ミステリ・ウィークエンド
『ミステリ・ウィークエンド』パーシヴァル・ワイルド(ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)

「ミステリ・ウィークエンド」と銘打たれた冬の観光ツアー。その滞在先で客が死体で発見された。そこへあらわれたあやしげな振る舞いと不可解な言動を繰り返す“自称”夫婦。事件の謎がさらに深まるなか、新たな死体が発見される……。巧みなストーリーテリングで読者を翻弄させる名人ワイルドの処女ミステリ長編! P・モーラン・シリーズ未邦訳短編も収録!(本書あらすじより)

解説に書いてある各作品の初出年をメモし忘れたので、ネット情報での推測です。本自体を既に手放してしまったので、もし不正確なところがあればぜひご指摘ください。
さて、実はパーシヴァル・ワイルドは初読なんですが、なにこれ超楽しいじゃないですか。今まで読んでこなかったことを反省するばかり。
本書には、ワイルドの処女ミステリ長編『ミステリ・ウィークエンド』(200ページほど)、および短編3作品(うち1作は『探偵術教えます』のP・モーランシリーズ)が収録されています。以下個別に感想を。

「ミステリ・ウィークエンド」Mystery Week-End(1938)
時間順に4人の手記を並べ、さらに各手記のラストにどんでん返しを仕込むという練りこまれた構成なのですが、いやこれが実に面白いんです。密室の解決があまりにしょぼいという難点はあるんですが、むしろたったこれだけの真相を手記形式と変事を連発させることによってめちゃくちゃ複雑に見せているという点が素晴らしいじゃないですか。第3章までは、これ解決編用意してないんじゃないのってくらい謎が魅力的で超楽しいんです(これ嫌いな本格ミステリ読みとかいないんじゃなかろーか)。
ミステリ・ウィークエンドというミステリーツアー的な設定とか、雪の山荘だとか、めちゃくちゃに動かされる証拠品や死体だとか、うさんくさすぎる容疑者とか、怪しすぎる大量の伏線だとか、とにかく演出が見事という他ないですね。劇作家であったワイルドの本領発揮といったところなのでしょう。

「自由へ至る道」The Way of Freedom(1922)
あらすじを知らない方が楽しめそうな、アメリカらしいクライムノベルの良短編。泣かせます。全然違うけどブレット・ハリデイ「死刑前夜」を思い出しました。

「証人」The Witness(1928)
こちらはショートショートで、ジャック・リッチーっぽい作品です(海外のショートショートを読むと全部リッチーっぽく見えるの、どうかと思う)。

「P・モーランの観察術」P. Moran, Personal Observer(1951)
『探偵術教えます』で活躍する、P・モーラン・シリーズの唯一の未収録短編。短編集の方のネタバレなどは特にありません(たぶん)。
で、これが超面白かったのでした。ミステリとしてもコメディとしても伏線の張り方が最高。P・モーランは要するに、通信教育探偵ファイロ・ガッブ+ターンバックル部長刑事みたいな感じなのでしょうが、それをさらに面白さ倍増しましたみたいな感じ。『探偵術教えます』必ず読みます、絶対好きだわこれ。


原 題:Mystery Week-end(1922~1951)
書 名:ミステリ・ウィークエンド
著 者:パーシヴァル・ワイルド Percival Wilde
訳 者:武藤崇恵
出版社:原書房
     ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ
出版年:2016.01.29 1刷

評価★★★★☆
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