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『司法取引』ジョン・グリシャム(新潮文庫)

連邦判事とその愛人の殺害事件が迷宮入りかと思われた頃、冤罪で収監されていた弁護士バニスターが、真犯人を知っていると声を上げた。彼はその情報と引き換えに、自らの釈放と証人保護プログラムをFBIに要求する。藁にもすがりたい捜査当局と何度も交渉と説得を重ねたバニスターは、ついに念願の出獄を果たすのだが……。自由を求めて、破天荒な一世一代のコンゲームが始まる。(本書上巻あらすじより)

グリシャムを読みました。なんと中学生とか高校1年とか以来ですよ。ちなみに読んだことあるのは『陪審評決』のみで、『評決のとき』みたいな代表作を読んでいるわけではありません。ちなみにちなみに、『陪審評決』は傑作ですよ、みんな読みましょう。
というわけで超久々なグリシャムなわけです。法廷ものというよりは、タイトル通り”司法取引”もの。騙し、騙され、というコンゲーム小説です。いやーこういう一気読みなエンタメもたまにはいいもんですね。それなりに楽しめました。

主人公の弁護士バニスターは、かつて大きな陰謀に巻き込まれ、無実であるにもかかわらず刑務所にいます。早く出る方法はただ一つ、司法取引のみ。そこで彼は世間を騒がす判事殺人事件の犯人をタレこみ、FBIによる承認保護プログラムのもと刑務所を出ることを求めるのですが……。
上巻の前半は説明が多めであまり盛り上がらないのですが、その後はもうぐいぐい話が進むこと。どんでん返しを繰り返しながら、バニスターの仕掛けるコン・ゲームが大きく動き出すとともに、バニスター自身も危険にさらされるようになります。いくらかは予想が出来るのですが(下巻の最初の方のやつとか)、終盤のひっくり返しにはたまげました。いやーやっぱり面白いですね。
とはいえ、あまりにとんとん拍子に話が終わってしまうのにはちょっと不満が。充分コン・ゲームはしているのですが、それを盛り上げるサスペンス要素が物足りないのです。さらにバニスターが逮捕された原因である事件なんかも全く関係ないので、奥行き的にもあんまりなく。ま、そういうことを求めてはいけないですね。

というわけで、お気楽に読める程よい一作でした。グリシャムちゃんと読んでみないとだなー。コンスタントに訳されているわりに、近作はまったく話題になっていないですよね。スコット・トゥローが『無罪』で再び話題になる、みたいなことがグリシャムにも起きたりしたら面白いのですが。

書 名:司法取引(2012)
著 者:ジョン・グリシャム
訳 者:白石朗
出版社:新潮社
     新潮文庫 ク-23-33,34
出版年:2015.03.01 1刷

評価★★★☆☆
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