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シャーロット・アームストロング名言2

2020-04

『陰謀の島』マイケル・イネス

 - 2020.03.31 Tue
イネス,マイクル
陰謀の島
『陰謀の島』マイケル・イネス(論創海外ミステリ)

ロンドン市内でルーシーという娘が行方不明になり、ハロゲイトの田舎町では馬車馬が盗まれ、ホーク・スクエアでは一軒家が丸ごと盗まれた。相次ぐ不可解な事件の捜査を担当する事になったアプルビイ警部は、事件の影に暗躍する魔女の存在を知り、盗まれた物が南米大陸に集められている事をつきとめた。秘密施設〈ハッピー・アイランド〉へ乗り込んだアプルビイは、そこで世界規模の陰謀が進行している事を知る……。(本書あらすじより)

最近せっせとブログを更新しているのはいいとして、あんまり褒めている本がないような……しかも今回もだから申し訳ないんですけど。
さてイネス。何やら『陰謀の島』は殊能将之が絶賛した変な話らしいと聞いてはいたのですが……えぇ、なんなんだこれは……ジョン・ブラックバーンとかピーター・ディキンスンっぽいというか……。
面白いか面白くないかで言えば、面白くなくはない、みたいな感じです(二択になっていない)。とりあえず、謎解きミステリではありません。強いて言うならジェイムズ・ボンドに近い……のか?(けどスパイ小説でもないし、戦時中とはいえ冒険小説風でもない) とにかくよく分からない、異色作です。

連続少女失踪事件、そして特に価値のない馬盗難事件の捜査が同時に進む序盤は、英国警察小説のルーツであるかのような渋めの展開でとても面白く読めます。ここには明確な解かれるべき謎がありますし、中間管理職らしいアプルビイの面倒な立場なんかも描かれます。読んでいて、デクスターとかヒルとかラウゼイに連なる雰囲気っぽいのをイネスから感じるのは初めてかも。
この二つの事件は、前者はロンドン警視庁のハドスピス、後者はアプルビイによって、それぞれ別々に調べが進んでいきます。この二つがどこかで結びつくんだろうと、読者は当然予測するわけですが、アプルビイのその気付き方があんまりにも強引で笑ってしまいました。王道のミステリを皮肉るかのようなやり方で、こういうのはめっちゃ好きです。

……とか考えていた自分が甘かったのです。以後の展開は、王道からずらしていく(登場人物すら自身でベタをネタにしていく)とか、そういう要素もあるにはありますが、そんなレベルではないのです。第二部以降の奇想としか言いようのない展開は、もう何でもあり。アプルビイがそもそも「警察官」という役回りですらありません。これ、一番近いのは、後のジェイムズ・ボンドの世界じゃないですか。

何が酷いって、世界中からオカルト的なものを集めて謎の島とか作っちゃってる黒幕的な人が出てくるんですが(どういうこと?)、最初の方はアプルビイが「こいつの目的は何だ、まさか〇〇で終わりってことはないだろう」とか考えていたのに、その〇〇で終わりってことですよ。落としどころが「こいつやべぇ」なんですよ。なのに、この『陰謀の島』という作品に漂う独特の空気感がとにかく異様で、客観的に淡々とヤバさが描かれるだけなんです。ツッコミ不在のボケだけのコントみたい。そんなぬるいもんじゃないけど。
悪役をやっつけるところすら、全く読者をはらはらさせません。なぜなら、作者が下手だからではなく、どうせこういう展開になるって読者も思っているでしょ、と作者とアプルビイが考えているし、そう考えていることを読者に隠そうともしないから。王道っぽさをネタにしすぎてメタになるとこうなるのかっていう。

とりあえず、読めます。面白くなくもないです。けど、つまらないと言えばつまらない。どう評価していいかもよく分かりません。個人的には、そういう作品でした。うーん、イネス、『ある詩人への挽歌』以外はそこまで合わないのかな……。

原 題:The Daffodil Affair (1942)
書 名:陰謀の島
著 者:マイケル・イネス Michael Innes
訳 者:福森典子
出版社:論創社
     論創海外ミステリ 244
出版年:2019.12.10 初版

評価★★★☆☆
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『正義の四人/ロンドン大包囲網』エドガー・ウォーレス

 - 2020.03.28 Sat
ウォーレス,エドガー
正義の四人/ロンドン大包囲網
『正義の四人/ロンドン大包囲網』エドガー・ウォーレス(Gem Collection)

法では裁けぬ悪人に鉄槌を下す四人の男たち。狙いを定めたのは英国外務大臣だった。ロンドン警視庁の威信をかけた包囲網に果敢に挑むが……最初のベストセラーとなったウォーレスの記念すべき第一作。ミステリ史に残る愛すべき古典的名作。(本書あらすじより)

