マーサ
「乗ってきた馬」亭の再会
『「乗ってきた馬」亭の再会』マーサ・グライムズ(文春文庫)

春先の憂鬱にとらわれたジュリーのもとに、旧知の貴族夫人からお呼び出しがかかった。恩あるレディに頼まれて、アメリカの殺人事件を調べるはめになり、警視、ついに大西洋を渡る。(本書あらすじより)

月一グライムズ再読、ついに12冊目(読んだのはちゃんと12月頭なんですよ、感想は今ですけど)。ジュリー警視一向、友人に頼まれアメリカに行く、の巻。初読時の印象はかなり悪いのですが……。
思ったよりアメリカにいる主人公たちの描写に違和感がなく(というかイギリスにいるのと変わらない)、ボルティモアを舞台にポオが密接に絡んでいくのも割と面白い……とは思います。ただ、ここ数作全般に言えることですが、シリーズ要素がいくら何でも強すぎてストーリー的に邪魔なんだよなぁ。

ポオの未発表原稿を入手し論文を書こうとしていた女子大学生殺し、山中のロッジで殺された若い男性、ホームレス殺しという3つの無関係な殺人。前作の登場人物に頼まれて女子大生殺しを調べにアメリカに来たジュリー警視らによって、3つの殺人が結び付けられていく様は悪くありません。いつもより元貴族プラントがめちゃめちゃ推理しているのもダブル主人公的に良いですし。

大学が舞台の一つとなるせいでクセの強い大学教授たちが出てきたりと、容疑者も結構魅力的。ただ、動機は良いとして、そこからの犯人特定要素が全くない(このままだと容疑者は2人はいるはずでは)あたり、あぁグライムズは謎解きミステリやめちゃったんだなぁ感がハンパないですね……(初期からそこまでゴリゴリの謎解きでもないとはいえ)。

しかしそんなことより、問題は本書が『「レインボウズ・エンド」亭の大いなる幻影』との実質二部作であることなのです。一作で完結はしているけど、キャラクター同士の関係とかもろもろが次に持ち越された感があります。だから事件解決後にダラダラと何十ページもまだ残りがあるわけで……。
このシリーズは、シリーズキャラクターが雪だるま式に増えまくっていきます。もちろん彼らの登場は楽しいし魅力的なことこの上ないんですが、あくまでそれをストーリーの副にしてほしかったんですよ。だから最後の何十ページかは完全に蛇足。アメリカにいる間の捜査とかもろもろすごく良いだけに、本当にもったいないのです。

来月読む『「レインボウズ・エンド」亭の大いなる幻影』は、それこそここまでの12作の総括的な意味合いのある作品。これを読んだら、グライムズ総括的なことをやって、月一グライムズ再読を終わりにしようかな、と思っています。

原 題:The Horse You Came In On (1993)
書 名:「乗ってきた馬」亭の再会
著 者:マーサ・グライムズ Martha Grimes
訳 者:山本俊子
出版社:文藝春秋
     文春文庫 ク-1-13
出版年:1996.05.10 1刷

評価★★★★☆

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ヨッシー

Author:ヨッシー
クリスティ、デクスター、グライムズ、ディヴァインが好きな、ヨッシーことTYこと吉井富房を名乗る遅読の社会人3年目が、日々読み散らかした海外ミステリ(古典と現代が半々くらい)を紹介する趣味のブログです。ブログ開始から9年になりました。ちなみにブログ名は、某テンドーのカラフル怪獣とは全く関係ありません。
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