エンジェルメイカー
『エンジェルメイカー』ニック・ハーカウェイ(ハヤカワ・ミステリ)

大物ギャングの息子として生まれたジョー・スポークは、時計じかけを専門とする機械職人として静かに暮らしていた。しかし、彼が謎の機械を修理した日にすべてが変わった。客の老婦人は引退したシークレット・エージェント、謎の機械は第二次世界大戦直後に開発された最終兵器の鍵だったのだ! そしてさまざまな思惑を持つ人々がジョーの周囲で暗躍をはじめた……愛する者を悪の手から守り、世界を滅亡から救うため、ジョーは父の銃を手に立ち上がる! 笑いと切ない抒情に満ちた傑作エンターテイメント・ミステリ。(本書あらすじより)

うーん、だめだ、合いません。終始首をかしげながら読んでました。
『世界が終わってしまったあとの世界で』が去年出たニック・ハーカウェイの大長編がポケミスから出ました。巷で大絶賛されており、結構話題になっていますね。ポケミス史上最大の分厚さとお値段でも話題になっておりますが。
ジャンル越境的というかとにかくあらゆる要素を詰め込んだエンタメ、という感じ。この手の物語を最近あんまり楽しめていないので、薄々嫌な予感はしていたんですが、なんかなぁ、乗れなかったんだよなぁ。圧倒的ストーリー力で殴ってくる元スパイ老女イーディーの波乱万丈な過去パートはべらぼうに面白いのです。ところが主人公ジョーのパートがひたすらもやもやしちゃうのです。ラストの急展開はめっちゃ好きな流れなんですが、やっぱり謎というかジョーがよく分からなくて。えええどう感想を書けばよいのやら。

主人公ジョーは血筋こそ主人公っぽいけど小市民を目指すぼへっとした中年男。自分が巻き込まれた世界を揺るがす大事件に対しても序盤は受け身になりがちです。ところが周りの個性的な面々に動かされることで覚醒し、終盤唐突にうおぉぉっとなるわけですが……え、え、そんな単純なの?
こういう話が嫌いなわけじゃないのに、どうにもこのジョーという男がよく分からないのです。悩んだり悲しんだりするポイントもよく分からないし、豊富に持つツテとか縁の使い方もしっくりきません。中盤以降がジョーを追うことがメインなだけに、物語に入り込めません。序盤はキレッキレの元スパイばばあイーディーがひたすらかっこいいこともあり、まあまあ楽しめはしたんですが。

文章もユーモラスで面白いはずなんですけど、なんかこう……いや、うざいわけでもなく、鼻につくわけでもなく、強いて言えば楽しいんですよ。けどなんていえばいいんだ、まだるっこしいというか、読みやすい文章なんだけど、読み進めにくいというか。難しいんだけど、自分にとっては物語に没入させてくれるような感じではなかったのです、こんないかにも没入型の物語なのに。

というわけで、結局分厚さにも打ち勝てず、話にも打ち勝てず、最後までもやもやしたまま読了してしまいました。こうなると『世界が終わってしまったあとの世界で』も読むかというと……うーんちょっとなぁ。苦手な部類の作家かも。

書 名:エンジェルメイカー(2012)
著 者:ニック・ハーカウェイ
訳 者:黒原敏行
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ 1896
出版年:2015.06.15 1刷

評価★★☆☆☆
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