『正義の四人』、『海外ミステリー事典』で知ってからかれこれ13年ずっと気になっていた本だったのですが、結局スリラーとしてしょぼすぎる作品で、読み終わってめちゃめちゃ悲しい気持ちになりました。1905年発表であることをどれだけ差っ引いても、微妙は微妙。この分だと、『真紅の輪』とかも面白くないのかな……。

正義の名のもとに、悪徳な政治家、事業家、権力者など、世界中の要人を次々と暗殺してきた四人組「正義の四人」。彼らの次なる標的は、英国外務大臣だった。「正義の四人」の予告を受けて、ロンドン警視庁はこの計画を阻止しようとするのだが……。

タイプとしては同時期(よりやや遅め)のルパンに近く、悪人が主人公、警察は敵という、鼠小僧的な義賊ものなわけですが(新聞が煽りまくりで「正義の四人」寄りなのもルパンっぽい)、まずこの「義賊もの」としての構図がぜんぜん上手く見せられていません。四人の掲げる正義がいまいちピンと来ませんし、「悪人」であるはずの外務大臣もそんなに悪人に見えないっていう(今でいう逃亡犯条例的なものを、社会主義者の引き渡しのために制定しようとしているのですが、それくらいで殺しても……感はあります)。むしろ暗殺を防ぐため警察がすごく頑張ってるなぁ、としか思えません。
大胆不敵(笑)な四人の作戦も本当に大したことがなく、暗殺のアイデアも(引っ張った割に)しょぼめ、それを阻止できない警察も超ザコい、という、何とも低レベルな暗殺劇。四人組が暗殺の邪魔になる一般人を普通に殺しちゃうのもマイナス点です。これやっちゃうと、ただのテロリストじゃねぇか……。

ところで、タイトルは「正義の四人」ですが、シリーズ1作目であるこの作品の冒頭で何が説明されるかと言うと、直近の事件で一人死んでしまって実は三人組になってしまったというのです。そのため、この作品はテリー(サイモン)なるスペイン人を暗殺に必要な知識を持っているからということでスカウトするところから始まるわけです。このテリーが、暗殺そのものに最初から最後まで全然乗り気じゃないですし、何なら他の三人ともケンカする始末。脅されて参加させられてる、という方が近いのです。英語も分からず、何にも事情を知らされていないテリーはただただ哀れ。
aga-searchによると、「『正義の四人』と言われるようにメンバーは四人ですが、その構成員については三人は全編を通じていつも同じですが、後の一人は各編違った人物を補足してその人物がどんな人間かを最後まで明かさないやり方を貫いてい」るんだそうです。おそらく2作目以降は、誰が四人目のメンバーなのか?という謎があるのかなぁと予想していますが、確かにそういう要素があった方が面白かろうとは思います。

でもまぁ、オチも酷いし、スリラーとしても盛り上がらないまま終わるし、マジで加点ポイントがありません。ルパン的に四人組をめっちゃ読者に寄せようとも、たぶんしていないし。ある意味シリーズがこの後どうなるかだけは気になるので、うん、ウィキペディアで読みます。

原 題:The Four Just Men (1905)
書 名:正義の四人/ロンドン大包囲網
著 者:エドガー・ウォーレス Edgar Wallace
訳 者:宮﨑ひとみ
出版社:長崎出版
     Gem Collection 7
出版年:2007.06.10 初版

評価★★☆☆☆

『南十字星』ジュール・ヴェルヌ

 - 2020.02.14 Fri
ヴェルヌ,ジュール
南十字星
『南十字星』ジュール・ヴェルヌ(中公文庫)

斜長方形十二面体の黒い結晶、七彩の光を放つ432カラットの「南十字星」の行方を追って、猛獣の咆哮する中央アフリカの原野へ踏み入る青年科学者とその恋人、そして荒くれ男たち――イギリスの植民地主義的収奪の時代の南阿を舞台に、ヴェルヌ一流の奔放な構想、巧妙な語り口で展開される冒険サスペンス・ミステリーの本邦初訳版(本書あらすじより)

『神秘の島』を好きすぎるせいでヴェルヌに異常な好感情を抱いているのですが、別にヴェルヌなら何でも好きなわけでもないのです。実際、『海底二万里』『必死の逃亡者』は微妙だったなぁと思っているわけですし。ですが、今回のヴェルヌは久々にちゃんと面白い作品でした。しっかりミステリ、しっかりサスペンス、しっかりロマンス。

フランス人鉱山技師メレは、南アフリカのダイヤモンド鉱山にたどり着いた。ダイヤモンドで財を成した大地主ジョン・ワトキンズの娘アリスと相思相愛の仲になったメレは、金に目がないワトキンズに結婚を認めてもらうため、採掘と人工ダイヤモンド製造の実験にあけくれる。
やがて実験の中で世界最大級となる人工ダイヤモンドを生み出したメレだが、そのダイヤモンドがワトキンズ家のパーティの最中に突如紛失してしまう。行方をくらました黒人を怪しいと見たワトキンズが宝石奪還を命じ、メレは犯人に疑問をいだきつつも競争相手と共にアフリカ横断を敢行するが……。

