スウェーデンの騎士
『スウェーデンの騎士』レオ・ペルッツ(国書刊行会)

1701年冬、シレジアの雪原を往く二人の男。軍を脱走し大北方戦争を戦うスウェーデン王の許へ急ぐ青年貴族と、〈鶏攫い〉の異名をもつ逃走中の市場泥坊――全く対照的な二人の人生は不思議な運命によって交錯し、数奇な物語を紡ぎ始める。泥坊が一目で恋におちる美しい女領主、龍騎兵隊を率いる〈悪禍男爵〉、不気味な煉獄帰りの粉屋、〈首曲がり〉〈火付け木〉〈赤毛のリーザ〉をはじめとする盗賊団の面々ら、個性豊かな登場人物が物語を彩り、波瀾万丈の冒険が展開されるピカレスク伝奇ロマン。(本書あらすじより)

20世紀前半に歴史小説、幻想小説、推理小説を書いたオーストリアの作家、レオ・ペルッツの作品を初めて読みました。近年の国書ペルッツの中では、『スウェーデンの騎士』は比較的ミステリ度合いが高いんだとか。ちなみに一番ミステリとして有名なのは『最後の審判の巨匠』でしょうか。
最初に明示された結末に向けて作りこまれた構成は見事。読み返すと感心します。ちょっとファンタジーっぽい要素もあったんですが、もしかしてこれファンタジーじゃないのかな、そこらへんの塩梅も気になります。
でも一方で、もはや自分は中学の頃とは違って、ゴシック小説やピカレスク・ロマンや古典冒険小説を心から楽しめなくなってしまったのでしょうか……とか考えちゃいました。そうだとすれば悲しいな……。

既に戦いで亡くなっていたはずの「スウェーデンの騎士」が、死後娘のもとに現れることが出来たのはなぜか?という謎が最初に提示されます。その後、彼の波乱万丈に満ちた人生が、その謎を解き明かすために展開されます。貴族でも何でもない主人公、〈泥棒〉の破天荒さがいいですね。
序盤に出て来た、牢屋っていうか教会に「スウェーデンの騎士」が捕まってしまうところ、てっきりファンタジー的な、要するに悪魔の契約みたいなやつかと思って読んでいたんですが、なんか現実のものとして出て来たのでびっくりしました。こういうのがあったんですね(あったんだよね?)。あの辺の現実と非現実の混ざり方のバランスが気になります。

しかしまぁ、ある程度面白くは読めましたが、飛び抜けて読んでて好きってほどでもなく。『ボリバル公爵』とか『聖ペテロの雪』とかどんどんペルッツが訳されていますが、次読むなら『最後の~』ですかねー。

書 名:スウェーデンの騎士(1936)
著 者:レオ・ペルッツ
訳 者:垂野創一郎
出版社:国書刊行会
出版年:2015.05.10 初版

評価★★★☆☆
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