楽園占拠
『楽園占拠』クリストファー・ブルックマイア(ヴィレッジブックス)

スコットランド沖に浮かぶ巨大な石油掘削装置は、本来の役目を終え、今まさに一大リゾートとして生まれ変わろうとしていた。その正式オープンを目前にひかえ、リゾートの仕掛け人が主催する同窓会パーティにつぎつぎと集まってくるかつての仲間たち。だが、そこには武装した男たちの集団も密かに接近しつつあった。はたして彼らはなにを企んでいるのか?そして、四方を海に囲まれた孤立無援のリゾートで繰り広げられる壮絶な一夜の末に待っていたものとは?イギリスの若手実力派がはなつアクション巨編。(本書あらすじより)

ヴィレッジブックスから2作が出ているクリストファー・ブルックマイアの初訳作品。訳された玉木亨さんから以前いただいたものです(ありがとうございます、というか読むのがこんなに遅くなってしまい申し訳ありません……)。玉木さんはアン・クリーヴスとジム・ケリーを翻訳されているというだけでもうあれですよ、自分にとっては崇める対象なわけですよ。
内容は、要するにダイ・ハードなんですけど、英国ブラックユーモアまみれの妙なテンポ感(ゲロ多数)と、ダイ・ハード的なお約束を尽く裏切ってくるストーリー運びがなんだかツボにはまります。毎ページ笑っちゃうんですよ。というわけで結構おすすめしたいんですが、前半がいくらなんでも長すぎで間延びしていたのが惜しいです。

オープン前のリゾート施設(ありがち)である石油掘削装置(四方が海)に同窓会のために多くの人間が集まっていた。ところがそこには武装した集団も上陸していたのだ。彼らの目的は果たして何なのか?

開始早々武装集団が仲間割れでずんどこ死ぬという、読者的に「は????」な展開から始まります。この時点で明らかにただの「ダイ・ハードっぽい小説」ではないことが分かるのですが、ところがその後は延々と同窓会メンバーのプロフィールで300ページが費やされるのです。長い。だけどひたすら笑えるし、同窓会メンバー同士の確執とかその辺も後々大事になっては来るので面白く読めます。でも長いよ。
ようやくバトルが始まると、そこからは怒涛の展開で一気に読ませるさすがの娯楽作。都合のよすぎる登場人物の過去、いかにもなヒーローポジションの主人公が即隠れ場所から(ゲロのせいで)見つかる、武装集団が早々と分裂する、などあらゆる予想を裏切る展開がひたすら手に汗握る、というか笑えます。もうめっちゃ楽しいのです。この作者のテンポ感とか緩急の付け方って絶対おかしいよな……。

武装集団の真の目的などそこそこのどんでん返しもあり、なんだかゲラゲラ笑いながら安心して読めるという、いい感じのダイ・ハードでした。多少間延びしていますが、なかなか稀有な読み物なので、気になる方はぜひ買ってみましょう(古本屋で)。あ、オチはここ最近読んだもので一番秀逸でしたよ、これだけは言っておかないと。

原 題:One Fine Day in the Middle of the Night(1999)
書 名:楽園占拠
著 者:クリストファー・ブルックマイア Christopher Brookmyre
訳 者:玉木亨
出版社:ソニーマガジンズ
     ヴィレッジブックス F-フ3-1
出版年:2003.07.20 初版

評価★★★★☆
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