1884年の作品です(ヴェルヌの作品発表時期は1860s〜1900s)。訳者解説に詳しいのですが、きちんと活躍する女性が登場する、しかも話の主軸にロマンスがある、というのがヴェルヌ作品の中では非常に珍しい異色作とのこと。いつものヴェルヌは男しか出てきませんからね。
ヒロインのアリスは、化学に造形が深くメレと対等に科学話で盛り上がり、「宝石」としてのダイヤモンドには興味がないけど、「炭素の塊」としてのダイヤモンドには興味がある、というキャラクター。彼女がメレの実験を後押しする様なんかが、読んでいてとても良いのです。

さらに盗まれた宝石「南十字星」を巡るミステリとしても、犯人の正体という謎、そして宝石に関するもう一つの謎が、それぞれ伏線をきちんと入れつつきれいに描かれており、こちらも満足度が高い仕上がりです(ヴェルヌは『神秘の島』もそうですが、謎解きの見せ方が地味に上手いんですよね)。某英国ミステリの古典のトリックの先取りである点も要注目かもしれません。

お得意の個性的なキャラクターも今回はハマっています。多種多様の国籍・人種を登場させるとなると19世紀にヴェルヌの右に出る者はいません。南アフリカの鉱山という移民・労働者の集団なんかは、ピッタリの題材だったのではないでしょうか。黒人、オランダ人(ボーア人)、中国人、フランス人、イギリス人の対立なんかが、読んでいてとても楽しいのです。主人公のメレが黒人やアジア人をバカにするヨーロッパ人に反抗し、そのせいでどんどん優秀な味方を増やしていくところなんか、王道っぽくて好き。

アフリカ横断の際の象狩り、主人公の命を狙う陰謀、現地の人の神秘・秘密、そして最初に宝石を取り戻した人がアリスと結婚できるという競争の中で厳しい自然に直面し次々と競争相手が死んでいくサバイバル……と、冒険小説としても隙のない面白さ。裏切りにあって着の身着のままでアフリカの草原に放り出された主人公たちが、キリンを捕まえて馬代わりにして、ダチョウに乗る黒人を追いかけるデッドヒートとかすごいですよ。一番極悪だった敵が鳥のせいで衝撃的な最期を遂げるシーンも、なかなかの斬新さと壮絶さ。

あくまで19世紀としては……という留保付きかなとは思いますが、でも比較的短めの長さもあって、すごく無難に面白いヴェルヌなのではないかと思います。地味だけど、おすすめ。ちなみに訳者は、東京創元社の編集長もつとめられた方だったようです。

原 題:L'Étoile du sud (1884)
書 名:南十字星
著 者:ジュール・ヴェルヌ Jules Verne
訳 者:曽根元吉
出版社:中央公論社
     中公文庫 C6
出版年:1973.10.10 初版

評価★★★★☆

『ネプチューンの影』フレッド・ヴァルガス

 - 2019.12.17 Tue
ヴァルガス,フレッド
ネプチューンの影
『ネプチューンの影』フレッド・ヴァルガス(創元推理文庫)

ネプチューンの三叉槍(トリダン)で刺されたような傷がある死体。30年前アダムスベルグの弟が恋人殺しの嫌疑で追われた事件も同じ手口だった。それ以前に五件、その後に二件同様の殺人があった。謎の多いこの事件で弟を失ったアダムスベルグは、彼の無実を証明すべく自らが犯人と確信する男を追い続けていた。アダムスベルグの人生を大きく変えた不可解な事件の驚愕の真相。CWA賞受賞作。(本書あらすじより)

本作が出るまでの過程については、前の記事に詳しく書いたので省略。
さて、この『ネプチューンの影』、やっと読めたぜ!というだけでも嬉しいのに、内容も超楽しい作品でした。これだよ! アダムスベルグ署長シリーズが楽しいのは、これなんだよ!

三叉の槍で殺し、近くに記憶をなくした人物を置くことで罪を着せる……ということを何度も繰り返してきた男。アダムスベルグ署長は、弟がこの事件に巻き込まれた過去を持つため執拗に連続殺人犯を追い続けていたが、犯人と目される判事が既に死亡していることもあり、この連続殺人の存在自体を周囲からは信じてもらえていない。
ある日、12年ぶりに連続殺人犯が活動を再開したことにアダムスベルグは気付いたが、やはり犯人の尻尾をつかめない。ところがカナダへの科学捜査研修に行った後に、ついにアダムスベルグ自身がこの連続殺人に巻き込まれてしまうことに……。

