優しい殺し屋
『優しい殺し屋』ビル・フィッチュー(徳間書店)

ボブ・ディランの夢、それは世界一の『殺し屋』になることだ。すみやかに、人知れず標的を始末する『エクスターミネーター』に。しかし、危険な闇の世界に、ボブの夢が公開されてしまう。ある日、殺しの仲介屋マルセルが、5万ドルの仕事を持ってボブの家に現れたとき、一つ、大きな問題があった。マルセルの標的は人間であり、ボブの標的はゴキブリだったのだ。が、ボブが否定すればするほど、それがプロの手口に見られてしまう。舞い込む殺しの依頼と、偶然に死んでいく標的たち。かくてボブのもとには、CIAからのリクルーターや、彼を排除しようとする世界トップランキングの暗殺者たちがやって来る――。(本書あらすじより)

もともとこの記事を読んで知ったのですが、ようやく読んでみれば今年のベストユーモアミステリに選出したいくらいの超おすすめ本です。古本屋で見かけたら買いましょう。いやーすっごい楽しかったです。

害虫駆除業者のボブ・ディラン(綴りが違う)が最強の殺し屋と勘違いされたことで、(本人の知らないところで)大騒動が持ち上がり、世界ランキングトップ10入りしている名立たる殺し屋たちと対決する羽目に。果たしてボブの運命は、そして彼の夢である〈百パーセント安全なボブの害虫駆除〉会社の設立は成功するのか?というお話。なんだこれは。あらすじの時点でもう面白い。

アンジャッシュみたいな勘違い騒動から始まり、ニューヨークという超危険でイカれた街を舞台に繰り広げられる銃撃戦。面白くないわけがないのです。終盤には、なんやかんやあって、世界中の殺し屋(いちいち個性的)がボブを殺そうとニューヨークに集結し、ボブは各個撃破していくハメになるんですよ。すごいでしょう。上質のユーモア小説らしく、序盤から色々と登場していた伏線がばしばし機能して殺し屋をぶっ殺していくのが最高です。
そしてまた、夢追う究極のオプティミストであるボブが、夢追いすぎたあげく出ていった妻と子を取り戻すという話でもあります。背後から迫る殺し屋のことより昆虫のことを考えるボブ、果たして彼の未来はあるのか?
ひとつ注意点を言っておくと、次から次へと虫(特に害虫、全種類学名付き)が登場するので、苦手な方(自分もだ)は想像力を封じて読むことをおすすめします。最後の方とか想像したらやばいやつです。

ちなみに登場人物一覧(これも面白い)を見ると、殺し屋たちがどんな人物なのか少しわかります。
優しい殺し屋2
世界ランキングって何だよ、とか言わない。

ブラック・ユーモアではなく、ただただユーモアの大団円。読みましょう。そして2012年のシリーズ2作目翻訳を祈りましょう……無理だと思うけど。
ところでこの作品、映画化が決まったと訳者あとがきにあるのですが、どうやら結局制作されなかった模様。うーん、映画化されていればもう少し話題になったろうになぁ。

原 題:Pest Control(1996)
書 名:優しい殺し屋
著 者:ビル・フィッチュー Bill Fitzhugh
訳 者:田村義進
出版社:徳間書店
出版年:1997.06.30 1刷

評価★★★★★
スポンサーサイト