深い森の灯台
『深い森の灯台』マイクル・コリータ(創元推理文庫)

深い森の中に立つ灯台で、それを建てた男が自殺した。死の直前の彼から謎のメッセージを受けた保安官代理主任のキンブルは、この土地ではるか昔から恐るべき出来事が続いていたことに気づく。さらに丘陵の周辺で次々に不穏な出来事が起こりはじめる。事故を起こし幻を見たキンブルの部下。夜が来ると攻撃的になる動物たち。そして森に正体不明の青い光が現れ、新たな惨劇が……。(本書あらすじより)

うわぁぁぁ、お、思ったより面白かったぞ。この手のホラーミステリを楽しめたとは結構意外。あと表紙がいい。
森に建てられた灯台に住む、変人の灯台守の自殺をきっかけに、森の周辺で次々と不審な出来事が相次ぐ……という話。過去にさかのぼって調べていくと、この土地に秘められた恐るべき事実が明らかになっていきます。
恐るべき事実っていうか、読んでいる人はすぐに分かるのですが、明らかにもうこれは超常的な幽霊か何かがいるわけですよ。ですからその幽霊か何かが、いったい何をしているのか、どういうルールで行動しているのか、を明かすのが半ば過ぎまでの展開になります。最後はその幽霊か何かと対決していくことになるわけですが。

まず言っておくと、かなりケチのつけようがある作品です。視点人物がキンブル保安官代理だけにすればいいのに、新聞社で働いていた男とか、猫科動物センターで働く人とか、とにかく視点が移り変わります。移り変わること自体はいいのですが、テンポがもう少し速い方がいいかなと。でなきゃ100ページ削ったほうがいいと思います。
またラストについては、これは洋ホラーのよくないところだと思うんですが、どうしてもキリスト教的な“敵”になっちゃうんですよね。対決しなくていいのにっていうか、ここまでちゃんと正体を暴かなくてもいいのにっていうか。最後あんまり根本的解決にもなってないし。海外作品は“人間が怖い”話を書かせればありえないほど怖いんですけどね……。

ただ、そうしたマイナス点を差し引いてもかなり褒めたくなるのは、中盤までの展開が非常に面白かったからでしょう。着々と積み上げて、謎を明らかにしていく感じがうまいのです。さらに終盤に入って明かされる意外な展開は、これぞホラー“ミステリ”と言うべき最高のものでした。これは驚くし、むしろ感心しました。予想通りに行ってくれない展開の組み合わせもよく出来ています。

というわけで、これ初コリータだったのですが、思ったより楽しめたかなという。初期作品のハードボイルドも若干気にはなっているのですが、どうしようかな。
ちなみにホラーっぽいものってあんまり読まないのですが、超自然的なものを出すなら、途中からや最後にじわじわ出すより、最初からおもっきしほのめかしながら進めてくれる方が好きです。論理的なものだと思って読んでいたら突然違いましたー超自然的なアレですーばばーんってなるのがどうも好きじゃないのです。最後にホラーっぽくなるアレとかアレとかね、有名なやつですが、非常に読後の印象が悪いです(何が問題ってばばーん型は超自然的なものが出てくるよと言うこと自体がネタバレになるので、事前に分からず、読み終わってそっちかーいとなる上に、そのがっかり感を書くとネタバレになるのでフラストレーションがたまるっていう……)。

原 題:The Ridge(2011)
書 名:深い森の灯台
著 者:マイクル・コリータ Michael Koryta
訳 者:青木悦子
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 Mコ-12-4
出版年:2015.12.11 初版

評価★★★☆☆
スポンサーサイト