アダムスベルグのぶっ飛んだ空想と天才的直感型推理が、連続殺人鬼を相手にすることで抜群の輝きを見せます。また、今回は署長自身が追い込まれてしまう中で、署長を手伝うサポートメンバーがとにかく楽しいのです。部下ダングラールの博学さ、初登場の部下ルタンクールの有能感、そして最強の老嬢たちの神がかった活躍……キャラクターの面白さで言えば、今までで一番なのではないでしょうか。
序盤、アダムスベルグ一行がカナダに科学捜査の研修で行くのですが、カナダ警察のメンバーもとにかく個性的。めっちゃ個性的なキャラクターたちがエグいぐらい個性的な事件を追う、というヴァルガスの持ち味が存分に生かされていて、読んていて多幸感しかありません。ちなみにカナダ人の訛りの訳も、色々な意味ですんごいのでぜひ読んでもらいたい……。

このシリーズは、事件自体はシリアスなのに描き方がファンタジックなので、オフビートというか、現実離れしたふわふわ感を伴うというなかなか特異な読み心地。しかも今回はこのふわふわ感に、アダムスベルグ自身がピンチに陥るという点が上手く合わさっており、リーダビリティの面でも万全の体制。ミステリのストーリーとしても500ページとにかく楽しいのです。
亡霊のような犯人が最初からある程度分かっている中で、中盤まで防戦一方だったアダムスベルグが攻撃に転じ、ひたすら手がかりを追いまくる後半は、意外性こそないものの圧倒的に面白いです。『裏返しの男』は、ややうーんな感じでしたが、今回は『青チョークの男』レベルの(もしかしたら超える)面白さなのではないでしょうか。

世間的には三聖人シリーズの方が人気ですが、自分は断然こちらの方がフランス・ミステリに求めるものが詰まっている気がして好きなんですよね。あと6作はシリーズ未訳作があるはずなので、頼むから東京創元社さん、引き続き頑張っていただきたい……いくらでも買うので……。

原 題:Sous les vents de Neptune (2004)
書 名:ネプチューンの影
書 名:フレッド・ヴァルガス Fred Vargas
訳 者:田中千春
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 Mウ-12-6
出版年:2019.10.31 初版

評価★★★★★

『ネプチューンの影』フレッド・ヴァルガス……が出るまで

 - 2019.12.14 Sat
ヴァルガス,フレッド
ネプチューンの影
『ネプチューンの影』フレッド・ヴァルガス(創元推理文庫)

ネプチューンの三叉槍(トリダン)で刺されたような傷がある死体。30年前アダムスベルグの弟が恋人殺しの嫌疑で追われた事件も同じ手口だった。それ以前に五件、その後に二件同様の殺人があった。謎の多いこの事件で弟を失ったアダムスベルグは、彼の無実を証明すべく自らが犯人と確信する男を追い続けていた。アダムスベルグの人生を大きく変えた不可解な事件の驚愕の真相。CWA賞受賞作。(本書あらすじより)

今日の記事は長いです。皆さん、諦めてください。なぜなら、
喜べ! ついにフレッド・ヴァルガスが出たぞ!


思い返せばほぼ7年前、2013年1月1日、元日の東京創元社の新刊予告で、フレッド・ヴァルガスの次なる翻訳作品が『汚れた手』であることが発表されました。タイトル的に、これはインターナショナル・ダガー賞を受賞した、アダムスベルグ警視シリーズの作品に違いない!(仏題とは違うけど英題がこんな感じだし!) 2012年1月にはアダムスベルグ警視シリーズ第2作『裏返しの男』、2012年8月には〈三聖人〉シリーズ第3作にして最終作『彼の個人的な運命』が出たばかり。2013年にもヴァルガスが読める!と我々(ヴァルガスファンは)期待に胸を膨らませたわけです。

ところが2013年、ヴァルガスは刊行されませんでした。まぁまぁ、東京創元社の元日ラインナップに載った作品が、その年に出ないことなんてざら。おそらく2014年には出るだろうと思っていると、案の定2014年1月1日の予告で『Sous les vents de Neptune』というタイトルが出ました。ふむふむ、まだ邦題は未定ということね。分かる分かる。頑張ってくれ。

しかしながら2014年も音沙汰なし。ここから我々ヴァルガスファンにはつらい、つらい、予告暗黒時代が始まります。すなわち、

2015年1月1日:『ポセイドンの爪痕』
2016年1月1日:『ポセイドンの爪痕』
2017年1月1日:『ポセイドンの爪痕』

何も変わっていないじゃないか!!!!!


停滞する一方のヴァルガス予告に悶え苦しんでいた我々に、ようやく感知できる動きが現れたのが2018年元日。この年の予告では、

2018年1月1日:『ネプチューンの爪痕』

となっていました。
なるほど、邦題がついに決まってきた感があります。これは間違いなく今年出る! 待ったぞ何年も! 2018年だったんだな! いいんだ出るなら! ちょっと(5年)くらい待たされても!!



