馬鹿★テキサス
『馬鹿★テキサス』ベン・レーダー(ハヤカワ・ミステリ文庫)

「鹿の着ぐるみだと?」愛人との逢瀬の最中に通報を受けた裸の狩猟監視官マーリンは眉をひそめた。奇妙な不審者が発見されたのだ。現場の牧場へと急行するマーリン。だが、その事件はよりおバカな陰謀への序章に過ぎない。鹿狩り解禁直前の町には、特別な巨大鹿を狙うビール腹の密猟者コンビやアントニオ・バンデラス似の殺し屋が集結しつつあったのだ――へんてこな登場人物満載! テキサスを舞台にした必読の爆笑ミステリ。(本書あらすじより)

びっくりしました。えーなんていうか、このタイトルとこの表紙のくせに、思ったよりマトモな内容だったので。
まずは表紙をご覧ください。これ見せてタイトル紹介するのが今日のメインです。

馬鹿★テキサス

ちょっとこれすごくないですか。鹿とか鹿とか。馬鹿だし。
まず言っておくと、鹿はめっちゃ登場します(ビックリだよ)。テキサスの鹿狩りを舞台にして、狩猟監視人が探偵役をつとめ、鹿をめぐるとある陰謀を暴く、という、どこからどう見てもマトモなアメリカのミステリです。ちなみにあらすじと表紙を見ると鹿の着ぐるみがめっちゃ大事そうですが、これは動物学者が鹿の着ぐるみに入って鹿の気持ちを知ろうとしただけの話で出てくるのは最初だけです(いやそれはそれでめっちゃ面白いけど)。なお、馬は出てきません。馬鹿はたくさん出ます。

変人ばかりのヘンテコテキサス麻薬小説で結構楽しいのですが、変人が出揃ったあたりでちょっと飽きました。探偵役がかなりマトモですし、あまりに変な登場人物(例えばビル・ゲイツという名前の男と結婚した女が本当にあのビル・ゲイツと結婚したと思い込んで脅迫して回る変人野郎とか)が早々に退場(いろいろな意味で)してしまうのもあるかも。

ここまでイロモノ感に満ち満ちているのに、実際最初の100ページはかなりイロモノでしかないのに、最終的にすげぇまっとうに面白い小説として終わります。意外だ。クライム・コメディ好きな人はぜひ読んでみてください。皮肉もシャレもメッセージ性もない、ただただ肩肘張らないで読めるくだらない娯楽小説です(これ褒めてるんだよ)。
ちなみに本国ではこの狩猟監視官マーリンを主役に置いたシリーズが引き続き出ていますが、翻訳されたベン・レーダーの小説はこれ一作のみです。かなりシリアスな、不法移民を扱った小説も出しているようですね。詳しくは訳者の東野さやかさんが紹介しているこちらをご覧ください。

原 題:Buck Fever(2002)
書 名:馬鹿★テキサス
著 者:ベン・レーダー Ben Rehder
訳 者:東野さやか
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ文庫 291-1
出版年:2004.05.15 1刷

評価★★★★☆
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