2019年1月1日:『ネプチューンの爪痕』


……出ないじゃないか!
なんなんだこの予告タイトルマイナーチェンジは!! こちらをやきもきさせようと微妙に動きを見せたりしないでくれ!



しかし!!! 2019年は違ったのです!
時は2019年2月13日。東京創元社の新刊ラインナップ説明会で、ついにフレッド・ヴァルガスが今年出るということが告げられました。やったぜ! いぇい! ついに出る! いつも元日予告だけだけど、今年は違う!
すわ、わたくし、あえて6年間未読のままにしていた『論理は右手に』を読み、いつでも来いや!とばかりに待ち構えます。ひと月が経ち、ふた月が経ち……あれ、全然出ないな、どうなってるんだ……。




2019年8月16日(東京創元社のメールマガジン「2019年10月の近刊案内」):『ネプチューンの影』(仮)



いぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!!!!!!!!!!!!!!!!
(脳内のサンシャイン池崎)



かくして、2019年10月31日、ついに我々は、フレッド・ヴァルガス『ネプチューンの影』を手にすることとなったわけです!

(長すぎるので続く。感想は次の記事で。『ネプチューンの影』はね、すごく面白かったんですよ!!!!)

『厳寒の町』アーナルデュル・インドリダソン

 - 2019.11.04 Mon
インドリダソン,アーナルデュル
厳寒の町
『厳寒の町』アーナルデュル・インドリダソン(東京創元社)

男の子の年齢は十歳前後。地面にうつ伏せになり、体の下の血溜まりは凍り始めていた。アイスランド人の父とタイ人の母の間に生まれた男の子は、両親の離婚後、母親と兄と一緒にレイキャヴィクの住宅街に越してきた。人種差別的な動機による殺人が疑われ、エーレンデュルら捜査陣は、男の子が住んでいたアパートや通っていた学校を中心に捜査を始める。CWAインターナショナルダガー賞最終候補作、世界のミステリ界をリードする著者が現代社会の問題にメスを入れた、シリーズ第5弾。(本書あらすじより)

6年前に読んで以来、実はインドリダソンから完全に遠ざかっていました。『湿地』は結構好きだったんですが、『緑衣の女』が微妙で、その後の『声』『湖の男』を一切読もうとしていなかったのです。
というわけで今回、実に久々に手に取ってみたのですが……え、アーナルデュル・インドリダソンって、こんなに面白かったんだっけ???

タイからの移民の子である10歳の少年が、ナイフで刺された死体となって見つかる……という冒頭で、つまり移民問題を扱った社会派ミステリなのね、と分かります。それはまぁ、そう。ただ、その捜査の描き方、移民問題のあぶりだし方、そして真相を急に提示することであらわれる虚しさが、すっごく良いのです。

真ん中くらいまで、いやなんならほぼ終わりの方まで、「捜査」という点では全然進みません。手がかりもほぼなく、明確な動機を持つ者も出てこない……凶器が発見されるまでは、犯人逮捕につながる手がかりはゼロと言って良いと思います。
ところがその間の、主人公ら警察官3人の捜査が実に読ませるんです。アイスランドという狭い社会の中で、移民たちはどう暮らしているのか、人々は移民をどう捉えているのか、子供たちはどういう世界に生きているのか、がじわぁぁぁっと描かれるのですが、ここがやたらと面白いんだよなぁ。
合間合間にエーレンデュル、エリンボルク、シグルドゥル=オーリら3人の私生活が描かれます。警察官のプライベートを出すのって近年の警察小説のもはや王道みたいなところはありますが、その挿し込み方のさりげなさがすごく上手いんですよ。メインの移民の子殺しに動きがないだけに、良いアクセントになっているんです。

そして真相の提示がね……。この唐突さって、本格ミステリには絶対出来ないタイプの、良い意味での「唐突さ」じゃないですか。それがこの400ページのミステリの虚しさを煽っているのが、めちゃくちゃ良いんです。すっごい変化球のフリオチみたいな話。
インドリダソンって実は一発ネタみたいなのが好きなのかもしれませんが、今回はその見せ方が上手いので、これが物語としてきちんと生かされているのだと思います。下手にやったら、ただの雑なオチになっちゃうよ、こんなもん。

というわけで、くそぉ、やっぱり面白いじゃないかインドリダソン。ちゃんと読み飛ばしている2作品も追おうかなぁ。

原 題:Vetrarborgin (2005)
書 名:厳寒の町
著 者:アーナルデュル・インドリダソン Arnaldur Indriðason
訳 者:柳沢由美子
出版社:東京創元社
出版年:2019.08.23 初版

評価★★★★☆

『水底の骨』アーロン・エルキンズ

 - 2019.10.02 Wed
エルキンズ,アーロン
水底の骨
『水底の骨』アーロン・エルキンズ(ハヤカワ・ミステリ文庫)

十年前、ハワイで大牧場を経営するマグナスが失踪を遂げた。その遺骨が海の中から発見され、遺族の証言では当時のマグナスは殺し屋に命を狙われていたという。彼は逃亡の末にかわりはてた姿になったのか? 現地を訪れていた人類学教授ギデオンは調査を開始。当初、それはごく普通の骨に思えた。だが、やがてその骨の異常さが明らかになり、遺族の隠されていた秘密が露わに……スケルトン探偵をも惑わせる遺骨の正体は。(本書あらすじより)

いつものスケルトン探偵シリーズとは異なり、過去の事件のみを対象に、ひたすら推論を積み重ね、家族たちの嘘を暴く、というなかなか地味な作品。殺人が起きるのも、言っていいと思いますが、残り50ページくらいのところとかなり終盤。そのせいでむしろ黄金時代の本格味が増していて、シリーズ中でも比較的出来が良い方なのではないでしょうか。

シリーズキャラクーであるFBI捜査官ジョン・ロウの友人一家トーケルソン家に誘われ、ハワイにやってきた人類学教授ギデオン・オリヴァー。十年前に失踪した一家の主の骨が、海底に沈んだ飛行機から発見されたため、ギデオンがその骨を鑑定することに。しかしこの失踪事件に関して、トーケルソン一家全員が明らかに隠し事をしているようなのだが……。

いつもなら、骨が見つかり実は殺人でしたさて犯人は?という展開ですが、今回は十年前に一家の叔父が相次いで死んだ状況を読み解く、犯人探しというよりはホワットダニットが中心になっています。トーケルソン一家が隠し事をしていることが、最初から読者には明示されているのがポイント。家族の秘密を暴きつつ、徐々に事件の矛盾を見つけ出していく、というストーリーはなかなか楽しめます。
結局手がかりが後出しにも程があるので謎解きミステリとしてはかなり弱いのですが、400ページ安定して読めるんですよね。最後のおまけどんでん返しで、骨の鑑定をするギデオン・オリヴァーに対するあてつけのような真相が急に出てくるというのも逆に面白いです。

シリーズにもっと良い作品はありますが、比較的最近の作品の中では当たりなのではないでしょうか。たまにはスケルトン探偵が頭を殴られない or ピンチにならない話を読みたいと思っていたら(だってほぼ毎回だし……)、今回はそんなサスペンスすらなかったのが逆に好ましく感じられました。
ところでこのシリーズ、気付けば『暗い森』『断崖の骨』『古い骨』『呪い!』『洞窟の骨』『水底の骨』『葡萄園の骨』と7作も読んでいたんですね……。『氷の眠り』〜『楽園の骨』の1990年代の作品を全く読んでいないので、今後、また気が向いたら読んでみようかなぁ。

原 題:Where There's a Will (2005)
書 名:水底の骨
著 者:アーロン・エルキンズ Aaron Elkins
訳 者:嵯峨静江
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ文庫 299-7
出版年:2007.04.25 1刷

評価★★★★☆

『コーネル・ウールリッチ傑作短篇集3 シンデレラとギャング』コーネル・ウールリッチ

 - 2019.09.28 Sat
ウールリッチ,コーネル(アイリッシュ,ウィリアム)
シンデレラとギャング
『コーネル・ウールリッチ傑作短篇集3 シンデレラとギャング』コーネル・ウールリッチ(白亜書房)

少年や少女を主人公にした痛快な冒険談2篇と「アリスが消えた」「送っていくよ、キャスリーン」「階下で待ってて」……粒よりの名作5篇に、本邦初訳2篇を収録する。(本書あらすじより)

毎年恒例年イチのウールリッチ/アイリッシュ。大学2年の頃から8年連続で続けているのですが、本当に毎年楽しくってですね……全作読み切るまで続けましょう。今年は短編集、しかも白亜書房のウールリッチ短編集です。初めてこのシリーズを読みましたが、装丁がエグいぐらい素敵。揃えたいなぁ。
近い年代の作品を集めているということもあり、似たような話も混ざっているのですが、とにかくハズレなしで文句なし。おしゃれな装丁と共に、ウールリッチ世界に楽しく浸れます。

普通小説時代の短編が思いの外面白く、これはつまりウールリッチ史上の重要作と言われる『マンハッタン・ラブソング』を早く読まなきゃならないってことですね分かります。ベストは少年物の傑作「ガラスの目玉」と、サスペンスと友情がアツい「送っていくよ、キャスリーン」で。
以下、個別の簡単な感想です。

「黒い爪痕」 The Street of Jungle Death (1939)(初訳)
脱走した豹に殺されたと思われる女性の死体が次々と見つかります。一人の刑事は殺人事件ではないかと疑い……。被害者視点を入れることでサスペンス感マシマシで、最後の緊迫感はすごいものになっています。お得意の「偶然」も駆使していますが、ストーリーはちょっと慌ただしいかな。

「ガラスの目玉」 Through a Dead Man's Eye (1939)(『妄執の影』『ホテル探偵ストライカー』でも読める)
降格しそうな刑事の父親のために、殺人事件を見つけ解決しようと頑張る12歳の少年の話。少年の捜査物として単純によく出来ていますし、各所で光る名推理も見事。終わり方含めてウールリッチらしい気持ちのいいミステリです。

「アリスが消えた」 All at Once No Allice (1940)(『死の第三ラウンド』でも読める)
結婚したばかりの花嫁がホテルで行方不明になったのに、従業員も皆そんな女性は見たことがないと新郎の男性に伝えて来る……という発端。何が起きているのか分からない序盤の恐怖感も良いですし、妻がいなくなったと訴える男を即信じるのではなく、あくまで中立的に、しかし冷静に捜査を進める刑事のかっこよさが際立ちます。真相は、まぁこうやるしかないよねというあっけないものではありますが、その中でも悪役の憎たらしさとそれに執念で迫る新郎と刑事のコンビが最高です。

「送っていくよ、キャスリーン」 One Last Night (1940)(『悪夢』『ニューヨーク・ブルース』でも読める)
前科のある男が、過去に付き合っていた女性を家まで送っていく途中で見失ってしまいます。彼女が死体となり発見されたことで、彼は犯人ではないかと疑われてしまうのですが……。ウールリッチってこういう田舎の私刑(リンチ)の恐怖みたいなものも書くんだ、というのが意外。いつもの都会っぽさが排除され、男があまりに疑わしい状況のもと住民から追い詰められる中で、友人である刑事が全力で犯人を見つけ私刑を止めようとするスピード感が素晴らしいです。その犯人の見つけ方も、最短時間で逮捕するために心理的証拠を駆使するあたりが面白いですね。最後がまたかっこいいのよ……。

「階下で待ってて」 Finger of Doom (1940)(『晩餐後の物語』でも読める)
恋人が影も形もなく消え失せる、という点で「アリスが消えた」と同系統の話。ですが、着地点が時代を反映していたり、話がこじんまりとしていて無理がなかったり、など雰囲気はかなり異なります。ウールリッチの描く名刑事はみんなかっこいいなぁ。

「シンデレラとギャング」 Cinderella and the Mob (1940)(『ホテル探偵ストライカー』でも読める)
ギャングの抗争に何も知らず偶然巻き込まれた16歳の少女の冒険物。ヒーローのかっこよさと夜の街の恐怖が、時に甘々に、時にシビアに語られるのがたまりません。少年少女を描かせるとウールリッチはめちゃくちゃ上手いのです。

「ドラッグストア・カウボーイ」 The Drugstore Cowboy (1927)(初訳)
1927年、ウールリッチが普通小説を書いていた頃の恋愛短編。何もかもベタで甘酸っぱくて、言っちゃなんですがチンケな話っぽいのに、ウールリッチが書くとなんでこんなに素敵な恋愛小説になるのでしょうか。女の子がかっこいいんですよ、ほんとに。

原 題:The Best Stories of Cornell Woolrich 3 (1927~40)
書 名:コーネル・ウールリッチ傑作短篇集3 シンデレラとギャング
著 者:コーネル・ウールリッチ Cornell Woolrich
訳 者:門野集
出版社:白亜書房
出版年:2003.01.31 1刷

評価★★★★☆

『パリ警視庁迷宮捜査班』ソフィー・エナフ

 - 2019.09.24 Tue
エナフ,ソフィー
パリ警視庁迷宮捜査班
『パリ警視庁迷宮捜査班』ソフィー・エナフ(ハヤカワ・ミステリ)

喧嘩っ早い性格がたたって停職処分を食らった警視正、アンヌ・カペスタン。復帰後の仕事として、新しく結成される未解決事件捜査班を率いることを命じられる。ところが、集まったのは、大酒飲み、ギャンブル好き、スピード狂、作家活動が本業と化している片手間警部、組んだ相手が次々不幸な目に遭う通称「死神」などなど、くせの強いメンバーばかり。カペスタンは20年前に起きたフェリー船員殺人事件と、8年前の強盗殺人に目をつけ、捜査を始めるが……。(本書あらすじより)

毎年新刊を40冊くらい読んでいると、だいたい年に1冊、つまらないとかではなく「許せねぇ」みたいな気分になるものを読んでしまうのですが、出ました、今年の「許せねぇ」枠です。これはヒドい。なんだこの警察小説版コージーの出来の悪いやつみたいなのは……コミカル・サスペンスってなに……。

あらすじはあらすじを見てください。パリ警視庁のはぐれものたちが、未解決事件を調べるという新設の部署に放り込まれ、そこで奮闘する的なやつです。ミック・ヘロンの〈窓際のスパイ〉シリーズはこの手の中では最高峰かなと思いますが、本書はかなりのゆるふわコージー風警察小説。マンガやテレビの世界そのまんまじゃないか……。
とりあえず個性的なキャラクター用意して、適当に未解決事件を捜査させて、そこから怒涛の活躍をさせて、何らかの意外な展開を放り込めば、ほらちゃんとしたミステリでしょ、みたいな感じでこうも来られると、もうね、なんっにも出来ませんよ、えぇほんとに。

で、これ、ネット上の感想見たら地味に評判が良いのです。が、自分でも理解できないけどなんかもうダメです。マジでムリ。
何がダメでムリか説明するのも面倒なのですが、例えばある刑事が夜中に突然思い立って資料調べたら超重要な手がかりを見つけて、やったぞと相方に伝えようと思うも、でも夜中だしまぁ明日でいいか、と思い、二度寝する、で章が終わり、次の章で翌朝それを伝えるシーンから始まる、みたいのが例えばダメなんです伝われ。下手か。あとドーヴァーもびっくりな最後の犯人追い詰めるやつとか……雑とかそういうレベルじゃねぇぞ……。

まぁとにかく、コージーとかコミカルとかをやるならちゃんとやってください。中途半端な出来の悪い“小説”を読むのって、結構、しんどいもんなんだぜ……以上感想終わり。

原 題:Poulets grillés (2015)
書 名:パリ警視庁迷宮捜査班
著 者:ソフィー・エナフ Sophie Hénaff
訳 者:山本知子、川口明百美
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ 1943
出版年:2019.05.15 1刷

評価★★☆☆☆

『IQ2』ジョー・イデ

 - 2019.09.18 Wed
イデ,ジョー
IQ2
『IQ2』ジョー・イデ(ハヤカワ・ミステリ文庫)

亡き兄の恋人だった女性から、高利貸しに追われる妹ジャニーンを助けてほしいと頼まれた探偵"IQ"。腐れ縁のドッドソンを伴い、彼女が住むラスベガスに赴くが、事態は予想よりも深刻だった。ジャニーンは中国系ギャングの顧客情報に手を出し、命を狙われていたのだ。待望のシリーズ第二作。(本書あらすじより)

シャーロック風要素ありの、アメリカマイノリティハードボイルドとして話題を集めた『IQ』のシリーズ2作目。決してつまらなくはないのですが、このシリーズにそこまでハマれていない自分がいるんだよなぁ……。

アホアホ若造ギャンブラーカップルがアホアホ過ぎたせいで命を狙われ、それをIQが救う話。4つくらいのギャング組織・悪党が、それぞれの思惑で動き回ります。

どう収拾つけるのか、という点では非常にうまく着地していると思います。命をギャングに狙われる系ミステリで、たまーに雑なエンディングがあるじゃないですか。え、それで助かる?っていうような。そういうのがすごく嫌いなのですが、『IQ2』の解決方法は好き。
特に悪党たちが互いを潰し合う終盤の展開、及びそれと並行して(カットバックを用いつつ)語られるIQの兄マーカス死亡事件の顛末は、非常に面白く読めます。物語の転がっていく様子と、それを天才的頭脳で転がしているIQの有能さ、そしてアクションをたっぷり楽しめるのです。

ただし途中までは、アホアホ集団にいらいらしたり、IQの時折見せる子供っぽさにいらいらしたり、登場人物全員についていちいち語られる過去エピソードにテンポの悪さを感じたりで、なんかあまりのれませんでした。IQの成長を楽しむ小説とはいえ、IQの未成熟な感じが読んでいてたまにムカつくんだよね……。
『IQ』ではアイゼイアことIQのシャーロック的な頭の良さが目立っていましたが(そういえば今回IQってあんまり呼ばれないよね)、わずかな手掛かりから全てを見抜く……的な場面も今作は少なめです。とは言え、『IQ2』ではもめごと処理人としてのアイゼイアの有能っぷりを楽しめるので(エピローグ的に語られる小さい依頼に対する怒涛の解決ラッシュは笑えます)、そもそも目指すところはシャーロックよりもネロ・ウルフなのかも。次作のアイゼイアにも期待してみたいところです。

原 題:Righteous (2017)
書 名:IQ2
著 者:ジョー・イデ Joe Ide
訳 者:熊谷千寿
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ文庫 465-2
出版年:2019.06.25 1刷

評価★★★☆☆

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Author:ヨッシー
クリスティ、デクスター、グライムズ、ディヴァインが好きな、ヨッシーことTYこと吉井富房を名乗る遅読の社会人3年目が、日々読み散らかした海外ミステリ(古典と現代が半々くらい)を紹介する趣味のブログです。ブログ開始から9年になりました。ちなみにブログ名は、某テンドーのカラフル怪獣とは全く関係ありません。
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